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第一章 逆断罪劇からのクズざまぁ編
67.商人は機とみれば素早く動くのが基本(SIDE:シィプシィ)
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ウフフと笑うシィプシィの姿に思わずドン引きしてしまうリーメ。
だが、先輩メイド達は臆することなく黙々と血液もどきで汚れたシィプシィの身体を清めていく。
シィプシィとしては、自分は平民だからメイドの手助けは必要ないのだが、メイドは主人の命令に従うのが仕事。
その主人からシィプシィを補佐しろと命じられたのであれば、その通りに動くのがプロだ。
そういう意味では臆して引いてしまったまま動かないリーメはメイド失格……ではない。
リーメの主人はクラーラであり、ギスカーン家に仕えてるメイドの二人はリーメと同じ孤児院出ながらも主人が違う。
さらにいえばリーメに与えられた仕事はシィプシィの補佐ではなくアーデルの補佐だ。
本来の専属侍女であるメイをクラーラが連れてってしまったので、その代わりとして置いていったらしい。
クラーラの元にはリーメより有能な侍女であるユキとマイがいる。彼女等を差し置いてリーメを選んだのは兄のウールと過ごす時間を確保させるためだろうと思われた。聞けば昨日は兄妹そろって育った孤児院でちびっ子達に揉まれながらも有意義な夜を過ごしたそうだ。
さらにいえば、ユキとマイはメイの妹でもある。
普段の3人は共にアーデルやクラーラの侍女として事務的な対応を取るも、プライベートでは仲良し?3姉妹としての顔を見せている。
辺境領へ向かう道中で3人は姉妹として雑談に興じているだろう事は簡単に想像できる。
(家族……か。私の家族は隣国に移住したせいで往復にも一苦労だから簡潔に手紙を送るだけで済ませてたけど、全てが片付いて落ち着いたらまとまった休暇を取って両親に直接顔をみせてあげるべきかしらね。でもまぁ私はもうアーデル様の物語からドロップアウトする身だし、今後の事は大方スルーされそうであるけど)
そんな事を考えてる間に清めが終わり、続けて用意されていた服に着替える。
シィプシィはクズに処刑されたという筋書きなので周囲にはシィプシィと認識されないように変装、男装した姿で部屋を出る。
扉前ではフェルトが待機していた。
「シシィ、アカデミーものの名演技お疲れ様」
「フェルトも害虫貴族の真似事お疲れ様。結構サマになってましたよ」
「あれはまぁ、ケイト姉さんから散々指導受けたからで……それより、もうギルドへ戻るのか?」
「えぇ、商人は機とみれば素早く動くのが基本。その証拠にケイトさんはもう城へ戻ったのでしょう」
「あぁ。これから城の財務部はこの騒動で今まで以上に忙しくなるって結末を見届ける事なく帰ったよ。そんな姿をみて……ふと思ってしまうんだよな。俺はここでのんびり待機してていいのかなっと」
「待機でいいのですよ。先ほど言った通り商人は機とみれば素早く動くのが基本。フェルトは私やケイトさんとは別の任務があり、そのための動くタイミングもまた別。だから今は待機こそが正解。そして……機が来たら」
「わかってるよ。ちゃんと動くさ。だから……その……この嵐が無事に過ぎ去ったら、結婚式あげような」
「えっ?」
結婚式……
その言葉に一瞬戸惑った。
フェルトと婚約したはいいが、具体的な結婚式の話はなかった。
22歳のシィプシィに対してフェルトは18歳。18歳での結婚は平民だと早いが、貴族では適齢期。加えてフェルトの姉であるケイトは20という貴族としては行き遅れと判断されかねない年齢となってもウールとはまだ式をあげていない。
シィプシィの22歳という年齢は商人だと婚約してても仕事に集中したいっと結婚を遅らせる者が多い。
だから、お互い口に出さずとも自分達の結婚はケイトの後にするものっと思ってたが……ここで唐突に切り出されたのだ。
一体どういう心境なのか……
いや、それよりなぜこのタイミングでか……
もしかしたらこれはどちらかの『死亡フラグ』なる暗示なのか……
わからない。
わからないが……
返事は決まっている。
その返事は当然……
「いいわね。その時が来たら私達らしい結婚式をあげましょうか」
この時シィプシィが語った『私達らしい結婚式』
それはどんな結婚式かはわからない。
二人が結婚式をあげた同時期にはアーデルをはじめとする国の中心人物達が結婚式をあげていたのだ。
そんな中で挙げた二人の式は話題性が薄く、詳細な記録はないが……
“あれは確かにシシィ姐らしい結婚式だった”
式の参列者達は皆口をそろえてこう証言していたそうだ。
だが、先輩メイド達は臆することなく黙々と血液もどきで汚れたシィプシィの身体を清めていく。
シィプシィとしては、自分は平民だからメイドの手助けは必要ないのだが、メイドは主人の命令に従うのが仕事。
その主人からシィプシィを補佐しろと命じられたのであれば、その通りに動くのがプロだ。
そういう意味では臆して引いてしまったまま動かないリーメはメイド失格……ではない。
リーメの主人はクラーラであり、ギスカーン家に仕えてるメイドの二人はリーメと同じ孤児院出ながらも主人が違う。
さらにいえばリーメに与えられた仕事はシィプシィの補佐ではなくアーデルの補佐だ。
本来の専属侍女であるメイをクラーラが連れてってしまったので、その代わりとして置いていったらしい。
クラーラの元にはリーメより有能な侍女であるユキとマイがいる。彼女等を差し置いてリーメを選んだのは兄のウールと過ごす時間を確保させるためだろうと思われた。聞けば昨日は兄妹そろって育った孤児院でちびっ子達に揉まれながらも有意義な夜を過ごしたそうだ。
さらにいえば、ユキとマイはメイの妹でもある。
普段の3人は共にアーデルやクラーラの侍女として事務的な対応を取るも、プライベートでは仲良し?3姉妹としての顔を見せている。
辺境領へ向かう道中で3人は姉妹として雑談に興じているだろう事は簡単に想像できる。
(家族……か。私の家族は隣国に移住したせいで往復にも一苦労だから簡潔に手紙を送るだけで済ませてたけど、全てが片付いて落ち着いたらまとまった休暇を取って両親に直接顔をみせてあげるべきかしらね。でもまぁ私はもうアーデル様の物語からドロップアウトする身だし、今後の事は大方スルーされそうであるけど)
そんな事を考えてる間に清めが終わり、続けて用意されていた服に着替える。
シィプシィはクズに処刑されたという筋書きなので周囲にはシィプシィと認識されないように変装、男装した姿で部屋を出る。
扉前ではフェルトが待機していた。
「シシィ、アカデミーものの名演技お疲れ様」
「フェルトも害虫貴族の真似事お疲れ様。結構サマになってましたよ」
「あれはまぁ、ケイト姉さんから散々指導受けたからで……それより、もうギルドへ戻るのか?」
「えぇ、商人は機とみれば素早く動くのが基本。その証拠にケイトさんはもう城へ戻ったのでしょう」
「あぁ。これから城の財務部はこの騒動で今まで以上に忙しくなるって結末を見届ける事なく帰ったよ。そんな姿をみて……ふと思ってしまうんだよな。俺はここでのんびり待機してていいのかなっと」
「待機でいいのですよ。先ほど言った通り商人は機とみれば素早く動くのが基本。フェルトは私やケイトさんとは別の任務があり、そのための動くタイミングもまた別。だから今は待機こそが正解。そして……機が来たら」
「わかってるよ。ちゃんと動くさ。だから……その……この嵐が無事に過ぎ去ったら、結婚式あげような」
「えっ?」
結婚式……
その言葉に一瞬戸惑った。
フェルトと婚約したはいいが、具体的な結婚式の話はなかった。
22歳のシィプシィに対してフェルトは18歳。18歳での結婚は平民だと早いが、貴族では適齢期。加えてフェルトの姉であるケイトは20という貴族としては行き遅れと判断されかねない年齢となってもウールとはまだ式をあげていない。
シィプシィの22歳という年齢は商人だと婚約してても仕事に集中したいっと結婚を遅らせる者が多い。
だから、お互い口に出さずとも自分達の結婚はケイトの後にするものっと思ってたが……ここで唐突に切り出されたのだ。
一体どういう心境なのか……
いや、それよりなぜこのタイミングでか……
もしかしたらこれはどちらかの『死亡フラグ』なる暗示なのか……
わからない。
わからないが……
返事は決まっている。
その返事は当然……
「いいわね。その時が来たら私達らしい結婚式をあげましょうか」
この時シィプシィが語った『私達らしい結婚式』
それはどんな結婚式かはわからない。
二人が結婚式をあげた同時期にはアーデルをはじめとする国の中心人物達が結婚式をあげていたのだ。
そんな中で挙げた二人の式は話題性が薄く、詳細な記録はないが……
“あれは確かにシシィ姐らしい結婚式だった”
式の参列者達は皆口をそろえてこう証言していたそうだ。
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