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おまけ
クリスマス 紫音と明弘 1
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『……本郷さんって、カッコ良かったなぁ……』
広いリビングのソファーの上で膝を抱えながら、明弘は一緒にクリスマスパーティーをした、本郷の事を思い出していた。
『大人、だったよなぁ……10歳以上上だから、当たり前か。でも、なんか余裕あって、シャンパンとかワインのコルク開けるのも様になってて、この部屋、俺より本郷さんの方が似合ってるよな』
違いすぎて、悔しくも思わなかった。
『俺も10年経ったら、ああなれるのかなぁ……』
そんな事を考え、ふと、今の自分の格好を見てハッとする。
『こんな体育座りしてるのって! 子供じゃん!』
足を下ろし、ちょっと考え、深く座り直して足を組んでみた。
『うん、この方が大人っぽい』
けれど、すぐソワソワし、膝を抱えたくなる。
『……しーちゃん、早くお風呂から出てこないかなー。明日休みだし、クリスマスだから今日はイチャイチャできるよね。……本郷さんに教えてもらったように、できるかなぁ……』
酔った勢いもあって、誰にも言えなかった事を相談してしまった。
『俺……胸吸う事できないんですけど……子供っぽいって思われそうで……』
触る事はできる。それに胸の上の方にキスをするとか、キスマークを付けるとか、そういう事もできる。でも、胸の先端を、口に含む事ができない。
『……たぶん、一度もしてない』
最初の頃は頭に血が上ってしまい、何をしたかはっきりしない部分もあるが。
『俺が覚えてないんだから、してないって事と一緒だよな。一度、子供っぽく思われる? なんで思っちゃったら、すごく気になってしまってできなくなっちゃったけど……したいよなぁ……』
その事を言ったら、本郷には『そんなの気にするな』と言われた。『まあ、どうしても気になるんなら、いやらしく触って吸えばいいんだよ。アッキーは子供じゃなく、立派な大人なんだから』とも。
『できるかな、俺……。本郷さんは『別にそんな事思われてないと思う』って言ってくれたけど……やっぱり、幼くて頼りなく感じるんじゃないかなぁ。このマンションだって買ってもらったものだし、光熱費も全部父さんが払ってくれてるし、食費はもらい物と、それ以外はほとんどしーちゃんが出してくれてるし……学生だから、しょうがないっていえばそうだけど……』
そんな事を考えていると、
「お風呂あがりました~」
そう言いながら、紫音がリビングにやってきた。
クリスマスプレゼントとして、明弘の父がよこしたペアのガウンを羽織っている。
「あ、それ着たんだ」
「うん、肌触りいいし、暖かいよ~」
「じゃあ俺も、着てみようかな」
明弘も風呂に入ってパジャマ姿だ。これからちょっと二人で飲み直そうと話していたので、せっかくだからお揃いの格好で……と思い、ふと、違和感を覚える。
「あ、れ……しーちゃん、もしかしてガウンの下、何も……」
ガウンの襟元、そして裾から見えるのは、パジャマではなくて素肌だ。
思わず立ち上がった明弘に、紫音は慌てたように首を振った。
「違う違う、ちゃんと着てる、というか……その……あのね? 実はネネさんに、クリスマスプレゼントもらって……」
もじもじしながら、紫音は明弘を見た。
「ほら、シャンパンをあげたじゃない、またいっぱいもらったから」
「うん」
「そしたらネネさんが、そのお返しにって……その……これを……」
ガウンの紐を解き、そっと前を開いた紫音に、明弘は釘付けになった。
「な……にそれ! 可愛い!」
「そ、そうだよね、可愛いよね! ほら、クリスマスだから、こういうのけっこう売ってるのよ。で、せっかくもらったから、着るなら今日かなって……」
「えっ? 今日だけじゃなくて、いつでも着ていいんじゃない?」
明弘は、瞬きも忘れて紫音の首から下を見ながら、真剣な顔でそう言った。
広いリビングのソファーの上で膝を抱えながら、明弘は一緒にクリスマスパーティーをした、本郷の事を思い出していた。
『大人、だったよなぁ……10歳以上上だから、当たり前か。でも、なんか余裕あって、シャンパンとかワインのコルク開けるのも様になってて、この部屋、俺より本郷さんの方が似合ってるよな』
違いすぎて、悔しくも思わなかった。
『俺も10年経ったら、ああなれるのかなぁ……』
そんな事を考え、ふと、今の自分の格好を見てハッとする。
『こんな体育座りしてるのって! 子供じゃん!』
足を下ろし、ちょっと考え、深く座り直して足を組んでみた。
『うん、この方が大人っぽい』
けれど、すぐソワソワし、膝を抱えたくなる。
『……しーちゃん、早くお風呂から出てこないかなー。明日休みだし、クリスマスだから今日はイチャイチャできるよね。……本郷さんに教えてもらったように、できるかなぁ……』
酔った勢いもあって、誰にも言えなかった事を相談してしまった。
『俺……胸吸う事できないんですけど……子供っぽいって思われそうで……』
触る事はできる。それに胸の上の方にキスをするとか、キスマークを付けるとか、そういう事もできる。でも、胸の先端を、口に含む事ができない。
『……たぶん、一度もしてない』
最初の頃は頭に血が上ってしまい、何をしたかはっきりしない部分もあるが。
『俺が覚えてないんだから、してないって事と一緒だよな。一度、子供っぽく思われる? なんで思っちゃったら、すごく気になってしまってできなくなっちゃったけど……したいよなぁ……』
その事を言ったら、本郷には『そんなの気にするな』と言われた。『まあ、どうしても気になるんなら、いやらしく触って吸えばいいんだよ。アッキーは子供じゃなく、立派な大人なんだから』とも。
『できるかな、俺……。本郷さんは『別にそんな事思われてないと思う』って言ってくれたけど……やっぱり、幼くて頼りなく感じるんじゃないかなぁ。このマンションだって買ってもらったものだし、光熱費も全部父さんが払ってくれてるし、食費はもらい物と、それ以外はほとんどしーちゃんが出してくれてるし……学生だから、しょうがないっていえばそうだけど……』
そんな事を考えていると、
「お風呂あがりました~」
そう言いながら、紫音がリビングにやってきた。
クリスマスプレゼントとして、明弘の父がよこしたペアのガウンを羽織っている。
「あ、それ着たんだ」
「うん、肌触りいいし、暖かいよ~」
「じゃあ俺も、着てみようかな」
明弘も風呂に入ってパジャマ姿だ。これからちょっと二人で飲み直そうと話していたので、せっかくだからお揃いの格好で……と思い、ふと、違和感を覚える。
「あ、れ……しーちゃん、もしかしてガウンの下、何も……」
ガウンの襟元、そして裾から見えるのは、パジャマではなくて素肌だ。
思わず立ち上がった明弘に、紫音は慌てたように首を振った。
「違う違う、ちゃんと着てる、というか……その……あのね? 実はネネさんに、クリスマスプレゼントもらって……」
もじもじしながら、紫音は明弘を見た。
「ほら、シャンパンをあげたじゃない、またいっぱいもらったから」
「うん」
「そしたらネネさんが、そのお返しにって……その……これを……」
ガウンの紐を解き、そっと前を開いた紫音に、明弘は釘付けになった。
「な……にそれ! 可愛い!」
「そ、そうだよね、可愛いよね! ほら、クリスマスだから、こういうのけっこう売ってるのよ。で、せっかくもらったから、着るなら今日かなって……」
「えっ? 今日だけじゃなくて、いつでも着ていいんじゃない?」
明弘は、瞬きも忘れて紫音の首から下を見ながら、真剣な顔でそう言った。
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