政治家の嫁は秘書様

鏡野ゆう

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新人秘書の嫁取り物語

新人秘書の嫁取り物語 第六話

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「はー、やれやれ、やっと退院できるよ……」

 嫌々過ごしていた入院生活も今日で最後。病院に来た時にはまだ梅雨空が広がっていたのに、この二週間で梅雨明けしたらしく、今じゃ病院の外は夏真っ盛りでセミの大合唱。事務所の近くにある公園の大きな木でも、耳鳴りがするぐらい賑やかに鳴いているらしい。

「やっと家のベッドで一緒に寝られるな」

 一緒に朝ご飯を食べていた幸太郎先生が、嬉しそうに笑う。

「なによ、ずっとここで寝泊まりしていたくせに」
「でも、まったく家と同じってわけにはいかなかったろ?」
「そう? 私は全然変わらなかったように思うけど」

 病院側が、和室に整形外科の先生お勧めの超寝心地の良いお布団を用意してくれたのに、それを使わないで私の寝ているベッドに潜り込んできたり、私を和室のお布団に引っ張り込んだりしたのは、一体どこの誰ですか?って話。特別室だからって、先生ってば本当に自由にしすぎで、看護師さんと顔を合わせることが多い私としては、色々と居た堪れない毎日だったんだけど、腹立たしいことに目の前の国会議員様は、そんなことまったく意に介していないのよね。

「でも、夕飯の時に晩酌するのは我慢した」

 少し偉そうな感じで言ったところを見ると、もしかして褒めて欲しいのかな? だけど褒めてあげない。だってそうじゃない、ここに入院してなきゃいけなかったことに関しては、私はまだ納得できないでいるんですからね。

「病院なんだもの当然でしょ? いくら戦略的入院(竹野内さん命名)だからって、病室に缶ビールを持ち込むなんて有り得ないじゃない。そのゴミを杉下さんや小日向さんに、処分してもらうわけにはいかないでしょ? だから当然です、威張って言えることじゃないの」

 私がキッパリ言うと、目の前の国会議員様はシュンとなって、耳がペタリと垂れたワンコ状態になってしまった。だめだめ、そんな顔したって駄目なものは駄目なの!

「冷たいな、さーちゃん」
「私のことを、ここに押し込めた先生達が悪い」
「そうか……」
「そうなの」
「なるほどね。つまりは、戦略的入院を考えた竹野内達が悪いってことだよな。あいつ等のせいで、俺がさーちゃんに冷たくされているわけか」

 なにを言い出すかと思ったら、またトンでも理論を持ち出してきた。この件は先生だって一枚噛んでいるんでしょ? どうして竹野内さん達だけのせいになっちゃうのよ!

「ちょっと……」
「なにかペナルティを考えないとなあ……」

 ちょっと待って。なんでそんな斜め上な方向に話が進むの? もしかして私が褒めなかったせいで、三人ともとんでもない目に合わされちゃう?

「もう幸太郎先生ってばムチャクチャすぎ!」
「だったら、さーちゃんがしなきゃいけないことはわかってるよな?」

 悪戯いたずらっぽい目でこちらを見つめてくる。まったくもう……。だけどこういう時の屁理屈が笑えないのは、先生が本当に竹野内さん達になにか仕掛けちゃう可能性が高いことなのよね。そりゃ、普段はどっちが偉いんだか分からない状態の四人だけど、本気を出したら当然のことながら、幸太郎先生が圧倒的に行使できる権力をもっているわけで。

「……もう、しかたないなあ。はいはい、二週間も晩酌を我慢して偉かったです。今晩はご褒美に、お義母さんの御実家から送ってもらった、美味しい冷酒を用意しておいてあげる」

 そのお酒は、先生がとても気に入っている銘柄の一つ。日本酒が苦手な私にはわからないんだけど、燗でも冷酒でも凄く美味しいらしい。だけど先生はそれだけでは不満だったらしく、顔をちょっとだけしかめた。

「気持ちがまったくこもってないよ、さーちゃん。そんなんじゃ納得できない」
「納得できないって……そんなこと言われても困る」
「あーあ、三人がいなくなったら俺、これからどうするかなあ……あ、アメリカにいる倉島も含めると四人かあ」

 幸太郎先生、冗談でも笑えないよ……。

「わかったから! ご褒美は先生の好きなものにしてあげるから、そういう怖いことは言わないの!」
「約束だからな?」
「わかってるよ。ちゃんと食べたいもの決まったら連絡してよね」
「昼までにはちゃんとメールでリクエストを送っておくよ。四つな」
「四つ?!」

 一つだけの御褒美だと思っていたら、なんと四つとか……。

「だってそうだろ? 杉下、竹野内、影山、そして倉島。俺の秘書は四人なんだから、それぞれについて一つずつってことで。……異議あり?」
「ちょっと。倉島さんは今回のことに関係ないじゃない。いくらなんでも数に含めるのには無理がある」
「倉島、今度の盆に帰国する予定なんだけど、無事にアメリカに戻れるかなあ……」

 め、目が悪徳政治家だ!!

「もう、わかりました! 四つね、だったらできるだけ早く知らせてよね! こっちにだって用意する都合があるんだから」

 溜め息まじりに同意すると、先生が楽しそうに笑った。もう、絶対に私を困らせて喜んでるよね?

「じゃあまずは影山の分ってことで、一つリクエストしても良いかな?」
「ここで?」
「うん」
「……エッチなこと以外なら」

 私の返事に先生がプッと噴き出した。そうやって笑うけど、普段からの幸太郎先生の行動を見ていると、それしか浮かばないんだもの、しかたないじゃない。

「大丈夫だよ、簡単なことだから」

 この一つはねって付け加えるところがイヤらしいのよね! なんでこう政治家っていう人種は、いちいち言葉遣いがイヤらしいんだろう、ほんとにムカつくんだから!

「俺のこと、いい加減に先生付けで呼ぶのはやめること。これが一つ目のリクエスト」
「先生って呼んだら駄目なの?」
「さーちゃんは俺の奥さんだろ? そりゃ秘書の時は先生付けでかまわなかったけど、そろそろね」
「んー、じゃあ幸太郎さんって呼ぶことにする」
「……」

 先生、もとい幸太郎さんが困ったような顔をした。あれ、気に入らない?

「ダメなの?」
「いや。そうやって改めて呼ばれると、やっぱり破壊力が半端ないと思ってさ。仕事に行かないで、さーちゃんとずっとベッドですごしたい気分になってきた」
「……ちゃんとお仕事してください」

 税金ですよ税金。

「わかってる。頑張って今日も働きますよ」

 私の心の中の声が聞こえたのか、先生は少しだけ残念そうに笑った。

「ところで、話は変わって小日向さんのことなんだけどさ。この後も、さーちゃん専属の運転手及び秘書的な感じで、いてもらおうってと考えているんだけどどうかな?」
「私の?」

 突然の言葉に首をかしげる。

「再来年の夏には選挙だからね。本格的に動き出したら杉下達はフル稼働状態で、さーちゃんのことまで手が回らなくなるし、さーちゃん自身も忙しくなるから、絶対にそういう助けが必要になると思うよ」

 言われてみれば、最近は秘書のお仕事よりも、幸太郎さんの奥さんとして招かれることが増えてきていた。たまにこっちに残っている影山さんに、送り迎えをお願いすることもあって、内心では申し訳ないなとは思ってたんだよね。それでも、今までは専属の誰かを付けてもらうほど忙しいってこともなかったから、そんなこと考えもしなかった。だけど、選挙を経験している先生がそう言うんだったら、そうなのかな。

「でも、警視庁の人にそんなことさせて良いの? ほら、雑誌とかで書かれたら、色々と問題にならない?」
「小日向さんが公務員ではなく、民間の人なら問題ないだろ?」
「それってどういうこと?」
「つまり、辞職してうちに再就職ってやつ」
「え、でも小日向さんはそれで納得してるの? それに先生の秘書っていうならともかく、私のでしょ? そんなにしてもらうお仕事、ある?」

 変な話、今のままのほうが、お給料は良いんじゃないの?って思うんだけどな。ほら、やっぱり公務員って安定しているし? そりゃ、国費で支払われる公設秘書のお給料ほどではないにしろ、私設秘書にだってそれなりのお給料は支払われていたけど……。

「本人もね、環境を変えて働きたい気持ちがあるって言っていたし、一応は了解済みではあるんだ。ただ、さーちゃんが了承してくれたらって、条件付きなんだけどさ」
「そうなんだ」

 小日向さんが来て二週間足らずなのに、いつの間にかそんな話になっていたのね。知らないのは私ばかりってやつ? これでも私設秘書なんだけど、なんだか微妙な気分になっちゃうな。最近は秘書っていうより、幸太郎さんの奥さんの割合が大きくなってきたせいか、事務所でのことでも、蚊帳の外に出されちゃうことが多い気がするんだけど。

「奥様が嫌がっているのに、無理やり話を進めるのは信頼関係を築くうえで好ましくありませんって、きっぱり言われたから」

 なんだかその光景が目に浮かぶよう。小日向さんって、杉下さんや幸太郎さんに対してもはっきりと物申す感じで、すっごく男前なんだよね。彼女がいてくれたら、色々な意味で心強いかな。

「そうなると私、もう幸太郎さんの秘書じゃなくなるってこと?」
「可哀想だけどそうなるね。そこはきちんとしておかないと色々と言われるから。小日向さんがさーちゃん担当になったと同時に、さーちゃんは俺の私設秘書から外れることになる」
「そうなの……」

 まあ、幸太郎さんと結婚する前からそういう話は出ていたし、いずれは辞めなきゃいけないとは思っていたけど、なかなかできない経験がいっぱいできて楽しかったから、正直言って残念だなとは思う。だけど大事なのは幸太郎さんのお仕事だし、私は奥さんとしてそれを支えていく立場だものね。秘書としての仕事より、奥さんとしての仕事が大事なのは当然のことだ。

「じゃあ、それ以後の私の職場は、事務所じゃなくて自宅になるって考えれば良い?」
「そうだね。表にさーちゃん専用の部屋も用意するよ。そのうち、いろんな団体の役員とかそういう話も来るだろうし」
「あ、それは水元先生の奥様から聞いてる。話が来たら、きちんと調べてから引き受けなきゃ駄目よって」

 首相夫人である奥様も、スポーツ振興財団とか福祉関係の団体の理事をしていて、とても忙しいって話を聞いたことがある。私は結婚したばかりだし、まだ若いからそういう話はそれほど来てないけど、幸太郎さんが偉くなるのと比例して、そう言う話が増えていくだろうってことだった。

「それの調査も、小日向さんに頼めば良いと思う。彼女の持っている情報ルートは確かだから」

 警察官だものね、そういう怪しい団体のことならきちりと把握してそう。もし、そういうお話が来たらお願いしよう。

「でも小日向さん、本当に辞めちゃって良いのかな? せっかく首相夫人の警護までするキャリアを積んだのに、もったいないよね」
「最初は俺も、警視庁に戻ると思っていたからそのつもりでいたんだが、本人から辞めるつもりだという話を聞かされてね。その後のことはまだなにも考えていないってことだったから、じゃあ家で働いてみないかって話になったんだ」

 それで私が了承してくれたらって最初の話に戻るのね、なるほど。

「誰かに頼むとしたら、私も小日向さんでお願いしたいかな」
「じゃあ決まりだな。退職手続きが完了するまでしばらくかかると思うから、それまでは今まで通りで」
「オッケー」
「それで、だ。実のところ、このことでは折り入って頼みたいことがあるんだ」

 そう言うと、先生は小日向さんの新居のことについて話し始めた。小日向さん、今は都心のマンションで暮らしているらしいんだけど、退職してうちで働くなら、もう少し事務所に近い場所に引っ越そうと考えているらしい。その物件探しのお手伝いを、私に頼めないかって話みたい。不動産屋さんに関しては、黒猫のマスターさんのお知り合いにお願いするので変な物件はないだろうけど、念のために、一人より二人で見に行ったほうが確かだろうってのが、幸太郎さんの意見。

「わかった。そのへんは小日向さんと話し合って日程を決めるね。いつ頃までに引っ越しを完了したら良いとか、そういうのある?」
「こっちは特にないから急いで決めなくても良いよ。退職するまでは小日向さんもそっちの処理で忙しいから、さーちゃんが合わせてやってくれ」
「うん、そうする」

 私の返事に幸太郎さんは満足げにうなづくと、お茶を飲み干して時計を見た。そるとピッタリのタイミングでドアがノックされ、杉下さんと小日向さんがやってきた。ほんと、こういうタイミングの良さってある種の才能よね。
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