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おまけ 金の毛並みの子犬は 青狼騎士様に愛されたい
三人目のメンバー
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ドンドンドンドン!
激しく扉を叩く音に、ユージーンは読んでいた魔術書から顔を上げた。
「ユージーン! 俺! ノア!」
その声に、ハァとため息をつく。
(……ようやく帰って来た。そりゃあ、プレゼントを探すと言っていたし、時間がかかるだろうという事は予想していた。が、もう少し早く帰ると思っていたのに)
少々不機嫌にユージーンは立ち上がり、扉を開けた。
「ノア、随分と遅かっ」
「ユージーン大変!」
扉が開くなりすぐに部屋の中に飛び込んでくるノア。後ろ手に扉を閉め、ピタリとくっつき小声で言った。
「レイモンド様とジョシュア、ちゅーしかしてないって!」
「……は?」
身体をくっつけて見上げてくるノアが可愛い。しかしようやく帰ってきたのに、レイモンドとジョシュアの話? そもそも……、
「ちゅー、とは?」
混乱しながら尋ねるユージーンだった。
「……つまり、レイモンド達が未だに口づけしてしていないから、どうにかしてやりたいと」
「いや、どうにかするってほどじゃないけど、なんかこう、手助けできる事があればなぁって程度なんだけど……」
並んでベッドに腰掛け、ノアの話を聞く。
ノアは「大変大変! そうだとは思わなかった!」と興奮して話すが、ユージーンにとっては心底どうでもいい事だ。
「あの二人にはあの二人の進度があるのだろう。他人があれこれ言ったり心配するのは違うと思うが?」
「そりゃそうなんだけど……でもジョシュアが、自分に原因があるんじゃないかって落ち込んでるんだよ。それにさ、二人が何もしてないのには俺達にも責任があって」
「私達に?」
「うん。あの二人が付き合う事になった時、俺達ちょうど寝込んでいたんだよ。それで、俺達の事を心配してなんもしなかったらしくて」
「それは……我々は関係ないだろう。その時に何もなくても、その後時間はあったのだから」
「でもさぁ、一度タイミングがずれちゃうとその後うまくいかない事ってあるじゃない。それに俺達とは違ってなかなか休みが合わないみたいだし。そうだ! 貴重な一緒の休み、一日俺達の為に使わせちゃったよね。ホラ! ジョシュアに謝罪するって言って、四人で食事したじゃん」
「あー……しかし……いや、そうだな」
(三日ある休みのうちの一日だけだし数時間だった……そう言ってもノアは納得しなさそうだな)
シュンとしているノアの頭を撫でると、肩に頭を乗せてよりかかってきた。
「ノアは、ジョシュアが心配なのだな」
「心配っていうか……可哀想じゃん。キスしかしてもらえないのは自分のせいだって落ち込んでさ、俺の事、凄いって言うんだよ? 俺のようにできたらレイモンド様にシてもらえるんじゃないかって。そんなの違うのに。俺が何かしなくても、ユージーンがしてくれるじゃん、色々と」
「いろいろ?」
「うん、色々。好きだと言ってくれて、キスして、抱きしめてくれる。俺を抱く為にいろんな用意をしてくれて、面倒がらずに準備してくれた」
「あたり前の事だろう! 面倒などと思うはずがない」
厳しい表情でそう言われ、ノアは嬉しくなってユージーンに抱きついた。
「俺、ユージーンに愛されてるって毎日何回も思うんだ。それはすごく幸せな事だけど、俺にとってあたり前の事だったんだよね。だからさ、それがあたり前じゃなくて不安になっているジョシュアが可哀想で……。俺は、レイモンド様はちゃんとジョシュアの事愛してるって思うけど、俺がそう言ってもジョシュアには響かない。やっぱ本人が言って、行動で示してくれないと」
「そうだな……間違いなくレイモンドはジョシュアを愛しているが……表現はできていないかもな」
「うん……だからさ、ちょっと何かできないかなって……」
「……わかった、私も何かできないか考えてみよう」
「ありがとう、ユージーン!」
抱きついていた腕に力を込めると、ユージーンもギュッとノアを抱きしめ、そして、顔を覗き込むようにして口づけをした。
「……はぁ……」
唇が離れ、ふにゃり、となったノアが独り言のように囁く。
「ユージーンで良かった……キスしかしてもらえなかったら、凄く不安になってたと思う。あんなに可愛いジョシュアでも自信が持てないくらいだから、俺なんて」
「ノア! 私はノアが可愛くてしょうがないと、何度言ったらいいのだ?」
「んっ……ごめ、ん……」
うなじを撫でられ、首筋に唇を押し当てられ、その優しくて気持ちの良い口づけにうっとりとしていたノアだったが、
「あっ! ちょっ……ちょっと待ってそういえば!」
重要な事を思い出し、ユージーンの胸を押して身体を離した。
「あのっ! キスマークついてたらしいんだけど! 今日ジョシュアに言われた」
「それはずっと前の事だろう? 今は気をつけている」
「それが、けっこう最近らしくって……腕とか足の内側についてたって」
「わかった。これからは内側もしっかり、痕がついていないか見るようにしよう」
「イヤイヤそうじゃなくって、痕つけないようにして!」
「しかし、今でも本当に気をつけているのだが……ノアが可愛すぎて夢中になってしまうのかもしれないな。それにノアも私に痕を残しているし」
「えっ?」
思いもよらない言葉に、ノアが目を見開く。
「うそっ! 俺、そんな事してないっ!」
「しかし今日シャワーを浴びた時に……見せた方が早いな」
そう言うとユージーンはさっさと部屋着の上を脱ぎ、左の腕を上げた。
「ここ、脇腹のところ」
「……うわ……ホントだ……」
楕円形に赤く鬱血した箇所を指先でそっと撫で、ノアは頭を横に振った。
「俺、全然覚えがない……」
「だが、私に触れるのはノアだけだ」
「……だよなぁ……えー? いつつけちゃったんだ?」
「今度するとき、気にかけておこう」
「うん……」
「なんなら、今でもいいが?」
「えっ? あっ、いやっ! 今度の休みの時でっ!」
「フッ……では、そうしよう」
顔を赤らめそう言うノアを微笑みながら抱きしめると、
「ふっ、服っ! 服着て!」
更に赤くなりながらジタバタするノアだった。
激しく扉を叩く音に、ユージーンは読んでいた魔術書から顔を上げた。
「ユージーン! 俺! ノア!」
その声に、ハァとため息をつく。
(……ようやく帰って来た。そりゃあ、プレゼントを探すと言っていたし、時間がかかるだろうという事は予想していた。が、もう少し早く帰ると思っていたのに)
少々不機嫌にユージーンは立ち上がり、扉を開けた。
「ノア、随分と遅かっ」
「ユージーン大変!」
扉が開くなりすぐに部屋の中に飛び込んでくるノア。後ろ手に扉を閉め、ピタリとくっつき小声で言った。
「レイモンド様とジョシュア、ちゅーしかしてないって!」
「……は?」
身体をくっつけて見上げてくるノアが可愛い。しかしようやく帰ってきたのに、レイモンドとジョシュアの話? そもそも……、
「ちゅー、とは?」
混乱しながら尋ねるユージーンだった。
「……つまり、レイモンド達が未だに口づけしてしていないから、どうにかしてやりたいと」
「いや、どうにかするってほどじゃないけど、なんかこう、手助けできる事があればなぁって程度なんだけど……」
並んでベッドに腰掛け、ノアの話を聞く。
ノアは「大変大変! そうだとは思わなかった!」と興奮して話すが、ユージーンにとっては心底どうでもいい事だ。
「あの二人にはあの二人の進度があるのだろう。他人があれこれ言ったり心配するのは違うと思うが?」
「そりゃそうなんだけど……でもジョシュアが、自分に原因があるんじゃないかって落ち込んでるんだよ。それにさ、二人が何もしてないのには俺達にも責任があって」
「私達に?」
「うん。あの二人が付き合う事になった時、俺達ちょうど寝込んでいたんだよ。それで、俺達の事を心配してなんもしなかったらしくて」
「それは……我々は関係ないだろう。その時に何もなくても、その後時間はあったのだから」
「でもさぁ、一度タイミングがずれちゃうとその後うまくいかない事ってあるじゃない。それに俺達とは違ってなかなか休みが合わないみたいだし。そうだ! 貴重な一緒の休み、一日俺達の為に使わせちゃったよね。ホラ! ジョシュアに謝罪するって言って、四人で食事したじゃん」
「あー……しかし……いや、そうだな」
(三日ある休みのうちの一日だけだし数時間だった……そう言ってもノアは納得しなさそうだな)
シュンとしているノアの頭を撫でると、肩に頭を乗せてよりかかってきた。
「ノアは、ジョシュアが心配なのだな」
「心配っていうか……可哀想じゃん。キスしかしてもらえないのは自分のせいだって落ち込んでさ、俺の事、凄いって言うんだよ? 俺のようにできたらレイモンド様にシてもらえるんじゃないかって。そんなの違うのに。俺が何かしなくても、ユージーンがしてくれるじゃん、色々と」
「いろいろ?」
「うん、色々。好きだと言ってくれて、キスして、抱きしめてくれる。俺を抱く為にいろんな用意をしてくれて、面倒がらずに準備してくれた」
「あたり前の事だろう! 面倒などと思うはずがない」
厳しい表情でそう言われ、ノアは嬉しくなってユージーンに抱きついた。
「俺、ユージーンに愛されてるって毎日何回も思うんだ。それはすごく幸せな事だけど、俺にとってあたり前の事だったんだよね。だからさ、それがあたり前じゃなくて不安になっているジョシュアが可哀想で……。俺は、レイモンド様はちゃんとジョシュアの事愛してるって思うけど、俺がそう言ってもジョシュアには響かない。やっぱ本人が言って、行動で示してくれないと」
「そうだな……間違いなくレイモンドはジョシュアを愛しているが……表現はできていないかもな」
「うん……だからさ、ちょっと何かできないかなって……」
「……わかった、私も何かできないか考えてみよう」
「ありがとう、ユージーン!」
抱きついていた腕に力を込めると、ユージーンもギュッとノアを抱きしめ、そして、顔を覗き込むようにして口づけをした。
「……はぁ……」
唇が離れ、ふにゃり、となったノアが独り言のように囁く。
「ユージーンで良かった……キスしかしてもらえなかったら、凄く不安になってたと思う。あんなに可愛いジョシュアでも自信が持てないくらいだから、俺なんて」
「ノア! 私はノアが可愛くてしょうがないと、何度言ったらいいのだ?」
「んっ……ごめ、ん……」
うなじを撫でられ、首筋に唇を押し当てられ、その優しくて気持ちの良い口づけにうっとりとしていたノアだったが、
「あっ! ちょっ……ちょっと待ってそういえば!」
重要な事を思い出し、ユージーンの胸を押して身体を離した。
「あのっ! キスマークついてたらしいんだけど! 今日ジョシュアに言われた」
「それはずっと前の事だろう? 今は気をつけている」
「それが、けっこう最近らしくって……腕とか足の内側についてたって」
「わかった。これからは内側もしっかり、痕がついていないか見るようにしよう」
「イヤイヤそうじゃなくって、痕つけないようにして!」
「しかし、今でも本当に気をつけているのだが……ノアが可愛すぎて夢中になってしまうのかもしれないな。それにノアも私に痕を残しているし」
「えっ?」
思いもよらない言葉に、ノアが目を見開く。
「うそっ! 俺、そんな事してないっ!」
「しかし今日シャワーを浴びた時に……見せた方が早いな」
そう言うとユージーンはさっさと部屋着の上を脱ぎ、左の腕を上げた。
「ここ、脇腹のところ」
「……うわ……ホントだ……」
楕円形に赤く鬱血した箇所を指先でそっと撫で、ノアは頭を横に振った。
「俺、全然覚えがない……」
「だが、私に触れるのはノアだけだ」
「……だよなぁ……えー? いつつけちゃったんだ?」
「今度するとき、気にかけておこう」
「うん……」
「なんなら、今でもいいが?」
「えっ? あっ、いやっ! 今度の休みの時でっ!」
「フッ……では、そうしよう」
顔を赤らめそう言うノアを微笑みながら抱きしめると、
「ふっ、服っ! 服着て!」
更に赤くなりながらジタバタするノアだった。
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