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第1話
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昼休み。
丁度日光の影になっている裏庭のベンチに、2人の少女が座っていた。
「それでですね、早瀬さんに聞きたいことがありまして」
綺麗に整った長い黒髪の少女が、隣に座っている金髪ツーテールの少女に問いかける。
「私、恋愛というものがしてみたいのです!」
黒髪ロングの少女・鷹華は、良いとこのお嬢様育ちなせいもあってか、高校に入学した今の今まで、恋愛とは全くと言っていい程に無縁な人生であった。
「何故それを私に聞く・・・」
金髪ツーテールの少女・篁 早瀬は、苦笑いを浮かべなら返事を返す。
実の所、早瀬もこれまでの人生で彼氏が出来たことがないのである。
「だって早瀬さん、中学の頃よく男子の友達と仲良くお話をしていたじゃないですか」
「まぁ、そうだけどさ・・・」
とはいえ、まともに男子と接したことがない鷹華とは違い、早瀬は男子とも仲が良かった。
ただ彼女は、少々強気で男勝りな部分があるせいか、男子と恋愛に発展したことはない。
「それで、恋愛とはどのように始めたら良いのかアドバイスを聞きたくてですね!」
そう言えば鷹華は昔から好奇心の強い少女であったと、そう早瀬は思い出した。
中学の頃、突然「カラスは卵から育てると人に懐くそうですよ!」と言い出した鷹華が、虫取り網を片手に、小綺麗なスカートをひらひらさせて山へ向かっていったのは特に印象的な思い出である。
「恋愛の始め方? そうねぇ・・・」
早瀬はそんな天真爛漫な鷹華の事を、放っておけないタチなのであった。
「鷹華さ、中学の時に男子からケータイのアドレス交換しようって言われたの覚えてる?」
「あ、はい。覚えています。でも両親から「携帯電話を持っても良いけど、知らない人と連絡を取ったりしてはいけません」と言われていたので、断ったんですよね」
「それよ! それが恋愛よ!」
過保護に育てられている鷹華であった。
「えっ、あれって恋愛だったのですか!?」
「そう! あれが恋愛の入り口みたいなものよ。そして貴女はその入り口を素通りしたのよ」
「・・・そうだったのですか」
鷹華は、目から鱗が落ちた様子で驚いた顔を浮かべていた。
「そういうこと。鷹華はさ、顔もカワイイし、言動も気品があって、実は男子から超モテてるのよ?
でも高嶺の花って言うの? 男子から見ると鷹華は近寄りがたいのよ。
だから鷹華の方から話かけたりすれば、自然と相手との距離が近くなるんじゃないの?」
「なるほど。つまり恋愛を始めるのであれば、自分からその恋愛の入り口を・・・つまり、まずは男子とアドレスを交換すれば良いのですね」
「まぁ、そうね。まずはそうやって連絡先を交換して・・・」
「わかりました。ちょっと席を外します!」
すっと立ち上がる鷹華。
「へ? ちょっと何処に・・・」
話の流れがよく分からず、ぽかんとした顔を浮かべる早瀬。
「アドバイスありがとうございます、早瀬さん!」
そうして、鷹華は駆け足で裏庭から去っていく。
「ちょ、ちょっと!」
そうして、一人裏庭に残される早瀬であった。
丁度日光の影になっている裏庭のベンチに、2人の少女が座っていた。
「それでですね、早瀬さんに聞きたいことがありまして」
綺麗に整った長い黒髪の少女が、隣に座っている金髪ツーテールの少女に問いかける。
「私、恋愛というものがしてみたいのです!」
黒髪ロングの少女・鷹華は、良いとこのお嬢様育ちなせいもあってか、高校に入学した今の今まで、恋愛とは全くと言っていい程に無縁な人生であった。
「何故それを私に聞く・・・」
金髪ツーテールの少女・篁 早瀬は、苦笑いを浮かべなら返事を返す。
実の所、早瀬もこれまでの人生で彼氏が出来たことがないのである。
「だって早瀬さん、中学の頃よく男子の友達と仲良くお話をしていたじゃないですか」
「まぁ、そうだけどさ・・・」
とはいえ、まともに男子と接したことがない鷹華とは違い、早瀬は男子とも仲が良かった。
ただ彼女は、少々強気で男勝りな部分があるせいか、男子と恋愛に発展したことはない。
「それで、恋愛とはどのように始めたら良いのかアドバイスを聞きたくてですね!」
そう言えば鷹華は昔から好奇心の強い少女であったと、そう早瀬は思い出した。
中学の頃、突然「カラスは卵から育てると人に懐くそうですよ!」と言い出した鷹華が、虫取り網を片手に、小綺麗なスカートをひらひらさせて山へ向かっていったのは特に印象的な思い出である。
「恋愛の始め方? そうねぇ・・・」
早瀬はそんな天真爛漫な鷹華の事を、放っておけないタチなのであった。
「鷹華さ、中学の時に男子からケータイのアドレス交換しようって言われたの覚えてる?」
「あ、はい。覚えています。でも両親から「携帯電話を持っても良いけど、知らない人と連絡を取ったりしてはいけません」と言われていたので、断ったんですよね」
「それよ! それが恋愛よ!」
過保護に育てられている鷹華であった。
「えっ、あれって恋愛だったのですか!?」
「そう! あれが恋愛の入り口みたいなものよ。そして貴女はその入り口を素通りしたのよ」
「・・・そうだったのですか」
鷹華は、目から鱗が落ちた様子で驚いた顔を浮かべていた。
「そういうこと。鷹華はさ、顔もカワイイし、言動も気品があって、実は男子から超モテてるのよ?
でも高嶺の花って言うの? 男子から見ると鷹華は近寄りがたいのよ。
だから鷹華の方から話かけたりすれば、自然と相手との距離が近くなるんじゃないの?」
「なるほど。つまり恋愛を始めるのであれば、自分からその恋愛の入り口を・・・つまり、まずは男子とアドレスを交換すれば良いのですね」
「まぁ、そうね。まずはそうやって連絡先を交換して・・・」
「わかりました。ちょっと席を外します!」
すっと立ち上がる鷹華。
「へ? ちょっと何処に・・・」
話の流れがよく分からず、ぽかんとした顔を浮かべる早瀬。
「アドバイスありがとうございます、早瀬さん!」
そうして、鷹華は駆け足で裏庭から去っていく。
「ちょ、ちょっと!」
そうして、一人裏庭に残される早瀬であった。
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