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第一章 逆断罪劇からのクズざまぁ編
47.この紋様が目に入らぬか!!! ※ クズ2度目のざまぁ回(その12)
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「静まれぇ!!静まれぇぇぇ!!!」
一瞬即発だった現場に突如響き渡る声。
その言葉は当事者の耳にもよく響き、思わず動きを止めるだけの力があった。
「「「「「何奴!?」」」」」
その場に居た者が全員、声の元へと目を向ける。
そこに居たのは、バーンという効果音と共に印籠を掲げる一人の若き大司教であった。
「この紋様が目に入らぬか!!!」
掲げた印籠から天秤を模した紋様が浮かび上がっており、それを見た者は……
「首をたれよ!!」
「「「「「「「「ははぁぁぁぁ!!!」」」」」」」」
その場に居た者は全員……身分や立場も関係なく、全員が首を垂れてひざまづいた。
それもそのはず。
彼が掲げている天秤を模した紋様を描いた印籠は隣国ゴッドライフ領国の親元とされるストロガノフ合衆国で生み出された聖具の一つ。
教会の大司教クラスしか持つことを許されない、審判を司る神の力を宿した聖具だ。
この印籠を掲げられれば即座に争いを中弾し、神の審判をうけなければならぬと定められている。
従わぬものは神敵として神罰が下されるほどの強制力があるため、常識ある者であれば素直に従うのだが……
「にゃ、にゃんだ……にゃにぎゃおきゅた……?」
クズとその同類の取り巻き貴族達はその常識を持ってなかったようだ。
周囲が一斉にひざまづいた光景に彼等は戸惑っていた。
「そこの者達……聞こえなかったのか?首を垂れよ」
「きしゃま……こにょふぉれぎゃぢゃれぎゃはきゃってりゅにょか!?」
「王太子様だろう?わかってるからさっさとひざまづけ!!二度は言わんぞ!!!」
仮にも王太子相手に、完全な上から目線な言いよう。
その態度にクズはぷっつん。
先ほどからもう何度切れたかわからない堪忍袋の緒が切れたクズは、怒り心頭でペーターに命令する。
「ぴぇーちゃー!こにょりょきゃもにょをきゅれ!!」
「殿下……その命令は聞けません」
ばきっ!!
怒りに任せてペーターの顔面を殴りつけるもペーターは微動だにしない。
続けざまに何度殴りつけても、やはり微動だにしない。
「貴様!!デルフリ王太子殿下様の命令を聞けないというのか!!」
「男爵出の癖に生意気な!!やっちまえ!!」
クズだけでなく取り巻き達も暴行に加わるも、ペーターはただひざまづいてやり過ごそうとするだけであった。
そんな様を……印籠が掲げられている場で争い事を起こすクズ達に周囲は唖然。
アーデルの時と違って全員が暴行に参加してるわけでない。取り巻きであっても常識を持つ者は素直に跪いてるし、常識は無くとも何かがおかしいと思う者はオロオロと狼狽えているだけだ。
おまけに、本来ならこういった愚行を止めるべき立場であるはずの大司教様は……
「あっ、えっと……この場合は……ど、どうすれば」
印籠を掲げても全くお構いなしでペーターをボコるクズ達がわけわからなさすぎて、あたふたとしはじめたのだ。
「………(((((駄目だこいつら……早く何とかしないと……)))))」
周囲のひざまずいている面々は向ける相手が違えど、ほぼ同じ言葉を心の中でつぶやくのは必然といえよう。
だが、そんな中でもアーデルだけは違った。
(あーもう、ヨーゼフ兄さんの悪い癖。優柔不断な面が表に出てるし、お付きの神官も相手が王太子だから尻ごみしてる……っていうか、私になんとかしろって無言で訴えてる?)
教会は各ギルド同様、国境を超えた力を持つ独立機関故に国政とは距離を置くスタンスを取っている。それゆえに国のごたごたには首を突っ込まない傾向がある。
つまり、お付きの神官は常識が通用しそうにない王太子達の対処を王太子妃で婚約者であるアーデルに任せたのだ。
王太子を諫めるのは王太子妃の役目とはいえ、アーデルの言葉はクズに全く届かないのは先ほどからのやりとりからみて確定的に明らか。
お付きの神官もそれを見ていたはずなのでどうやってわからせろっと視線で問い返せば、しゅっしゅっと軽くシャドーボクシングで返答する辺り……
(ブルータス!!お前もか!!!)
心の中で突っ込みつつも、お前の思惑通りに動いてたまるかっとばかりに顔を上げて大司教に進言した。
「ヨーゼフ大司教様!あのクズ達に“天誅”を下してください!!」
「ア、アーデル……でも、それは……仮にも相手は」
「王太子だろうがなんだろうが、神の前では平等です!神に従わぬ者には罰を下さないと教会の威信に傷がつきます!それでもし問題が起きたというなら、私も共に罰を受けましょう!!!」
「それはならん!アーデルが罰を背負うぐらいなら俺が直接制裁を……」
「ハイドやめてぇぇぇ!!!帝国の皇子が他国のごたごたに首突っ込んだ挙句に神罰下されるなんて事態になったら帝国が大混乱に陥るからそれだけはやめてぇぇぇ!!!」
「そ、その通りだった……ごめん。僕も覚悟決めるよ。だから、大司教ヨーゼフの名において命ずる……愚か者どもに」
愚か者どもに神の裁きたる“天誅”を!!!
一瞬即発だった現場に突如響き渡る声。
その言葉は当事者の耳にもよく響き、思わず動きを止めるだけの力があった。
「「「「「何奴!?」」」」」
その場に居た者が全員、声の元へと目を向ける。
そこに居たのは、バーンという効果音と共に印籠を掲げる一人の若き大司教であった。
「この紋様が目に入らぬか!!!」
掲げた印籠から天秤を模した紋様が浮かび上がっており、それを見た者は……
「首をたれよ!!」
「「「「「「「「ははぁぁぁぁ!!!」」」」」」」」
その場に居た者は全員……身分や立場も関係なく、全員が首を垂れてひざまづいた。
それもそのはず。
彼が掲げている天秤を模した紋様を描いた印籠は隣国ゴッドライフ領国の親元とされるストロガノフ合衆国で生み出された聖具の一つ。
教会の大司教クラスしか持つことを許されない、審判を司る神の力を宿した聖具だ。
この印籠を掲げられれば即座に争いを中弾し、神の審判をうけなければならぬと定められている。
従わぬものは神敵として神罰が下されるほどの強制力があるため、常識ある者であれば素直に従うのだが……
「にゃ、にゃんだ……にゃにぎゃおきゅた……?」
クズとその同類の取り巻き貴族達はその常識を持ってなかったようだ。
周囲が一斉にひざまづいた光景に彼等は戸惑っていた。
「そこの者達……聞こえなかったのか?首を垂れよ」
「きしゃま……こにょふぉれぎゃぢゃれぎゃはきゃってりゅにょか!?」
「王太子様だろう?わかってるからさっさとひざまづけ!!二度は言わんぞ!!!」
仮にも王太子相手に、完全な上から目線な言いよう。
その態度にクズはぷっつん。
先ほどからもう何度切れたかわからない堪忍袋の緒が切れたクズは、怒り心頭でペーターに命令する。
「ぴぇーちゃー!こにょりょきゃもにょをきゅれ!!」
「殿下……その命令は聞けません」
ばきっ!!
怒りに任せてペーターの顔面を殴りつけるもペーターは微動だにしない。
続けざまに何度殴りつけても、やはり微動だにしない。
「貴様!!デルフリ王太子殿下様の命令を聞けないというのか!!」
「男爵出の癖に生意気な!!やっちまえ!!」
クズだけでなく取り巻き達も暴行に加わるも、ペーターはただひざまづいてやり過ごそうとするだけであった。
そんな様を……印籠が掲げられている場で争い事を起こすクズ達に周囲は唖然。
アーデルの時と違って全員が暴行に参加してるわけでない。取り巻きであっても常識を持つ者は素直に跪いてるし、常識は無くとも何かがおかしいと思う者はオロオロと狼狽えているだけだ。
おまけに、本来ならこういった愚行を止めるべき立場であるはずの大司教様は……
「あっ、えっと……この場合は……ど、どうすれば」
印籠を掲げても全くお構いなしでペーターをボコるクズ達がわけわからなさすぎて、あたふたとしはじめたのだ。
「………(((((駄目だこいつら……早く何とかしないと……)))))」
周囲のひざまずいている面々は向ける相手が違えど、ほぼ同じ言葉を心の中でつぶやくのは必然といえよう。
だが、そんな中でもアーデルだけは違った。
(あーもう、ヨーゼフ兄さんの悪い癖。優柔不断な面が表に出てるし、お付きの神官も相手が王太子だから尻ごみしてる……っていうか、私になんとかしろって無言で訴えてる?)
教会は各ギルド同様、国境を超えた力を持つ独立機関故に国政とは距離を置くスタンスを取っている。それゆえに国のごたごたには首を突っ込まない傾向がある。
つまり、お付きの神官は常識が通用しそうにない王太子達の対処を王太子妃で婚約者であるアーデルに任せたのだ。
王太子を諫めるのは王太子妃の役目とはいえ、アーデルの言葉はクズに全く届かないのは先ほどからのやりとりからみて確定的に明らか。
お付きの神官もそれを見ていたはずなのでどうやってわからせろっと視線で問い返せば、しゅっしゅっと軽くシャドーボクシングで返答する辺り……
(ブルータス!!お前もか!!!)
心の中で突っ込みつつも、お前の思惑通りに動いてたまるかっとばかりに顔を上げて大司教に進言した。
「ヨーゼフ大司教様!あのクズ達に“天誅”を下してください!!」
「ア、アーデル……でも、それは……仮にも相手は」
「王太子だろうがなんだろうが、神の前では平等です!神に従わぬ者には罰を下さないと教会の威信に傷がつきます!それでもし問題が起きたというなら、私も共に罰を受けましょう!!!」
「それはならん!アーデルが罰を背負うぐらいなら俺が直接制裁を……」
「ハイドやめてぇぇぇ!!!帝国の皇子が他国のごたごたに首突っ込んだ挙句に神罰下されるなんて事態になったら帝国が大混乱に陥るからそれだけはやめてぇぇぇ!!!」
「そ、その通りだった……ごめん。僕も覚悟決めるよ。だから、大司教ヨーゼフの名において命ずる……愚か者どもに」
愚か者どもに神の裁きたる“天誅”を!!!
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