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0章 プロローグ

女神とスキル①

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ふと周りを見ればいかにも不思議な空間である。

まるでお城の中庭のような…

色とりどりの花が咲き誇り、見たことのない模様の蝶が羽ばたいている。

噴水があり、テーブルがあり、ここがこの世の楽園といって差し支えないような穏やかな庭園が広がっていた。


ふと周りを見渡すと先ほどの美少女が未だ佇んでいる。



「俺は死んだのかな?するとここは天国?」

やけに冷静な考えが頭の中で湧いてくる。

楓希は元々非常に冷静に物事を考えられる方だと自覚している。非常事態に陥るほどに頭はクールになるのだ。癖で状況が逼迫している程に「にやり」と笑顔を浮かべてしまうのだけは直さねばならないが。


とはいえ、ここまで取り乱しもせずにいられるのはあまりにも今までの現実とはかけ離れた現在の状況によるものか。
そりゃそうだよな。目の前の少女なんて、背に6枚もの純白の羽をつけている。


俺は佇んでいる少女に声をかけようと思い、立ち上がった瞬間

『なんでここにいらっしゃるのですか?』

いたいけな少女が真っ直ぐな目で問いかけてきた。

それは俺が聞きたい。
ここはどこで、君は誰で、俺はどうなったのかと。

問いの一つ目を投げかける前に、続け様に少女は発した。

『…どのようにして貴方がここにいるのかは今は分かりかねますが、ここに存在する以上はなにかの意味を持つ魂ということ。
少し話をしましょうか。…トキトウフウキさん。』

幼気な瞳をこちらに向け、少女は会話を促してきた。


『私の名前はルミエール。喋れますか?』

「ルミエールちゃん?
…初めまして、時透楓希と言います。…あれ?でも名前を知って…」

『ルミエール…ちゃん……まぁいいでしょう…
トキトウフウキさん。名前は既に存じております。私は星の管理者のルミエールと申します。
あちらの世とこちらの世を繋ぐ、橋渡しの大天使です。』


「はぁ。ご丁寧にありがとうございます。大天使ルミエール様。」
(あちらの世とこちらの世とはどちらの世でありましょうか?笑 なんて聞けないよなー。)


『ずいぶんあっさりとした反応ですね。
普通は色々と気になったりするのではないのですか?』


「そうですね、有り体にいえば私は死んだのですか?ここはどこですか?大天使?とか色々あるんですが…【異世界転生物の漫画みたいですね!】が一番しっくりくるというのが今の本音です。」


『そうですね、今の状況的にいえばそのような形で思って頂いても構いません。』


「…天使様が異世界転生物の漫画なんて知ってるんですね。」


『二つの世界の事象は把握しているつもりです。』

(さすがダイテンシサマー。パチパチ。)
などとどうでもいい事を思っていると、続けて美少女もとい大天使ルミエールは語り出した。
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