61 / 151
第一章 逆断罪劇からのクズざまぁ編
60.納め時なのはお前の方だ、このクズめが!!(SIDE:フェルト)
しおりを挟む
“あっはっはっはっはっは!!アーデルよ!!今回こそねんごの納め時だ!!もう泣いて謝っても許さんから覚悟しておけよ!!”
「納め時なのはお前の方だ、このクズめが!!」
外に出たフェルトは部屋から響いてきたクズの声に対し、本音で突っ込んだ。
態度も部屋の中では腰の低い営業マンスタイルを貫いでいたが、もう必要ないとばかりに素へと戻した。その素も今は誰も……いや、メイドや見張り以外みてないから気にしない。
さらにいえばメイドや見張りもフェルトの態度を全く咎めないどころか……
「フェルトさん。お酒とおつまみの差し入れありがとっしゃした」
見張りは職務中に堂々酒を飲むという有様であった。
もっとも、彼らは神からの天誅を食らった者達を犯罪者ではなく、ある種のVIP対応せねばならないのだ。
その犯罪者も反省どころか威張り散らしてるのだから、ストレスはマッハでやばいのは確定的に明らか。ある程度の羽目外しは神も許してくれるだろう。
「許してもらえるといいのですけどね」
「前後不覚になる程のきつい酒は渡してないし、大丈夫さ。それに何かあったところであのクズ相手だし、手段選ばなければどうとでもなるだろ。ケイト姉さん」
「手段を選べないからこそ、アーデル様達は苦労してるのですがね……はぁ」
そう語るメイド……フェルトの姉であり、次期ギスカーン伯爵家の当主となる事が内定しているケイトは溜息を付く。
「それにしたって、なんで姉さんがついてきたんだよ。姉さんが所属してる王宮財務部は今頃ヒーヒー言ってるのに大丈夫なのか?」
「見張りのために駆り出されました。クズをさらなる地獄へと叩き落とす作戦の一旦を何の因果か出来の悪い弟が請け負うことになったから、何かヘマやらかさないか心配したマイヤー様からの命令で」
「……どうみても、同僚やマイヤー様を脅して無理やり抜け出してきたようにしかみえんぞ」
「うっさい!!弟はただ黙って姉の言うこと聞いとけばいいんだよ!!」
「へーへーわかりましたよっと……全く、こんな裏表のある女と結婚を強要されるウールは不幸だよな」
「城仕えするならそれなりの身分ある貴族が後見人になってほしいというアーデル様の意向こそありますが、ウールは下手な貴族子息よりも優秀ですからね。あくどい貴族に取られるぐらいなら、少なからずの縁があるギスカーン伯爵家の当主である私の婿となってもらう方が安全でしょう。さらにいえばメイドや侍女との接し方がわからないとなれば、私自らメイドとなって接するのもいいでしょう。私であれば何かあっても簡単にフォローできますし」
「……すまん。姉さんがメイドとしてそばに控えられてる事そのものが一番の不幸……のわっ!!」
セリフ途中でぶおんっと飛んできた足……回し蹴りを上体反らしで躱したフェイド。
その際に絶対領域を完備したふとももが丸見えとなるも、フェルトは気にしない。
身内相手では邪な感情が働きにくい上、目を取られると追撃に対処できないのだ。よって、油断なく追撃に備えるも……
今回は追撃が来ないあたり、そこまで本気というわけでなかったのだろう。
空ぶった時の風圧からして、直撃すれば意識を完全に刈り取られそうな威力ありそうなので案外本気だった可能性も否めないが……
「ま、まぁ……ともかく姉さんとウールが結婚するのはいいと思ってる。ウールはギスカーン伯爵家の養子ではなく姉さんと婚姻して婿入りするのは予想外だったとはいえ、能力や性格といったあらゆる面からみても姉さんの元婚約者とは比べるのもおこがましいぐらいの最良物件なのは確実だもんな」
「ふふふ……あの元婚約者より酷いのはもうクズぐらいしか思い浮かばないぐらいだから、そもそも比較対象にする時点ですでに失礼な気はするけどね」
「それもそっか。はっはっは」
機嫌よく笑う二人はかつてのケイトの元婚約者を思い返すのであった。
「納め時なのはお前の方だ、このクズめが!!」
外に出たフェルトは部屋から響いてきたクズの声に対し、本音で突っ込んだ。
態度も部屋の中では腰の低い営業マンスタイルを貫いでいたが、もう必要ないとばかりに素へと戻した。その素も今は誰も……いや、メイドや見張り以外みてないから気にしない。
さらにいえばメイドや見張りもフェルトの態度を全く咎めないどころか……
「フェルトさん。お酒とおつまみの差し入れありがとっしゃした」
見張りは職務中に堂々酒を飲むという有様であった。
もっとも、彼らは神からの天誅を食らった者達を犯罪者ではなく、ある種のVIP対応せねばならないのだ。
その犯罪者も反省どころか威張り散らしてるのだから、ストレスはマッハでやばいのは確定的に明らか。ある程度の羽目外しは神も許してくれるだろう。
「許してもらえるといいのですけどね」
「前後不覚になる程のきつい酒は渡してないし、大丈夫さ。それに何かあったところであのクズ相手だし、手段選ばなければどうとでもなるだろ。ケイト姉さん」
「手段を選べないからこそ、アーデル様達は苦労してるのですがね……はぁ」
そう語るメイド……フェルトの姉であり、次期ギスカーン伯爵家の当主となる事が内定しているケイトは溜息を付く。
「それにしたって、なんで姉さんがついてきたんだよ。姉さんが所属してる王宮財務部は今頃ヒーヒー言ってるのに大丈夫なのか?」
「見張りのために駆り出されました。クズをさらなる地獄へと叩き落とす作戦の一旦を何の因果か出来の悪い弟が請け負うことになったから、何かヘマやらかさないか心配したマイヤー様からの命令で」
「……どうみても、同僚やマイヤー様を脅して無理やり抜け出してきたようにしかみえんぞ」
「うっさい!!弟はただ黙って姉の言うこと聞いとけばいいんだよ!!」
「へーへーわかりましたよっと……全く、こんな裏表のある女と結婚を強要されるウールは不幸だよな」
「城仕えするならそれなりの身分ある貴族が後見人になってほしいというアーデル様の意向こそありますが、ウールは下手な貴族子息よりも優秀ですからね。あくどい貴族に取られるぐらいなら、少なからずの縁があるギスカーン伯爵家の当主である私の婿となってもらう方が安全でしょう。さらにいえばメイドや侍女との接し方がわからないとなれば、私自らメイドとなって接するのもいいでしょう。私であれば何かあっても簡単にフォローできますし」
「……すまん。姉さんがメイドとしてそばに控えられてる事そのものが一番の不幸……のわっ!!」
セリフ途中でぶおんっと飛んできた足……回し蹴りを上体反らしで躱したフェイド。
その際に絶対領域を完備したふとももが丸見えとなるも、フェルトは気にしない。
身内相手では邪な感情が働きにくい上、目を取られると追撃に対処できないのだ。よって、油断なく追撃に備えるも……
今回は追撃が来ないあたり、そこまで本気というわけでなかったのだろう。
空ぶった時の風圧からして、直撃すれば意識を完全に刈り取られそうな威力ありそうなので案外本気だった可能性も否めないが……
「ま、まぁ……ともかく姉さんとウールが結婚するのはいいと思ってる。ウールはギスカーン伯爵家の養子ではなく姉さんと婚姻して婿入りするのは予想外だったとはいえ、能力や性格といったあらゆる面からみても姉さんの元婚約者とは比べるのもおこがましいぐらいの最良物件なのは確実だもんな」
「ふふふ……あの元婚約者より酷いのはもうクズぐらいしか思い浮かばないぐらいだから、そもそも比較対象にする時点ですでに失礼な気はするけどね」
「それもそっか。はっはっは」
機嫌よく笑う二人はかつてのケイトの元婚約者を思い返すのであった。
0
お気に入りに追加
62
あなたにおすすめの小説
旅の道連れ、さようなら【短編】
キョウキョウ
ファンタジー
突然、パーティーからの除名処分を言い渡された。しかし俺には、その言葉がよく理解できなかった。
いつの間に、俺はパーティーの一員に加えられていたのか。
婚約破棄されて勝利宣言する令嬢の話
Ryo-k
ファンタジー
「セレスティーナ・ルーベンブルク! 貴様との婚約を破棄する!!」
「よっしゃー!! ありがとうございます!!」
婚約破棄されたセレスティーナは国王との賭けに勝利した。
果たして国王との賭けの内容とは――
公爵令嬢はアホ係から卒業する
依智川ゆかり
ファンタジー
『エルメリア・バーンフラウト! お前との婚約を破棄すると、ここに宣言する!!」
婚約相手だったアルフォード王子からそんな宣言を受けたエルメリア。
そんな王子は、数日後バーンフラウト家にて、土下座を披露する事になる。
いや、婚約破棄自体はむしろ願ったり叶ったりだったんですが、あなた本当に分かってます?
何故、私があなたと婚約する事になったのか。そして、何故公爵令嬢である私が『アホ係』と呼ばれるようになったのか。
エルメリアはアルフォード王子……いや、アホ王子に話し始めた。
彼女が『アホ係』となった経緯を、嘘偽りなく。
*『小説家になろう』でも公開しています。
もしかして寝てる間にざまぁしました?
ぴぴみ
ファンタジー
令嬢アリアは気が弱く、何をされても言い返せない。
内気な性格が邪魔をして本来の能力を活かせていなかった。
しかし、ある時から状況は一変する。彼女を馬鹿にし嘲笑っていた人間が怯えたように見てくるのだ。
私、寝てる間に何かしました?
ママと中学生の僕
キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。
【一話完結】断罪が予定されている卒業パーティーに欠席したら、みんな死んでしまいました
ツカノ
ファンタジー
とある国の王太子が、卒業パーティーの日に最愛のスワロー・アーチェリー男爵令嬢を虐げた婚約者のロビン・クック公爵令嬢を断罪し婚約破棄をしようとしたが、何故か公爵令嬢は現れない。これでは断罪どころか婚約破棄ができないと王太子が焦り始めた時、招かれざる客が現れる。そして、招かれざる客の登場により、彼らの運命は転がる石のように急転直下し、恐怖が始まったのだった。さて彼らの運命は、如何。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる