スピンオフなんて必要ないですけど!?

カナリア55

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おまけ 金の毛並みの子犬は 青狼騎士様に愛されたい

休日前のいつもの夜

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「あ、そうだ。明日俺、出かけるから」
「……なに? 聞いていないが?」
「うん、今初めて言ったから」
「…………」

 隠す事なく思いっきり不機嫌な顔をするユージーンと、それに気づかない振りをして軽く言うノア。

「だからさ、明日は昼はそれぞれで……えーっと……ごめんね?」
「…………」

(あー、機嫌悪くなっちゃったなぁ)

 これほど険しい表情を見る事になるとは思っておらず『悪い事をしたかな』と反省しながら、ノアはユージーンに身体を寄せた。
 明日は休み。
 いつも通りユージーンの部屋で、グダグダに甘やかされ、トロトロに愛撫され、限界まで愛情を注がれた。

(気持ち良かったけど、事前に言ってたら絶対、限界越えしてた……ユージーンには悪いけど、先に話さないで正解だった)

 そんな事を思いながら横になっているユージーンの顔を覗き込み、眉間に寄っている皺を人差し指で擦った。

「ごめんって~」
「……なんの用で出かけるんだ?」
「えーと……ジョシュアの付き添いで」
「ジョシュアの?」
「うん」
「…………」

 まずい事に、眉間の皺が深くなる。

「二人だけで出かけるのか?」
「うん……あー、のさ、そろそろレイモンド様の誕生日なんでしょ?」
「? レイモンドの誕生日?」
「そう!」

 表情が変わったユージーンの身体に、チャンスとばかりに片足を乗せて抱きつき話を続ける。

「ジョアシュアがさ、何をプレゼントしたらいいか悩んでて。もう、かなり前から考えてるんだけど、未だに決まらないから明日買い物付き合ってくれないかって夕食の時に頼まれたんだ。で、つい『いいよ』って言っちゃった……相談もせずに、ごめん」
「…………いや、それなら仕方がない」

 だいぶ考えた後、ユージーンはフーッと息を吐きながらそう言い、抱きついているノアの腕を引き自分の胸の上に乗せて背中を撫でた。

「あの二人、我々と違って休みがあまり合わず苦労しているようだしな」
「そーなんだよー。俺達は一緒に訓練してるって事で合わせてもらえるけど、あっちはそうじゃないからね。でも、レイモンド様の誕生日には、どうにか一緒の休み取れたんだって。で、明日プレゼント買わなきゃ誕生日に間に合わないってわけ」
「なら仕方がない。付き合ってやれ」
「うん、ありがと。じゃあ明日早いからもう寝ないと……ん? ユージーン? 離して? あ、え、ちょっとちょっと、今日はもう無理だって言ったよね?」

 散々、もう、本当に限界だと思うくらい、濃密な時間を過ごしたばかりだ。
 
「せっかく清潔クリーンかけてもらったのに」
清潔クリーンくらい何度でもかけてやる」
「でも俺、もう何度もイっちゃって、もう本当にっ……ダメだって、そこ触んないで! んっ、待って待って!」
「今日はもう無理だと言うから朝に、と思っていたが……出かけるというのだから仕方がない」
「いや、だからって無理だって! 明日起き上がれなくなる!」
「ポーションを飲めばいい」
「え……なんか、こういう事した回復の為にポーション飲むって、なんだか違うような気がして……」
「無理に飲めとは言わないが」
「ん……って! だからダメだってば! 無理無理無理無理! あっ……んっ……ん――………」

 深い口づけと、丁寧な、そしてしつこい程の愛撫の後、ユージーンは一度手を止め、大きく胸を上下させて息をしているをノアの顔を覗き込んだ。

「やはり、止めた方がいいか?」
「……や、だ……もっと……」
「明日が心配なんだろう?」
「ポーション飲むから……だからぁ……」

 潤んだ目で痛いくらいに自分の手首を掴むノアに、ユージーンは最高に満足気な、綺麗な笑みを浮かべた。




(あーもー、なんでしちゃったんだ~~、こうなるってわかってたのに~~。ああ、めちゃくちゃ怠い、身体痛い。このままユージーンにひっついて寝ていたい。けど……)

 えいっ、と反動をつけて体を起こすと、隣りで寝ていたユージーンが目を開けてフワリと微笑む。

「……大丈夫か?」
「大丈夫じゃ、わっ、なんだこの声! 声も変になってる!」
「フフッ……もっと、と望んだのはノアだぞ」
「わかってるよ! 今後悔してたとこだよ!」
「続きをせがんだ事を?」
「それと、ジョシュアと出かける約束した事を!」

 赤くなりながらそう言い捨て、ベッドを降りて服を着るノアに、ユージーンがクスクスと笑う。

「ポーションはいつもの所だ」
「ありがと、いただきます」

 棚の中からポーションを取り出しグイッと飲むと、パーッと体が軽くなる。

「んっんっ、あっあー」

 掠れていた声も元通りになり、本当に便利な世界だと思いながらノアは部屋を出かけて……思い出したようにもう一度ベッドに戻り、ユージーンに触れるだけの軽い口づけをした。
 
「ホントごめんね。いってきます」
「大丈夫だ。気を付けるんだぞ」
「うん……」

 耳を撫でられ真っ赤になりながら、ノアは部屋を出た。



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