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おまけ
素晴らしい夜と幸せな朝 1 (51甘く、深く、忘れられぬ夜 のユージーン視点)
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「あの……今日は、最後までしない?」
最愛の人が突然そんな事を言い出し、ユージーンは熱にうかされたような状態から現実に引き戻され、まじまじとノアを見つめた。
「……それは、今日の事を気にして言っているのか?」
そう、今日。
今日は色々あった。
ノアの姉が自分の命を救ってくれた聖女ドロリスだという事を知り、そのドロリスとノアが抱き合っているのを見て激しく動揺してしまった。
訓練中はその事を気にしたノアが失敗ばかりして、何度も何度も叱りつけて後から後悔し不安になり……どうにか仲直りできたとホッとしたのに。
「最後までする事で仲直りしようだとか、私を安心させようという考えは間違いだ。確かに嫉妬し、動揺してしまったが、だからといってノアに無理をさせるのは私の本意ではない」
「それは! それはわかってるよ! そうじゃなくて……俺の、方が……」
ノアが言うには、嫌われたらどうしよう、別れるって言われたらどうしよう、と悪い事ばかり考えてしまったという。そして、ユージーンは綺麗だが自分は普通だとか、姉との方が見た感じ似合っているだとか、自信がないから最後まですれば自信が持てる気がするだとか……。
(……そんな事を考えていただなんて……ノアを愛しているという意思表示が足りなかった?)
ノアを愛している。
ノアに愛してもらいたいと願っている。
ノアの全てが欲しくて、ノアに自分の全てを捧げたい。
(あまりにも強く重すぎる想いだと感じ抑えていたが……もっと伝えた方がいいのか?)
「あっ、でもっ、こういう事って、心の準備が必要だよな! 突然ゴメン! やっぱり今日ってのは無しで」
「ノア」
肩に額を押しあて、早口で話す恋人の名を呼ぶ。
「ノア……私がいつも、どれだけノアと深く繋がりたいと思っているのか、そしてその欲望を、どれだけ必死に堪えていたか……」
「……ユージーン?」
肩から額を離し自分を見上げるノアが可愛くて、今この瞬間に潰れる程に抱きしめたい衝動に駆られるが、グッと我慢する。
(……ここまで望まれて、しないという選択肢はない。もちろん最初だから加減はするつもりだが、私がどれだけノアの全てを求めているか……)
「今夜、それを思い知らせてやろう」
「……え、えっと……お、思い知らせるって……なんか、物騒な……」
「そうか? 一番しっくりくる言葉だと思うが」
「え、と……お手、柔らかに……」
(できたらいいが……)
そう心の中で呟きながらユージーンはベッドを降りた。
(……まだ先の事と思っていたが……早めに準備しておいて良かった)
少し前に受け取ってきた媚薬入りのアメを一つ、ガラス瓶から取り出す。
ベッドに戻って名を呼ぶと、少し緊張したように返事をしたノアに口を開けさせ、アメを舌の上に載せた。
「こりぇ、にゃに?」
「少しだけ、媚薬が入っているアメだそうだ」
「びっ?」
驚き目を見開くノアを安心させるため髪を撫で、こめかみに唇を押し当てて「大丈夫」と囁く。
「ほんの少しだ。少し酔ったような感じになり、痛みを感じにくくなる程度だそうだから、安心して」
そう教えるとノアは安心したようで、大人しくアメを舐めている。
(大きめだから、少し大変そうだな)
そう思いながら蜜蝋製のロウソクに火を灯し、部屋の照明を消した。
(私としては、明るい方がノアの姿が良く見えていいのだが……本人が嫌だと言うから仕方がない。……ああ、いい香りだ。やはり店主に勧められた最上級の物にして良かった)
次にウィリアムからもらったガラスの小瓶に入ったオイルを取り、ベッドに戻ってノアに手を差し出した。
「さあ、おいで」
「ん……」
アメで片方の頬を膨らませ、膝立ちで近づいてくるノアに口元が緩む。
「可愛い。チルルのようだ」
「こうしておかなきゃ、話せないんだよ」
そう言って太腿を跨いで体を寄せるノアは、小動物のようでとても可愛い。
(愛しいノア……大切に、触れなければ……急いて、傷つける事など絶対無いように)
ユージーンは少しでも心を落ち着かせようと、深呼吸してからノアに口づけをした。
最愛の人が突然そんな事を言い出し、ユージーンは熱にうかされたような状態から現実に引き戻され、まじまじとノアを見つめた。
「……それは、今日の事を気にして言っているのか?」
そう、今日。
今日は色々あった。
ノアの姉が自分の命を救ってくれた聖女ドロリスだという事を知り、そのドロリスとノアが抱き合っているのを見て激しく動揺してしまった。
訓練中はその事を気にしたノアが失敗ばかりして、何度も何度も叱りつけて後から後悔し不安になり……どうにか仲直りできたとホッとしたのに。
「最後までする事で仲直りしようだとか、私を安心させようという考えは間違いだ。確かに嫉妬し、動揺してしまったが、だからといってノアに無理をさせるのは私の本意ではない」
「それは! それはわかってるよ! そうじゃなくて……俺の、方が……」
ノアが言うには、嫌われたらどうしよう、別れるって言われたらどうしよう、と悪い事ばかり考えてしまったという。そして、ユージーンは綺麗だが自分は普通だとか、姉との方が見た感じ似合っているだとか、自信がないから最後まですれば自信が持てる気がするだとか……。
(……そんな事を考えていただなんて……ノアを愛しているという意思表示が足りなかった?)
ノアを愛している。
ノアに愛してもらいたいと願っている。
ノアの全てが欲しくて、ノアに自分の全てを捧げたい。
(あまりにも強く重すぎる想いだと感じ抑えていたが……もっと伝えた方がいいのか?)
「あっ、でもっ、こういう事って、心の準備が必要だよな! 突然ゴメン! やっぱり今日ってのは無しで」
「ノア」
肩に額を押しあて、早口で話す恋人の名を呼ぶ。
「ノア……私がいつも、どれだけノアと深く繋がりたいと思っているのか、そしてその欲望を、どれだけ必死に堪えていたか……」
「……ユージーン?」
肩から額を離し自分を見上げるノアが可愛くて、今この瞬間に潰れる程に抱きしめたい衝動に駆られるが、グッと我慢する。
(……ここまで望まれて、しないという選択肢はない。もちろん最初だから加減はするつもりだが、私がどれだけノアの全てを求めているか……)
「今夜、それを思い知らせてやろう」
「……え、えっと……お、思い知らせるって……なんか、物騒な……」
「そうか? 一番しっくりくる言葉だと思うが」
「え、と……お手、柔らかに……」
(できたらいいが……)
そう心の中で呟きながらユージーンはベッドを降りた。
(……まだ先の事と思っていたが……早めに準備しておいて良かった)
少し前に受け取ってきた媚薬入りのアメを一つ、ガラス瓶から取り出す。
ベッドに戻って名を呼ぶと、少し緊張したように返事をしたノアに口を開けさせ、アメを舌の上に載せた。
「こりぇ、にゃに?」
「少しだけ、媚薬が入っているアメだそうだ」
「びっ?」
驚き目を見開くノアを安心させるため髪を撫で、こめかみに唇を押し当てて「大丈夫」と囁く。
「ほんの少しだ。少し酔ったような感じになり、痛みを感じにくくなる程度だそうだから、安心して」
そう教えるとノアは安心したようで、大人しくアメを舐めている。
(大きめだから、少し大変そうだな)
そう思いながら蜜蝋製のロウソクに火を灯し、部屋の照明を消した。
(私としては、明るい方がノアの姿が良く見えていいのだが……本人が嫌だと言うから仕方がない。……ああ、いい香りだ。やはり店主に勧められた最上級の物にして良かった)
次にウィリアムからもらったガラスの小瓶に入ったオイルを取り、ベッドに戻ってノアに手を差し出した。
「さあ、おいで」
「ん……」
アメで片方の頬を膨らませ、膝立ちで近づいてくるノアに口元が緩む。
「可愛い。チルルのようだ」
「こうしておかなきゃ、話せないんだよ」
そう言って太腿を跨いで体を寄せるノアは、小動物のようでとても可愛い。
(愛しいノア……大切に、触れなければ……急いて、傷つける事など絶対無いように)
ユージーンは少しでも心を落ち着かせようと、深呼吸してからノアに口づけをした。
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