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第一部・第二章:出会いと再会は突然に

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〈爽side〉


 二人とさよならして早数十分。

 もうそろそろ学園について理事長室に行く道に迷ったりしながらも最終的には理事長室につきそこでクラス担任の先生と初対面となる頃だろう時間に俺はまだ森の中にいた。

「どこだここ!?」

 おかしいな。もう着いてもおかしくない筈なんだけどな。

 言われた通り真っ直ぐ向かってんのに何故まだ着かない!?

「人間の近いって距離と神様の近いって距離違うのか?感覚違いすぎるのか?」

 進みながらブツブツ言う。

 だっておかしくねぇ!?いくら進んでも学園らしき建物が見えないんだよ!?クソふざけんな!俺の輝かしい学園生活第1歩どうしてくれんだよ!誰に八つ当たりしてるか分からんけどよ!!

 だが方向転換してさらに道に迷ったりするのは勘弁なのでひたすら前に進む。

 しかしまあよくこんな森の中に降りて来られたな。学園の前とかは駄目だったのか?つぅか、まさかこの森の中にひっそり建ってるとかじゃないよな?道に迷ったらどうすんだ。

 ひたすら歩く俺。どんだけ歩きゃ良いんだよ。

 そういや、白狐が普通科の他に霊能科があるって言ってたけど、どんなとこだろう?霊能……てことは霊能力を持つ人がいる学科かな?分かりやすいし。

 ひたすら歩く俺。やべぇ足痛くなってきた。

 白狐、なんで真剣な表情で霊能科の人と関わるなって言ったんだ?さっぱり分からん。校舎が違うとか言ってたし、会うことはあんまりない気がするけどなぁ。

 ひたすら歩く俺。げっ、なんかちっさい生き物があちこちにくっついてた!虫って生き物かな。神界には神様以外の生き物は存在しないからなぁ。(例外がここにいるが)

 その後もひたっすら、ひたっすら歩きました。もう足がヤバい。筋肉痛を経験することになるな、絶対。

「う……わっ……!」

 足が痺れて感覚がおかしくなってしまったにも関わらず無理に動かしたため、足がよろめいた。

 勢いで前に倒れそうになるが、側に佇む木に手をついて踏ん張った。

「うわぁ、かなり痺れてきたな。人いないし校舎まだ見えてこないし、辿り着けるかな……………!?」

 少し息を切らせて独り言をぼそぼそ言う俺の背後から何か異様な気配をビリっと感じ、瞬時に振り返った。
 が、しかし。そこには一面の緑が広がってるだけで誰もいなかった。

 気のせいだったかな……と思い前を向こうとして首を動かす。

 が、その刹那。


 ビュオォォ!!


 空を切るような音と共に何かが俺のすぐ目の前を俊敏に通り過ぎた。

 ビックリして思わず後ずさる。

「え……何?今の…」

 間抜けな声が静かな森に響く。

 一瞬すぎて何が通ったのか分からなかった。

「まぁいいや。学園はどこですかいなっと……」

 トイレでも我慢してたんかなぁとか呑気に考えてる俺は次に起こる不測の事態に対処できるわけがなかった。

「~~~~!!」

 突如聞こえたのは誰かの叫び声……いや掛け声?意外にもその声はすぐ近くで、声が聞こえたのと同時に目に見えない雷が落ちたような音が辺りに轟いた。肌で感じるそれは俺の知っている力にとてもよく似たもの。霊能力であった。ということはさっきの雷は術か。

 音が聞こえたのはついさっき俺の前を勢い良く通り過ぎた何かが向かっていった方向だった。

 術を放ったということは近くに妖怪がいるということを示す。危ないな、妖怪に逢ったらどうしよう。太刀打ちできないよ俺じゃあ。

「大地の恵みよ、それを束縛せよ。草縛陣そうばくじん!」

 またもや術が放たれたようだ。しかもさっきよりかなり近い。

 巻き込まれないように退散しようとした瞬間、俺の足下からうねうねと草が這ってきて身体を拘束した。

 えっっ!?俺に向けて放ったの!?

 何故!?

「よし、かかったな」

 術を放った人物がガサガサとこちらに迫る。

 視界には術を放った相手がそう言いながら近づいてくるのが見えた。やがて声の主の顔が俺の目前にきていた。

「……?何故人間が術にかかったんだ?」

 その声はかなり低めで、髪色は金髪で、おまけにピアスとかじゃらじゃら着けてて、目付きはごっつ鋭くて、瞳は真っ赤な血の色で、制服はあちこちに傷がついており、返り血を浴びたかのような跡があり、左手には護符が握りしめられており、腰には刀が携えられており…………

 …………ヤンキー通り越したやんちゃな道を歩んでるその筋の人かな………って、白目向いて思っちゃった。

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