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第二章 王国革命からの害虫貴族駆除編

117.言うまでもない。デルフリはどうしようもないクズである ※ 4度目の害虫貴族駆除回(その8)

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「まず最初に宣言しておこう。余は王の座を退くつもりでいる。この度の王国滅亡の危機を招いた息子を王としても親としても諫められなかった責任をとってだ」

「王様……進言よろしいでしょうか?」

「許そう、トリネーよ。王たる余が許可する。その腹の中に貯めこんだモノを全て吐き出させるがよい」

「では遠慮なく言わせてもらいます。王はデルフリ殿下をどう思ってらっしゃるのでしょうか?」

「言うまでもない。明け透けに話せば、デルフリはどうしようもないクズである。あやつが王になれば王国が間違いなく終焉を迎える。例え配下にどれほど有能な者を揃えようとも、あやつは必ず王国を滅びへと導くであろうな」

「そう思うなら、なぜ王としても親として正そうとしなかった!?」

「その通りです……失礼ながら、我々は王の事を誤解しておりました。ビィト様を通してみたトビアス陛下は無能なんてとんでもない。むしろ、王として尊敬できました。なら」

「アーデル嬢よ、わかっておる。お主が余を恨む気持ちはわかる。なにせ余はクラーラ嬢を見捨てたのだからな。
 いくら当時は気が動転してたとはいえ、赤子であったクラーラ嬢を死神と称して殺害を命じた。その後も現実から目を背き、唯一残った息子をどうしようもないクズへと育て上げてしまった。親としては最早愚物もいいところ。死んで詫びるしかなかろう。だが……王としてこれだけは宣言しておく」

 ここで一呼吸おき、トビアスは周囲を見渡しながら……よく響き渡る声で宣言した。

「クラーラ嬢は王たる余と側妃ハイジとの間に生まれた実子であると同時に、アムル辺境伯家の養女である!!王家への籍がない以上、クラーラに王位継承権は存在しない!!」

「な、なぜですか!?クラーラ様は王家唯一の血筋であるのに……」

「聞こえなかったのか?クラーラ嬢はアムル辺境伯に養子として出された。王家の人間ではないのだから王位継承権もない」

「で、ですが……」

「この痴れ者が!!」

 それでもなお食い下がろうとする愚か者……国王を味方に付ければアーデルを排除できると思い込む馬鹿達をダンっと王錫で床を叩きながら一括する。

「貴様等は養子システムを根本から否定する気か!?
 貴族が守るべき物は何も血筋だけでない!!貴族は領民の暮らしを守るのも義務だ!!
 例え血縁者でなくとも、優秀な者が家を継ぐのであれば領民の生活は守られる!!時と場合によっては血縁者も切り捨てなければならぬ!!!
 その第一歩として余は王家の血筋を終わらせ、新たにアーデル嬢を……アムル家を新たな王家として明け渡そうと思っておる!!反対意見はあるか!?あるというなら遠慮なく進言するがよい!!!」

「ならば、遠慮なく言わせてもらおう。この件だが……クラーラ嬢はどう思ってるんだ?」

「ほぅ。またお主かトリネーよ。貴殿はそこの馬鹿貴族子息達と違って実に的を射た進言を出してくれる。その才覚、もっと早く気付いてやれたならと思うと悔んでも悔やみきれん」

「今さらだ。それに、もう貴族にこだわる気も失せてきた。それだけ貴族連中の酷い面を見てしまったからな」

 そんなトリネーの視線はいつまでたっても無様を晒し続ける、同年代の貴族子息達に向けられている。
 当初はこんな身分だけしか取り柄の無い馬鹿達を見下そうと思って上を目指すも、失敗して下に落ちる……そのさらに下へと自分から落ちていく無様な有様は最早言葉に言い表せない程の喪失感が湧き出ていた。

 それと同時に、クズ王太子のような肩書だけしかない張りぼてではなく真に上へ立つ者……
 アーデルやトビアス国王のような本物の貴族や王の貫録を身近で見たこともあってか、自分は上に立つ才覚がないのを悟った。

 自分の人生は何だったのか……

 そんな想いを抱きつつも、ふとクラーラが何を思ってたのか気になった。

 クラーラはクズ達と違って上に立つ資格も才覚もある。
 望めば王という座に就く事だってできる。

 その資格を得たクラーラはどんな選択をとるのか……
 そうした興味から、気付けば進言していた。

 その答えは……











「いえ、私は王位に全く興味ございません。王の座はアーデルお義姉様こそがふさわしいと思っております」



 クラーラ本人が、はっきりきっぱり拒否した。
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