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第二章 王国革命からの害虫貴族駆除編
87.こいつは死神だ!!今すぐ殺せ!!!(SIDE:トビアス)
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「なん……だと……?」
最初は何を言われたのかわからなかった。
あのハイジが死ぬなんて考えた事もなかった。
毒を盛られても、平然としたまま完食してしまう鉄の胃袋を持ってるハイジが……
真夜中の寝室に複数の刺客が襲ってきても、半殺しで窓から投げ捨てて朝までベットでぐーすか寝てるような鋼の心臓を持っているハイジが……
まさか出産程度で死んでしまうとは思えなかった。
「ありえない、何かの間違いではないのか?」
信じられないからっと改めて問いかけるも、一度確定した現実が変わるなんて事はない。
ハイジはベットの上で、何かをやり遂げた表情をしながら……
眠るようにして、息を引き取っていたのだ。
そして、ハイジが命を賭して生んだ赤子は……
ハイジは奇病に侵されていた赤子を見る事なく逝けたのは幸せだったかどうかわからない。
まぁ何事も前向きなハイジの事だ。例え奇病に侵された醜い赤子であっても我が子として可愛がったであろう。
もちろんトビアスは最初そのつもりだった。
例え余命わずかであっても、ハイジが命と引き換えで生んだ赤子。
ハイジの分まで慈しもう。
そう決意を固めての対面は……
その後の事は覚えてない。
赤子を抱いていたシムス婆曰く、また例の発作ともいうべき“錯乱”が起きたらしい。
いつもであれば“錯乱”してもハイジが脳天を殴って目を覚まさせてくれるも、そのハイジが亡くなったせいで……
他の者が代わりにぶん殴っても完全な正気には戻せず……
トビアスはその日から正気に戻るまでの8年間、現実なのか夢なのかわからない夢心地のような世界を生きていた。
そのため、8年間の記憶はほとんどない。
聞けば、錯乱中はなかなかの愚王っぷりを発揮してたそうだが、まぁ問題はそこでない。
トビアスにとって問題だったのは……
許せなかったのは……
生まれた赤子に対し……
“こいつは死神だ!!今すぐ殺せ!!!”
本当にそんな言葉を自分が発したのか信じられなかった。
だが、錯乱中は自分の秘めていた想いを暴露した事例があるだけに否定できる根拠がない。
もはや自分自身も信じられない程の自己嫌悪に陥るも……
後を追って自殺を考える程であるも……
夢の中でハイジと出会えた事もあって、トビアスはギリギリ思い留まったのである。
トビアスが正気に戻ったきっかけ。
それは夢の中でハイジに会ったというか、活を入れられたからだ。
なにせトビアスは夢の中でも同様に正気を失っていたのだ。その情けない姿にハイジはぶち切れたようで……
“何寝ぼけてんだごるぁ!!”
っと挨拶代わりに頭突きが炸裂。そのまま何度も何度も、地上に降りる事なくリズムカルに空中を舞いながらの頭突きが繰り広げられた。
そんな非現実的な頭突きの連打でも大概なのに、ハイジの追撃はまだ止まらない。
次は両足の先で頭を挟み込み、トビアスと共に空中高く飛びあがったのだ。
“アムル家に代々伝わりし48の殺人技の⑨極奥義のひと~つ!!”
視点が上下左右に激しく揺さぶられるっという重力を完全無視した異次元の動きにトビアスは『あ~そうか。これは夢だもんな』なんて呑気に納得しつつ……
『筋肉の復讐劇!!!』
ずがぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁん!!!!
奥義と名乗るだけあって脳天に受けた衝撃はすさまじかった。
超人でもKO確実な程の一撃は8年間戻る事のなかった正気に……夢の中だけど正気に戻すだけの衝撃はあった模様。
久方ぶりに夢から覚めたような気分となったトビアスは改めてハイジと……死んだはずのハイジと対面した。
一体なぜ彼女とこうして会話できたのかわからない。
だが、理由や理屈なんてどうでもいい。
偽物だろうが、幻だろうが、ハイジと再び会えた事。
そして……
“私が居なくなっても、しっかりしなさいよ”
その一言だけで、ハイジの想いの全てを受け取る事が出来た。
最初は何を言われたのかわからなかった。
あのハイジが死ぬなんて考えた事もなかった。
毒を盛られても、平然としたまま完食してしまう鉄の胃袋を持ってるハイジが……
真夜中の寝室に複数の刺客が襲ってきても、半殺しで窓から投げ捨てて朝までベットでぐーすか寝てるような鋼の心臓を持っているハイジが……
まさか出産程度で死んでしまうとは思えなかった。
「ありえない、何かの間違いではないのか?」
信じられないからっと改めて問いかけるも、一度確定した現実が変わるなんて事はない。
ハイジはベットの上で、何かをやり遂げた表情をしながら……
眠るようにして、息を引き取っていたのだ。
そして、ハイジが命を賭して生んだ赤子は……
ハイジは奇病に侵されていた赤子を見る事なく逝けたのは幸せだったかどうかわからない。
まぁ何事も前向きなハイジの事だ。例え奇病に侵された醜い赤子であっても我が子として可愛がったであろう。
もちろんトビアスは最初そのつもりだった。
例え余命わずかであっても、ハイジが命と引き換えで生んだ赤子。
ハイジの分まで慈しもう。
そう決意を固めての対面は……
その後の事は覚えてない。
赤子を抱いていたシムス婆曰く、また例の発作ともいうべき“錯乱”が起きたらしい。
いつもであれば“錯乱”してもハイジが脳天を殴って目を覚まさせてくれるも、そのハイジが亡くなったせいで……
他の者が代わりにぶん殴っても完全な正気には戻せず……
トビアスはその日から正気に戻るまでの8年間、現実なのか夢なのかわからない夢心地のような世界を生きていた。
そのため、8年間の記憶はほとんどない。
聞けば、錯乱中はなかなかの愚王っぷりを発揮してたそうだが、まぁ問題はそこでない。
トビアスにとって問題だったのは……
許せなかったのは……
生まれた赤子に対し……
“こいつは死神だ!!今すぐ殺せ!!!”
本当にそんな言葉を自分が発したのか信じられなかった。
だが、錯乱中は自分の秘めていた想いを暴露した事例があるだけに否定できる根拠がない。
もはや自分自身も信じられない程の自己嫌悪に陥るも……
後を追って自殺を考える程であるも……
夢の中でハイジと出会えた事もあって、トビアスはギリギリ思い留まったのである。
トビアスが正気に戻ったきっかけ。
それは夢の中でハイジに会ったというか、活を入れられたからだ。
なにせトビアスは夢の中でも同様に正気を失っていたのだ。その情けない姿にハイジはぶち切れたようで……
“何寝ぼけてんだごるぁ!!”
っと挨拶代わりに頭突きが炸裂。そのまま何度も何度も、地上に降りる事なくリズムカルに空中を舞いながらの頭突きが繰り広げられた。
そんな非現実的な頭突きの連打でも大概なのに、ハイジの追撃はまだ止まらない。
次は両足の先で頭を挟み込み、トビアスと共に空中高く飛びあがったのだ。
“アムル家に代々伝わりし48の殺人技の⑨極奥義のひと~つ!!”
視点が上下左右に激しく揺さぶられるっという重力を完全無視した異次元の動きにトビアスは『あ~そうか。これは夢だもんな』なんて呑気に納得しつつ……
『筋肉の復讐劇!!!』
ずがぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁん!!!!
奥義と名乗るだけあって脳天に受けた衝撃はすさまじかった。
超人でもKO確実な程の一撃は8年間戻る事のなかった正気に……夢の中だけど正気に戻すだけの衝撃はあった模様。
久方ぶりに夢から覚めたような気分となったトビアスは改めてハイジと……死んだはずのハイジと対面した。
一体なぜ彼女とこうして会話できたのかわからない。
だが、理由や理屈なんてどうでもいい。
偽物だろうが、幻だろうが、ハイジと再び会えた事。
そして……
“私が居なくなっても、しっかりしなさいよ”
その一言だけで、ハイジの想いの全てを受け取る事が出来た。
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