64 / 77
本編 5 パンサー影さん編
第五十四話 浜松に来たで
しおりを挟む
瀬戸内海から紀伊半島を抜け、伊勢湾から三河湾に入ると浜名湖が見えてきた。
「はー、やれやれ、やっと地面におりられるで」
ほっと一息ついたところで無線がつながった。
『こちら浜松基地管制塔です。パンサー02の機影を確認。こちらの管制圏内に入りました』
「おじゃましますやで。このまま直進で、09からの着陸コースでええんかいな?」
『基地上空に飛行中の航空機は現在ありません。そのままランウェイ09へのコースに入ってください』
「了解や」
相手がなにやらためらっているのを感じる。
「なんや。なにかまだあるんか?」
『伝言があります』
「なんや。短いのやったら聞くで。長いのんならおりてからや」
『五分遅刻でお怒りです』
それを聞いて口元がにやけた。誰がやと聞くほどこっちも野暮ではない。俺にそんなメッセージを送ってくるのは、浜松基地では一人しかいないからだ。
「あー、はいはい。着陸してから話は聞きます、ゆーといて」
『了解しました』
遠くにまっすぐのびる滑走路が見えた。
「……とにかく、早うおりて荷物を出さんと、落ち着かへんで……」
どうも背後からの視線を感じて落ち着かない。とにかく早くおりてパンサー君をなんとかしなければ。
―― 班長、びっくりするやろなあ…… ――
+++
「遅いじゃないか、影山。予定より五分も遅かったじゃないか」
「降りたとたんにそれって、あんまりやない? 他に言うことあるやん? ひさしぶりとか、元気にしとったかとか」
エンジンを切ってコックピットからおりると、出迎えてくれた青井が、腕時計を指で叩きながら言った。
「事実を言ったまでだ」
「せやかて班長。しゃーないやん、あっちにはあっちの予定もあるんやし」
「予定とかなんとか言って、本当は影山がいつものように、飛びたくないってダダをこねてたんだろ? ちゃんと時間通りに飛べよ」
「いろいろあったんやて、ほんまに。だいたい、たった五分やん」
俺の言葉に呆れたような声を出す。
「五分で戦闘機がどれだけの距離を飛ぶか知ってるか?」
「それぐらい知ってるわ。わいかて戦闘機のパイロットやで」
「どうだか」
青井がチベットスナギツネのような目つきになった。
「それよりや、あれなんやけどな」
そう言いながら、コックピットの後ろにつめ込まれた状態のパンサー君を指さす。
「うわ、ずいぶん無理して入れたな」
「せやろー?」
「まあウレタンに布を貼ったやつだから、狭い場所に押し込んでも大丈夫だけど、ちょっとあれはやりすぎかも。出して形を整えないと使えないだろ。霧吹きとアイロンの出番だな」
「せやろー……いま、アイロンいうた?」
だが青井は、俺の質問には答えず、機体へと向かう。そして近くにいる整備員に指示を出して、ステップを横づけさせた。
「なあ班長、いま、アイロンいうた?」
「言った。形を整えるのには必要だろ?」
「必要だろて……そんな知らんやん」
ステップで上がると、つめ込まれていたパンサー君を引っぱり出す。
「おい、影山、いくら頭の中が空洞だからって、なんでもかんでも入れるなよ。影坊主まで入ってるじゃないか。これ、コンテナじゃないんだからな」
そう言いながら顔をしかめ、パンサー君の手と影坊主を取り出した。
「ようわからんけど、特別塗装機のオプションなんやて、それ」
「まあ航空祭の快晴祈願には、こいつはもってこいだけどな」
「もってこいなんかい……」
影坊主は、離陸前と同じようにコックピット内につるされる。
「ここ目立たないよな。やっぱりピトー管につるすべきかな。ま、それは明日までに決めたら良いか。まずはパンサー君のケアだよな。行くぞ、影山」
そう言ってパンサー君の頭を俺に押しつけると歩き出した。途中まで歩き俺がついてきていないことに気づき、振り返る。
「なんだよ、早く来いよ」
「ここ、松島ちごうて浜松やんな」
「当たり前だろ? ごちゃごちゃ言ってないで早く来い」
「へーい。ほな、F-2君のほう、たのむわな」
整備班にF-2の点検を任せると、俺は青井の後を追った。
「なあ、アイロンでどないするつもりなん、パンサー君」
「ここ、型がついちゃってるだろ?」
そう言って青井はパンサー君の頭に指を向ける。そこには狭い場所に押し込めたせいで、頭の上にキャノピーの枠であろう凹みができていた。
「霧吹きで水をかけてプレスするんだよ。そうすれば多分だけど布の凹みは消える。ウレタンのほうまで凹んでいたら、ちょっと難しいけどね。それも確かめてみるけど」
「なあ、班長てヒマなん?」
「は? なに言ってるんだ。ここでの俺は超忙しいんだぞ?」
顔をしかめてみせる。
「せやったら、そんなことしてる場合ちゃうやん」
「なに言ってるんだ。パンサー君のメンテナンスも大事な仕事だろ」
「せやろか……」
「そうなんだよ」
いや、どう考えてもおかしくないか?
「なあ。ところでブルーはいつ来るん?」
「沖田たちは」
そう言いながら腕時計を見る。
「あと十五分で松島離陸だな。影山も沖田を見習えよ。あいつ、絶対にぴったりの時間に着陸するから」
「せやから、それは築城での事情があったんやて。わいがダダをこねてたわけちゃうからな」
「あー、はいはい」
「なんなん、その気のない返事」
「お前だって同じような返事、さっきしてたじゃないか」
どうやらあの時、青井も管制塔にいたらしい。
そして俺達が向かったのは、隊員のロッカーがある更衣室だ。部屋の隅にアイロン台が用意してある。普段は隊員達が使っている物だ。
「ほんまにするんや、アイロン」
「大事な広報担当のマスコットなんだから、ちゃんとしておかないと」
「そうなん? てっきり班長が、遊び半分で作ったのかと思ってたんやけど」
「遊びで作るほど、俺はヒマじゃない」
「そうなん……?」
影坊主なんて絶対、そうだと思っていたんだがな。
「影坊主の下も折り目ができちゃってるな。これもアイロンで消しておこう」
「もう班長に任せるわ」
青井は俺の返事を待たず、アイロンがけの準備を始める。
「司令部の玄関口には、大きな影坊主がかけてあるんだ。あれも出した時に、アイロンがけをしたんだよ。大きくするのも考えものだよな。保管場所によっては布がシワシワになるし」
「まさか、またサイズアップしたん?」
前にあったやつも、かなり大きかったような気がするんやけどな。
「もう少し大きいのが良いって言ったのは、ここの基地司令だぞ? 俺はそのリクエストに応えただけだよ」
「そのうち、名古屋のナナちゃんなみにでかいの作りそうやな」
「あれはでかすぎだろ」
まずは影坊主の下の部分にアイロンがけ。実に手慣れている。もともと自衛官はこの手の作業は得意だが、青井の手慣れ具合はちょっと普通じゃないと思う。
「ほら、パンサー君の頭、ちょっとかして」
「まさか布をはがすん?」
「そのままですると、ウレタンが焦げたりするからな」
「なるほど」
パンサー君の布をはがす。
「それ、メンテのことも考えられてる作りなんやな」
「もちろんだ。洗濯もできるんだからな、これ」
「班長、絶対に就く職業を間違えてる思うわー……」
「そんなことないだろ。よし、ウレタンのほうは大丈夫だな」
ウレタン部分のチェックをすませると、布をアイロン台にひろげ霧吹きで水をかける。そしてあて布をしてアイロンをかけ始めた。
「いやあ、絶対に間違えてる思うわー……」
「それはそうと影山。いま俺がやっていること、見て覚えろよ? 築城ではこれ、お前がするんだから」
「え、わいがするん?!」
なぜ俺が?
「当たり前じゃないか。汚れるたびに俺のところに送るわけにもいかないだろ」
「メーカー対応ちゃうんかい」
「アイロンがけぐらい、お前でもできるだろ? 俺は忙しいんだよ」
そう言いながら布についた凹みを消していく。
「アイロンがけはともかく、布の着脱にはコツがあるからな。ちゃんと覚えていってくれ」
「いやあ、わい、そんなん覚えられへんて……最悪、嫁ちゃんに頼むわ。説明書とかないん?」
「そんなもの、あるわけないだろ」
呆れたように笑う。本気で見て覚えろと? そんなの、一回で覚えられるものなのか?
「あ、そうだ、渡すの忘れてた」
「?」
青井はウエストポーチからなにか取り出した。
「これ、近所のコンビニで売ってる、静岡限定のおにぎりなんだ。食べてみるか?」
「わさび昆布。たしかに静岡っぽいやつやな」
「俺の作業を見ながら食ってろよ。ここなら今は誰もこないし」
セロハンをはがすと、わさびのツーンとした香りが漂ってくる。
「おお、ほんまにわさびやな。茎も混ぜ込んであるんか」
「ちょっと辛いから要注意だけどな」
「たしかに。どれどれ~~」
一口食べる。鼻にツーンときた。
「これはまた、大人向けやな」
「たしかに、みっくんには無理かも。ああ、お茶も渡しておく」
小さいペットボトルを渡された。
「班長のウエストポーチ、一体どんだけ物が入ってんねん」
「必要な物しか入れてないぞ。まあ今日はおにぎりとお茶のせいで、かなり重かったけど。やっと軽くなってすっきりだ」
もしかしたらそれもあって、五分遅刻にご立腹だったのかもしれない。
「よし、シワは消えた。これで明日も問題なく活躍できるな」
「なあ、それ、やっぱりわいがかぶるん?」
「当たり前」
「当たり前なんかい……」
ま、そのほうが顔も見えないし、ブルーのファンに気づかれることなくウロウロできて、平和かもしれないが。
「はー、やれやれ、やっと地面におりられるで」
ほっと一息ついたところで無線がつながった。
『こちら浜松基地管制塔です。パンサー02の機影を確認。こちらの管制圏内に入りました』
「おじゃましますやで。このまま直進で、09からの着陸コースでええんかいな?」
『基地上空に飛行中の航空機は現在ありません。そのままランウェイ09へのコースに入ってください』
「了解や」
相手がなにやらためらっているのを感じる。
「なんや。なにかまだあるんか?」
『伝言があります』
「なんや。短いのやったら聞くで。長いのんならおりてからや」
『五分遅刻でお怒りです』
それを聞いて口元がにやけた。誰がやと聞くほどこっちも野暮ではない。俺にそんなメッセージを送ってくるのは、浜松基地では一人しかいないからだ。
「あー、はいはい。着陸してから話は聞きます、ゆーといて」
『了解しました』
遠くにまっすぐのびる滑走路が見えた。
「……とにかく、早うおりて荷物を出さんと、落ち着かへんで……」
どうも背後からの視線を感じて落ち着かない。とにかく早くおりてパンサー君をなんとかしなければ。
―― 班長、びっくりするやろなあ…… ――
+++
「遅いじゃないか、影山。予定より五分も遅かったじゃないか」
「降りたとたんにそれって、あんまりやない? 他に言うことあるやん? ひさしぶりとか、元気にしとったかとか」
エンジンを切ってコックピットからおりると、出迎えてくれた青井が、腕時計を指で叩きながら言った。
「事実を言ったまでだ」
「せやかて班長。しゃーないやん、あっちにはあっちの予定もあるんやし」
「予定とかなんとか言って、本当は影山がいつものように、飛びたくないってダダをこねてたんだろ? ちゃんと時間通りに飛べよ」
「いろいろあったんやて、ほんまに。だいたい、たった五分やん」
俺の言葉に呆れたような声を出す。
「五分で戦闘機がどれだけの距離を飛ぶか知ってるか?」
「それぐらい知ってるわ。わいかて戦闘機のパイロットやで」
「どうだか」
青井がチベットスナギツネのような目つきになった。
「それよりや、あれなんやけどな」
そう言いながら、コックピットの後ろにつめ込まれた状態のパンサー君を指さす。
「うわ、ずいぶん無理して入れたな」
「せやろー?」
「まあウレタンに布を貼ったやつだから、狭い場所に押し込んでも大丈夫だけど、ちょっとあれはやりすぎかも。出して形を整えないと使えないだろ。霧吹きとアイロンの出番だな」
「せやろー……いま、アイロンいうた?」
だが青井は、俺の質問には答えず、機体へと向かう。そして近くにいる整備員に指示を出して、ステップを横づけさせた。
「なあ班長、いま、アイロンいうた?」
「言った。形を整えるのには必要だろ?」
「必要だろて……そんな知らんやん」
ステップで上がると、つめ込まれていたパンサー君を引っぱり出す。
「おい、影山、いくら頭の中が空洞だからって、なんでもかんでも入れるなよ。影坊主まで入ってるじゃないか。これ、コンテナじゃないんだからな」
そう言いながら顔をしかめ、パンサー君の手と影坊主を取り出した。
「ようわからんけど、特別塗装機のオプションなんやて、それ」
「まあ航空祭の快晴祈願には、こいつはもってこいだけどな」
「もってこいなんかい……」
影坊主は、離陸前と同じようにコックピット内につるされる。
「ここ目立たないよな。やっぱりピトー管につるすべきかな。ま、それは明日までに決めたら良いか。まずはパンサー君のケアだよな。行くぞ、影山」
そう言ってパンサー君の頭を俺に押しつけると歩き出した。途中まで歩き俺がついてきていないことに気づき、振り返る。
「なんだよ、早く来いよ」
「ここ、松島ちごうて浜松やんな」
「当たり前だろ? ごちゃごちゃ言ってないで早く来い」
「へーい。ほな、F-2君のほう、たのむわな」
整備班にF-2の点検を任せると、俺は青井の後を追った。
「なあ、アイロンでどないするつもりなん、パンサー君」
「ここ、型がついちゃってるだろ?」
そう言って青井はパンサー君の頭に指を向ける。そこには狭い場所に押し込めたせいで、頭の上にキャノピーの枠であろう凹みができていた。
「霧吹きで水をかけてプレスするんだよ。そうすれば多分だけど布の凹みは消える。ウレタンのほうまで凹んでいたら、ちょっと難しいけどね。それも確かめてみるけど」
「なあ、班長てヒマなん?」
「は? なに言ってるんだ。ここでの俺は超忙しいんだぞ?」
顔をしかめてみせる。
「せやったら、そんなことしてる場合ちゃうやん」
「なに言ってるんだ。パンサー君のメンテナンスも大事な仕事だろ」
「せやろか……」
「そうなんだよ」
いや、どう考えてもおかしくないか?
「なあ。ところでブルーはいつ来るん?」
「沖田たちは」
そう言いながら腕時計を見る。
「あと十五分で松島離陸だな。影山も沖田を見習えよ。あいつ、絶対にぴったりの時間に着陸するから」
「せやから、それは築城での事情があったんやて。わいがダダをこねてたわけちゃうからな」
「あー、はいはい」
「なんなん、その気のない返事」
「お前だって同じような返事、さっきしてたじゃないか」
どうやらあの時、青井も管制塔にいたらしい。
そして俺達が向かったのは、隊員のロッカーがある更衣室だ。部屋の隅にアイロン台が用意してある。普段は隊員達が使っている物だ。
「ほんまにするんや、アイロン」
「大事な広報担当のマスコットなんだから、ちゃんとしておかないと」
「そうなん? てっきり班長が、遊び半分で作ったのかと思ってたんやけど」
「遊びで作るほど、俺はヒマじゃない」
「そうなん……?」
影坊主なんて絶対、そうだと思っていたんだがな。
「影坊主の下も折り目ができちゃってるな。これもアイロンで消しておこう」
「もう班長に任せるわ」
青井は俺の返事を待たず、アイロンがけの準備を始める。
「司令部の玄関口には、大きな影坊主がかけてあるんだ。あれも出した時に、アイロンがけをしたんだよ。大きくするのも考えものだよな。保管場所によっては布がシワシワになるし」
「まさか、またサイズアップしたん?」
前にあったやつも、かなり大きかったような気がするんやけどな。
「もう少し大きいのが良いって言ったのは、ここの基地司令だぞ? 俺はそのリクエストに応えただけだよ」
「そのうち、名古屋のナナちゃんなみにでかいの作りそうやな」
「あれはでかすぎだろ」
まずは影坊主の下の部分にアイロンがけ。実に手慣れている。もともと自衛官はこの手の作業は得意だが、青井の手慣れ具合はちょっと普通じゃないと思う。
「ほら、パンサー君の頭、ちょっとかして」
「まさか布をはがすん?」
「そのままですると、ウレタンが焦げたりするからな」
「なるほど」
パンサー君の布をはがす。
「それ、メンテのことも考えられてる作りなんやな」
「もちろんだ。洗濯もできるんだからな、これ」
「班長、絶対に就く職業を間違えてる思うわー……」
「そんなことないだろ。よし、ウレタンのほうは大丈夫だな」
ウレタン部分のチェックをすませると、布をアイロン台にひろげ霧吹きで水をかける。そしてあて布をしてアイロンをかけ始めた。
「いやあ、絶対に間違えてる思うわー……」
「それはそうと影山。いま俺がやっていること、見て覚えろよ? 築城ではこれ、お前がするんだから」
「え、わいがするん?!」
なぜ俺が?
「当たり前じゃないか。汚れるたびに俺のところに送るわけにもいかないだろ」
「メーカー対応ちゃうんかい」
「アイロンがけぐらい、お前でもできるだろ? 俺は忙しいんだよ」
そう言いながら布についた凹みを消していく。
「アイロンがけはともかく、布の着脱にはコツがあるからな。ちゃんと覚えていってくれ」
「いやあ、わい、そんなん覚えられへんて……最悪、嫁ちゃんに頼むわ。説明書とかないん?」
「そんなもの、あるわけないだろ」
呆れたように笑う。本気で見て覚えろと? そんなの、一回で覚えられるものなのか?
「あ、そうだ、渡すの忘れてた」
「?」
青井はウエストポーチからなにか取り出した。
「これ、近所のコンビニで売ってる、静岡限定のおにぎりなんだ。食べてみるか?」
「わさび昆布。たしかに静岡っぽいやつやな」
「俺の作業を見ながら食ってろよ。ここなら今は誰もこないし」
セロハンをはがすと、わさびのツーンとした香りが漂ってくる。
「おお、ほんまにわさびやな。茎も混ぜ込んであるんか」
「ちょっと辛いから要注意だけどな」
「たしかに。どれどれ~~」
一口食べる。鼻にツーンときた。
「これはまた、大人向けやな」
「たしかに、みっくんには無理かも。ああ、お茶も渡しておく」
小さいペットボトルを渡された。
「班長のウエストポーチ、一体どんだけ物が入ってんねん」
「必要な物しか入れてないぞ。まあ今日はおにぎりとお茶のせいで、かなり重かったけど。やっと軽くなってすっきりだ」
もしかしたらそれもあって、五分遅刻にご立腹だったのかもしれない。
「よし、シワは消えた。これで明日も問題なく活躍できるな」
「なあ、それ、やっぱりわいがかぶるん?」
「当たり前」
「当たり前なんかい……」
ま、そのほうが顔も見えないし、ブルーのファンに気づかれることなくウロウロできて、平和かもしれないが。
23
お気に入りに追加
426
あなたにおすすめの小説

【完結】20年後の真実
ゴールデンフィッシュメダル
恋愛
公爵令息のマリウスがが婚約者タチアナに婚約破棄を言い渡した。
マリウスは子爵令嬢のゾフィーとの恋に溺れ、婚約者を蔑ろにしていた。
それから20年。
マリウスはゾフィーと結婚し、タチアナは伯爵夫人となっていた。
そして、娘の恋愛を機にマリウスは婚約破棄騒動の真実を知る。
おじさんが昔を思い出しながらもだもだするだけのお話です。
全4話書き上げ済み。
5年も苦しんだのだから、もうスッキリ幸せになってもいいですよね?
gacchi
恋愛
13歳の学園入学時から5年、第一王子と婚約しているミレーヌは王子妃教育に疲れていた。好きでもない王子のために苦労する意味ってあるんでしょうか。
そんなミレーヌに王子は新しい恋人を連れて
「婚約解消してくれる?優しいミレーヌなら許してくれるよね?」
もう私、こんな婚約者忘れてスッキリ幸せになってもいいですよね?
3/5 1章完結しました。おまけの後、2章になります。
4/4 完結しました。奨励賞受賞ありがとうございました。
1章が書籍になりました。
記憶を失くした彼女の手紙 消えてしまった完璧な令嬢と、王子の遅すぎた後悔の話
甘糖むい
恋愛
婚約者であるシェルニア公爵令嬢が記憶喪失となった。
王子はひっそりと喜んだ。これで愛するクロエ男爵令嬢と堂々と結婚できると。
その時、王子の元に一通の手紙が届いた。
そこに書かれていたのは3つの願いと1つの真実。
王子は絶望感に苛まれ後悔をする。
【完結】忘れてください
仲 奈華 (nakanaka)
恋愛
愛していた。
貴方はそうでないと知りながら、私は貴方だけを愛していた。
夫の恋人に子供ができたと教えられても、私は貴方との未来を信じていたのに。
貴方から離婚届を渡されて、私の心は粉々に砕け散った。
もういいの。
私は貴方を解放する覚悟を決めた。
貴方が気づいていない小さな鼓動を守りながら、ここを離れます。
私の事は忘れてください。
※6月26日初回完結
7月12日2回目完結しました。
お読みいただきありがとうございます。
私が死んで満足ですか?
マチバリ
恋愛
王太子に婚約破棄を告げられた伯爵令嬢ロロナが死んだ。
ある者は面倒な婚約破棄の手続きをせずに済んだと安堵し、ある者はずっと欲しかった物が手に入ると喜んだ。
全てが上手くおさまると思っていた彼らだったが、ロロナの死が与えた影響はあまりに大きかった。
書籍化にともない本編を引き下げいたしました

【完結】「心に決めた人がいる」と旦那様は言った
ゴールデンフィッシュメダル
恋愛
「俺にはずっと心に決めた人がいる。俺が貴方を愛することはない。貴女はその人を迎え入れることさえ許してくれればそれで良いのです。」
そう言われて愛のない結婚をしたスーザン。
彼女にはかつて愛した人との思い出があった・・・
産業革命後のイギリスをモデルにした架空の国が舞台です。貴族制度など独自の設定があります。
----
初めて書いた小説で初めての投稿で沢山の方に読んでいただき驚いています。
終わり方が納得できない!という方が多かったのでエピローグを追加します。
お読みいただきありがとうございます。


【完結】生贄になった婚約者と間に合わなかった王子
ゴールデンフィッシュメダル
恋愛
フィーは第二王子レイフの婚約者である。
しかし、仲が良かったのも今は昔。
レイフはフィーとのお茶会をすっぽかすようになり、夜会にエスコートしてくれたのはデビューの時だけだった。
いつしか、レイフはフィーに嫌われていると噂がながれるようになった。
それでも、フィーは信じていた。
レイフは魔法の研究に熱心なだけだと。
しかし、ある夜会で研究室の同僚をエスコートしている姿を見てこころが折れてしまう。
そして、フィーは国守樹の乙女になることを決意する。
国守樹の乙女、それは樹に喰らわれる生贄だった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる