地下牢にて

オーブンピッツァ

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第四夜

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 あの一件の翌日、メイドと共にお嬢様がいつもどおりに食事を運んできた。
 だが、運ばれた食料がその、なんというか、すごい。

 やけに赤い液体の入ったグラスに、名状しがたい臭いのするスープ、やけに旨そうな薫りを放つステーキ。
 それらを丁寧にメイドが口に運んでくれる。

 だが、スープは臭い同様味も独特で非常に不味い。
 グラスに入ったそれはどうやら何かの生き血だったらしく、アルコールと鉄錆の風味が口の中に充満する。
 その二品によって味覚と嗅覚が破壊された状態で食わされたステーキは柔らかいがどこかぬめりを感じる物だった。

 それらを食い切ったことを確認すると、メイドが離れ、お嬢様が俺の前にしゃがみ込み、俺をじっと見つめる。

 何が楽しいのか、何を思っているのか、特に何をするでもなく、只々じっと緋色の瞳にとらわれる。
 そうしているうちに、変化が起こった。

 体が熱い。
 全身を血が駆け巡る。
 そして、一点に集っていく。

 じわっと汗が滲み、息が少し上がる。

 毒をもられたと思いたいところだが、これは、どちらかと言えば精力剤とかそういう物じゃないだろうか。
 陰茎の付け根からむずむずと、いらつくような感覚が生まれる。

 その変化に満足したのだろう、おもむろに伸ばされたお嬢様の手が痛いほどに膨張した肉棒をやさしく包み込む。
 しゅっしゅっと優しく手が上下に動かされ、射精感が高まる。
 先端から溢れたぬめりのある透明な汁が潤滑油となり更なる快楽が生まれていく。

 荒くなる呼吸に合わせて手淫の速度も上がり、あと一歩、ひと押しで高みに到達するというタイミングでぱっと手を離される。

 何故、という感情と同時に今回の嗜好が何となく理解できた。
 寸止め地獄というやつだろう。

 昂りが落ち着き始めたあたりで再び行われる繊細な手淫。
 ぬちゃぬちゃと粘度の高い水音と呻き声混じりの呼吸が地下室に木霊する。

 再び絶頂目前で止められる。

 繰り返される寸止めに仰け反り、少しでも可能性を得ようと暴れる腰。
 嗜虐の炎を宿した瞳のお嬢様が愉快そうにくすくすと笑いながら行う地獄はいつ終りを迎えるのだろうか?

 この日は結局飽きるまで寸止めを続けられ、最後に鍵付きの下着をメイドが装着させ、お嬢様が鍵を掛けて終りを迎える。
 ああ、これはアレだ、貞操帯という奴だ。
 鉄製のそれは隙間こそあって尿の排出は出来そうだが半勃ちもしない間に窮屈になるだろう。

 装着の際にストロベリーブロンドのメイドが浮かべたどこか悔しそうな表情がやけに印象的だった。

 二人が去った後も身体に残る熱とあれだけされて一度も射精を許されなかった状況に不服を訴えんと立ち上がろうとする息子も鉄の拘束を破ることなど叶わず、むしろその窮屈さから与えられる痛みに萎えていく。


 翌日、また二人でこの地下牢に訪れ、与えられる食事もまた昨日と同じような品の数々。

 それらを食べ終われば、お嬢様が貞操帯の鍵を外し、今日は背後から責めが始まる。

 足をハの字に開かされ、背中から抱きつくように陣取るお嬢様。
 ヒールを脱ぎ捨て、反り立った逸物をガータストッキングに包まれた足で挟み込む。
 メイドがそこに香油を垂らしたところで、ゆっくりと足で扱かれはじめる。
 ぬるぬると滑りが良くなりながらも生地の細やかなザラつきがちょうどいい刺激を生み出す。

 巧みな足コキに意識を奪われていると、肩にお嬢様が顎を乗せ、両手が左右それぞれの乳首を触れるか触れないかの位置でくるくるとイタズラに責め立てる。

 形が崩れるのも厭わず目一杯背中に押し付けられた乳房の柔らかさと、三点から与えられる快楽信号にどんどん呼吸が激しくなっていく。

 手淫とはまた違う、巧みでありながらもどこかぎこちなさを孕む足技に徐々に徐々に追い詰められる。
 しかしやはり絶頂は許されず、寸前で陰茎への責めが止められ、乳首だけを爪で弾かれ、指で潰され、興奮だけが加速する。

 射精欲求が落ち着き始めた頃に再開される足コキ。
 彼女自身この状況に興奮しているのだろうか、耳元で行われる呼吸も荒くなっていた。

 急に耳に与えられるザラッとしつつぬめりのある感触。
 ぐりゅぐりゅと隅々まで彼女の舌に蹂躙され、同時に熱い吐息が唾液で濡れた耳を温める。

 耳の責めも加わり四点同時の快楽攻撃に思考回路が麻痺してしまう。

 うわ言のように出させてと懇願するも、言葉が通じない以上無意味な音でしかない。
 いや、そもそも、彼女にその意志がない以上、無意味なのだ。

 この日もやはり射精を許されることはなく理性を焼き切る寸止めの繰り返しで終りを迎えた。




 あれから何日経ったのかはわからない。
 一度メイドによる髭剃りがあったから十日近く経っているのあろう。

 髭を剃られたとき、メイドはやけに丁寧に俺の顔をマッサージしてみたりしていた。
 まるで自分が責に加われなかった鬱憤を晴らすかのように。

 今日に至るまで一度も射精は許されていない。
 メイドも一度も責に参加せず、ずっとお嬢様が俺を弄び続けていた。

 押し倒されての乳首を舐め手コキや、尿を飲まされ、掛けられての体液プレイ。
 終わりの見えない射精管理に常に俺の息子は微勃ち状態で、貞操帯の拘束の苦しさに耐える羽目になっている。

 与えられる食事も変わらず精力増強のものばかりといった感じだ。

 いつになったら開放されるのか、そんなことを思っていると、耳慣れた二つの足音が聞こえてきた。

 やはりメニューは強烈な品々。
 全てを食い切ると、貞操帯が外され、小さなベルトとピンク色の液体の入った小瓶を持ったお嬢様が俺を押し倒す。

 竿の根本をキュッと握られながら、膣の入口付近で先端を擦られる。
 ぷちゅぷちゅとぬめる割れ目の生暖かさと肉の圧迫が硬く反り立つペニスを襲う。

 普段ならそこまででもない刺激だが、今この状況においてはそれだけで爆ぜてしまいそうな程の快楽になる。
 震え暴れる肉棒と俺の反応に満足したのか、小さなベルトをギュッと根本に結びつけて、一気に蜜壺へ飲み込む。
 狭く柔らかな、それでいてギュッと締め付けてくる肉の壁を一気にかき分け、熱く蕩けた場所に包み込まれた。
 一瞬で与えられた快楽に視界が白黒に点滅する。

 ベルトを引きちぎらんと今まで以上の膨張をしようとする利かん坊。
 だが、ベルトがちぎれる様子はなく、痛いほどに暴れるだけ。

 カランと空の器が転がるような音が聞こえると同時に、首にかかる圧迫。
 気道を圧迫され、呼吸がままならない。

 先程の根本まで一気に飲み込む挿入行為に吐き出された酸素が多すぎた。

 苦しい、酸素を求め、打ち上げられた魚のようにぱくぱくと口が開閉をくりかえす。
 意識が遠のき始める。

 ぱっと圧迫が無くなり、呼吸が楽になる。
 一気に空気を吸い込み咳き込みながらも必死に酸素を身体に取り込む。

 やってくれたなとここのところ鳴りを潜めていた反骨心がその鎌首をもたげる。
 精一杯の抵抗を視線に込めにらみつけると、恍惚の笑みを湛えたお嬢様が迫ってきた。

 そのまま口を塞がれ、なにか液体を流し込まれ、舌が侵入し、俺の舌が絡め取られる。
 吐き出すことは許されず、送り込まれる液体をなんとか飲み込む。

 唇が離され、間に架かる唾液の橋。
 とろんととろけた表情、上気した頬、普段の冷たくサディスティックなものからは想像もできない愛らしさを、不覚にも感じてしまった。
 否、普段の勝ち気な美しさ確かに残っているのだ、だがそれ以上にとろけて愛おしそうに柔らかさを含む表情がギャップを生み出し、愛らしいと思ってしまったんだ。

 再び彼女の顔が近づき、唇を優しく奪われる。
 同時に腰を激しく打ち付け、肉をかき分けながら擦り上げる強烈な快楽で俺を支配していく。

 だが、根本に巻き付いた戒めが最後の一線を超えさせてくれない。
 
 絡み合う舌、熱くとろけた蜜壺に与えられる至上の快楽。
 唇を塞ぎ合うことで漏れるくぐもった嬌声が頭の中で響き、際限なく上昇する昂りが思考を破壊していく。

 ブチッと何かがちぎれる音が聞こえた。
 同時に強烈な開放感が生まれる。

 ビクンビクンとこれまで溜まり溜まったものを吐き出す。
 それに対し、彼女は嬉しそうに目を細め、頭を愛おしそうに撫でる。

 ひとしきり膣内に出し終えたところで、彼女は唇を離し、背後を見る。
 つられて視線を送ると、ストロベリーブロンドのメイドが目を潤ませ、ぷぅっとむくれていた。

 凛とした普段の姿からすれば随分と可愛らしい表情だ。
 今日は知らないものをよく見れる。


 挿入したままお嬢様はグリンっと後ろを向き、俺の足を握って再び腰を振り始める。
 髪を乱しながら行われる上下運動。
 遠慮なしに地下牢に木霊する甲高い悲鳴にも似た声。
 下半身にのみ掛けられる彼女の重みと髪の間から見えるキレイな背中が次なる高みへと俺を駆り立てる。

 二度目の絶頂。
 一度つまらせ、漏れ出るように吐き出される声と共にビクビクと痙攣を繰り返す膣が彼女の絶頂を言外に示す。

 メイドは今にも泣き出しそうな表情で恨みがましくこちらをジトッと見つめている。


 まだ整わない呼吸のまま、お嬢様が楽しげに何かをメイドに伝えると、ぱぁっと表情が明るくなり、こちらに足早に近づく。
 再びお嬢様が繋がったままこちらに向き直り、その刺激に甘くイッてしまう。

 メイドとお嬢様が何か言葉を交わした後、メイドの唇が俺の唇を塞ぐ。
 口内を蹂躙する舌に意識を持っていかれていると、お嬢様が再び腰を動かし始める。

 ぱちゅんぱちゅんと水音を孕んだ肉のぶつかり合う音と、くちゅくちゅと頭の中に響くキスの音。
 身体がまた熱くなっていく。

 不意にメイドの口づけが終了し、今度は彼女の恥丘が口を塞ぐ。
 お嬢様との行為を視ながら自分を慰めていたのか、ただただ興奮してしまったのか、ぐちょぐちょに濡れたそこを、あの時のように優しく愛撫する。

 二つの艶色の悲鳴、粘性を孕んだ水音、肉を打ち付ける音色が地下牢を満たしていく。
 音と匂いで脳を犯され、肉棒に直接与えられる快楽に三度目の絶頂を迎える。


 最後の一滴まで吸い付くし、お嬢様の膣内から開放された。
 だが、これで終わりではない。

 お嬢様が今度は顔に跨り、メイドの蜜壺へ案内される。
 ふんわりと包み込まれるような挿入感から、ゆっくりと優しく形に沿って締め付ける感覚。

 先ほどとはまた違った快楽が包み込む。

 自身の精液とお嬢様の愛液の混じり合った生臭くしょっぱい秘部を舐めながら、頂に緩やかに誘われる。

 お嬢様は吸い付くように少し激しく舐められるのが好きなようで、それを求めて頭をぎゅっと掴みながら腰を押し付ける。
 メイドの腰の動きは緩やかだが一回一回を味わうようにねっとりとした動きで、緩やかなのに確実に俺を追い詰めていく。

 ピッタリとくっついた肉のひだが腰を引き抜けばズルズルと凶悪な刺激を与え、腰を落とせば再び優しくピッタリと包み込む。
 緩やかで優しい動きとは裏腹な凶悪な快楽は優しく理性を溶かしていく。

 四度目、五度目の絶頂をたやすく迎えてしまう。

 だが、メイドは自分が満足行くまで腰を止める気がないようで、何度も何度も味わうように腰を打ち付けられる。

 股ぐらは精液と愛液でどろどろに濡れていやらしい橋を何度も形成しては崩れた橋が肌を濡らす。
 激しく声を上げるお嬢様と、ピストンに合わせてゆったりとこらえるような声を漏らすメイド。
 相反する二つの喘ぎ声、みちみちとより粘性を孕んだ水音にまた性欲が刺激される。

 一際大きい声を漏らし、ガクガクと俺の腰を左右から挟む足が震える。
 怒張を包み込む肉壷の締め付けがぎゅぅっと強くなり、小刻み振動し、もう一度大きく腰を振られた。

 メイドに乗られてから最大の快楽に襲われ、六度目の絶頂に至る。
 先程までの優しい締め付けとは違い、ぐっと閉じた肉壁でつぶつぶと一気に扱かれ急激な刺激の変化に一瞬にして搾り取られた。
 引き抜く際にもう一度絶頂に導かれ、七度の射精。

 だが、これで終わりではなかった。

 二人が満足するまで、代わる代わる何度も何度も彼女たちの中に精を吐き出すことになる。
 今まで食べさせられた食材や、お嬢様に飲まされた液体の影響だろう。
 痛いほどに射精を繰り返しても治まる様子がないし、精液がとめどなく生成されている。

 意識を失うまで犯され、再び快楽で意識を取り戻し、再び意識を奪われる。

 何度もそれを繰り返し、ついに二人が満足したのだろう。

 二人が左右に立って、腰を軽く突き出しす。

 シャァーっと少し熱いくらいの水が全身に浴びせられる。
 栗の花のような独特な匂いに、女性フェロモンの匂いに、アンモニア臭が加わり、強烈な性を実感させる匂いが地下牢を包み込む。

 二人はやけにツヤツヤした様子で、しかしながら少しばかり疲れたような足取りで地下牢から去っていく。
 完全に姿が見えなくなり、ドアの閉まる音とともにせっせと水まんじゅうたちが周囲の掃除を始めるのを視界の隅に捉えながら、疲労感のままに目を閉じた。
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