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第一章 逆断罪劇からのクズざまぁ編
64.アーデルとシシィという極悪人を直々に処罰出来ると思えば、この程度の苦労なぞ造作もない事よ(SIDE:デルフリ)
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デルフリは上機嫌だった。
昨日から続いていた顔面の鈍痛は新たに支給されたポーションのおかげで朝起きたらきれいさっぱりなくなっていたのだ。
運ばれてきた朝食も王太子にふさわしいもの。
それらを手配したというのは、昨日挨拶にきたフェルトと呼ばれる伯爵子息。
彼は婚約者が不敬を行った詫びとして便宜を図ってくれた。
現在はアーデルとシィプシィを拷問するために拷問室へと案内されているところであった。
前には先導する神官。そのすぐ後ろにフェルトとそのお付きのメイド。横と後ろは護衛らしき者で固められてて少々窮屈に思うも、これは仕方ないだろう。
なにせデルフリは王太子。野蛮な連中から身を守るためには必要な処置である。
最後方を歩くペーターは護衛として信頼性にかけるからなおさらである。
「デルフリ王太子様。この先は薄暗い上に空気も淀んでます。高貴な者には酷な場所ですが大丈夫でしょうか?」
「心配無用だ。アーデルとシシィという極悪人を直々に処罰出来ると思えば、この程度の苦労なぞ造作もない事よ」
「それは頼もしい限りです。どんな手腕を発揮してくれるか私も楽しみにさせてもらいます」
フェルトから煽てられた事でさらに気分がよくなるデルフリであるも、どこからともなく聞こえてくる嘆きの声にどこか不安を覚えてしまっていた。
その声も先へと進むに連れて大きくなり、たまらず先導する神官に文句を垂れる。
「おい!!この悲鳴はなんだ!?やめさせろ」
「申し訳ございません。この悲鳴の正体は神の怒りに触れた者達とされておりまして……噂によれば、この回廊の最奥には死の神からすら見放された者達が、死ぬ事もできず永遠に苦しみもがく生が与えられているとか」
「なるほど。それが神から見放された者の末路あれば、アーデルはまず間違いなくそいつらの仲間入りだな」
「全くでございます」
「殿下に逆らった罪を永遠に償わせてやりましょう」
「「「はっはっはっは」」」
デルフリは取り巻きのアインとツヴァイと共に高笑い。その声は嘆きの声をかき消すほど回廊に良く響き渡る。
もはや恐れぬ者などいない程に上機嫌なデルフリ達であるも……彼等は気付かなかった。
彼等のこの振る舞いはこの場に居る者達だけでなく……
人々が神と呼ばれる、人知を超えた超越者すらも嫌悪感を抱いていた事に……
審判の神から“天誅”食らったのにまだ懲りてないどころか、“天誅”を神罰とさえ理解していないクズ共に“天誅”と対を成す“人誅”を食らわせてやらんっと動き始めた事に……
なお、“天誅”は厳格に定められた法と規則によって与えられる罰に対し、“人誅”は法も規則も一切合切無視した私怨によって与えられる罰。無法地帯ならともかく、法の下では禁止事項とされている。例え正義の鉄槌であろうとも執行者には重い罰が下されるのだ。
もちろんそれは神であっても同様であり、後ほど“人誅”を画策した者は“天誅”の力の源たる審判の神
から特大の雷……人の身で食らえば肉体どころか魂すら焼き尽くされかねない程の“天誅”を落とされる羽目になるのは余談だが、とにかくクズ達はさらなる地獄へと叩き落とされる事になったのは確定であった。
そんな事になってしまったなんて梅雨知らず、高笑いを続けていたデルフリ達はある扉前までたどり着く。
扉前に立っていた守衛がデルフリ達をみるや否や敬礼で迎えたところをみると……
「この先にアーデル達がいるのだな」
「その通りでございます。ただ、今はまだ準備中なので……」
「いいから扉を開けろ!!」
「ですが……」
「二度は言わん!!扉を開けろ」
まどろっこしいとばかりに命令すれば、守衛達は仕方ないっとばかりに扉を開いてくれた。
その態度に少々いら立つ思いはあれど、重々しい扉が開かれた先の光景をみればすぐに吹っ飛ぶ。
なにせ壁には四肢を鎖で固定されたままうつむいている二人の女。アーデルとシィプシィがいるからだ。
「おや?まだ機材の点検が終わってないのですが、気の早いお方ですね」
いきなり声をかけられたのでそちらを向けば、そこには蝶を模した仮面で顔の半分を隠した、胸やら肩やら太ももが露出しまくっている黒い衣装を身に包む女が立っていた。誰かと問いかけると、拷問官という答えが返ってくる。
「普段は私自ら拷問を担当しますが、今回は助手に徹するつもりでございます。ですが、プロの手法をお望みならば……ウフフフフフフフフ」
「う、うむ……期待させてもらうぞ」
机の上に置いていた怪しげな器具を弄りながら怪しく笑う様から、アレは関わってはいけない人種と本能的に理解してしまった。
だが、期待できるというのは本心だ。
「それでは、予定より少々早いですが拷問を開始しましょうか」
拷問官はそうつぶやくと同時に弄っていた機材を置き、近場の樽から柄杓で水を掬い……
それを一切の躊躇なくアーデルの顔面にぶっかけた。
昨日から続いていた顔面の鈍痛は新たに支給されたポーションのおかげで朝起きたらきれいさっぱりなくなっていたのだ。
運ばれてきた朝食も王太子にふさわしいもの。
それらを手配したというのは、昨日挨拶にきたフェルトと呼ばれる伯爵子息。
彼は婚約者が不敬を行った詫びとして便宜を図ってくれた。
現在はアーデルとシィプシィを拷問するために拷問室へと案内されているところであった。
前には先導する神官。そのすぐ後ろにフェルトとそのお付きのメイド。横と後ろは護衛らしき者で固められてて少々窮屈に思うも、これは仕方ないだろう。
なにせデルフリは王太子。野蛮な連中から身を守るためには必要な処置である。
最後方を歩くペーターは護衛として信頼性にかけるからなおさらである。
「デルフリ王太子様。この先は薄暗い上に空気も淀んでます。高貴な者には酷な場所ですが大丈夫でしょうか?」
「心配無用だ。アーデルとシシィという極悪人を直々に処罰出来ると思えば、この程度の苦労なぞ造作もない事よ」
「それは頼もしい限りです。どんな手腕を発揮してくれるか私も楽しみにさせてもらいます」
フェルトから煽てられた事でさらに気分がよくなるデルフリであるも、どこからともなく聞こえてくる嘆きの声にどこか不安を覚えてしまっていた。
その声も先へと進むに連れて大きくなり、たまらず先導する神官に文句を垂れる。
「おい!!この悲鳴はなんだ!?やめさせろ」
「申し訳ございません。この悲鳴の正体は神の怒りに触れた者達とされておりまして……噂によれば、この回廊の最奥には死の神からすら見放された者達が、死ぬ事もできず永遠に苦しみもがく生が与えられているとか」
「なるほど。それが神から見放された者の末路あれば、アーデルはまず間違いなくそいつらの仲間入りだな」
「全くでございます」
「殿下に逆らった罪を永遠に償わせてやりましょう」
「「「はっはっはっは」」」
デルフリは取り巻きのアインとツヴァイと共に高笑い。その声は嘆きの声をかき消すほど回廊に良く響き渡る。
もはや恐れぬ者などいない程に上機嫌なデルフリ達であるも……彼等は気付かなかった。
彼等のこの振る舞いはこの場に居る者達だけでなく……
人々が神と呼ばれる、人知を超えた超越者すらも嫌悪感を抱いていた事に……
審判の神から“天誅”食らったのにまだ懲りてないどころか、“天誅”を神罰とさえ理解していないクズ共に“天誅”と対を成す“人誅”を食らわせてやらんっと動き始めた事に……
なお、“天誅”は厳格に定められた法と規則によって与えられる罰に対し、“人誅”は法も規則も一切合切無視した私怨によって与えられる罰。無法地帯ならともかく、法の下では禁止事項とされている。例え正義の鉄槌であろうとも執行者には重い罰が下されるのだ。
もちろんそれは神であっても同様であり、後ほど“人誅”を画策した者は“天誅”の力の源たる審判の神
から特大の雷……人の身で食らえば肉体どころか魂すら焼き尽くされかねない程の“天誅”を落とされる羽目になるのは余談だが、とにかくクズ達はさらなる地獄へと叩き落とされる事になったのは確定であった。
そんな事になってしまったなんて梅雨知らず、高笑いを続けていたデルフリ達はある扉前までたどり着く。
扉前に立っていた守衛がデルフリ達をみるや否や敬礼で迎えたところをみると……
「この先にアーデル達がいるのだな」
「その通りでございます。ただ、今はまだ準備中なので……」
「いいから扉を開けろ!!」
「ですが……」
「二度は言わん!!扉を開けろ」
まどろっこしいとばかりに命令すれば、守衛達は仕方ないっとばかりに扉を開いてくれた。
その態度に少々いら立つ思いはあれど、重々しい扉が開かれた先の光景をみればすぐに吹っ飛ぶ。
なにせ壁には四肢を鎖で固定されたままうつむいている二人の女。アーデルとシィプシィがいるからだ。
「おや?まだ機材の点検が終わってないのですが、気の早いお方ですね」
いきなり声をかけられたのでそちらを向けば、そこには蝶を模した仮面で顔の半分を隠した、胸やら肩やら太ももが露出しまくっている黒い衣装を身に包む女が立っていた。誰かと問いかけると、拷問官という答えが返ってくる。
「普段は私自ら拷問を担当しますが、今回は助手に徹するつもりでございます。ですが、プロの手法をお望みならば……ウフフフフフフフフ」
「う、うむ……期待させてもらうぞ」
机の上に置いていた怪しげな器具を弄りながら怪しく笑う様から、アレは関わってはいけない人種と本能的に理解してしまった。
だが、期待できるというのは本心だ。
「それでは、予定より少々早いですが拷問を開始しましょうか」
拷問官はそうつぶやくと同時に弄っていた機材を置き、近場の樽から柄杓で水を掬い……
それを一切の躊躇なくアーデルの顔面にぶっかけた。
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