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第二章 王国革命からの害虫貴族駆除編
121.一族相伝の奥義でもって、あなた方の罪に私自らが処罰を与えましょう ※ 4度目の害虫貴族駆除回(その12)
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アーデルよりもクラーラの方が王位にふさわしい。
そして、クラーラの伴侶となった者は王の座に就ける。
これはクラーラの出自を知った馬鹿達の共通の想いであった。
だからこそクラーラを王座に就けるよう説得し、あわよくば婚約者と先ほどまで思ってたのだが……
「再度言いますが、私を王の座に就けようとする者は、未来の女王となるアーデルお義姉様への許されざる反逆行為と言えます。
辺境の防衛を担うアムル家当主様直々に伝授してもらった一族相伝の奥義でもって、あなた方の罪に私自らが処罰を与えましょう。うふふふふ……」
口を三日月のごとく歪ませながら笑うクラーラの姿に……
命を無造作に刈り取る死神のごとき佇まいに馬鹿達は気付いた。
自分達はとんでもない勘違いを……
クラーラが万人に優しい女神の顔だけでなく、容赦ない死を与える死神の側面を持っていた事を……
クラーラへ返答できるよう、猿轡を外された馬鹿達は許しを乞うのごとく必死に叫ぶ。
「い、いえいえ!!そんな事は考えておりません!!!」
「ア、アーデル様こそが女王陛下にふさわしいお方です!!」
「今までの無礼をお許しください!!」
「無礼って、私まだ貴方達に無礼受けた覚えないけど?」
「えっ?」
死神な佇まいから一転、きょとんっと首を傾げられた事で思い出した。
クラーラはクズ一派から絶大な人気や支持を得ている、いわば姫。ある業界の言葉を借りるならオタサーの姫だ。
恐れ多くて無礼なぞ働くという発想すらでない。
まるっきり見当違いな謝罪を受けた事で、クラーラから胡乱な目でみられる馬鹿の一人に周囲は咎める。
「この馬鹿が!!クラーラ様になんて口を聞く!!」
「謝れ!!クラーラ様に謝れ!!!」
クラーラは何も言ってないのに、勝手に勘違いして勝手にクラーラのためと思い込んで動く馬鹿達にクラーラは「どうしようか?」っとばかりにメイをみる。
(そうですね。ではこんな趣向はいかがでしょうか?)
(いいねそれ。採用)
アイコンタクトのみのやり取りであるも、互いに意思疎通を終えた二人はぐっと親指を立てる。
また、二人の企みはお付きの衛兵達も理解したようだ。共に親指を立ててくれたところで、クラーラは『おほん』っとわざとらしく咳払い。
「君たちは私をほったらかしにして、何勝手に内輪揉めしてのかね?なんなら、今すぐまとめて殺してやってもいいけど」
「「「はっ!?」」」
クラーラに指摘され、自分達は何やっていたかを気付く馬鹿達。
あまりの気まずさに馬鹿達から冷や汗が垂れる。
このままでは殺される……っと思い、再度必死に弁明しようとする前にクラーラの口が先に動いた。
「わかったならよし。私は許しましょう」
にっこりと慈悲を与えられた事で馬鹿達は安堵する。
助かったと思うも…………クラーラはさらに付け加えた。
「だが、こいつらは許すかな?」
「「「えっ?」」」
クラーラは丁寧に指さしながら、『こいつら』と言った。
だから、クラーラの言うこいつらとは見張りとしてついてきたメイや衛兵を示した事に気付くも……
ザシュー
ザクー
グサー
「残念、許してもらえなかったみたいだね」
「「「がはっ?!」」」
各々ナイフで頸動脈をかっさばかれたり、剣で背中をばっさり斬られたり、槍で背から腹を貫通されたりといろいろであったが、皆共通して致命傷を負わされた。
皆ほぼ同時に口から鮮血を吐き出しながら倒れこむ。
自分達は一体なぜ、血の海に沈んでるのか……
なぜこうなったか理解が及ばない……
そんな馬鹿達の思考を見越してか、クラーラは丁寧に解説する。
「まだ息があるようなら教えてあげる。君たちはこれから死ぬの。
アーデルお義姉様……もとい、アーデル女王様に楯突こうとした反逆者の末路として、さらし首に晒すの。
何を馬鹿なって言いたそうな顔だけど、王位を狙うってのはこういう事。君たちがアーデルお義姉様を公の場でつるし上げにする事と全く同じ。
やり返されても批難する権利なんて、一つもない!!」
「ゲホ……だ、だからって……何も殺す事は……」
気管に詰まった血を吐きながらも声をあげる。
その様はまだ自分の何が悪いか……自分の今置かれている立場をまるっきり理解していない馬鹿そのもの。
死ぬ間際にようやく自分の間違いを認め、アーデルを認めたトリネーとは全く違う。
そんな有様にクラーラは意外にも助け船を出す事にした。
「はぁぁ……そんなに言うなら仕方ない。私も鬼じゃないから処刑から逃れられるチャンスをあげる」
馬鹿達の目の前にことりと置かれる一本の回復薬。
「これを飲めば命は助かる。でも見ての通り回復薬は一本、一人分のみ。
だから選べばいい。他を蹴落としてでも一人占めするか、友のために辞退するか……あー効果が分散されるのを承知の上で仲良く分けて飲むという選択肢もあるかな?」
そうにっこり笑うクラーラに馬鹿達は周囲を見渡す。
皆考えるのは一緒だ。
彼等が取った選択肢。それは……
そして、クラーラの伴侶となった者は王の座に就ける。
これはクラーラの出自を知った馬鹿達の共通の想いであった。
だからこそクラーラを王座に就けるよう説得し、あわよくば婚約者と先ほどまで思ってたのだが……
「再度言いますが、私を王の座に就けようとする者は、未来の女王となるアーデルお義姉様への許されざる反逆行為と言えます。
辺境の防衛を担うアムル家当主様直々に伝授してもらった一族相伝の奥義でもって、あなた方の罪に私自らが処罰を与えましょう。うふふふふ……」
口を三日月のごとく歪ませながら笑うクラーラの姿に……
命を無造作に刈り取る死神のごとき佇まいに馬鹿達は気付いた。
自分達はとんでもない勘違いを……
クラーラが万人に優しい女神の顔だけでなく、容赦ない死を与える死神の側面を持っていた事を……
クラーラへ返答できるよう、猿轡を外された馬鹿達は許しを乞うのごとく必死に叫ぶ。
「い、いえいえ!!そんな事は考えておりません!!!」
「ア、アーデル様こそが女王陛下にふさわしいお方です!!」
「今までの無礼をお許しください!!」
「無礼って、私まだ貴方達に無礼受けた覚えないけど?」
「えっ?」
死神な佇まいから一転、きょとんっと首を傾げられた事で思い出した。
クラーラはクズ一派から絶大な人気や支持を得ている、いわば姫。ある業界の言葉を借りるならオタサーの姫だ。
恐れ多くて無礼なぞ働くという発想すらでない。
まるっきり見当違いな謝罪を受けた事で、クラーラから胡乱な目でみられる馬鹿の一人に周囲は咎める。
「この馬鹿が!!クラーラ様になんて口を聞く!!」
「謝れ!!クラーラ様に謝れ!!!」
クラーラは何も言ってないのに、勝手に勘違いして勝手にクラーラのためと思い込んで動く馬鹿達にクラーラは「どうしようか?」っとばかりにメイをみる。
(そうですね。ではこんな趣向はいかがでしょうか?)
(いいねそれ。採用)
アイコンタクトのみのやり取りであるも、互いに意思疎通を終えた二人はぐっと親指を立てる。
また、二人の企みはお付きの衛兵達も理解したようだ。共に親指を立ててくれたところで、クラーラは『おほん』っとわざとらしく咳払い。
「君たちは私をほったらかしにして、何勝手に内輪揉めしてのかね?なんなら、今すぐまとめて殺してやってもいいけど」
「「「はっ!?」」」
クラーラに指摘され、自分達は何やっていたかを気付く馬鹿達。
あまりの気まずさに馬鹿達から冷や汗が垂れる。
このままでは殺される……っと思い、再度必死に弁明しようとする前にクラーラの口が先に動いた。
「わかったならよし。私は許しましょう」
にっこりと慈悲を与えられた事で馬鹿達は安堵する。
助かったと思うも…………クラーラはさらに付け加えた。
「だが、こいつらは許すかな?」
「「「えっ?」」」
クラーラは丁寧に指さしながら、『こいつら』と言った。
だから、クラーラの言うこいつらとは見張りとしてついてきたメイや衛兵を示した事に気付くも……
ザシュー
ザクー
グサー
「残念、許してもらえなかったみたいだね」
「「「がはっ?!」」」
各々ナイフで頸動脈をかっさばかれたり、剣で背中をばっさり斬られたり、槍で背から腹を貫通されたりといろいろであったが、皆共通して致命傷を負わされた。
皆ほぼ同時に口から鮮血を吐き出しながら倒れこむ。
自分達は一体なぜ、血の海に沈んでるのか……
なぜこうなったか理解が及ばない……
そんな馬鹿達の思考を見越してか、クラーラは丁寧に解説する。
「まだ息があるようなら教えてあげる。君たちはこれから死ぬの。
アーデルお義姉様……もとい、アーデル女王様に楯突こうとした反逆者の末路として、さらし首に晒すの。
何を馬鹿なって言いたそうな顔だけど、王位を狙うってのはこういう事。君たちがアーデルお義姉様を公の場でつるし上げにする事と全く同じ。
やり返されても批難する権利なんて、一つもない!!」
「ゲホ……だ、だからって……何も殺す事は……」
気管に詰まった血を吐きながらも声をあげる。
その様はまだ自分の何が悪いか……自分の今置かれている立場をまるっきり理解していない馬鹿そのもの。
死ぬ間際にようやく自分の間違いを認め、アーデルを認めたトリネーとは全く違う。
そんな有様にクラーラは意外にも助け船を出す事にした。
「はぁぁ……そんなに言うなら仕方ない。私も鬼じゃないから処刑から逃れられるチャンスをあげる」
馬鹿達の目の前にことりと置かれる一本の回復薬。
「これを飲めば命は助かる。でも見ての通り回復薬は一本、一人分のみ。
だから選べばいい。他を蹴落としてでも一人占めするか、友のために辞退するか……あー効果が分散されるのを承知の上で仲良く分けて飲むという選択肢もあるかな?」
そうにっこり笑うクラーラに馬鹿達は周囲を見渡す。
皆考えるのは一緒だ。
彼等が取った選択肢。それは……
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