8 / 46
第一部・第一章:神様の命令はゼッタイ!
8
しおりを挟む
かなり長時間白狐を拘束してしまった。
ひたすら撫で繰りまわしてお腹に顔埋めたりしてすべすべの滑らかな触感を肌で味わった。
これが人型だったらと考えると鳥肌が立つ上に吐き気に襲われるのだが、野郎の狐でもあの感触は幸せな気分になってしまう。
というか結局あの発言に対してのなんらかの言葉はなく、今俺は心の中で両手と両膝を地面についてガックリしている状態だ。
すげーな。白狐がいた数分前はあんなに満足したような清々しい顔をしてたのに今は顔面蒼白だ。人って、気持ちが変わるのって一瞬だよね。
「うぁぁ……聞きそびれたよ……」
俺は神界を追い出されるのかどうか、まだハッキリとは分からないけどちゃんと聞いておきたかった。
だって、明日から学園で三年間過ごすんだぞ?
只でさえぼっちのスタートで心細いってのにそれを機に神界からさあ出て行けって言われたら俺泣くよ、間違いなく。
「神界から追い出されたら、もう神様達には会えないのかなぁ」
やばい、想像しただけで涙がでそうなくらい寂しくなってきた。
この話もー止め!!自分が勝手にしだしたけどもう止めよう!
そうだよ楽しい話をしよう。今は俺1人だけだから独り言になっちゃうけど構わん。なにか楽しい話楽しい話……楽しい、楽しい………
「そうおぉぉ……黙って1発殴らせろやコルァァァ……!」
「ぎゃぁぁぁぁ!!!亡霊みたいに登場すんなよ嵐武様!!」
凄まじい殺気を感じ振りかえってみると何故かあちこちに焼け焦げた痕がある亡霊……いや、神様こと嵐武様がいた。
めっちゃぼろぼろなんだけど。
大丈夫かな?
というかこの焼け焦げた痕、多分白狐の罠だな。間違いないわ。
ってことは嵐武様、また仕事抜け出したのか。
なんで俺のまわりには仕事放棄する駄目神様ばかりいるのだろう。
「誰が亡霊だ。殴らせろ」
「あだだだっ!すでに殴ってる!痛い!!」
何もしてないのに殴られるとか!
皆さーん!ここに虐待する神様がいますよー!!
「くっそ白狐のヤロウ、また一段とすげえ罠張りやがって。俺じゃなけりゃ塵になってたぞ。おかげで仕事するしかなかったじゃねぇか!頑張って抜けたけど」
只の八つ当たりかよ!!
結局抜け出したのかよ!!
そこで頑張るなよっ!!
「凄いな白狐、一応元高位神様の嵐武様にこれだけの傷をつけるなんて」
「妖怪として見ればアレは化け物だ」
その化け物に仕掛けられた罠に打ち勝って見事仕事を放棄したのはどこの誰だよ。
「嵐武様」
「「うわぁぁっ!?」」
突如背後から現れた狐型の亡霊…いや人型の狐こと白狐。
いいいいつの間にそこに!?
「あの罠でも仕事を放棄できましたか。強度が足りませんね。次からはもっと強力な罠にします。そうじゃないとまたこのひとは仕事を抜け出しかねませんからね」
「お前これで何回目だ!また俺の部屋焦げ焦げになっただろーが!あとアレ以上強力なのは止めろよ?俺の部屋だけでなく屋敷ごと吹っ飛ぶから」
「嵐武様次第です。嵐武様が仕事をサボらないなら今後一切そのようなことはしません。逆に言えば、またサボるのなら段々強度を上げていきます」
「よし、もうサボらない。誓おう」
「そんなあっさり口にする誓いの言葉は信用できませんね」
「主を信じねぇってかクソ狐!!」
「仕事に関しては信用の『し』の字もありません」
賑わってるなぁ。俺だけぽつんとなってるわ。寂しいじゃんか、もう。
でも、こんな当たり前な風景が明日から見れなくなるなんて……それこそ寂しいや。
焔の戦神様と雷の戦神様が争うのも、この日常を手放すのも、神様達にはもう会えなくなるかもしれないことも、全部嫌だ。
こんなの、俺の我が儘でしかないけど。
ひたすら撫で繰りまわしてお腹に顔埋めたりしてすべすべの滑らかな触感を肌で味わった。
これが人型だったらと考えると鳥肌が立つ上に吐き気に襲われるのだが、野郎の狐でもあの感触は幸せな気分になってしまう。
というか結局あの発言に対してのなんらかの言葉はなく、今俺は心の中で両手と両膝を地面についてガックリしている状態だ。
すげーな。白狐がいた数分前はあんなに満足したような清々しい顔をしてたのに今は顔面蒼白だ。人って、気持ちが変わるのって一瞬だよね。
「うぁぁ……聞きそびれたよ……」
俺は神界を追い出されるのかどうか、まだハッキリとは分からないけどちゃんと聞いておきたかった。
だって、明日から学園で三年間過ごすんだぞ?
只でさえぼっちのスタートで心細いってのにそれを機に神界からさあ出て行けって言われたら俺泣くよ、間違いなく。
「神界から追い出されたら、もう神様達には会えないのかなぁ」
やばい、想像しただけで涙がでそうなくらい寂しくなってきた。
この話もー止め!!自分が勝手にしだしたけどもう止めよう!
そうだよ楽しい話をしよう。今は俺1人だけだから独り言になっちゃうけど構わん。なにか楽しい話楽しい話……楽しい、楽しい………
「そうおぉぉ……黙って1発殴らせろやコルァァァ……!」
「ぎゃぁぁぁぁ!!!亡霊みたいに登場すんなよ嵐武様!!」
凄まじい殺気を感じ振りかえってみると何故かあちこちに焼け焦げた痕がある亡霊……いや、神様こと嵐武様がいた。
めっちゃぼろぼろなんだけど。
大丈夫かな?
というかこの焼け焦げた痕、多分白狐の罠だな。間違いないわ。
ってことは嵐武様、また仕事抜け出したのか。
なんで俺のまわりには仕事放棄する駄目神様ばかりいるのだろう。
「誰が亡霊だ。殴らせろ」
「あだだだっ!すでに殴ってる!痛い!!」
何もしてないのに殴られるとか!
皆さーん!ここに虐待する神様がいますよー!!
「くっそ白狐のヤロウ、また一段とすげえ罠張りやがって。俺じゃなけりゃ塵になってたぞ。おかげで仕事するしかなかったじゃねぇか!頑張って抜けたけど」
只の八つ当たりかよ!!
結局抜け出したのかよ!!
そこで頑張るなよっ!!
「凄いな白狐、一応元高位神様の嵐武様にこれだけの傷をつけるなんて」
「妖怪として見ればアレは化け物だ」
その化け物に仕掛けられた罠に打ち勝って見事仕事を放棄したのはどこの誰だよ。
「嵐武様」
「「うわぁぁっ!?」」
突如背後から現れた狐型の亡霊…いや人型の狐こと白狐。
いいいいつの間にそこに!?
「あの罠でも仕事を放棄できましたか。強度が足りませんね。次からはもっと強力な罠にします。そうじゃないとまたこのひとは仕事を抜け出しかねませんからね」
「お前これで何回目だ!また俺の部屋焦げ焦げになっただろーが!あとアレ以上強力なのは止めろよ?俺の部屋だけでなく屋敷ごと吹っ飛ぶから」
「嵐武様次第です。嵐武様が仕事をサボらないなら今後一切そのようなことはしません。逆に言えば、またサボるのなら段々強度を上げていきます」
「よし、もうサボらない。誓おう」
「そんなあっさり口にする誓いの言葉は信用できませんね」
「主を信じねぇってかクソ狐!!」
「仕事に関しては信用の『し』の字もありません」
賑わってるなぁ。俺だけぽつんとなってるわ。寂しいじゃんか、もう。
でも、こんな当たり前な風景が明日から見れなくなるなんて……それこそ寂しいや。
焔の戦神様と雷の戦神様が争うのも、この日常を手放すのも、神様達にはもう会えなくなるかもしれないことも、全部嫌だ。
こんなの、俺の我が儘でしかないけど。
0
お気に入りに追加
19
あなたにおすすめの小説
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
元おっさんの俺、公爵家嫡男に転生~普通にしてるだけなのに、次々と問題が降りかかってくる~
おとら@ 書籍発売中
ファンタジー
アルカディア王国の公爵家嫡男であるアレク(十六歳)はある日突然、前触れもなく前世の記憶を蘇らせる。
どうやら、それまでの自分はグータラ生活を送っていて、ろくでもない評判のようだ。
そんな中、アラフォー社畜だった前世の記憶が蘇り混乱しつつも、今の生活に慣れようとするが……。
その行動は以前とは違く見え、色々と勘違いをされる羽目に。
その結果、様々な女性に迫られることになる。
元婚約者にしてツンデレ王女、専属メイドのお調子者エルフ、決闘を仕掛けてくるクーデレ竜人姫、世話をすることなったドジっ子犬耳娘など……。
「ハーレムは嫌だァァァァ! どうしてこうなった!?」
今日も、そんな彼の悲鳴が響き渡る。
婚約破棄からの断罪カウンター
F.conoe
ファンタジー
冤罪押しつけられたから、それなら、と実現してあげた悪役令嬢。
理論ではなく力押しのカウンター攻撃
効果は抜群か…?
(すでに違う婚約破棄ものも投稿していますが、はじめてなんとか書き上げた婚約破棄ものです)
戦国陰陽師〜自称・安倍晴明の子孫は、第六天魔王のお家の食客になることにしました〜
水城真以
ファンタジー
自称・安倍晴明の子孫、明晴。ある日美濃に立ち寄った明晴がいつもの通りに陰陽術で荒稼ぎしていたら、岐阜城主・織田信長に目を付けられてしまう。城に連れて行かれた明晴は、ある予言を当ててしまったことから織田家の食客になることに!?
「俺はただ、緩くのんびり生きられたらいいだけなのにーー!!」
果たして自称・安倍晴明の子孫の運命やいかに?!
【完結】家族にサヨナラ。皆様ゴキゲンヨウ。
くま
恋愛
「すまない、アデライトを愛してしまった」
「ソフィア、私の事許してくれるわよね?」
いきなり婚約破棄をする婚約者と、それが当たり前だと言い張る姉。そしてその事を家族は姉達を責めない。
「病弱なアデライトに譲ってあげなさい」と……
私は昔から家族からは二番目扱いをされていた。いや、二番目どころでもなかった。私だって、兄や姉、妹達のように愛されたかった……だけど、いつも優先されるのは他のキョウダイばかり……我慢ばかりの毎日。
「マカロン家の長男であり次期当主のジェイコブをきちんと、敬い立てなさい」
「はい、お父様、お母様」
「長女のアデライトは体が弱いのですよ。ソフィア、貴女がきちんと長女の代わりに動くのですよ」
「……はい」
「妹のアメリーはまだ幼い。お前は我慢しなさい。下の子を面倒見るのは当然なのだから」
「はい、わかりました」
パーティー、私の誕生日、どれも私だけのなんてなかった。親はいつも私以外のキョウダイばかり、
兄も姉や妹ばかり構ってばかり。姉は病弱だからと言い私に八つ当たりするばかり。妹は我儘放題。
誰も私の言葉を聞いてくれない。
誰も私を見てくれない。
そして婚約者だったオスカー様もその一人だ。病弱な姉を守ってあげたいと婚約破棄してすぐに姉と婚約をした。家族は姉を祝福していた。私に一言も…慰めもせず。
ある日、熱にうなされ誰もお見舞いにきてくれなかった時、前世を思い出す。前世の私は家族と仲良くもしており、色々と明るい性格の持ち主さん。
「……なんか、馬鹿みたいだわ!」
もう、我慢もやめよう!家族の前で良い子になるのはもうやめる!
ふるゆわ設定です。
※家族という呪縛から解き放たれ自分自身を見つめ、好きな事を見つけだすソフィアを応援して下さい!
※ざまあ話とか読むのは好きだけど書くとなると難しいので…読者様が望むような結末に納得いかないかもしれません。🙇♀️でも頑張るます。それでもよければ、どうぞ!
追加文
番外編も現在進行中です。こちらはまた別な主人公です。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
異能力と妖と
彩茸
ファンタジー
妖、そして異能力と呼ばれるものが存在する世界。多くの妖は悪事を働き、異能力を持つ一部の人間・・・異能力者は妖を退治する。
そんな異能力者の集う学園に、一人の少年が入学した。少年の名は・・・山霧 静也。
※スマホの方は文字サイズ小の縦書き、PCの方は文字サイズ中の横書きでの閲覧をお勧め致します
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
高慢な王族なんてごめんです! 自分の道は自分で切り開きますからお気遣いなく。
柊
恋愛
よくある断罪に「婚約でしたら、一週間程前にそちらの有責で破棄されている筈ですが……」と返した公爵令嬢ヴィクトワール・シエル。
婚約者「だった」シレンス国の第一王子であるアルベール・コルニアックは困惑するが……。
※小説家になろう、カクヨム、pixivにも同じものを投稿しております。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
ここは貴方の国ではありませんよ
水姫
ファンタジー
傲慢な王子は自分の置かれている状況も理解出来ませんでした。
厄介ごとが多いですね。
裏を司る一族は見極めてから調整に働くようです。…まぁ、手遅れでしたけど。
※過去に投稿したモノを手直し後再度投稿しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる