スピンオフなんて必要ないですけど!?

カナリア55

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おまけ

素晴らしい夜と幸せな朝 3

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 何かが、動いている。
 なんだろう……なんだかとても大切で、手放したくないもののような……。

 目を薄く開くとそこに、茶色い頭が見えた。

(ああ……そうだ……今日はノアが一緒だった……嬉しい……)

 一度目はノアの方が先に目を覚ましたが、二度寝の後は自分の方が先に目覚めたようだ。
 さっき抱きしめた時には「離して安静にしておいて!」とジタバタしていたのに、今は腕の中で、自分の方から抱きつき、足も絡めてスウスウと寝息を立てている可愛らしい恋人。
 頭を撫でると、嬉しそうに胸に顔を押し付けてきて、更に可愛い。
 しばらく頭を撫で、その愛らしさを愛でていると、

「……ユージーン……う~ん、あっ、ててっ」

 伸びをし、顔を顰める。

「……大丈夫か?」
「うん……おはよ」

 恥ずかしそうに笑うノアに「おはよう」と返し、ユージーンも笑った。

「……そろそろ、起きるか?」
「うん。さすがに、なんか食べたい」
「こんな日に、団員の作ったイマイチのスープとパン、というのもな。朝も食べていないのだし、少し面倒だが街に……行けるか? ポーションは飲む気にはなったか?」
「の、飲むよっ! だから行けるよっ!」 
「そうか。……さあ」
「ありがと」

 差し出されたポーションを飲み干し、体を動かしてみているノア。

「大丈夫そうだな」
「うん、もう平気………………残念な気がしないでもないけど……」
「ん? 今なんと?」
「いや! なんも! じゃあ俺、部屋戻って着替えて来る」
「ああ。……そうだ、シャワーはいいのか? 清潔クリーンは掛けておいたが」
「あ~、サッと浴びようかな。いいよなー、部屋にシャワーが付いてるなんて」
清潔クリーンが使えるから必要性を感じていなかったが……今にして思えば、浴槽もある部屋を希望すれば良かった」
「えー? もしかして、一緒に入りたかった?」

 揶揄うようにノアは言ったが、

「もちろん」
「あ……と……」

 平然と即答するユージーンに、ノアは一瞬言葉に詰まる。

「あ、え、と……シャワー借りるよっ! 入って来ないでよ!」
「………なるほど……シャワーでも一緒に入れるか」

 小走りでシャワー室に消えたノアの為にタオルを用意し、届けるついでに躊躇無くユージーンもシャワー室に入って行き……、

「入って来ないでって言ったよねっ?!」

 ギョッとしたように声を上げたノアに、至って冷静に対応するユージーン。

「跡が付いていないか、確認した方がいいかと思って。以前、風呂で慌てたのだろう?」
「あー、そっか……どう? 大丈夫そう?」

(……こんな口からでまかせを信じて……ノアは可愛いな)

 そんな事を考えながら、優しい手つきで首すじや背中を撫でるユージーン。
 なんやかんやで二人の昼食は、だいぶ遅くなってしまうのだった。





※『素晴らしい夜と幸せな朝』はこれで完結です。小間切れですみません。☆付き部分を分離させるため、このようにしました。
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