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9. これが常識……常識?うん常識。

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 山が消え、更地となった場所を唖然と見つめる弟妹達。
 だがそれもほんの数秒のこと。

「わぁーー!!すごいすごーーい!!」

「にいにすごぉーい!」

「どうやったの!?ねぇ今のどうやったのー!?」

 結界を解いた途端に鼻息荒く興奮しながら俺に詰め寄ってきた。

「落ち着けお前達。今のは魔力をそのまま山にぶつけただけだ。指向性を持たせて対象物に当てるだけの簡単なものさ」

 さっくり分かりやすく説明すると何故か怪訝そうな顔つきになる小びな軍団。

「簡単……?」

「当てるだけ……??」

「えっと、兄さん。山を消すのは簡単じゃないよ……?」

 妹7号の呟きに近い発言に俺も首を傾げた。
 何を言ってるんだこの子は。

「山なんて吹くだけで飛ぶ柔なもんじゃないか」

 前世で魔法の師に魔力の衝撃波を教わったときに最低でも山を吹っ飛ばさないと話にならないと言われたくらい当たり前のことだ。

 そんなことも知らないのか?
 まぁこいつらはまだ生まれて2年と少ししか経ってないし、常識を知らないのも無理からぬことか。

 安心しろ。兄ちゃんがきっちり常識を教えてやるからな。

 ますます怪訝そうな顔をする弟妹達に常識とは何たるかをつらつら説明しつつ、手始めに魔力の衝撃波で木を両断させた。
 最初は魔力の出し方や指向性の持たせ方が分からず上手く放てなかったが皆飲み込みが早いようで、日が暮れる頃には全員が木を両断できていた。

 幸い、全員が魔力量がそこそこ多い。
 魔力の血栓がある者は元々の魔力量が多いのだ。何らかの原因でその魔力に蓋がされているだけで。
 だからバンバン魔力の衝撃波を放ってもすぐには魔力がなくならない。

 そのおかげもあってか、弟妹達の成長は著しかった。兄ちゃんは嬉しい。天使の成長は目に入れても痛くない。

「にいにー!明日も魔法教えてー!」

「ああ、もちろんだ」

「あ、明日こそ山を粉砕してみせる……!」

「まずは岩を粉砕するところからな」


 その日から弟妹達の訓練ちょうじんかが始まった。

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