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第二章 王国革命からの害虫貴族駆除編
123.ふぅぅ……ようやく一段落ついたわ
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クラーラにクズ一派の生き残りともいえる貴族子息達の処分を任せた後の謁見は、スムーズに進行した。
ある意味当然であろう。他の貴族達は王国の現状を……クズを旗頭にした馬鹿貴族達が引き起こした戦争で大敗。王国の国庫の中身を全部持ち出さないと払えないような多額の賠償金を即座に支払う羽目となったせいで、財政破綻起こしてる現状を正確に把握してるからだ。
外から金をかき集めようとも、多額の資金を持つ裕福な貴族家はゼーゼマン公爵家やアムル辺境伯家と懇意にしてる家が大半。彼等はこの一件ですでに王家を見限ってるとみていいだろう。
商業ギルドも同様、クズ王太子のやらかしのせいでそっぽ向かれてる状況だ。金の工面なんてまず間違いなく拒否される。
再度戦争を……戦力をかき集めてのリベンジもこちらの正義を示せるような大義がないから起こせない。
いや、難癖付ければ起こす事はできるも、そうなればアーデルが率いるアムル家の私兵軍団が立ちはだかる。
王国どころか世界最強ともいえる戦闘集団と敵対すれば、昨夜に粛清された愚かな貴族達と同じ末路を迎えるだろう事は確定的に明らか。
つまり、王国は完全に詰んでいるのだ。
王国が取れる手段はただ一つ……
王国そのものをゼーゼマン家の背後にいる帝国へ明け渡す。
それぐらいしかない……という中、アーデルは自身が即位する事で王国の危機を脱するどころか、さらなる繁栄が約束できる道を示した。
そのための手段は、集まった貴族達視線で語れば想像の斜め上であり……
勘の鋭い者は最初から仕組まれた策略。マッチポンプともいうべき自作自演劇だと察した。
だが、察した所でアーデルの案に反対する理由などない。
反対すれば王国が帝国に吸収され、自分達は巻き添え的に大損を食らう。最悪の場合は危険分子として消される可能性すらある。
逆に賛成すれば王国が存続されるばかりかおこぼれを……この一件で潰された貴族家が持っていた多種多様な利権のおこぼれに授かれる。
事実、目ざとい者……昔からアムル家と商売相手という繋がりを持っていたギスカーン伯爵家当主ジーンは真っ先にアーデルの即位を祝い、新たな忠誠を誓った。
そのおかげで伯爵家はその場で侯爵家への陞爵が内定。
こうなれば、もう止まらない。
集まった者達は純粋に忠誠を誓う者もいれば、腹の中に逸物を抱え込んでたり、よくわからず周囲に流されたりっと様々な思惑がある。だが、彼等は共通して今この場でアーデル即位に反対するという愚行だけは避ける程度の分別はあった。
まぁ、分別もなく愚行をおかしそうな連中は事前に排除していたから当然の結果ともいうが……
王国の実権を握っている王妃や宰相といった重鎮が不在なので(仮)であるも、謁見の間に招聘された者達全員からアーデルが次期王……フランクフルト王国の長い歴史でも珍しい女王としての即位を認められたのである。
「ふぅぅ……ようやく一段落ついたわ」
時刻はすっかり日も暮れた夜。
今日中に済ませないといけない仕事やら明日の仕込みを終えたアーデルは王宮内で割り当てられている寝室に戻って一息着いた。
「アーデルお義姉ちゃん。お仕事お疲れ様」
「クラーラもね。特に馬鹿達の処刑という余計な仕事をまわしてごめんなさいね」
「悪いと思うなら、人を抱き枕にしないでほしいんだけど……」
クラーラが苦笑する通り、アーデルはクラーラを背後から両手両足でしっかりホールド。ある業界の言葉を持ち出すなら『だいしゅきホールド』をかましていた。
下手すればこのままベットに連れ込まれてアーッとかされそうな勢いながらも、アーデルは今の所そこまでする気はないらしい。
「ハァハァ……ハァハァ……クラーラの体温……匂い……そしてこの柔らかさ。いつもの等身大抱き枕人形と違ってやっぱり本物は断然違うわ~~~~~ハァハァハァハァ……(別にいいじゃない。昔はこうやってスキンシップしてたのだし、私的な場でぐらいは堪能させて頂戴よ)」
今のところは……ないらしい?
「…………ねぇユキとマイ。この変態、どうすればいいと思う?」
「「メイ姉さん、どうすればいいと思う?」」
「こんな夜更けにクラーラ様が寝室で待機してたらこうなるのは必然でしょう。それに変態といえば……」
「失礼ですね、私は紳士ですよ」
「「………((((いや、こんな夜にうら若い乙女の寝室へと侵入して待機する男のどこが紳士だ!!仮にいたとしたら、それは変態と言う名の紳士だ!!!))))」」
クラーラと机をはさんだ反対側の席に座るマイヤーに対し、クラーラと3人の侍女は即座に心の中で突っ込みを入れる。
口に出さないのは、マイヤーは口から先に生まれたのではないのかっと言わんばかりに弁が立つからだ。
それでも、クラーラは商人としての経験から弁が立つ方。舌戦での勝ち目は全くないわけでないが、勝負に勝った所で得られる利益より損害の方が大きいからっと即断で試合放棄。
マイヤーを不審者として衛兵に突き出せばその後の策略。アーデルに王位を簒奪させ、クズとその一派を徹底的に潰す策略の要を失う羽目になる。
そうなると……
((((あーこれはあれか。後でロッテン様に告げ口してお仕置きという名前のご褒美をもらう流れ……))))
……
…………
………………
((((やっぱりこいつは変態という名の紳士じゃねーか!!))))
だが、マイヤーはこの簒奪劇の成否に関わる重要な駒。機嫌損ねて裏切られる危険性を考えれば、思惑通りに動いてご機嫌を取る方が得策。
結局のところ、マイヤーの思惑通りに動かざるを得ないのだ。
そんな4人の内心に満足したのか、マイヤーはにやりと笑う。そして……
「さて、主役も来たのでお遊びをさっさと終わらせましょうか……E5にクイーンをことりっと」
テーブル上のチェス盤にて、お遊びは終わりだっと言わんばかりの一手を打った。
ある意味当然であろう。他の貴族達は王国の現状を……クズを旗頭にした馬鹿貴族達が引き起こした戦争で大敗。王国の国庫の中身を全部持ち出さないと払えないような多額の賠償金を即座に支払う羽目となったせいで、財政破綻起こしてる現状を正確に把握してるからだ。
外から金をかき集めようとも、多額の資金を持つ裕福な貴族家はゼーゼマン公爵家やアムル辺境伯家と懇意にしてる家が大半。彼等はこの一件ですでに王家を見限ってるとみていいだろう。
商業ギルドも同様、クズ王太子のやらかしのせいでそっぽ向かれてる状況だ。金の工面なんてまず間違いなく拒否される。
再度戦争を……戦力をかき集めてのリベンジもこちらの正義を示せるような大義がないから起こせない。
いや、難癖付ければ起こす事はできるも、そうなればアーデルが率いるアムル家の私兵軍団が立ちはだかる。
王国どころか世界最強ともいえる戦闘集団と敵対すれば、昨夜に粛清された愚かな貴族達と同じ末路を迎えるだろう事は確定的に明らか。
つまり、王国は完全に詰んでいるのだ。
王国が取れる手段はただ一つ……
王国そのものをゼーゼマン家の背後にいる帝国へ明け渡す。
それぐらいしかない……という中、アーデルは自身が即位する事で王国の危機を脱するどころか、さらなる繁栄が約束できる道を示した。
そのための手段は、集まった貴族達視線で語れば想像の斜め上であり……
勘の鋭い者は最初から仕組まれた策略。マッチポンプともいうべき自作自演劇だと察した。
だが、察した所でアーデルの案に反対する理由などない。
反対すれば王国が帝国に吸収され、自分達は巻き添え的に大損を食らう。最悪の場合は危険分子として消される可能性すらある。
逆に賛成すれば王国が存続されるばかりかおこぼれを……この一件で潰された貴族家が持っていた多種多様な利権のおこぼれに授かれる。
事実、目ざとい者……昔からアムル家と商売相手という繋がりを持っていたギスカーン伯爵家当主ジーンは真っ先にアーデルの即位を祝い、新たな忠誠を誓った。
そのおかげで伯爵家はその場で侯爵家への陞爵が内定。
こうなれば、もう止まらない。
集まった者達は純粋に忠誠を誓う者もいれば、腹の中に逸物を抱え込んでたり、よくわからず周囲に流されたりっと様々な思惑がある。だが、彼等は共通して今この場でアーデル即位に反対するという愚行だけは避ける程度の分別はあった。
まぁ、分別もなく愚行をおかしそうな連中は事前に排除していたから当然の結果ともいうが……
王国の実権を握っている王妃や宰相といった重鎮が不在なので(仮)であるも、謁見の間に招聘された者達全員からアーデルが次期王……フランクフルト王国の長い歴史でも珍しい女王としての即位を認められたのである。
「ふぅぅ……ようやく一段落ついたわ」
時刻はすっかり日も暮れた夜。
今日中に済ませないといけない仕事やら明日の仕込みを終えたアーデルは王宮内で割り当てられている寝室に戻って一息着いた。
「アーデルお義姉ちゃん。お仕事お疲れ様」
「クラーラもね。特に馬鹿達の処刑という余計な仕事をまわしてごめんなさいね」
「悪いと思うなら、人を抱き枕にしないでほしいんだけど……」
クラーラが苦笑する通り、アーデルはクラーラを背後から両手両足でしっかりホールド。ある業界の言葉を持ち出すなら『だいしゅきホールド』をかましていた。
下手すればこのままベットに連れ込まれてアーッとかされそうな勢いながらも、アーデルは今の所そこまでする気はないらしい。
「ハァハァ……ハァハァ……クラーラの体温……匂い……そしてこの柔らかさ。いつもの等身大抱き枕人形と違ってやっぱり本物は断然違うわ~~~~~ハァハァハァハァ……(別にいいじゃない。昔はこうやってスキンシップしてたのだし、私的な場でぐらいは堪能させて頂戴よ)」
今のところは……ないらしい?
「…………ねぇユキとマイ。この変態、どうすればいいと思う?」
「「メイ姉さん、どうすればいいと思う?」」
「こんな夜更けにクラーラ様が寝室で待機してたらこうなるのは必然でしょう。それに変態といえば……」
「失礼ですね、私は紳士ですよ」
「「………((((いや、こんな夜にうら若い乙女の寝室へと侵入して待機する男のどこが紳士だ!!仮にいたとしたら、それは変態と言う名の紳士だ!!!))))」」
クラーラと机をはさんだ反対側の席に座るマイヤーに対し、クラーラと3人の侍女は即座に心の中で突っ込みを入れる。
口に出さないのは、マイヤーは口から先に生まれたのではないのかっと言わんばかりに弁が立つからだ。
それでも、クラーラは商人としての経験から弁が立つ方。舌戦での勝ち目は全くないわけでないが、勝負に勝った所で得られる利益より損害の方が大きいからっと即断で試合放棄。
マイヤーを不審者として衛兵に突き出せばその後の策略。アーデルに王位を簒奪させ、クズとその一派を徹底的に潰す策略の要を失う羽目になる。
そうなると……
((((あーこれはあれか。後でロッテン様に告げ口してお仕置きという名前のご褒美をもらう流れ……))))
……
…………
………………
((((やっぱりこいつは変態という名の紳士じゃねーか!!))))
だが、マイヤーはこの簒奪劇の成否に関わる重要な駒。機嫌損ねて裏切られる危険性を考えれば、思惑通りに動いてご機嫌を取る方が得策。
結局のところ、マイヤーの思惑通りに動かざるを得ないのだ。
そんな4人の内心に満足したのか、マイヤーはにやりと笑う。そして……
「さて、主役も来たのでお遊びをさっさと終わらせましょうか……E5にクイーンをことりっと」
テーブル上のチェス盤にて、お遊びは終わりだっと言わんばかりの一手を打った。
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