12 / 23
王子の圧力はハンパない
しおりを挟む
「しばらくすれば、魔法も使えるようになると思うよ。今回の呪いはことさら強力だったみたいだし、同化に時間もかかるんじゃない?魔法が使えるようになるまで、ここにいればいいよ」
こともなげに王子は言った。ニコニコしながら、けれど、有無を言わさぬ静かな圧力でもって、ハッキリキッパリ言いきった。
しかし、もう全然さまにならないのは百も承知だが、魔女である私がそんな提案にハイそうですねと言うわけにもいかない。
まがりなりにも私は魔女なのだ。そこらの野良猫とは違う。
王子に感謝はしているが、そういうわけにはいかないと、なんとか帰ろうとする私にヤツは、
「でも、転移の魔法も使えないのにどうやって帰るの?部屋の外には王宮で働く者がたくさんいるよ。見張りや侍女、貴族や騎士、誰にも会わずに帰れるのかな?それに、彼らは黙ってアリアを帰してくれるのかな?無事に王宮の外まで出られたとしても、その後はどうするの?歩いて帰るの?それは、どのくらいかかるのかな?」
恐ろしいことを、クスクス笑って言うのだ。
その上、
「アリアはずっとここで倒れていたから知らないだろうけど、この部屋の外は今、結構大変なことになっていてね。この部屋に誰かが数日滞在しているって、使用人たちの間で噂になっているみたいなんだ。どうもそれは女性で、王子と深い関わりがあるらしいって。お妃候補かもしれないって。ボクにはまだ婚約者がいないからね。そんなところにアリアが出ていったらどうなると思う?そういう相手と思われちゃわないかな?それでも、ボクは全然構わないよ。でも、アリアはちょっと困るんじゃないかな?」
ニッコリ笑いながら、ちょっと困るどころではない爆弾をアッサリ投下してくる。
「…~っ、す、少しの間、世話になる!魔法が使えるようになったら、すぐに帰るからな!」
なんとかそれだけ言うのが、私の精一杯だった。
こともなげに王子は言った。ニコニコしながら、けれど、有無を言わさぬ静かな圧力でもって、ハッキリキッパリ言いきった。
しかし、もう全然さまにならないのは百も承知だが、魔女である私がそんな提案にハイそうですねと言うわけにもいかない。
まがりなりにも私は魔女なのだ。そこらの野良猫とは違う。
王子に感謝はしているが、そういうわけにはいかないと、なんとか帰ろうとする私にヤツは、
「でも、転移の魔法も使えないのにどうやって帰るの?部屋の外には王宮で働く者がたくさんいるよ。見張りや侍女、貴族や騎士、誰にも会わずに帰れるのかな?それに、彼らは黙ってアリアを帰してくれるのかな?無事に王宮の外まで出られたとしても、その後はどうするの?歩いて帰るの?それは、どのくらいかかるのかな?」
恐ろしいことを、クスクス笑って言うのだ。
その上、
「アリアはずっとここで倒れていたから知らないだろうけど、この部屋の外は今、結構大変なことになっていてね。この部屋に誰かが数日滞在しているって、使用人たちの間で噂になっているみたいなんだ。どうもそれは女性で、王子と深い関わりがあるらしいって。お妃候補かもしれないって。ボクにはまだ婚約者がいないからね。そんなところにアリアが出ていったらどうなると思う?そういう相手と思われちゃわないかな?それでも、ボクは全然構わないよ。でも、アリアはちょっと困るんじゃないかな?」
ニッコリ笑いながら、ちょっと困るどころではない爆弾をアッサリ投下してくる。
「…~っ、す、少しの間、世話になる!魔法が使えるようになったら、すぐに帰るからな!」
なんとかそれだけ言うのが、私の精一杯だった。
0
お気に入りに追加
160
あなたにおすすめの小説
行き遅れにされた女騎士団長はやんごとなきお方に愛される
めもぐあい
恋愛
「ババアは、早く辞めたらいいのにな。辞めれる要素がないから無理か? ギャハハ」
ーーおーい。しっかり本人に聞こえてますからねー。今度の遠征の時、覚えてろよ!!
テレーズ・リヴィエ、31歳。騎士団の第4師団長で、テイム担当の魔物の騎士。
『テレーズを陰日向になって守る会』なる組織を、他の師団長達が作っていたらしく、お陰で恋愛経験0。
新人訓練に潜入していた、王弟のマクシムに外堀を埋められ、いつの間にか女性騎士団の団長に祭り上げられ、マクシムとは公認の仲に。
アラサー女騎士が、いつの間にかやんごとなきお方に愛されている話。
ゆるふわな可愛い系男子の旦那様は怒らせてはいけません
下菊みこと
恋愛
年下のゆるふわ可愛い系男子な旦那様と、そんな旦那様に愛されて心を癒した奥様のイチャイチャのお話。
旦那様はちょっとだけ裏表が激しいけど愛情は本物です。
ご都合主義の短いSSで、ちょっとだけざまぁもあるかも?
小説家になろう様でも投稿しています。
夫が寵姫に夢中ですので、私は離宮で気ままに暮らします
希猫 ゆうみ
恋愛
王妃フランチェスカは見切りをつけた。
国王である夫ゴドウィンは踊り子上がりの寵姫マルベルに夢中で、先に男児を産ませて寵姫の子を王太子にするとまで嘯いている。
隣国王女であったフランチェスカの莫大な持参金と、結婚による同盟が国を支えてるというのに、恩知らずも甚だしい。
「勝手にやってください。私は離宮で気ままに暮らしますので」
獣人の彼はつがいの彼女を逃がさない
たま
恋愛
気が付いたら異世界、深魔の森でした。
何にも思い出せないパニック中、恐ろしい生き物に襲われていた所を、年齢不詳な美人薬師の師匠に助けられた。そんな優しい師匠の側でのんびりこ生きて、いつか、い つ か、この世界を見て回れたらと思っていたのに。運命のつがいだと言う狼獣人に、強制的に広い世界に連れ出されちゃう話
【完結】誰にも相手にされない壁の華、イケメン騎士にお持ち帰りされる。
三園 七詩
恋愛
独身の貴族が集められる、今で言う婚活パーティーそこに地味で地位も下のソフィアも参加することに…しかし誰にも話しかけらない壁の華とかしたソフィア。
それなのに気がつけば裸でベッドに寝ていた…隣にはイケメン騎士でパーティーの花形の男性が隣にいる。
頭を抱えるソフィアはその前の出来事を思い出した。
短編恋愛になってます。
夫の色のドレスを着るのをやめた結果、夫が我慢をやめてしまいました
氷雨そら
恋愛
夫の色のドレスは私には似合わない。
ある夜会、夫と一緒にいたのは夫の愛人だという噂が流れている令嬢だった。彼女は夫の瞳の色のドレスを私とは違い完璧に着こなしていた。噂が事実なのだと確信した私は、もう夫の色のドレスは着ないことに決めた。
小説家になろう様にも掲載中です
幼妻は、白い結婚を解消して国王陛下に溺愛される。
秋月乃衣
恋愛
旧題:幼妻の白い結婚
13歳のエリーゼは、侯爵家嫡男のアランの元へ嫁ぐが、幼いエリーゼに夫は見向きもせずに初夜すら愛人と過ごす。
歩み寄りは一切なく月日が流れ、夫婦仲は冷え切ったまま、相変わらず夫は愛人に夢中だった。
そしてエリーゼは大人へと成長していく。
※近いうちに婚約期間の様子や、結婚後の事も書く予定です。
小説家になろう様にも掲載しています。
軽い気持ちで超絶美少年(ヤンデレ)に告白したら
夕立悠理
恋愛
容姿平凡、頭脳平凡、なリノアにはひとつだけ、普通とちがうところがある。
それは極度の面食いということ。
そんなリノアは冷徹と名高い公爵子息(イケメン)に嫁ぐことに。
「初夜放置? ぜーんぜん、問題ないわ!
だって旦那さまってば顔がいいもの!!!」
朝食をたまに一緒にとるだけで、満足だ。寝室別でも、他の女の香水の香りがしてもぜーんぜん平気。……なーんて、思っていたら、旦那さまの様子がおかしい?
「他の誰でもない君が! 僕がいいっていったんだ。……そうでしょ?」
あれ、旦那さまってば、どうして手錠をお持ちなのでしょうか?
それをわたしにつける??
じょ、冗談ですよね──!?!?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる