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もう、思い切って
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「ところでさ」
二つ目のクレープ『プリン・ア・ラ・モード風』を食べながら、和也が尋ねた。
「アッキー来るの、随分早かったんじゃない?」
「早いっていうか、今日一緒に出掛けてたからね」
「えっ? なにそれ」
事もなげに答える紫音に、和也は目を大きくした。
「えっ? なんで?」
「なんでって……デートよ。ねっ、アッキー」
にっこり笑い、同意を求めるように首を傾げる紫音に、ちょっと戸惑ったようにフニャリと笑う明弘。そして、
「えーっ!? なにそれーっ!!」
驚いて声を上げる和也。
「デートっ? デートって、あのデート? なにっ? ねえちゃんとアッキー、付き合ってんの!?」
「声大きいなぁ……たとえよ、たとえ。ホットプレート買いに行くのに、アッキーが付き合ってくれたの。ねっ、アッキー」
「うん、荷物持ちに」
「あ、そういう……いや俺、二人が付き合い始めたのかと思って、びっくりしちゃったぜ……」
そう言う和也に、困ったように小さく笑いかけている明弘を見て、紫音は苦笑した。
「アッキー、そんな怯えた顔しないで。狙ってないから」
「えっ? いや、そんな、怯えるだなんて……」
「アッキーみたいにカッコイイ子と付き合おうなんて、大それた事思っていませんよ」
「そんな……別に俺、カッコいいわけじゃないし……」
「何言ってんの。凄かったのよ、アッキー人気。女性客が多いカフェでお昼食べたんだけどね、みんなアッキーの事見てるよの。なんかわたし、彼女と思われちゃったみたいで、視線が恐かったわー」
「へー、ふーん」
紫音と明弘を交互に見て、
「……なあ、ねえちゃん、もう思い切ってアッキーと付き合っちゃったら?」
クレープを頬張りながら、和也がとんでもない事を言い出す。
「ねえちゃんさぁ、もうずっと彼氏いないんだろう? 男見る目もなさそうだし、変な男に引っかかるよりさぁ」
「何言ってんのよ。どうしてアッキーがわたしなんかと付き合わなきゃいけないのよ。さっきの話聞いてた? アッキーはあんたと違ってモテモテだから、可愛い子と付き合えるの!」
「お、俺はっ!」
二人の会話に、明弘が参加する。
「俺は、しーちゃんが良ければ、その……付き合っても……」
「あー、いいのいいの、大丈夫よ、アッキー、心配しないで」
紫音は明弘が可哀そうになりながら言った。
「あんたねー、アッキーに姉を押し付けようとしないでよ、可哀そうでしょ? アッキーは優しいから、面と向かって『嫌だ』なんて言えないんだから。あーもう、あんた達にそうやって心配されなくても大丈夫だから。その気になれば彼氏くらいできるわよ、きっと。……それより、シードル無くなるけど、次何飲む?」
「あ……えーと、何があるかな、冷蔵庫見ていい? しーちゃん」
「俺も見て決めよーっと」
「じゃあ、二人で決めてきて。わたしはチューハイにする。レモンの、持ってきてくれる?」
「オッケー」
二人がお互いの体に軽くぶつかりながらキッチンに向かうのを『小学生んときと変わらないなー』と見送り、紫音は次は何を巻こうかとテーブルの上を真剣に見つめた。
二つ目のクレープ『プリン・ア・ラ・モード風』を食べながら、和也が尋ねた。
「アッキー来るの、随分早かったんじゃない?」
「早いっていうか、今日一緒に出掛けてたからね」
「えっ? なにそれ」
事もなげに答える紫音に、和也は目を大きくした。
「えっ? なんで?」
「なんでって……デートよ。ねっ、アッキー」
にっこり笑い、同意を求めるように首を傾げる紫音に、ちょっと戸惑ったようにフニャリと笑う明弘。そして、
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そう言う和也に、困ったように小さく笑いかけている明弘を見て、紫音は苦笑した。
「アッキー、そんな怯えた顔しないで。狙ってないから」
「えっ? いや、そんな、怯えるだなんて……」
「アッキーみたいにカッコイイ子と付き合おうなんて、大それた事思っていませんよ」
「そんな……別に俺、カッコいいわけじゃないし……」
「何言ってんの。凄かったのよ、アッキー人気。女性客が多いカフェでお昼食べたんだけどね、みんなアッキーの事見てるよの。なんかわたし、彼女と思われちゃったみたいで、視線が恐かったわー」
「へー、ふーん」
紫音と明弘を交互に見て、
「……なあ、ねえちゃん、もう思い切ってアッキーと付き合っちゃったら?」
クレープを頬張りながら、和也がとんでもない事を言い出す。
「ねえちゃんさぁ、もうずっと彼氏いないんだろう? 男見る目もなさそうだし、変な男に引っかかるよりさぁ」
「何言ってんのよ。どうしてアッキーがわたしなんかと付き合わなきゃいけないのよ。さっきの話聞いてた? アッキーはあんたと違ってモテモテだから、可愛い子と付き合えるの!」
「お、俺はっ!」
二人の会話に、明弘が参加する。
「俺は、しーちゃんが良ければ、その……付き合っても……」
「あー、いいのいいの、大丈夫よ、アッキー、心配しないで」
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「あんたねー、アッキーに姉を押し付けようとしないでよ、可哀そうでしょ? アッキーは優しいから、面と向かって『嫌だ』なんて言えないんだから。あーもう、あんた達にそうやって心配されなくても大丈夫だから。その気になれば彼氏くらいできるわよ、きっと。……それより、シードル無くなるけど、次何飲む?」
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「じゃあ、二人で決めてきて。わたしはチューハイにする。レモンの、持ってきてくれる?」
「オッケー」
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