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帝国海軍の猫大佐 裏話
一般公開に行くよ! in 帝国海軍の猫大佐 15
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帝国海軍の猫大佐の裏話的エピソードです
+++++
「あとはコロッケだけだねー。ねえ、かず君。お腹が大丈夫なら、揚げたてを一個食べちゃおうか? 試食も必要だよね?」
「いいねー!!」
私の提案に、おちびさんがニカッと笑った。買ったものでふくらんだレジ袋をぶら下げながら、二人で商店街に向かう。そろそろ夕飯のしたくの時間。そのせいもあって、お買い物に出てきている人がたくさんいる。そんな中、行きかう人達の中に、見たことのある服装をした集団を見つけた。
「あ、海自の人だよ、かず君」
「ほんとだー!」
「知ってる人いるかなー?」
「パパのおふねの人いるー?」
「どうだろー」
見た感じ、入隊してまだ一年か二年ぐらいの若い子達で、キャッキャウフフ状態で歩いている。本人達が気にするから言わないようにしてるけど、いかにも船乗りさんという感じのセーラーと帽子がすごくかわいい。その集団は、商店街にある地方銀行のATМがあるコーナーへと入っていった。
「んー? ああ、そっか。今日はお給料日だね」
今日は待ちに待った給料日。そりゃあ、キャッキャウフフになるよね。みんなで飲みにでも行くのかな。無駄遣いしないようにねーと心の中で呼びかけた。
「ママー、コロッケあった!」
その先にあるお肉屋さん。揚げたてのコロッケを、フライヤーから引き上げているところだった。お客さんが増えてくる時間帯のせいもあって、トレーには揚げたてのコロッケが山積みになっている。
「揚げたて食べるの、アツアツだよ、かず君。かなりアツいと思うけど、大丈夫?」
「たぶんー」
たっぷりのラードで揚げたコロッケはおいしいよね。特に揚げたては。お店の前にはベンチもあるし、座って食べれば大丈夫かな?
「すみませーん、ポテトコロッケ四個と、メンチカツが四個、お肉のチーズ巻きが四個、それからー」
アメリカンドッグもある!とついついそれも三個買ってしまった。
「買いすぎかな? ま、いいよね、あまったら次の日に食べればいいし。あ、それとは別に、ポテトコロッケ、二個。それはここで食べますー」
「はーい、ちょっと待ってね。……はい、これ、食べる分。熱いから気をつけてー」
おじさんは紙袋に一つずつ入れて、食べる分を先に渡してくれた。お礼を言ってから、おちびさんをベンチに座らせる。バッグの中からハンドタオルを出して、コロッケの入った紙袋をさらに上から包んだ。
「かず君、熱いから、しっかりフーフーして食べてね」
「はーい! あちっ!」
「だからフーフーて言ったやん? しっかりフーフーだよ」
「ふーーーーっ」
先に山積みになっていたところにあったものだから、それでもまだ冷めているほうなんだけど、それでもお子様には熱すぎたみたい。私もフーフーしろといった手前、用心深くフーフーしながらかじった。
「うまー」
「おいしいー」
おじさんが私達の様子を見ながらニコニコしている。自慢じゃないけど私達、おいしいものを食べた時、すごく良い笑顔になるらしい。それって客寄せパンダにはもってこいだと思うんだよね。私達が食べている間も、高校生ぐらいの子達が一個ずつ買って、食べながら歩いていった。
「うまそー」
「くーいーたーいー」
そしてATМコーナーから出てきた海自君達が、こっちを見て呟くのが聞こえた。揚げたてを見たら、つい買い食いしたくなるよね。でも今は制服を着てるから難しいかな? ちょっと恨めし気な視線を感じつつ、私達はコロッケをたいらげた。そして頼んでおいた商品を受け取り、お金を払う。
「パパには内緒ね?」
「ないしょだね!!」
アイスクリームのこともあるから、ゆっくりはしていられない。もうちょっとお店をのぞきたい気持ちはあったけど、今日はまっすぐ帰ることにした。
「大丈夫だと思うけどさ、たこ焼き器、壊れてたらどうしようね?」
「だいじけん!」
「うん、すっごい大事件になる。駅前の電気屋さんに、買いに走らなきゃいけなくなるね」
私がたこ焼きパーティーをすると言った時、修ちゃんは何も言わなかった。ってことは、問題なく使えると判断しても良いよね? ちょっと心配だから、帰ったらすぐに試してみよう。
「あ、それとかず君。今日のプチトマト、ぜんぶヘタがついてたやん? ヘタとるのとレタスをむくの、かず君に任せて良い?」
「いいよー!!」
「じゃあ、お願いしますね」
「はーい!」
あ、そうそう。なんで我が家でたこ焼きを作る時は「たこ焼きパーティー」って言うかというと、実は中に入れるタコが、タコじゃないものが多いから。
もちろんタコもあるんだけど、かず君用にウィンナーやチーズを入れることが多いのだ。で、意外とこれが好評なものだから、最近はどんどんタコ率が下がってきている。そのうち、タコなしのたこ焼きパーティーになるかも。
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「あとはコロッケだけだねー。ねえ、かず君。お腹が大丈夫なら、揚げたてを一個食べちゃおうか? 試食も必要だよね?」
「いいねー!!」
私の提案に、おちびさんがニカッと笑った。買ったものでふくらんだレジ袋をぶら下げながら、二人で商店街に向かう。そろそろ夕飯のしたくの時間。そのせいもあって、お買い物に出てきている人がたくさんいる。そんな中、行きかう人達の中に、見たことのある服装をした集団を見つけた。
「あ、海自の人だよ、かず君」
「ほんとだー!」
「知ってる人いるかなー?」
「パパのおふねの人いるー?」
「どうだろー」
見た感じ、入隊してまだ一年か二年ぐらいの若い子達で、キャッキャウフフ状態で歩いている。本人達が気にするから言わないようにしてるけど、いかにも船乗りさんという感じのセーラーと帽子がすごくかわいい。その集団は、商店街にある地方銀行のATМがあるコーナーへと入っていった。
「んー? ああ、そっか。今日はお給料日だね」
今日は待ちに待った給料日。そりゃあ、キャッキャウフフになるよね。みんなで飲みにでも行くのかな。無駄遣いしないようにねーと心の中で呼びかけた。
「ママー、コロッケあった!」
その先にあるお肉屋さん。揚げたてのコロッケを、フライヤーから引き上げているところだった。お客さんが増えてくる時間帯のせいもあって、トレーには揚げたてのコロッケが山積みになっている。
「揚げたて食べるの、アツアツだよ、かず君。かなりアツいと思うけど、大丈夫?」
「たぶんー」
たっぷりのラードで揚げたコロッケはおいしいよね。特に揚げたては。お店の前にはベンチもあるし、座って食べれば大丈夫かな?
「すみませーん、ポテトコロッケ四個と、メンチカツが四個、お肉のチーズ巻きが四個、それからー」
アメリカンドッグもある!とついついそれも三個買ってしまった。
「買いすぎかな? ま、いいよね、あまったら次の日に食べればいいし。あ、それとは別に、ポテトコロッケ、二個。それはここで食べますー」
「はーい、ちょっと待ってね。……はい、これ、食べる分。熱いから気をつけてー」
おじさんは紙袋に一つずつ入れて、食べる分を先に渡してくれた。お礼を言ってから、おちびさんをベンチに座らせる。バッグの中からハンドタオルを出して、コロッケの入った紙袋をさらに上から包んだ。
「かず君、熱いから、しっかりフーフーして食べてね」
「はーい! あちっ!」
「だからフーフーて言ったやん? しっかりフーフーだよ」
「ふーーーーっ」
先に山積みになっていたところにあったものだから、それでもまだ冷めているほうなんだけど、それでもお子様には熱すぎたみたい。私もフーフーしろといった手前、用心深くフーフーしながらかじった。
「うまー」
「おいしいー」
おじさんが私達の様子を見ながらニコニコしている。自慢じゃないけど私達、おいしいものを食べた時、すごく良い笑顔になるらしい。それって客寄せパンダにはもってこいだと思うんだよね。私達が食べている間も、高校生ぐらいの子達が一個ずつ買って、食べながら歩いていった。
「うまそー」
「くーいーたーいー」
そしてATМコーナーから出てきた海自君達が、こっちを見て呟くのが聞こえた。揚げたてを見たら、つい買い食いしたくなるよね。でも今は制服を着てるから難しいかな? ちょっと恨めし気な視線を感じつつ、私達はコロッケをたいらげた。そして頼んでおいた商品を受け取り、お金を払う。
「パパには内緒ね?」
「ないしょだね!!」
アイスクリームのこともあるから、ゆっくりはしていられない。もうちょっとお店をのぞきたい気持ちはあったけど、今日はまっすぐ帰ることにした。
「大丈夫だと思うけどさ、たこ焼き器、壊れてたらどうしようね?」
「だいじけん!」
「うん、すっごい大事件になる。駅前の電気屋さんに、買いに走らなきゃいけなくなるね」
私がたこ焼きパーティーをすると言った時、修ちゃんは何も言わなかった。ってことは、問題なく使えると判断しても良いよね? ちょっと心配だから、帰ったらすぐに試してみよう。
「あ、それとかず君。今日のプチトマト、ぜんぶヘタがついてたやん? ヘタとるのとレタスをむくの、かず君に任せて良い?」
「いいよー!!」
「じゃあ、お願いしますね」
「はーい!」
あ、そうそう。なんで我が家でたこ焼きを作る時は「たこ焼きパーティー」って言うかというと、実は中に入れるタコが、タコじゃないものが多いから。
もちろんタコもあるんだけど、かず君用にウィンナーやチーズを入れることが多いのだ。で、意外とこれが好評なものだから、最近はどんどんタコ率が下がってきている。そのうち、タコなしのたこ焼きパーティーになるかも。
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