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第二章 王国革命からの害虫貴族駆除編

126.では、始めましょうか。最終段階へと入った悪だくみの擦り合わせを……

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「では、始めましょうか。最終段階へと入った悪だくみの擦り合わせを……くいくい」

 姉妹とその従者のじゃれ合いが一段落つき、話が聞ける状態になったのを見計らって切り出すマイヤー。
 その顔は先ほどからの飄々とした態度から一点、稀代の策略家と言わんばかりな悪い顔へと変えていた。

「まず、そちらの王位簒奪劇と大掃除はまぁ概ね予定通りといったところですか」

「予定通りではあるけど、まさかトビアス様が初期の段階から関わってたなんて驚いたわよ」

「あのお方のお墨付きがなければ、いくら私でもこんな大それた事企みませんよ。くいくい」

「……ねぇ、なんか普通に悪だくみを進めてるけど、その前に一つ突っ込み入れていい?お義姉ちゃん、なんで筋トレしながら話聞いてるの!!」

「なんでってクラーラ、筋トレはいつもの日課だからに決まってるじゃない。ひっひっふーひっひっふー」

「だ~か~ら~!!大事な話を筋トレしながら聞くなんて、いくらなんでもそれマイヤー様に失礼だって!!」

「いえ、私は構いません。さらにいえばキャミソールとドロワーズという大胆な恰好で玉汗を散らせながら鉄アレイを持ち上げる姿。読者サービスという意味では実に美味しい場面でしょう……えぇ、私のような紳士でなければ狼になるところでしょう。くいくい」

「何言ってるの?普通の人は狼になんてなれないでしょ」

「いえいえお嬢様。こういう場合は送り狼という意味です。ですが、仮に狼となられても私がその粗末な毛皮をはぎ取って対処しますのでご安心ください」

「……あーわかったわかった。マイヤー様がいいならもう好きにすればいいよ。全く常識人な私はこうやって苦労すればいいんだわ~しくしく」

 この場に味方はいない。
 そう判断し、泣き真似しながら引き下がる自称常識人のクラーラであるが……彼女は気付いていなかった。

 この場合の問題は筋トレではなく、アーデルの恰好。
 仮にも男の前で披露するような恰好ではないのに、普段はキャミソールすら脱いでドロイチと肩からかけたタオル一枚で筋トレする姿に比べればまだマシという理論でもっでスルーしてしまったのである。

 仮の話であるが、今ここにロッテンが居ればこの場全員に鋼のハリセンを叩きこむこと確定であろう。だが、彼女は現在戦地での戦後処理……主に意図せず具現化させてしまった地獄絵図の隠蔽に忙殺中。
 出来る事は当事者に届かない事を承知の上で、虚空へ向けて突っ込みを入れるぐらいである。

 そんな突っ込み役不在という恐怖しかない深夜の悪だくみは……




「ふむ。明日の調停式の準備は順調なようですね」

「昼には今回の戦争に関する経緯を全て暴露させる御触れを王印付きで出したし、サクラも使って煽ったから民衆はもう私達の味方。クズを擁護する奴はいないはずよ」

 意外にも真面目に進んでいた。

 だが、それは当然といえば当然。
 二人は次期王太子妃と次期宰相補佐という政務の中核を担う存在だ。

 片やクラーラを背中に乗せて指立て伏せの最中。
 片や侍女3姉妹から石抱きの刑を受けてる最中っというカオスな現場であろうとも、会話の内容自体はまともなのである。

「残念ながら、クズの擁護はせずともアーデル様を排斥したい連中はまだそれなりにいます。その中の過激派は決起を企んでたそうですが、そうした連中はアーデル様の兄上様に片付けてもらうそうです。今頃はその決起集会に踏み込んで、地獄絵図が繰り広げられてるでしょう」

「……そ、そう。まだ居たんだっという想いあるけど、それ以上に兄さん達が動いてるってなにそれ?私そんな話一つも聞かされてないんだけど……メイ、聞いてる?」

「いえ。そんな報告あがってません。クラーラ様は?」

「政務にノータッチの私が知ってると思ってる?ユキとマイは?」

「「しらな~い」」

「知らなくて当然です。この一件はドム爺様が独自に動いた案件。おそらくアーデル様に余計な負担をかけさせないよう、あえて隠したのでしょう。
 だから私にお任せください。何か不都合があっても私の責任でもみ消しますので安心してくださいませ。キラーン」

 太ももに20kgの石が5個乗せられている状態ながらも、平然と眼鏡を光らせてどや顔するマイヤー。
 その姿はシュール過ぎて突っ込みどころ満載……さすがのアーデルも突っ込むべきっと判断しつつも、突っ込んだら負けな気がしたので全力スルーを選択。

「ソ、ソーナノカー。ジャァモロモロノアトカタヅケゼンブオネガイイタシマスワ~」

 少々ハイライトが消えかかった目でこの案件をぶん投げる事にした。
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