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王子の呪いはいい感じ
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次に王子にあったのは、それから2-3年後。
王子はまた呪われていた。
赤子ではなく、ずいぶん子どもらしい姿になった王子は、前と同じベッドでウンウン唸りながら眠っている。
「…今回のものも中々」
そう言って今回も前回と同じように王子の呪いを頂戴した。
今回もそれなりに強い呪いだったので、私の寿命は2-3年延びただろう。
◇
それからまた2-3年後。
私はまた王子の部屋にいた。
はじめて来たときと部屋の様子はだいぶ変わったが、王子は相変わらず呪いにかかっており、いつもと同じベッドでゼーゼーウンウンいって眠っていた。
「相変わらず、私好みのすごい呪いにかかっているな」
そう言って今回もまた王子の呪いを頂戴した。
いつもと同じように、私の寿命は2-3年延びたことだろう。
◇
それからまた2-3年後。
いつものごとく私は、王子の呪いを頂戴した。
◇
それからまた2-3年後。
もはや、お決まりのパターンになっているような気もするが、またもや王子は呪いにかかっていた。それも、今までで1番の呪いに。
ずいぶん大きく豪華になったベッドの上で、すっかり大きくなった王子はしかし、ウンともスンとも言わず、死んだように横たわっていた。
(というよりこれは…)
「ほぼ死にかけているな…」
来るのが遅れてしまったろうかと思いながら、額に手を載せる。ひんやりとしており体温としてはまさに死人のそれだが、かろうじて息はありそうだ。
「これならば、まぁなんとか、なる…かな?」
器が死んでしまうと、呪いをいただくことができないため、いつもより強い力を早々に王子の体に巡らせる。すると、ドクリと王子の身体が跳ねる。
「大丈夫。君の呪いは、私が美味しくいただいてやる」
そう言いながら、王子の胸をポンポンと軽く叩いた。
そして、いつもと同じように私の力ごと王子の呪いも引き抜いて、取り込んだ。
「…っ!…っ~!!」
(…っ、こ、れは、っすごい!)
想像以上の威力を秘めた呪いだった。
私の身体がボコボコと波打っている。腕も足も首も腹や背でさえも、全身が激しく波打ち、痙攣している。
こんなすごい呪いは、それなりに長い生を生きてきた私にとってもはじめてだった。
(これは…なじむのに相当時間がかかるな)
しかし、その見返りはじゅうぶん得られそうだ。
「これなら、むこう20-30年はいけるかな」
フフフと、つい上機嫌になってしまう。
王子の額からいったん手を離すが、もう1度手をかざす。
上機嫌ゆえのきまぐれだった。
「魔女アリアの加護を君に」
そう言うと、少しだけ力を王子の身体に巡らせた。
「これで君は今回以上の呪いでなければ、もう呪いの類いにかかることはない」
思えば、同じ人間のところに何度も通うことなど、はじめてのことだった。
それだけ王子が何度も強力な呪いにかかっており、その呪いが私にとって魅力的だったからではあるが。
「もうきっと、君のもとに来ることはないだろう」
そう言って王子の額から手を離そうとした。
したのに。
「それは困りますね」
震える手が、私の腕をつかんだ。
王子はまた呪われていた。
赤子ではなく、ずいぶん子どもらしい姿になった王子は、前と同じベッドでウンウン唸りながら眠っている。
「…今回のものも中々」
そう言って今回も前回と同じように王子の呪いを頂戴した。
今回もそれなりに強い呪いだったので、私の寿命は2-3年延びただろう。
◇
それからまた2-3年後。
私はまた王子の部屋にいた。
はじめて来たときと部屋の様子はだいぶ変わったが、王子は相変わらず呪いにかかっており、いつもと同じベッドでゼーゼーウンウンいって眠っていた。
「相変わらず、私好みのすごい呪いにかかっているな」
そう言って今回もまた王子の呪いを頂戴した。
いつもと同じように、私の寿命は2-3年延びたことだろう。
◇
それからまた2-3年後。
いつものごとく私は、王子の呪いを頂戴した。
◇
それからまた2-3年後。
もはや、お決まりのパターンになっているような気もするが、またもや王子は呪いにかかっていた。それも、今までで1番の呪いに。
ずいぶん大きく豪華になったベッドの上で、すっかり大きくなった王子はしかし、ウンともスンとも言わず、死んだように横たわっていた。
(というよりこれは…)
「ほぼ死にかけているな…」
来るのが遅れてしまったろうかと思いながら、額に手を載せる。ひんやりとしており体温としてはまさに死人のそれだが、かろうじて息はありそうだ。
「これならば、まぁなんとか、なる…かな?」
器が死んでしまうと、呪いをいただくことができないため、いつもより強い力を早々に王子の体に巡らせる。すると、ドクリと王子の身体が跳ねる。
「大丈夫。君の呪いは、私が美味しくいただいてやる」
そう言いながら、王子の胸をポンポンと軽く叩いた。
そして、いつもと同じように私の力ごと王子の呪いも引き抜いて、取り込んだ。
「…っ!…っ~!!」
(…っ、こ、れは、っすごい!)
想像以上の威力を秘めた呪いだった。
私の身体がボコボコと波打っている。腕も足も首も腹や背でさえも、全身が激しく波打ち、痙攣している。
こんなすごい呪いは、それなりに長い生を生きてきた私にとってもはじめてだった。
(これは…なじむのに相当時間がかかるな)
しかし、その見返りはじゅうぶん得られそうだ。
「これなら、むこう20-30年はいけるかな」
フフフと、つい上機嫌になってしまう。
王子の額からいったん手を離すが、もう1度手をかざす。
上機嫌ゆえのきまぐれだった。
「魔女アリアの加護を君に」
そう言うと、少しだけ力を王子の身体に巡らせた。
「これで君は今回以上の呪いでなければ、もう呪いの類いにかかることはない」
思えば、同じ人間のところに何度も通うことなど、はじめてのことだった。
それだけ王子が何度も強力な呪いにかかっており、その呪いが私にとって魅力的だったからではあるが。
「もうきっと、君のもとに来ることはないだろう」
そう言って王子の額から手を離そうとした。
したのに。
「それは困りますね」
震える手が、私の腕をつかんだ。
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