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第四章
今後の事
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「……では、今後の事についてですが」
アクア侯爵は淡々と話を進めていく。
「このような問題を起こした事から、ルチア・ローズ男爵令嬢は王太子妃には相応しくないという判断になりました。王太子殿下との婚約は破棄されます」
「そんな! さっき厳重注意と謝罪金の支払いだと言っていただろう!?」
「先ほどのはルチア・ローズ男爵令嬢個人とローズ男爵家への決定であり、王太子の婚約は国事ですので、また別の話です」
「そんな……そんなのおかしい!」
「ううっ……」
レオンハルトが抗議の声を上げ、ルチアは泣き出す。
重臣達は特に反応がないので、大人達で話し合われた結果を当事者に伝える場なのだろう。
「ルチアは悪くない! 反省もしているのだから今回は大目に」
「大目に見るなんて、できるわけなかろう。何をどうすれば、悪くないなどと言えるんだ。もう、レオンハルトは黙っていろ」
「…………」
悔しそうに顔を歪め、それでもレオンハルトは守るかのようにルチアの肩を抱いた。
「うえっ……うっうっ……わたし、本当にそんなつもりじゃなかったのにぃ……」
「大丈夫だ、ルチア。俺が守ってみせる!」
(あー、はいはい、好きなようにして下さい。わたしには関係の無い事だわ)
「この事により、空席となった王太子の婚約者ですが、協議の結果、エリザベート・スピネル公爵令嬢が再び就くのが最善という事になりましたが、」
「はいっ?」
突然名前を出され、エリザベートは驚いて国王を、そして重臣達を見回した。
「そ、んな……まさか、本気でそんな事を……」
「色々と思う所はあるだろう。しかし、これが一番良い選択なのだ。レオンハルトにはきちんと言って聞かせる故、承諾してはくれまいか」
「そんな……だって……」
チラリとレオンハルトの方を見ると、それはもう、憎々し気にエリザベートを睨んでいる。
(う、嘘でしょう? 何言ってるの?)
「なぜそういう事になるのです!? わたくしは嫌です! 待って待って、ようやく婚約破棄できたというのに……婚約者には戻りません! お断り致します!」
きっぱりと言ったのだが、重臣達は『まあまあ』と笑う。
「そんな意地を張らずとも良いではありませんか」
「王太子殿下も謝罪されたのですし」
「謝罪? あれのどこが謝罪だと? 自身の行いは顧みる事なく、わたくしのせいにしているではございませんか!」
「まあまあ、そんなに怒らずに。スピネル公爵も何か仰って下さい。良かったではないですか、ご令嬢が王家に嫁ぐとなれば、スピネル公爵家は安泰だ。一度諦めた幸運が再びめぐってくるとはなんと羨ましい」
(なんて失礼な事を!)
文句を言ってやろうかと思った時、
「娘に言う事は無い」
「いやいや、言う事が無いなど。お嬢さんに、頑なにならずにありがたく話を受けるようにと」
「ありがたくだって? これ程、軽んじられて、何を喜べと? 先ほどの話し合いでも言ったが、娘が再び婚約者となる事に私は反対だ」
「スピネル公爵! それは不敬な発言では?!」
「そうですぞ! 公爵がそのような事を仰っては」
「いや、スピネル公爵の言う通りだ」
騒ぎを収めたのは、国王だった。
「スピネル公爵には断られたが、令嬢本人の意見を聞きたいと言ったのはこちらだ。そうだろう? 皆の者」
「陛下の仰る通りです。スピネル公爵令嬢、今一度、令嬢の意向を確認させて下さい」
宰相の言葉に、エリザベートは頷き、『お断りします』とはっきり言った。
「わたくしは、レオンハルト殿下の婚約者になりません」
その場の重臣達が『そんな!』『ありえない』と騒ぎ出す。
「なぜだ! こんな名誉な事を断るだなんて!」
「そうだ! 意地を張るのも程々になさい! ああ私が親ならば、娘にこんな我が儘は許さないが」
「わかっているのか? 王太子妃になれば、いずれ王妃になり、王子が誕生すればそれこそ安泰。まあ、色々と思う所はあるとは思うが、ここはひとつ、大人になってだなぁ」
口々に騒ぎ立てる重臣達に、エリザベートの我慢が限界に達した。
「……レオンハルト殿下と結婚しても、わたくしが王子……というか、子を授かる事はないですわ」
「はっ?」
エリザベートの言葉に、場が静まる。
「あー……と、子を、授かる事はない、と?」
「ええ」
「それは……どういう……」
「レオンハルト殿下は、わたくしとはそういう事はするつもりなないそうですので。ねえ、殿下」
「はっ? エリザベート、そなた何を」
「あら、ご自分で仰っていたのに、覚えていらっしゃらないのですか?」
エリザベートは、にっこりと笑った。
(ああもうこうなったら、とことんやってやるわ! レオンハルトも、この腹が立つ重臣達も、わたしの事を軽んじた事を後悔させてやる!)
アクア侯爵は淡々と話を進めていく。
「このような問題を起こした事から、ルチア・ローズ男爵令嬢は王太子妃には相応しくないという判断になりました。王太子殿下との婚約は破棄されます」
「そんな! さっき厳重注意と謝罪金の支払いだと言っていただろう!?」
「先ほどのはルチア・ローズ男爵令嬢個人とローズ男爵家への決定であり、王太子の婚約は国事ですので、また別の話です」
「そんな……そんなのおかしい!」
「ううっ……」
レオンハルトが抗議の声を上げ、ルチアは泣き出す。
重臣達は特に反応がないので、大人達で話し合われた結果を当事者に伝える場なのだろう。
「ルチアは悪くない! 反省もしているのだから今回は大目に」
「大目に見るなんて、できるわけなかろう。何をどうすれば、悪くないなどと言えるんだ。もう、レオンハルトは黙っていろ」
「…………」
悔しそうに顔を歪め、それでもレオンハルトは守るかのようにルチアの肩を抱いた。
「うえっ……うっうっ……わたし、本当にそんなつもりじゃなかったのにぃ……」
「大丈夫だ、ルチア。俺が守ってみせる!」
(あー、はいはい、好きなようにして下さい。わたしには関係の無い事だわ)
「この事により、空席となった王太子の婚約者ですが、協議の結果、エリザベート・スピネル公爵令嬢が再び就くのが最善という事になりましたが、」
「はいっ?」
突然名前を出され、エリザベートは驚いて国王を、そして重臣達を見回した。
「そ、んな……まさか、本気でそんな事を……」
「色々と思う所はあるだろう。しかし、これが一番良い選択なのだ。レオンハルトにはきちんと言って聞かせる故、承諾してはくれまいか」
「そんな……だって……」
チラリとレオンハルトの方を見ると、それはもう、憎々し気にエリザベートを睨んでいる。
(う、嘘でしょう? 何言ってるの?)
「なぜそういう事になるのです!? わたくしは嫌です! 待って待って、ようやく婚約破棄できたというのに……婚約者には戻りません! お断り致します!」
きっぱりと言ったのだが、重臣達は『まあまあ』と笑う。
「そんな意地を張らずとも良いではありませんか」
「王太子殿下も謝罪されたのですし」
「謝罪? あれのどこが謝罪だと? 自身の行いは顧みる事なく、わたくしのせいにしているではございませんか!」
「まあまあ、そんなに怒らずに。スピネル公爵も何か仰って下さい。良かったではないですか、ご令嬢が王家に嫁ぐとなれば、スピネル公爵家は安泰だ。一度諦めた幸運が再びめぐってくるとはなんと羨ましい」
(なんて失礼な事を!)
文句を言ってやろうかと思った時、
「娘に言う事は無い」
「いやいや、言う事が無いなど。お嬢さんに、頑なにならずにありがたく話を受けるようにと」
「ありがたくだって? これ程、軽んじられて、何を喜べと? 先ほどの話し合いでも言ったが、娘が再び婚約者となる事に私は反対だ」
「スピネル公爵! それは不敬な発言では?!」
「そうですぞ! 公爵がそのような事を仰っては」
「いや、スピネル公爵の言う通りだ」
騒ぎを収めたのは、国王だった。
「スピネル公爵には断られたが、令嬢本人の意見を聞きたいと言ったのはこちらだ。そうだろう? 皆の者」
「陛下の仰る通りです。スピネル公爵令嬢、今一度、令嬢の意向を確認させて下さい」
宰相の言葉に、エリザベートは頷き、『お断りします』とはっきり言った。
「わたくしは、レオンハルト殿下の婚約者になりません」
その場の重臣達が『そんな!』『ありえない』と騒ぎ出す。
「なぜだ! こんな名誉な事を断るだなんて!」
「そうだ! 意地を張るのも程々になさい! ああ私が親ならば、娘にこんな我が儘は許さないが」
「わかっているのか? 王太子妃になれば、いずれ王妃になり、王子が誕生すればそれこそ安泰。まあ、色々と思う所はあるとは思うが、ここはひとつ、大人になってだなぁ」
口々に騒ぎ立てる重臣達に、エリザベートの我慢が限界に達した。
「……レオンハルト殿下と結婚しても、わたくしが王子……というか、子を授かる事はないですわ」
「はっ?」
エリザベートの言葉に、場が静まる。
「あー……と、子を、授かる事はない、と?」
「ええ」
「それは……どういう……」
「レオンハルト殿下は、わたくしとはそういう事はするつもりなないそうですので。ねえ、殿下」
「はっ? エリザベート、そなた何を」
「あら、ご自分で仰っていたのに、覚えていらっしゃらないのですか?」
エリザベートは、にっこりと笑った。
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