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第二章 王国革命からの害虫貴族駆除編
86.あれは夜伽を拒否した余への意趣返しも兼ねて……なのか?(SIDE:トビアス)
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ブリギッテとの夜伽を拒否し、ハイジを側妃に迎える。
本来ならブリギッテへの不義理ともいえる最低な行為といえよう。
下手すれば首が飛んでもおかしくない愚行ながらも、ブリギッテを支える重鎮の反応はトビアスの予想に反して良好だった。
それもそのはず。トビアスとハイジが想いあってる事は当人同士だと上手く隠してるようにみえても、周囲にはバレバレ。だが、知っての通りトビアスは王としての責務を優先してハイジと結ばれる道を絶ったのだ。
その誠実さは前王太子がひどすぎた事もあって、大きく評価されていた。
おまけに帝国では実力主義の考えが強い事もあってか、政略結婚をあまり重要視していなかった。
例え政略ありきの婚約であっても、他に利を示す事ができれば簡単に破棄ができる。
トビアスは断ろうと思えば断れる王太子の座と婚約を受け入れ、ブリギッテに忠義を尽くしてくれたのだ。ハイジもやり方はどうあれ、ブリギッテ達では寄り添えなかったトビアスの心に寄り添って支え続けた。
そんな二人への褒美として、ブリギッテ王妃が直々に二人の仲を認めてはどうかと本人達の知らない所で話し合われていたたらしい。
とはいえ、当人抜きで全て決めるわけにもいかず……
ブリギッテの思惑としては、夜伽を終えた後に提案してみるつもりだったそうだ。
結果としては予想外な事になってしまうも、ブリギッテは気にするなっと笑う。
「こういうのは相性がある。我とは縁がなかったというだけの話だろう」
「で、ですが……そうなるとブリギッテ様の立場がないのでは?」
「安心せい!我はすでに醜聞まみれなのだ。今更醜聞が一つ増えようとも、所詮は誤差。むしろ、この醜聞を利用して一つ暗躍を仕掛けてみるのも一興かもしれんな!!はっはっは!!!」
「……」
ブリギッテの笑いはただの自棄なのか、それとも本当に気にしてないのか、トビアスにはわからない。
ただわかる事は……
トビアスとハイジの恋物語はかなりの虚飾が盛られた『真実の愛』の物語として市井に広く伝わったという事実であった。
言うまでもなく、それはブリギッテ達の仕業である。
おかげでトビアスとハイジの結婚は虐げられてきた王と平民の成り上がり逆襲ストーリーとして多くの国民から祝福された。
その逆にブリギッテは二人の仲を快く思わない悪女となるも、本人は『政治の世界にはこうしたわかりやすい悪も必要だ。今回はその悪の役目が我に回ってきただけの事。気にするでない』と一蹴どころか、物語に付随した悪名を利用して様々な改革を強引に進めた。
そのせいでますます評判が悪くなるので、トビアスは市井にほんの少しの噂……
真実の愛の物語に少しの訂正を……
王が悪女を懲らしめて真実の愛を手にしたのではなく、実際は王が悪女に土下座して頼み込んだという、貴族の中では広く知れ渡っている情けない王の噂を利用した作り話を流したのである。
その成果は数年後に判明するも、トビアスは王となったのだ。
王には他にやるべき責務が山ほどある。
その中でも最重要とされてたのが、ハイジとの子作りだった。
(あの時のブリギッテは笑顔で『5人作りなさいな』っと無茶ぶりだ。最初は王家の血筋を増やす使命と思ったら、蓋を開けたら何てことない。すでに4人も子供を生んでいたアムル辺境伯夫人への対抗心からというのが……いや、あれは夜伽を拒否した余への意趣返しも兼ねて……なのか?)
どちらにせよ、子作りは問題なく行われた。
元々15歳時点で爆発寸前の所を理性で無理やり抑えていた二人だ。その抑えが排除されたら……
一発で妊娠成功し、ほどなく息子のデルフリが誕生である。
その事実に王国中が沸いた。
特にブリギッテの喜びようは凄かった事を覚えてる。
なにせ出産直後の疲労困憊なハイジに躊躇なくハグしてそのまま締め殺しかけたり、生まれたばかりのデルフリをデレデレっと、トビアスどころか長年付き従ってきた配下ですら見たことない表情で『でるふりちゃ~ん。私がもう一人のママでちゅよ~~』で頬ずりだ。
あまりの変貌ぶりに『不気味だ』とか『天変地異の前触れか?』とか、良い意味での散々な言われようであるも……
トビアスは一つだけ気になる点があった。
ブリギッテがデルフリを抱き上げた際ほんの一瞬、デルフリからすさまじいまでの憎悪の感情が湧き出たのだ。
あの時は気のせいだと思った。
赤ん坊は本能で母親を見抜けると言われてるし、なんの血のつながりのない者に頬ずりなんかされたら驚くだろう。とっさの生存本能が働いただけなのかもしれない。
だからこそ、気のせいだと思うも……
(今の息子を……デルフリのクズっぷりをみれば、全く気のせいじゃなかったのかもしれないな)
それでも、当時のトビアスは第六感ともいうべき勘が働いた事もあって赤子のデルフリを乳母に任せようとせず手元に置いた。
自分の手で育てる体にして、自身で監視する事にしたのだ。
それと並行してハイジとの性交も再度行われ……これまたあっさり妊娠。
どうやらハイジとはよほど相性がよかったらしい。
これなら5人も夢ではないっと皆で笑いながら話していた所……
出産時に悲劇が起きた。
「トビアス陛下……残念ながら……」
ハイジ様は亡くなられました。
本来ならブリギッテへの不義理ともいえる最低な行為といえよう。
下手すれば首が飛んでもおかしくない愚行ながらも、ブリギッテを支える重鎮の反応はトビアスの予想に反して良好だった。
それもそのはず。トビアスとハイジが想いあってる事は当人同士だと上手く隠してるようにみえても、周囲にはバレバレ。だが、知っての通りトビアスは王としての責務を優先してハイジと結ばれる道を絶ったのだ。
その誠実さは前王太子がひどすぎた事もあって、大きく評価されていた。
おまけに帝国では実力主義の考えが強い事もあってか、政略結婚をあまり重要視していなかった。
例え政略ありきの婚約であっても、他に利を示す事ができれば簡単に破棄ができる。
トビアスは断ろうと思えば断れる王太子の座と婚約を受け入れ、ブリギッテに忠義を尽くしてくれたのだ。ハイジもやり方はどうあれ、ブリギッテ達では寄り添えなかったトビアスの心に寄り添って支え続けた。
そんな二人への褒美として、ブリギッテ王妃が直々に二人の仲を認めてはどうかと本人達の知らない所で話し合われていたたらしい。
とはいえ、当人抜きで全て決めるわけにもいかず……
ブリギッテの思惑としては、夜伽を終えた後に提案してみるつもりだったそうだ。
結果としては予想外な事になってしまうも、ブリギッテは気にするなっと笑う。
「こういうのは相性がある。我とは縁がなかったというだけの話だろう」
「で、ですが……そうなるとブリギッテ様の立場がないのでは?」
「安心せい!我はすでに醜聞まみれなのだ。今更醜聞が一つ増えようとも、所詮は誤差。むしろ、この醜聞を利用して一つ暗躍を仕掛けてみるのも一興かもしれんな!!はっはっは!!!」
「……」
ブリギッテの笑いはただの自棄なのか、それとも本当に気にしてないのか、トビアスにはわからない。
ただわかる事は……
トビアスとハイジの恋物語はかなりの虚飾が盛られた『真実の愛』の物語として市井に広く伝わったという事実であった。
言うまでもなく、それはブリギッテ達の仕業である。
おかげでトビアスとハイジの結婚は虐げられてきた王と平民の成り上がり逆襲ストーリーとして多くの国民から祝福された。
その逆にブリギッテは二人の仲を快く思わない悪女となるも、本人は『政治の世界にはこうしたわかりやすい悪も必要だ。今回はその悪の役目が我に回ってきただけの事。気にするでない』と一蹴どころか、物語に付随した悪名を利用して様々な改革を強引に進めた。
そのせいでますます評判が悪くなるので、トビアスは市井にほんの少しの噂……
真実の愛の物語に少しの訂正を……
王が悪女を懲らしめて真実の愛を手にしたのではなく、実際は王が悪女に土下座して頼み込んだという、貴族の中では広く知れ渡っている情けない王の噂を利用した作り話を流したのである。
その成果は数年後に判明するも、トビアスは王となったのだ。
王には他にやるべき責務が山ほどある。
その中でも最重要とされてたのが、ハイジとの子作りだった。
(あの時のブリギッテは笑顔で『5人作りなさいな』っと無茶ぶりだ。最初は王家の血筋を増やす使命と思ったら、蓋を開けたら何てことない。すでに4人も子供を生んでいたアムル辺境伯夫人への対抗心からというのが……いや、あれは夜伽を拒否した余への意趣返しも兼ねて……なのか?)
どちらにせよ、子作りは問題なく行われた。
元々15歳時点で爆発寸前の所を理性で無理やり抑えていた二人だ。その抑えが排除されたら……
一発で妊娠成功し、ほどなく息子のデルフリが誕生である。
その事実に王国中が沸いた。
特にブリギッテの喜びようは凄かった事を覚えてる。
なにせ出産直後の疲労困憊なハイジに躊躇なくハグしてそのまま締め殺しかけたり、生まれたばかりのデルフリをデレデレっと、トビアスどころか長年付き従ってきた配下ですら見たことない表情で『でるふりちゃ~ん。私がもう一人のママでちゅよ~~』で頬ずりだ。
あまりの変貌ぶりに『不気味だ』とか『天変地異の前触れか?』とか、良い意味での散々な言われようであるも……
トビアスは一つだけ気になる点があった。
ブリギッテがデルフリを抱き上げた際ほんの一瞬、デルフリからすさまじいまでの憎悪の感情が湧き出たのだ。
あの時は気のせいだと思った。
赤ん坊は本能で母親を見抜けると言われてるし、なんの血のつながりのない者に頬ずりなんかされたら驚くだろう。とっさの生存本能が働いただけなのかもしれない。
だからこそ、気のせいだと思うも……
(今の息子を……デルフリのクズっぷりをみれば、全く気のせいじゃなかったのかもしれないな)
それでも、当時のトビアスは第六感ともいうべき勘が働いた事もあって赤子のデルフリを乳母に任せようとせず手元に置いた。
自分の手で育てる体にして、自身で監視する事にしたのだ。
それと並行してハイジとの性交も再度行われ……これまたあっさり妊娠。
どうやらハイジとはよほど相性がよかったらしい。
これなら5人も夢ではないっと皆で笑いながら話していた所……
出産時に悲劇が起きた。
「トビアス陛下……残念ながら……」
ハイジ様は亡くなられました。
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