義妹を溺愛するクズ王太子達のせいで国が滅びそうなので、ヒロインは義妹と愉快な仲間達と共にクズ達を容赦なく潰す事としました(略称:クズぷちっ)

やみなべ

文字の大きさ
上 下
107 / 229
第二章 王国革命からの害虫貴族駆除編

106.私、もしかしてとんでもない人からの依頼を請け負ったっていうの?!(SIDE:キナコ)

しおりを挟む
 トスッ!!

「はっ!?私は一体なにを……」

「むぐむぐ。キナちゃんも頭おかしくなる気持ちわかるっすけど、まずはこれでも食べて落ち着くっす。おいしいっすよ」

 思わず発狂してしまったキナコだったが、そこは腐っても死神達の現場長であるアンコ先輩が伝統と信頼の斜め45度チョップで正気へと戻してくれたようだ。

 ただし、現世に戻っても目の前の現実を受け入れられるかはまた別。
 その唖然としたキナコを見兼ねたのか、アンコ先輩はお茶菓子を手渡す際に一言添えてきた。

「開始前に伝えたはずっすよ。レアちゃんは今の惨劇を行ってる悪魔を配下として使役出来る程度に倫理観や人格がぶっとんでるっと」

「だ、だからって魂まで傷つけるのは明らかに……ま、まさかこれって許可もらってやってるんですか?!」

「モチロンデス。ワレワレノオコナイハアンコサマカラノキョカノモトデオコナッテマス。モットモ、コレモ“ボス”ガジゼンニネマワシシテクレタオカゲデスガ」

「お上や他の神々もレアちゃんみたいな危険思想の持ち主を下手に締め付けて恨み買うぐらいなら、ある程度譲歩する方がまだ被害軽微に済むと思ってるっぽいすからね~それにレアちゃんも道理をわきまえてるだけあって各所に事前申請や事後報告、さらにアフターケアもきっちり行ってくれるので最悪な事にはならないはずっすよ。
 ただまぁ~今回の件は許可もらうのにかなり苦労したっとも言ってたっすな。特に審判の神様なんて、申請書をみた瞬間『あの馬鹿娘を呼べ!!』とかで強制召喚させた挙句に開口一番で『なんだこの申請書は!!』っと物理的に雷落としながら大目玉食らわされたとか」

「“ボス”ニトッテハシンパンノカミカラノカミナリナンテイツモノコトデスヨ。ソレニ、コウシテキョカモラエタノナラナニモモンダイアリマセン」

「神様も建前的に説教をしたというポーズぐらいしか思ってなさそうっすし、結局はあれすかね?天下の審判の神様といえども、可愛い娘のONEGAIを無碍にはできないっと」

「“ボス”モムスメニハカナリアマイタイオウシテマスシ、マサニ『シンリ真理』ッテヤツデショウナ」

「家族愛って奴だね~。あっしも兄妹とは仲よくしてるんで、やっぱり家族っていいもんっすよ」

「ソノカンジョウ、ムカシハイマイチヨクワカリマセンデシタガ、“ボス”ノモトニクダッタイマデハナントナクワカリマス。……ククク、アクマノワタシガ『アイ』ヲリカイスルトハワライバナシモイイトコデスヨ」

 また悪魔と仲良く談話するアンコ先輩であるも、キナコは冷や汗が止まらない。
 それもそのはず。

 今の冥府は魂の取り扱いに厳しいのだ。
 そうなった経緯は昔……100年以上前は一部の者達がずさんな管理をしたせいでこの大陸にイレギュラーとも言えるような者を不本意な形で転生させてしまった上、そのイレギュラーの転生者がぶち切れ。

 転生に携わった関係者を世界や冥府、さらに神もろともぶっ潰しにかかったそうだ。

 ちなみに、そのイレギュラーな転生者の詳細は不明。唯一知っている事といえば、人間なのに生身で冥界や神界に踏み込めるどころか神すらも殺せる程のチートってレベルでは済まない馬鹿げた力の持ち主という……

 本来であれば、力を封印するか神の配下である英霊として迎え入れるか等なんらかの処置を施さないといけなかった魂ということだ。

 そんな死神視点からみても化け物と称さざるを得ない転生者は今どこで何をしているか一切不明。
 一応スペックとしては人間だから寿命で死んでると思われるも、神を殺せるような奴に人間の常識が当てはまるとは思えず……
 かといって、下手に調べたら『お前は知り過ぎた』で消されかねないからっと半ばトップシークレット扱いにされている。

 っとまぁ、そんなわけで冥府は二度とあんなイレギュラーともいえる転生者が現れないよう、魂の管理をより厳格にしたそうだ。
 ちょっとした例外も認めないよう、徹底的な管理下に置かれてるのにその例外が認められるなんて……

 いや、そもそもこの大陸の最高神で実質の支配者ともされてる審判の神に娘が居るなんて知らなかったというか……

「私、もしかしてとんでもない人からの依頼を請け負ったっていうの?!」

 キナコは自分のうかつさを少々呪いたくなる気分に陥りはじめるのであった。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

【完結】捨てられた双子のセカンドライフ

mazecco
ファンタジー
【第14回ファンタジー小説大賞 奨励賞受賞作】 王家の血を引きながらも、不吉の象徴とされる双子に生まれてしまったアーサーとモニカ。 父王から疎まれ、幼くして森に捨てられた二人だったが、身体能力が高いアーサーと魔法に適性のあるモニカは、力を合わせて厳しい環境を生き延びる。 やがて成長した二人は森を出て街で生活することを決意。 これはしあわせな第二の人生を送りたいと夢見た双子の物語。 冒険あり商売あり。 さまざまなことに挑戦しながら双子が日常生活?を楽しみます。 (話の流れは基本まったりしてますが、内容がハードな時もあります)

【一話完結】断罪が予定されている卒業パーティーに欠席したら、みんな死んでしまいました

ツカノ
ファンタジー
とある国の王太子が、卒業パーティーの日に最愛のスワロー・アーチェリー男爵令嬢を虐げた婚約者のロビン・クック公爵令嬢を断罪し婚約破棄をしようとしたが、何故か公爵令嬢は現れない。これでは断罪どころか婚約破棄ができないと王太子が焦り始めた時、招かれざる客が現れる。そして、招かれざる客の登場により、彼らの運命は転がる石のように急転直下し、恐怖が始まったのだった。さて彼らの運命は、如何。

(完結)醜くなった花嫁の末路「どうぞ、お笑いください。元旦那様」

音爽(ネソウ)
ファンタジー
容姿が気に入らないと白い結婚を強いられた妻。 本邸から追い出されはしなかったが、夫は離れに愛人を囲い顔さえ見せない。 しかし、3年と待たず離縁が決定する事態に。そして元夫の家は……。 *6月18日HOTランキング入りしました、ありがとうございます。

婚約破棄……そちらの方が新しい聖女……ですか。ところで殿下、その方は聖女検定をお持ちで?

Ryo-k
ファンタジー
「アイリス・フローリア! 貴様との婚約を破棄する!」 私の婚約者のレオナルド・シュワルツ王太子殿下から、突然婚約破棄されてしまいました。 さらには隣の男爵令嬢が新しい聖女……ですか。 ところでその男爵令嬢……聖女検定はお持ちで?

「宮廷魔術師の娘の癖に無能すぎる」と婚約破棄され親には出来損ないと言われたが、厄介払いと嫁に出された家はいいところだった

今川幸乃
ファンタジー
魔術の名門オールストン公爵家に生まれたレイラは、武門の名門と呼ばれたオーガスト公爵家の跡取りブランドと婚約させられた。 しかしレイラは魔法をうまく使うことも出来ず、ブランドに一方的に婚約破棄されてしまう。 それを聞いた宮廷魔術師の父はブランドではなくレイラに「出来損ないめ」と激怒し、まるで厄介払いのようにレイノルズ侯爵家という微妙な家に嫁に出されてしまう。夫のロルスは魔術には何の興味もなく、最初は仲も微妙だった。 一方ブランドはベラという魔法がうまい令嬢と婚約し、やはり婚約破棄して良かったと思うのだった。 しかしレイラが魔法を全然使えないのはオールストン家で毎日飲まされていた魔力増加薬が体質に合わず、魔力が暴走してしまうせいだった。 加えて毎日毎晩ずっと勉強や訓練をさせられて常に体調が悪かったことも原因だった。 レイノルズ家でのんびり過ごしていたレイラはやがて自分の真の力に気づいていく。

婚約破棄からの断罪カウンター

F.conoe
ファンタジー
冤罪押しつけられたから、それなら、と実現してあげた悪役令嬢。 理論ではなく力押しのカウンター攻撃 効果は抜群か…? (すでに違う婚約破棄ものも投稿していますが、はじめてなんとか書き上げた婚約破棄ものです)

勇者パーティを追放された聖女ですが、やっと解放されてむしろ感謝します。なのにパーティの人たちが続々と私に助けを求めてくる件。

八木愛里
ファンタジー
聖女のロザリーは戦闘中でも回復魔法が使用できるが、勇者が見目麗しいソニアを新しい聖女として迎え入れた。ソニアからの入れ知恵で、勇者パーティから『役立たず』と侮辱されて、ついに追放されてしまう。 パーティの人間関係に疲れたロザリーは、ソロ冒険者になることを決意。 攻撃魔法の魔道具を求めて魔道具屋に行ったら、店主から才能を認められる。 ロザリーの実力を知らず愚かにも追放した勇者一行は、これまで攻略できたはずの中級のダンジョンでさえ失敗を繰り返し、仲間割れし破滅へ向かっていく。 一方ロザリーは上級の魔物討伐に成功したり、大魔法使いさまと協力して王女を襲ってきた魔獣を倒したり、国の英雄と呼ばれる存在になっていく。 これは真の実力者であるロザリーが、ソロ冒険者としての地位を確立していきながら、残念ながら追いかけてきた魔法使いや女剣士を「虫が良すぎるわ!」と追っ払い、入り浸っている魔道具屋の店主が実は憧れの大魔法使いさまだが、どうしても本人が気づかない話。 ※11話以降から勇者パーティの没落シーンがあります。 ※40話に鬱展開あり。苦手な方は読み飛ばし推奨します。 ※表紙はAIイラストを使用。

義母に毒を盛られて前世の記憶を取り戻し覚醒しました、貴男は義妹と仲良くすればいいわ。

克全
ファンタジー
「カクヨム」と「小説家になろう」にも投稿しています。 11月9日「カクヨム」恋愛日間ランキング15位 11月11日「カクヨム」恋愛週間ランキング22位 11月11日「カクヨム」恋愛月間ランキング71位 11月4日「小説家になろう」恋愛異世界転生/転移恋愛日間78位

処理中です...