22 / 46
第一部・第二章:出会いと再会は突然に
22
しおりを挟む
結界が俺を拒絶しない理由が見当たらない。
だからといってここで右往左往していても術者が顔を出すかわからないから取り敢えず結界内にいる術者が学園長の言ってた人かどうか確かめなくては。
「うし、行くか!」
どんなに強い結界だろうと範囲は限られてる。だだっ広い学園をひたすら走り回るよりはマシだ。歩いてりゃあいつかは会えるだろう。
そう思い足を動かそうとした。
だが。
「あれ………なんで人がいるんだ?」
よく透き通った声。
それに俺の中の何かが反応する。
――――懐かしい、声。
聞いたことない声のはずなのに、懐かしさがこみ上げてくるこの感覚に不信感を抱く俺だが、すぐにそれを取っ払う。
前方から来る人影。その人影の顔は太陽の光に照らされてよく見えない。
次第に人影の容姿が見えてきた。
黒くてやや長い髪を後ろに束ねた整った容姿の男。
吸い寄せられそうな漆黒の瞳に俺が映っている。
「おいお前、どうしてこの結界の中に入れた?」
「……え、あ……ああ………」
漆黒の瞳に俺を捉えたまま話しかけてきたのに気付き、返事をしたはいいが硬直してしまう。
うわぁ、なんか威圧感っていうのかな?ぶっきらぼうな口調だけど優しい声とか聞いただけでビリってしちゃう。声だけは懐かしい感じがしたけど……どこかで似たような声聞いたんかな。
というか、さっきの質問の答え見つかんないんだけど!
『分かりません』じゃ駄目かな。
だぁってぇ!!そんなん俺が聞きたいくらいだってぇのっっ!!!知らないんだもん俺が結界に引っ掛からなかったの!それだけじゃなく奥ヶ咲の対妖怪用の術に引っ掛かったことも謎が解けてないし!!
なんなの!!?俺ぁどこぞの実は俺不思議なチカラ持ってた系主人公でしたーとかなの!?
いやだもうわかんないっ!!
誰か教えてぇぇぇ!!
俺の謎解いてぇぇぇぇ!!!
「おい、聞いてるか?」
「あ、はい。すいません」
思考の中にダイブしてましたスミマセン。
結論から言うとやっぱり『分かりません』だ。
よし、言うぞー、言うぞー……
「分かりません!」
「ふざけてるのか」
いえいえマジっす。
わぁ睨まれてる睨まれてる!極めて冷ややかな目で静かに睨まれてるよ!!
そりゃ怪しまれるよね!普通結界の内側に入ることなんてないもんね!てか入れないのが当たり前なんだったどうしよう!!
うまい言い訳が思い付かないうちにいつの間にやら俺の目前まで歩いてきて何やら訝しげにじろじろと見てくる黒い長髪に印象的な漆黒の目の彼。
イオリちゃんのときは匂いを嗅がれて今このときは怪しく珍しいものでも見るような目で見られ……って、俺は珍獣扱いかよ。
「……興味深い」
「は?」
「僕が構築した結界は魂宿る個体を全て遮断し、近づかせないというもの。普通の人間も、だ。君の気配は間違いなく人間だ。力のない普通の人間そのもの。それなのに結界の内側に入ってきた。いや、本来は力のある人間でも内側に入るなんて無謀なことはしない。気の波長が合わなければ力の弱い者が怪我を負うし、そうでなくとも結界という名の見えない壁に阻まれて身体を入れることは不可能。なのに君は無傷で結界内に入った。通常、結界の内側に入る=結界そのものを破壊する、なのだがそれをした痕跡はなく結界は僅かな傷もなく健在。実に謎だ。君が特別な人間でもない限りそんなイレギュラーな事態にはならない。真相を追求するために是非君の出生や家族構成やその他諸々を教えてほし………」
「ちょ、待って待って!!」
変なやつに捕まったあぁぁぁ!!!
なんか目ぇギラギラしてるよ!!研究対象を見つけて興奮してる変態化学者並みにギラギラしてるよぉ!!
やだなにこわい!!!!
「ああ、僕の名前は南雲 清流。霊能科1年5組だ。これで知らない人の枠には入らないだろう」
「そういうことを言いたいんじゃない」
他にも言うことあるでしょーが!
だからといってここで右往左往していても術者が顔を出すかわからないから取り敢えず結界内にいる術者が学園長の言ってた人かどうか確かめなくては。
「うし、行くか!」
どんなに強い結界だろうと範囲は限られてる。だだっ広い学園をひたすら走り回るよりはマシだ。歩いてりゃあいつかは会えるだろう。
そう思い足を動かそうとした。
だが。
「あれ………なんで人がいるんだ?」
よく透き通った声。
それに俺の中の何かが反応する。
――――懐かしい、声。
聞いたことない声のはずなのに、懐かしさがこみ上げてくるこの感覚に不信感を抱く俺だが、すぐにそれを取っ払う。
前方から来る人影。その人影の顔は太陽の光に照らされてよく見えない。
次第に人影の容姿が見えてきた。
黒くてやや長い髪を後ろに束ねた整った容姿の男。
吸い寄せられそうな漆黒の瞳に俺が映っている。
「おいお前、どうしてこの結界の中に入れた?」
「……え、あ……ああ………」
漆黒の瞳に俺を捉えたまま話しかけてきたのに気付き、返事をしたはいいが硬直してしまう。
うわぁ、なんか威圧感っていうのかな?ぶっきらぼうな口調だけど優しい声とか聞いただけでビリってしちゃう。声だけは懐かしい感じがしたけど……どこかで似たような声聞いたんかな。
というか、さっきの質問の答え見つかんないんだけど!
『分かりません』じゃ駄目かな。
だぁってぇ!!そんなん俺が聞きたいくらいだってぇのっっ!!!知らないんだもん俺が結界に引っ掛からなかったの!それだけじゃなく奥ヶ咲の対妖怪用の術に引っ掛かったことも謎が解けてないし!!
なんなの!!?俺ぁどこぞの実は俺不思議なチカラ持ってた系主人公でしたーとかなの!?
いやだもうわかんないっ!!
誰か教えてぇぇぇ!!
俺の謎解いてぇぇぇぇ!!!
「おい、聞いてるか?」
「あ、はい。すいません」
思考の中にダイブしてましたスミマセン。
結論から言うとやっぱり『分かりません』だ。
よし、言うぞー、言うぞー……
「分かりません!」
「ふざけてるのか」
いえいえマジっす。
わぁ睨まれてる睨まれてる!極めて冷ややかな目で静かに睨まれてるよ!!
そりゃ怪しまれるよね!普通結界の内側に入ることなんてないもんね!てか入れないのが当たり前なんだったどうしよう!!
うまい言い訳が思い付かないうちにいつの間にやら俺の目前まで歩いてきて何やら訝しげにじろじろと見てくる黒い長髪に印象的な漆黒の目の彼。
イオリちゃんのときは匂いを嗅がれて今このときは怪しく珍しいものでも見るような目で見られ……って、俺は珍獣扱いかよ。
「……興味深い」
「は?」
「僕が構築した結界は魂宿る個体を全て遮断し、近づかせないというもの。普通の人間も、だ。君の気配は間違いなく人間だ。力のない普通の人間そのもの。それなのに結界の内側に入ってきた。いや、本来は力のある人間でも内側に入るなんて無謀なことはしない。気の波長が合わなければ力の弱い者が怪我を負うし、そうでなくとも結界という名の見えない壁に阻まれて身体を入れることは不可能。なのに君は無傷で結界内に入った。通常、結界の内側に入る=結界そのものを破壊する、なのだがそれをした痕跡はなく結界は僅かな傷もなく健在。実に謎だ。君が特別な人間でもない限りそんなイレギュラーな事態にはならない。真相を追求するために是非君の出生や家族構成やその他諸々を教えてほし………」
「ちょ、待って待って!!」
変なやつに捕まったあぁぁぁ!!!
なんか目ぇギラギラしてるよ!!研究対象を見つけて興奮してる変態化学者並みにギラギラしてるよぉ!!
やだなにこわい!!!!
「ああ、僕の名前は南雲 清流。霊能科1年5組だ。これで知らない人の枠には入らないだろう」
「そういうことを言いたいんじゃない」
他にも言うことあるでしょーが!
0
お気に入りに追加
19
あなたにおすすめの小説
【完結】もう…我慢しなくても良いですよね?
アノマロカリス
ファンタジー
マーテルリア・フローレンス公爵令嬢は、幼い頃から自国の第一王子との婚約が決まっていて幼少の頃から厳しい教育を施されていた。
泣き言は許されず、笑みを浮かべる事も許されず、お茶会にすら参加させて貰えずに常に完璧な淑女を求められて教育をされて来た。
16歳の成人の義を過ぎてから王子との婚約発表の場で、事あろうことか王子は聖女に選ばれたという男爵令嬢を連れて来て私との婚約を破棄して、男爵令嬢と婚約する事を選んだ。
マーテルリアの幼少からの血の滲むような努力は、一瞬で崩壊してしまった。
あぁ、今迄の苦労は一体なんの為に…
もう…我慢しなくても良いですよね?
この物語は、「虐げられる生活を曽祖母の秘術でざまぁして差し上げますわ!」の続編です。
前作の登場人物達も多数登場する予定です。
マーテルリアのイラストを変更致しました。
【完結】実はチートの転生者、無能と言われるのに飽きて実力を解放する
エース皇命
ファンタジー
【HOTランキング1位獲得作品!!】
最強スキル『適応』を与えられた転生者ジャック・ストロングは16歳。
戦士になり、王国に潜む悪を倒すためのユピテル英才学園に入学して3ヶ月がたっていた。
目立たないために実力を隠していたジャックだが、学園長から次のテストで成績がよくないと退学だと脅され、ついに実力を解放していく。
ジャックのライバルとなる個性豊かな生徒たち、実力ある先生たちにも注目!!
彼らのハチャメチャ学園生活から目が離せない!!
※小説家になろう、カクヨム、エブリスタでも投稿中
元おっさんの俺、公爵家嫡男に転生~普通にしてるだけなのに、次々と問題が降りかかってくる~
おとら@ 書籍発売中
ファンタジー
アルカディア王国の公爵家嫡男であるアレク(十六歳)はある日突然、前触れもなく前世の記憶を蘇らせる。
どうやら、それまでの自分はグータラ生活を送っていて、ろくでもない評判のようだ。
そんな中、アラフォー社畜だった前世の記憶が蘇り混乱しつつも、今の生活に慣れようとするが……。
その行動は以前とは違く見え、色々と勘違いをされる羽目に。
その結果、様々な女性に迫られることになる。
元婚約者にしてツンデレ王女、専属メイドのお調子者エルフ、決闘を仕掛けてくるクーデレ竜人姫、世話をすることなったドジっ子犬耳娘など……。
「ハーレムは嫌だァァァァ! どうしてこうなった!?」
今日も、そんな彼の悲鳴が響き渡る。
欠損奴隷を治して高値で売りつけよう!破滅フラグしかない悪役奴隷商人は、死にたくないので回復魔法を修行します
月ノ@最強付与術師の成長革命/発売中
ファンタジー
主人公が転生したのは、ゲームに出てくる噛ませ犬の悪役奴隷商人だった!このままだと破滅フラグしかないから、奴隷に反乱されて八つ裂きにされてしまう!
そうだ!子供の今から回復魔法を練習して極めておけば、自分がやられたとき自分で治せるのでは?しかも奴隷にも媚びを売れるから一石二鳥だね!
なんか自分が助かるために奴隷治してるだけで感謝されるんだけどなんで!?
欠損奴隷を安く買って高値で売りつけてたらむしろ感謝されるんだけどどういうことなんだろうか!?
え!?主人公は光の勇者!?あ、俺が先に治癒魔法で回復しておきました!いや、スマン。
※この作品は現実の奴隷制を肯定する意図はありません
なろう日間週間月間1位
カクヨムブクマ14000
カクヨム週間3位
他サイトにも掲載
【完結】家族にサヨナラ。皆様ゴキゲンヨウ。
くま
恋愛
「すまない、アデライトを愛してしまった」
「ソフィア、私の事許してくれるわよね?」
いきなり婚約破棄をする婚約者と、それが当たり前だと言い張る姉。そしてその事を家族は姉達を責めない。
「病弱なアデライトに譲ってあげなさい」と……
私は昔から家族からは二番目扱いをされていた。いや、二番目どころでもなかった。私だって、兄や姉、妹達のように愛されたかった……だけど、いつも優先されるのは他のキョウダイばかり……我慢ばかりの毎日。
「マカロン家の長男であり次期当主のジェイコブをきちんと、敬い立てなさい」
「はい、お父様、お母様」
「長女のアデライトは体が弱いのですよ。ソフィア、貴女がきちんと長女の代わりに動くのですよ」
「……はい」
「妹のアメリーはまだ幼い。お前は我慢しなさい。下の子を面倒見るのは当然なのだから」
「はい、わかりました」
パーティー、私の誕生日、どれも私だけのなんてなかった。親はいつも私以外のキョウダイばかり、
兄も姉や妹ばかり構ってばかり。姉は病弱だからと言い私に八つ当たりするばかり。妹は我儘放題。
誰も私の言葉を聞いてくれない。
誰も私を見てくれない。
そして婚約者だったオスカー様もその一人だ。病弱な姉を守ってあげたいと婚約破棄してすぐに姉と婚約をした。家族は姉を祝福していた。私に一言も…慰めもせず。
ある日、熱にうなされ誰もお見舞いにきてくれなかった時、前世を思い出す。前世の私は家族と仲良くもしており、色々と明るい性格の持ち主さん。
「……なんか、馬鹿みたいだわ!」
もう、我慢もやめよう!家族の前で良い子になるのはもうやめる!
ふるゆわ設定です。
※家族という呪縛から解き放たれ自分自身を見つめ、好きな事を見つけだすソフィアを応援して下さい!
※ざまあ話とか読むのは好きだけど書くとなると難しいので…読者様が望むような結末に納得いかないかもしれません。🙇♀️でも頑張るます。それでもよければ、どうぞ!
追加文
番外編も現在進行中です。こちらはまた別な主人公です。
裏切りの代償
志波 連
恋愛
伯爵令嬢であるキャンディは婚約者ニックの浮気を知り、婚約解消を願い出るが1年間の再教育を施すというニックの父親の言葉に願いを取り下げ、家出を決行した。
家庭教師という職を得て充実した日々を送るキャンディの前に父親が現れた。
連れ帰られ無理やりニックと結婚させられたキャンディだったが、子供もできてこれも人生だと思い直し、ニックの妻として人生を全うしようとする。
しかしある日ニックが浮気をしていることをしり、我慢の限界を迎えたキャンディは、友人の手を借りながら人生を切り開いていくのだった。
他サイトでも掲載しています。
R15を保険で追加しました。
表紙は写真AC様よりダウンロードしました。
道端に落ちてた竜を拾ったら、ウチの家政夫になりました!
椿蛍
ファンタジー
森で染物の仕事をしているアリーチェ十六歳。
なぜか誤解されて魔女呼ばわり。
家はメモリアルの宝庫、思い出を捨てられない私。
(つまり、家は荒れ放題)
そんな私が拾ったのは竜!?
拾った竜は伝説の竜人族で、彼の名前はラウリ。
蟻の卵ほどの謙虚さしかないラウリは私の城(森の家)をゴミ小屋扱い。
せめてゴミ屋敷って言ってくれたらいいのに。
ラウリは私に借金を作り(作らせた)、家政夫となったけど――彼には秘密があった。
※まったり系
※コメディファンタジー
※3日目から1日1回更新12時
※他サイトでも連載してます。
【本編完結】実の家族よりも、そんなに従姉妹(いとこ)が可愛いですか?
のんのこ
恋愛
侯爵令嬢セイラは、両親を亡くした従姉妹(いとこ)であるミレイユと暮らしている。
両親や兄はミレイユばかりを溺愛し、実の家族であるセイラのことは意にも介さない。
そんなセイラを救ってくれたのは兄の友人でもある公爵令息キースだった…
本垢執筆のためのリハビリ作品です(;;)
本垢では『婚約者が同僚の女騎士に〜』とか、『兄が私を愛していると〜』とか、『最愛の勇者が〜』とか書いてます。
ちょっとタイトル曖昧で間違ってるかも?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる