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3章
黒霧を抜けた先の
しおりを挟むユークリウッドを追い、住宅街を走る式利。
すると、近くの民家から女性の悲鳴が聞こえた。
その民家の壁には、ユークリウッドが壊したと思われる穴が開いている。
「ちっ、まだ人が残っているんですか・・・」
式利は壁の穴を潜って民家へ入り、ユークリウッドの奇襲に警戒しつつも奥へ進む。
「うっ・・遅かったですか・・・」
そこには、一人の男性の死体に、今まさにユークリウッドの手によって殺された女性の死体が転がっていた。
そしてその奥、部屋の角で怯える少女と、腕を血に染めたユークリウッドの姿があった。
「いや、まだ間に合う・・・!」
式利は、腕に魔力を込め、魔法を放つ準備を整えた。
「・・・アリア。これで君を助けられる。君を死なせずに済む」
ユークリウッドは独り言をつぶやきながら、血で染まった左腕の刃を構え、怯える少女へ迫る。
「意味わかんない事、言ってんじゃないですよ!!!」
そのユークリウッドへ向け、式利は魔法の衝撃波を放ち、ユークリウッドの左腕を吹き飛ばした。
そして式利は魔法壁を展開し、ユークリウッドの進路を塞ぐ。
「今です、逃げますよ!!!」
式利は怯える少女の元へと駆けつける。
少女は恐怖から声が出せないのか、無言で頷いた。
「邪魔するな、アリアの邪魔を、するな・・・!」
憎悪を込めた声で呟くユークリウッド。
その手のひらには、何かの結晶が握られていた。
「最後の一つだが、しかたない」
パキパキと音を鳴らし、ユークリウッドの肩から、異形の腕が伸びる。
「っ!? まずいです!!! 早く、逃げてください!!!」
しかし、ユークリウッドは腕の一振りで魔法壁を砕き、一瞬で式利と少女の二人に接近する。
間にあわない。
そう察した式利は、少女を出口の方へと突き飛ばし、そして魔法壁を展開して、ユークリウッドの振るう腕を防ぐ。
しかし、その一撃は魔法壁を砕き、式利の身体を突き飛ばした。
「うぐあぁぁッ!!!」
突き飛ばされた式利の身体が、後ろの壁に叩きつけられる。
「うぐ・・・げほっ・・・うぁぁ・・・!!!」
式利はその衝撃で息が止まりそうになったが、咳込みながらもなんとか息を整える。
顔を上げると、少女が外に逃げ出たのが見えた。
だが、もうユークリウッドの興味は、少女ではなく式利にしか向いていなかった
式利へと迫るユークリウッド。
「ぐっ、この程度でやられて、センリさんのサポートが務まりますか・・・!」
式利は腕を翳し、迫りくるユークリウッドへ魔法を放つ。
だが、突き出した右腕からは、魔法の衝撃波は放たれなかった。
「ぁ・・・」
なぜなら、式利の右腕は、途中からへし折れていたからだ。
「ひっ・・・あああぁぁぁ!!! ぐあああぁぁぁ・・・!!!」
腕が折れていると脳が理解した瞬間、熱い刺激が身体を走った。
だが、式利はギリギリと歯を食いしばり、左腕に魔力を込め、魔法を放つ為に腕を突き出す。
しかし。
ユークリウッドの黒い刃が、式利の身体を貫いた。
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