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おまけ 後日談
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「じゃあつまり、第三騎士団は無くなって、イーサン様はワーズウイングの伯爵からブリュワール公国の侯爵になって、レイヴン領の他に嘆きの森なんかも管理するという事ですか」
城内の次兄の執務室から戻り、今度は第三騎士団の治療師長室で、一番に話さなければならない大切な恋人に報告をするイーサンの顔色は、若干悪い。
「まあ、そういう事だな……」
「はあ……そうですか……」
微妙な顔をするウィリアムに、イーサンは「いや、まだ決まったわけじゃないぞ!」と言う。
「断ってもいいんだ。だから、まずはウィリアムに相談をしようと思ってだな」
「レイヴン領だけならいいのですが、嘆きの森もですか……せっかくドリーに毒を排除してもらったのに……」
「そう、だよな……」
「正直私は心配です」
「ああ」
「ですが、断る事ができるのですか? ヴァレンタイン家にとって何か、不都合な事とかは」
「ワイアット兄さんは気にするなと言っていた」
「それは、影響があるけれども気にしなくていい、という意味なのでは」
「まぁ……そうだろうな」
「じゃあ」
「いやでも、俺達の人生だ。これまでどれだけ苦労し、貢献してきたか! 俺は爵位なんて返上してもいいと思ってるんだ」
「ですが……他の団員達はどうすなるのでしょう」
「あー……それは、希望を聞いてだな……第二に行くか、辞めるか、」
「イーサン様に付いていくか、ですね?」
「んんん……まあ、そうだな」
渋い表情で頷くイーサンに、ウィリアムは苦笑しながら言った。
「それではもう、決まったようなものじゃないですか。団員達の為にも断れないでしょう?」
「いや、そんな事は」
「ありますよ、そんな事。イーサン様が心を決めるのであれば、もちろん私は一緒に行きます」
「…………すまん、ウィリアム。感謝する」
「いいんですよ。そういう貴方に、私も救われたのですから」
ウィリアムはにっこりと微笑み、イーサンもホッとしたように表情を緩めた。そして、
「て、事は、第三騎士団は辞めるわけだし、田舎に引っ越すわけだし、約束は履行されるって事でいい」
「わけないでしょう」
イーサンの主張をバッサリと切り捨てるウィリアム。
「イーサン様が第三騎士団を辞めたら様付けではなく、もっと砕けた話し方をすると約束していましたが、危険な事を辞めるわけではないのですから今回の事はあてはまりませんよ。イーサン様を様無しで呼ぶ事は一生無いし、話し方もこのままと確定ですね」
「オイそりゃないだろう~」
「情けない声を出さないで下さい。それよりも、重要人物達に打診をしなければ! 今日、お屋敷に伺ってもいいですか?」
「そりゃあもちろん。じゃあ、早速連絡をして、夕食はお前の好きな物を出すようにと」
「いいえ、結構です。私は今そちらの邸宅に滞在中の夫妻に用があるだけです。それに、貴方のところの料理人は腕がいいので、何でも美味しいですから」
「いや、お前はそれでいいだろうが、俺が怒られるんだよ、ウィルが行くときは事前に連絡しておかないと……って、ああそういや、屋敷の使用人達もどうするか聞かないといけないのか。あー、こりゃあ忙しくなるぞ」
「そうですね。移動はいつ頃になるのでしょう?」
「多分、来年の春とか?」
「それは……本当に忙しくなりますね。団員達にはいつ?」
「来週公式な発表があるからその後な。その前に、どうしても連れて行きたい人物には個人的に交渉して良いとは言われている」
「それは良かった。では、終業後に」
「おお、じゃあな」
約束を交わし、イーサンは治療師長室を出て行った。
城内の次兄の執務室から戻り、今度は第三騎士団の治療師長室で、一番に話さなければならない大切な恋人に報告をするイーサンの顔色は、若干悪い。
「まあ、そういう事だな……」
「はあ……そうですか……」
微妙な顔をするウィリアムに、イーサンは「いや、まだ決まったわけじゃないぞ!」と言う。
「断ってもいいんだ。だから、まずはウィリアムに相談をしようと思ってだな」
「レイヴン領だけならいいのですが、嘆きの森もですか……せっかくドリーに毒を排除してもらったのに……」
「そう、だよな……」
「正直私は心配です」
「ああ」
「ですが、断る事ができるのですか? ヴァレンタイン家にとって何か、不都合な事とかは」
「ワイアット兄さんは気にするなと言っていた」
「それは、影響があるけれども気にしなくていい、という意味なのでは」
「まぁ……そうだろうな」
「じゃあ」
「いやでも、俺達の人生だ。これまでどれだけ苦労し、貢献してきたか! 俺は爵位なんて返上してもいいと思ってるんだ」
「ですが……他の団員達はどうすなるのでしょう」
「あー……それは、希望を聞いてだな……第二に行くか、辞めるか、」
「イーサン様に付いていくか、ですね?」
「んんん……まあ、そうだな」
渋い表情で頷くイーサンに、ウィリアムは苦笑しながら言った。
「それではもう、決まったようなものじゃないですか。団員達の為にも断れないでしょう?」
「いや、そんな事は」
「ありますよ、そんな事。イーサン様が心を決めるのであれば、もちろん私は一緒に行きます」
「…………すまん、ウィリアム。感謝する」
「いいんですよ。そういう貴方に、私も救われたのですから」
ウィリアムはにっこりと微笑み、イーサンもホッとしたように表情を緩めた。そして、
「て、事は、第三騎士団は辞めるわけだし、田舎に引っ越すわけだし、約束は履行されるって事でいい」
「わけないでしょう」
イーサンの主張をバッサリと切り捨てるウィリアム。
「イーサン様が第三騎士団を辞めたら様付けではなく、もっと砕けた話し方をすると約束していましたが、危険な事を辞めるわけではないのですから今回の事はあてはまりませんよ。イーサン様を様無しで呼ぶ事は一生無いし、話し方もこのままと確定ですね」
「オイそりゃないだろう~」
「情けない声を出さないで下さい。それよりも、重要人物達に打診をしなければ! 今日、お屋敷に伺ってもいいですか?」
「そりゃあもちろん。じゃあ、早速連絡をして、夕食はお前の好きな物を出すようにと」
「いいえ、結構です。私は今そちらの邸宅に滞在中の夫妻に用があるだけです。それに、貴方のところの料理人は腕がいいので、何でも美味しいですから」
「いや、お前はそれでいいだろうが、俺が怒られるんだよ、ウィルが行くときは事前に連絡しておかないと……って、ああそういや、屋敷の使用人達もどうするか聞かないといけないのか。あー、こりゃあ忙しくなるぞ」
「そうですね。移動はいつ頃になるのでしょう?」
「多分、来年の春とか?」
「それは……本当に忙しくなりますね。団員達にはいつ?」
「来週公式な発表があるからその後な。その前に、どうしても連れて行きたい人物には個人的に交渉して良いとは言われている」
「それは良かった。では、終業後に」
「おお、じゃあな」
約束を交わし、イーサンは治療師長室を出て行った。
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