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子供の頃から
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「え……っと?」
「俺が、しーちゃんの彼氏になる!」
いきなりの宣言。
「それってどういう……あ、わたしに紹介できるような人いないからって事? それなら別にいいよ、ちょっと聞いてみただけだから」
「そうじゃない! そうじゃなくて……別に年下でもいいんでしょ? 穏やかな性格がいいんでしょ? 俺、結構当てはまってると思うんだけど、駄目?」
「え? いや、駄目っていうか……えーっ?」
少し考えてから、紫音は笑い出した。
「どう考えたって、アッキーの方が駄目でしょう! わたしなんかより、若くて可愛い子と付き合いなさいよ。大学にいっぱいいるでしょう?」
「嫌だ! だって俺は、しーちゃんが好きなんだ。子供の頃からずっと!」
「えぇぇ……?」
真剣な表情の明弘。
酔って愉快になっていた気持ちがスーッと落ち着いてきて、紫音は困惑しながら明弘を見た。
「俺は本気だよ! しーちゃん俺の事、カッコよくなったって言ってくれたよね? 俺みたいな彼氏欲しいって、言ってたよね?」
「あれは……なんていうか、勢いとか……」
「でも、少しはそう思ってるって事でしょ? 全くの嘘ではないでしょう?」
「いや、まあ、それはそうだけど……」
「俺、年下だしまだ学生で頼りないかもしれないけど、いい所に就職できるように頑張るよ。万が一、就職先見つからなくても、今のバイト先には就職できるから安心して!」
「う、うん、えーと、はい……って! いやいや、そうじゃなくて……そんな、突然好きだって言われても……」
戸惑い、オロオロしてしまう。
「あのっ、それって、わたしの事を家族のように慕っているんじゃない? ほら、小さい頃ご飯作ってあげたり洗濯してあげたりしてたから、お母さんのように思っているというか。でもそれは好きの種類が違って、んっ!」
突然、口を塞がれ、紫音は目を見開いた。
明弘の顔が、ぼやけるほど近くにある。
今自分の口を塞いでいるのは、明弘の唇だ。
『キスー!? なにっ? アッキーわたしにキスしてるの!?』
唇はすぐに離されたが、状況が理解できずに固まってしまう。
明弘は、息遣いがわかるほど距離は近いが、下を向いて表情が見えない。
どうしたらいいのかわからず、長い静寂が続く。
「……しーちゃんを好きなのは、家族としてなんかじゃない」
しばらくして、沈黙を破ったのは明弘だった。
「俺、本気だよ?」
「えっと……やだ、アッキー酔ってるの? あー、あれ? アッキーはアメリカ住んでたから『キスなんて挨拶』ってヤツ? でもここは日本だから」
「キスは挨拶なんかじゃないよ。俺、キスしたの、初めてだもん」
「あ……そう、ですか……」
紫音は『酔っぱらいの、ただのおふざけ』に済ませてしまいたかったが、明弘は首を横に振った。
「俺、本当にしーちゃんが好きなんだ。ずっとずっと、会えない間もしーちゃんの事だけ思ってた。だから、他の女とキスなんてしたくなかったんだ、挨拶だって言われても」
そう言うと、明弘は紫音の右手を、両手でギュッと包むように握った。
顔を上げ、下から紫音を見あげる。
「ホントだよ、しーちゃん……もいっかい、キスしてもいい?」
小さな小さな声で囁かれた言葉に、紫音は『いい』とも『悪い』とも答えられず。
「……しーちゃん……大好き……」
少し震える手を紫音の頬に添えて、明弘は紫音に口づけをした。
「俺が、しーちゃんの彼氏になる!」
いきなりの宣言。
「それってどういう……あ、わたしに紹介できるような人いないからって事? それなら別にいいよ、ちょっと聞いてみただけだから」
「そうじゃない! そうじゃなくて……別に年下でもいいんでしょ? 穏やかな性格がいいんでしょ? 俺、結構当てはまってると思うんだけど、駄目?」
「え? いや、駄目っていうか……えーっ?」
少し考えてから、紫音は笑い出した。
「どう考えたって、アッキーの方が駄目でしょう! わたしなんかより、若くて可愛い子と付き合いなさいよ。大学にいっぱいいるでしょう?」
「嫌だ! だって俺は、しーちゃんが好きなんだ。子供の頃からずっと!」
「えぇぇ……?」
真剣な表情の明弘。
酔って愉快になっていた気持ちがスーッと落ち着いてきて、紫音は困惑しながら明弘を見た。
「俺は本気だよ! しーちゃん俺の事、カッコよくなったって言ってくれたよね? 俺みたいな彼氏欲しいって、言ってたよね?」
「あれは……なんていうか、勢いとか……」
「でも、少しはそう思ってるって事でしょ? 全くの嘘ではないでしょう?」
「いや、まあ、それはそうだけど……」
「俺、年下だしまだ学生で頼りないかもしれないけど、いい所に就職できるように頑張るよ。万が一、就職先見つからなくても、今のバイト先には就職できるから安心して!」
「う、うん、えーと、はい……って! いやいや、そうじゃなくて……そんな、突然好きだって言われても……」
戸惑い、オロオロしてしまう。
「あのっ、それって、わたしの事を家族のように慕っているんじゃない? ほら、小さい頃ご飯作ってあげたり洗濯してあげたりしてたから、お母さんのように思っているというか。でもそれは好きの種類が違って、んっ!」
突然、口を塞がれ、紫音は目を見開いた。
明弘の顔が、ぼやけるほど近くにある。
今自分の口を塞いでいるのは、明弘の唇だ。
『キスー!? なにっ? アッキーわたしにキスしてるの!?』
唇はすぐに離されたが、状況が理解できずに固まってしまう。
明弘は、息遣いがわかるほど距離は近いが、下を向いて表情が見えない。
どうしたらいいのかわからず、長い静寂が続く。
「……しーちゃんを好きなのは、家族としてなんかじゃない」
しばらくして、沈黙を破ったのは明弘だった。
「俺、本気だよ?」
「えっと……やだ、アッキー酔ってるの? あー、あれ? アッキーはアメリカ住んでたから『キスなんて挨拶』ってヤツ? でもここは日本だから」
「キスは挨拶なんかじゃないよ。俺、キスしたの、初めてだもん」
「あ……そう、ですか……」
紫音は『酔っぱらいの、ただのおふざけ』に済ませてしまいたかったが、明弘は首を横に振った。
「俺、本当にしーちゃんが好きなんだ。ずっとずっと、会えない間もしーちゃんの事だけ思ってた。だから、他の女とキスなんてしたくなかったんだ、挨拶だって言われても」
そう言うと、明弘は紫音の右手を、両手でギュッと包むように握った。
顔を上げ、下から紫音を見あげる。
「ホントだよ、しーちゃん……もいっかい、キスしてもいい?」
小さな小さな声で囁かれた言葉に、紫音は『いい』とも『悪い』とも答えられず。
「……しーちゃん……大好き……」
少し震える手を紫音の頬に添えて、明弘は紫音に口づけをした。
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