子狐のウエディング

Sigune.

文字の大きさ
上 下
16 / 17
第3章

第15話

しおりを挟む
 「何だ?このウサギ」
小さなウサギを見たレオはデイドリームに聞いた。

 「いや、ペットだよ。ペット……」
デイドリームはわかりやすい嘘をついた。冷や汗が出る。

 「へぇー、お前ペットなんか飼ってたんだ。それならもっと早く言ってくれよ。にんじん持って行ったのに」
レオがそういう嘘に鈍《にぶ》くて良かった。

「じゃあ今度にんじん持ってお前ん家行くわ」
さすがに焦った。嘘がバレないように話を切ろうと「いや、この子にんじん食べないんだ。それより、試合行こうよ。ね?」と促《うなが》した。

「そう……だな。うん行こうか」

 レオは歩き出した。

 デイドリームはレオが良くも悪くも友達が多いのは“鈍くて素直な所”なんだなと思った。実際、今それに助けられた。デイドリームはそんなことを考えながら、レオに着いて行った——


 レオとデイドリームがフィールドに戻ると、リアムが居た。
「何をしてたのかな?」
「……怪しい人影が見えたので、追いかけていました」

 デイドリームは威圧感に耐えながら言った。

 リアムは追撃する。
「怪しい人は今、どこにいるのかな?」
デイドリームは迷った。ここでウサギ人間の事を言っても信用してもらえないだろうか。とても迷ったが、信用してもらえないと思い「見失ってしまいました」と答えた。

 「それも問題だが、時間も押している。今回は見逃すが、次からは当たり前だが、プレーヤー以外がフィールドに飛び出すことのないようにしてくれ」
「はい」
「じゃあ着いて来て」
とリアムが振り返った瞬間、デイドリームは安堵《あんど》した。
 
 デイドリームはフィールドへ向かう。
 
 レオは待機場へ向かう。

 リアムも待機場に向かう。
 
 ウサギ人間が何者かも知らずに————
しおりを挟む

処理中です...