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第一章 逆断罪劇からのクズざまぁ編
37.あーやっぱり腹立つ!!(SIDE:アーデル)
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「さぁ吐け!!クラーラをどこにやった!?」
「そうだそうだ!!この悪女が!!」
「みんなやっちまえ!!」
ゲシゲシっと端からみればクズ達から理不尽なリンチを受けてるアーデルであるも、当人からしてみればただ無数の子猫たちにじゃれ付かれてる程度。
全く脅威でないし、受け答えも無意味と判断したアーデルはクズ達の言葉を完全に無視して再度周囲を探る。
普段であればマイヤーが場を取り仕切る。
彼の役目はクズの監視だが、同時にクズの行動を抑制させるストッパーでもある。
っというか、抑制こそが彼に課せられた本来の役目であり、クズもマイヤーの言葉には比較的素直に……あくまで他に比べたら素直に耳を傾ける。
だからこそ最初の頃はクズが不利益を被らないよう立ち回っていたのだが、クズのあまりのクズっぷりにいつしかマイヤーはクズを見限った。
王妃を前にして『あれはもう厚生なんて無理ですよ』っと堂々匙を投げつけるほどであっても、なんだかんだいって幼少期からの付き合いがある幼馴染。それなりの情はあったようだ。
クズが一線を超えないよう、これ以上のクズへと落ちないよう最低限の諫めを行ってたが……
今回はその最低限すら放棄していた。
その証拠として、普段であれば何らかの対処を施している。たとえ本人が居なくても代理の者を送るといった予防策を取るのに、今回はその予防策すらない。
ならばっと、もう一人の側近でクズの護衛兼監視役……
マイヤー同様にアーデル陣営の回し者でもある騎士団長の子息のペーターに目を向けるも、彼は我関せず。
王太子妃が理不尽にリンチされてるという、異常事態の中であろうとも一切の動揺なく我関せずな態度を貫いていた。
その態度に少々腹立つ所はあるも、アーデル自身このリンチをリンチとすら思ってないただのじゃれ付きと思ってるのだ。
彼はそうしたアーデルの心の内を理解してるからこそ我関せずなのである。
もし、これが他の令嬢だったら……
(あーやっぱり腹立つ!!後でぶん殴ってやるわ!!!)
そう思いながら拳をぐっと握るとギョッと戸惑いの反応を示した辺り、彼は決して無能でない。
あの拳がクズ達に振るわれたら最悪死者が出る……
アーデル自身はクズ達にその拳を振るうつもりはなくとも、万が一の被害を考えたペーターはアーデルを油断なく見据えながらも重い腰をあげるかのように動きだした。
ヒートアップ中で何かを喚き散らしてる……言ってる事が支離滅裂過ぎてもうまともに聞く事を諦めた……クズの肩にぽんっと手を置く。
「……殿下。一回落ち着こう」
「はぁはぁ……そ、そうだな……」
クズもペーターを手元においてるだけあって、彼の言葉に耳を傾けるだけの信頼があった。
ただ、ペーターは基本無駄口をたたかないので耳を傾ける機会そのものが滅多にないそうだが……
その彼が言葉を発するというのは、それだけの事態ということでもある。
さらにいえば、ペーターは騎士団長の子息なだけあって強さは王国随一。
特に貴族達の中ではアーデルを差し置いて王国最強とされている。
まぁ、アーデルは最強の座に興味ないので否定もしなければ実際に戦って白黒付ける気もない。
それに……ペーター自身、アーデルを全く侮ってない。
帝国での学園では対魔王専用決戦兵器とも称される勇者すらも上回る、ある意味では魔王よりもやばい戦闘力保持者を見誤る事なく一番の脅威として見据えている。
(だから、それはそれで年頃の乙女に失礼過ぎる反応だって言ってるのよ!!)
そんな無言の訴えもペーターは平然とスルー。
お前にはすでにクズを⑨割殺し……辺境伯が止めに入らなければ確実に殺してたという前科があるだろっと黙殺どころか、他にすべき事あるだろっといわんばかりにあごでせかされた。
悔しいがペーターの言葉もとい、身振りによるジェスチャーの通りだ。
「では、落ち着かれたようなので改めて確認させてもらいます。k……デルフリ様」
「そうだそうだ!!この悪女が!!」
「みんなやっちまえ!!」
ゲシゲシっと端からみればクズ達から理不尽なリンチを受けてるアーデルであるも、当人からしてみればただ無数の子猫たちにじゃれ付かれてる程度。
全く脅威でないし、受け答えも無意味と判断したアーデルはクズ達の言葉を完全に無視して再度周囲を探る。
普段であればマイヤーが場を取り仕切る。
彼の役目はクズの監視だが、同時にクズの行動を抑制させるストッパーでもある。
っというか、抑制こそが彼に課せられた本来の役目であり、クズもマイヤーの言葉には比較的素直に……あくまで他に比べたら素直に耳を傾ける。
だからこそ最初の頃はクズが不利益を被らないよう立ち回っていたのだが、クズのあまりのクズっぷりにいつしかマイヤーはクズを見限った。
王妃を前にして『あれはもう厚生なんて無理ですよ』っと堂々匙を投げつけるほどであっても、なんだかんだいって幼少期からの付き合いがある幼馴染。それなりの情はあったようだ。
クズが一線を超えないよう、これ以上のクズへと落ちないよう最低限の諫めを行ってたが……
今回はその最低限すら放棄していた。
その証拠として、普段であれば何らかの対処を施している。たとえ本人が居なくても代理の者を送るといった予防策を取るのに、今回はその予防策すらない。
ならばっと、もう一人の側近でクズの護衛兼監視役……
マイヤー同様にアーデル陣営の回し者でもある騎士団長の子息のペーターに目を向けるも、彼は我関せず。
王太子妃が理不尽にリンチされてるという、異常事態の中であろうとも一切の動揺なく我関せずな態度を貫いていた。
その態度に少々腹立つ所はあるも、アーデル自身このリンチをリンチとすら思ってないただのじゃれ付きと思ってるのだ。
彼はそうしたアーデルの心の内を理解してるからこそ我関せずなのである。
もし、これが他の令嬢だったら……
(あーやっぱり腹立つ!!後でぶん殴ってやるわ!!!)
そう思いながら拳をぐっと握るとギョッと戸惑いの反応を示した辺り、彼は決して無能でない。
あの拳がクズ達に振るわれたら最悪死者が出る……
アーデル自身はクズ達にその拳を振るうつもりはなくとも、万が一の被害を考えたペーターはアーデルを油断なく見据えながらも重い腰をあげるかのように動きだした。
ヒートアップ中で何かを喚き散らしてる……言ってる事が支離滅裂過ぎてもうまともに聞く事を諦めた……クズの肩にぽんっと手を置く。
「……殿下。一回落ち着こう」
「はぁはぁ……そ、そうだな……」
クズもペーターを手元においてるだけあって、彼の言葉に耳を傾けるだけの信頼があった。
ただ、ペーターは基本無駄口をたたかないので耳を傾ける機会そのものが滅多にないそうだが……
その彼が言葉を発するというのは、それだけの事態ということでもある。
さらにいえば、ペーターは騎士団長の子息なだけあって強さは王国随一。
特に貴族達の中ではアーデルを差し置いて王国最強とされている。
まぁ、アーデルは最強の座に興味ないので否定もしなければ実際に戦って白黒付ける気もない。
それに……ペーター自身、アーデルを全く侮ってない。
帝国での学園では対魔王専用決戦兵器とも称される勇者すらも上回る、ある意味では魔王よりもやばい戦闘力保持者を見誤る事なく一番の脅威として見据えている。
(だから、それはそれで年頃の乙女に失礼過ぎる反応だって言ってるのよ!!)
そんな無言の訴えもペーターは平然とスルー。
お前にはすでにクズを⑨割殺し……辺境伯が止めに入らなければ確実に殺してたという前科があるだろっと黙殺どころか、他にすべき事あるだろっといわんばかりにあごでせかされた。
悔しいがペーターの言葉もとい、身振りによるジェスチャーの通りだ。
「では、落ち着かれたようなので改めて確認させてもらいます。k……デルフリ様」
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