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第一章 逆断罪劇からのクズざまぁ編
41.うわ~これまた随分乱雑にやったわね(SIDE:アーデル)
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逆切れ的にシィプシィへと殴りかかるクズ。
クズ的にはこれが正解だと思ってるのだろう。
アーデル相手だと殴れば黙るので、なおさらそう思ってるのだろう。
だから躊躇なく、握りしめた拳をシィプシィの顔面めがけて振りぬこうとするも……
シィプシィはアーデルと違ってクズの拳を大人しく受ける義務なんて全くないのだ。
彼女は振るわれた拳を冷静に受け止め、そのまま流れるような身体裁きでもってクズを背負い投げした。
「あぐっ!!」
地面に激突と同時にクズの肩から何かが外れる音が響く。
どうやら、地面にたたきつけられた衝撃で右肩が外れたようだ。
(うわ~これまた随分乱雑にやったわね)
投げ技は一見すれば危険でも、熟練者が行えば相手を無傷で地面を転がせる事が可能。
当然、シィプシィもそれなりに訓練を積んでるから無傷で対処できるのに……
クズが右肩を抑えながら地面にうずくまってる事からわかる通り、わざと怪我を負わせるように投げたのだ。
そこへシィプシィが容赦なく追撃を入れる。
「口で勝てないなら腕力に訴えかけるとは愚かですねぇ。おまけにその腕力でも私のようなか弱い女性に負けるとは……さて、今どんな気分ですか?ぷーくすくす」
肉体ではなく精神への攻撃。
精神攻撃は基本っと言わんばかりな言葉のナイフにクズの身体が振るえはじめる。
それは痛みに耐えてるのか、怒りを堪えてるのか、はたまた両方か……
まぁこの際どうでもいいだろう。真っ赤になったクズは怒鳴り散らす。
「お、おのれぇぇぇぇ!!不敬罪だ!!ペーター奴を捕まえろ!!!!!」
「無理」
「なぜだ!!」
「見ての通り、取り込み中なので」
ペーターの返事通り、彼の目の前にはシィプシィの護衛として付き従っていた冒険者……クズ達を捕らえるために予め会場に潜んでもらっていた冒険者の一部が行く手を遮っていたのだ。
「お前ならそれぐらい叩き伏せられるだろう!!王国1の剣の腕前が泣くぞ!!」
「主人はああ言ってますがどうする?俺としてはその王国1の剣を俺達のようなしがない平民の冒険者にご教授してほしいなって思ってるが」
「無手の者相手に剣を向ける気はない。だが……このまま何もしないのは殿下の護衛失格。よって、ここは代案として腕相撲で白黒つける事を提案する」
「はっはっは!!騎士様もパーティーの余興をよく心得てらっしゃる!!!受けて立とう!!!野郎どももそれでいいな!!」
「「「「いいですとも!!!」」」」
「そういうことで、しばらく抜けさせてもらいます」
「まて!!そんな事俺がゆるさん!!戻ってこい」
クズが叫ぶも、ペーターは全く聞き入れない。
やがて、気を利かせた給仕……モブなのにビィトという名有りな給仕が持ってきた簡素なテーブルをはさんでの腕相撲勝負となった。
「では、騎士様が素晴らしい騎士道を見せてもらいましたので俺も騎士道に倣って名乗らせてもらいます。私はロンジュと言います。平民なので家名はありません」
「私はシュバルツ男爵嫡男のペーター。ロンジュ殿、いざ尋常に……」
「「勝負!!!」」
こうして始まった騎士と平民冒険者の一騎打ちだが、勝負内容は腕相撲という真剣勝負ながらも周囲に危険が及ばない平和的な内容だ。
よって平民を中心としたギャラリー達も気軽に集まり始めてわいわいと騒ぎ出す。中には賭けまでやり始める始末だ。
「おやおや、これはこれはなんとも頼もしい護衛じゃないですか」
「オノーレ……誰でもいい!!この不届き者を殺せ!!即刻切り捨てろ!!」
クズが周囲の取り巻き貴族に向けて命令するも、誰も聞き入れない。強面の冒険者が観戦中にも関わらず油断なくにらみを利かせているせいで動けないのだ。
それでも一部気骨ある者は勇敢にシィプシィに襲い掛かろうとするも、強面冒険者にあっさり組み伏せられてしまった。
「貴様!!平民の分際で貴族に手を出すとはただじゃ済まさんぞ!!」
「俺達は今シシィの姐御に雇われてるんで、文句はシシィの姐御にどうぞ……でいいんすよね?」
「えぇ。文句があるというならいつでも受けて立ちますわよ。ですが、私はどれだけ暴力を振るわれても(表面上は)笑って許してくれるお優しい王太子妃様と違います。それなりの報復は覚悟なさってください……だから、やりなさい」
「いえっさー……じゃ、かる~くぽきっとな」
「ぎゃぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!」
合図とともに、容赦なく右肩の関節が外された。
痛みで悶絶するも、シィプシィは全く意に返さなかった。
クズ的にはこれが正解だと思ってるのだろう。
アーデル相手だと殴れば黙るので、なおさらそう思ってるのだろう。
だから躊躇なく、握りしめた拳をシィプシィの顔面めがけて振りぬこうとするも……
シィプシィはアーデルと違ってクズの拳を大人しく受ける義務なんて全くないのだ。
彼女は振るわれた拳を冷静に受け止め、そのまま流れるような身体裁きでもってクズを背負い投げした。
「あぐっ!!」
地面に激突と同時にクズの肩から何かが外れる音が響く。
どうやら、地面にたたきつけられた衝撃で右肩が外れたようだ。
(うわ~これまた随分乱雑にやったわね)
投げ技は一見すれば危険でも、熟練者が行えば相手を無傷で地面を転がせる事が可能。
当然、シィプシィもそれなりに訓練を積んでるから無傷で対処できるのに……
クズが右肩を抑えながら地面にうずくまってる事からわかる通り、わざと怪我を負わせるように投げたのだ。
そこへシィプシィが容赦なく追撃を入れる。
「口で勝てないなら腕力に訴えかけるとは愚かですねぇ。おまけにその腕力でも私のようなか弱い女性に負けるとは……さて、今どんな気分ですか?ぷーくすくす」
肉体ではなく精神への攻撃。
精神攻撃は基本っと言わんばかりな言葉のナイフにクズの身体が振るえはじめる。
それは痛みに耐えてるのか、怒りを堪えてるのか、はたまた両方か……
まぁこの際どうでもいいだろう。真っ赤になったクズは怒鳴り散らす。
「お、おのれぇぇぇぇ!!不敬罪だ!!ペーター奴を捕まえろ!!!!!」
「無理」
「なぜだ!!」
「見ての通り、取り込み中なので」
ペーターの返事通り、彼の目の前にはシィプシィの護衛として付き従っていた冒険者……クズ達を捕らえるために予め会場に潜んでもらっていた冒険者の一部が行く手を遮っていたのだ。
「お前ならそれぐらい叩き伏せられるだろう!!王国1の剣の腕前が泣くぞ!!」
「主人はああ言ってますがどうする?俺としてはその王国1の剣を俺達のようなしがない平民の冒険者にご教授してほしいなって思ってるが」
「無手の者相手に剣を向ける気はない。だが……このまま何もしないのは殿下の護衛失格。よって、ここは代案として腕相撲で白黒つける事を提案する」
「はっはっは!!騎士様もパーティーの余興をよく心得てらっしゃる!!!受けて立とう!!!野郎どももそれでいいな!!」
「「「「いいですとも!!!」」」」
「そういうことで、しばらく抜けさせてもらいます」
「まて!!そんな事俺がゆるさん!!戻ってこい」
クズが叫ぶも、ペーターは全く聞き入れない。
やがて、気を利かせた給仕……モブなのにビィトという名有りな給仕が持ってきた簡素なテーブルをはさんでの腕相撲勝負となった。
「では、騎士様が素晴らしい騎士道を見せてもらいましたので俺も騎士道に倣って名乗らせてもらいます。私はロンジュと言います。平民なので家名はありません」
「私はシュバルツ男爵嫡男のペーター。ロンジュ殿、いざ尋常に……」
「「勝負!!!」」
こうして始まった騎士と平民冒険者の一騎打ちだが、勝負内容は腕相撲という真剣勝負ながらも周囲に危険が及ばない平和的な内容だ。
よって平民を中心としたギャラリー達も気軽に集まり始めてわいわいと騒ぎ出す。中には賭けまでやり始める始末だ。
「おやおや、これはこれはなんとも頼もしい護衛じゃないですか」
「オノーレ……誰でもいい!!この不届き者を殺せ!!即刻切り捨てろ!!」
クズが周囲の取り巻き貴族に向けて命令するも、誰も聞き入れない。強面の冒険者が観戦中にも関わらず油断なくにらみを利かせているせいで動けないのだ。
それでも一部気骨ある者は勇敢にシィプシィに襲い掛かろうとするも、強面冒険者にあっさり組み伏せられてしまった。
「貴様!!平民の分際で貴族に手を出すとはただじゃ済まさんぞ!!」
「俺達は今シシィの姐御に雇われてるんで、文句はシシィの姐御にどうぞ……でいいんすよね?」
「えぇ。文句があるというならいつでも受けて立ちますわよ。ですが、私はどれだけ暴力を振るわれても(表面上は)笑って許してくれるお優しい王太子妃様と違います。それなりの報復は覚悟なさってください……だから、やりなさい」
「いえっさー……じゃ、かる~くぽきっとな」
「ぎゃぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!」
合図とともに、容赦なく右肩の関節が外された。
痛みで悶絶するも、シィプシィは全く意に返さなかった。
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