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第一章 逆断罪劇からのクズざまぁ編

32.これより、美しくも残酷な虐殺ショーを開催いたします(SIDE:ブリギッテ)

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 1周目では皇太子殺害にブリギッテの怒りは有頂天。
 直情のままに婚約者であった王太子とその取り巻きを処刑……首を素手でねじ切る選択肢を取った。

 帝国の内情を知らなかった1周目のブリギッテはあれこそが最適だと思うも、後々の事を考えれば全く最適でなかったといえる。


 だからこそ、2週目のブリギッテは別の選択肢を取った。

 1周目の人生で何度も何度も『たられば』を繰り返した事で結論付けた、もっとも最適だったと想定できた選択肢……

 もし、あの時これを選んでいればっと何度も何度も思い返しては悔んできた選択肢……

 穏便に対処するという選択肢を取った。


 もっとも、理性と感情は相反するもの。
 理性ではわかっていても感情では辞められない、止められないとはよくいったもの。

 それでもブリギッテは冷静を保つために湧き上がる怒りを抑え込む。

(熱くなるな!どうせ愚者達の末路はすでに決まりきってる!!
 手を下すにしても、諸々の手続きを済ませてからの方が断然良いに決まっている!!
 Be Cool!! ビークール!! びーくーる!!!)


 気を抜けば周囲全てを破壊しかねない衝動を抑えるため、を復唱する事しばし。

 肉体は未熟な18歳でも精神は成熟した48歳のため、なんとかかんとか若者特有の癇癪を抑え込む事に成功。


 ただ……


(そうよ……一思いなんて楽に終わらせるのではなく、じわじわと苦しませながら殺せると思えば……ほぅら。怒りなんて簡単に抑え込めるじゃない。うふ、うふ、うふふふふふふ……)


 48歳の成熟した精神はより残酷な処刑法を思い立たせる要因にもなってしまっていた。


 こうして表向きは冷静に振舞うブリギッテであるも、そのせいで王太子だけでなくその取り巻きや親達を調子づかせてしまったようだ。
 中には全ての責任を帝国、ブリギッテになすりつけようとしてきたので……


 ブリギッテの怒りは有頂天を通り越した限界突破。

 1周目であれば全員すでにもの言わぬ屍に変えているところであるも、2周目のブリギッテはマグマのごとく煮えたぎるマグマのごとき憎悪の感情を“びーくーる”のおまじないの力でもって最後まで抑えつけた。

 そうして事件から約一か月後、関係者の事情聴取や背後関係の洗い出しを終えての裁判が開始。

「こんな裁判やるだけ無駄だ!!」

「そうだそうだ!!こんな横暴は許されるはずがない!!そうであろう!?」

 し~ん……

「な、なぜ無反応だ?!王太子が謂れのない罪に問われてるんだぞ!!?国王陛下達が黙ってるわけないんだぞ!!ここで擁護しなければ、どうなるかわかってるのか!!!?」

 当初は余裕綽々だった被告人達も様子がおかしい事に……視聴者が全く擁護しない事に気付いたようだ。

(そりゃぁそうよ。なにせ愚者達を擁護する連中は前日までに処分したもの。よっぽどの馬鹿じゃなければその意味がわかるはずよね)

 ちなみに被告人達は事件以降監禁生活を送らせてるため、外の情報は全く知らされてない。
 自分達の両親……騎士団長や宰相どころか国王夫妻すらも消されてるというのに、両親の威光を振りかざして呼ぶ姿は滑稽だ。

 多少は溜飲が下がるも、これで全て許す気はない。
 予定調和ともいうべき処刑判決が下され、どうやって処刑するかの場面でブリギッテが挙手。

「皆様。この愚物達の処刑、私に行わせてください。いいでしょうか?」

「「「「「いいですとも!!」」」」」

 ブリギッテはこの一件での最大の被害者であり、自ら手に掛ける権利があるともいえる人物。さらに各関係者への根回しの甲斐あって満場一致で可決された。

「何を言うか?!お前こそが処刑される側だろうが!!」

「「「「そうだそうだ!!」」」」

 その際に被告人達はブリギッテに罵倒をぶつける等、相変わらずな強気であるも……


 ギロリ

 「「「「「ひ、ひぃぃぃぃぃぃぃぃ!!!?」」」」」

 ブリギッテは1周目の皇帝時代で得た威圧。多くの戦場を最前線で戦い続けた歴戦の強者ともいうべき威圧を込めた睨みを利かせながら、この場で即座の処刑を提案。

 当初の流れから遺脱した提案ながらも、逆らったら殺されかねないほどの重圧に恐怖したため先ほどと同じく満場一致で可決された。

「うふふふふ……皆様ありがとうございます。
 これより、美しくも残酷な虐殺ショーを開催いたします。
 皆さま方はぜひとも、愚者達がその命で咲かせる死に花をご堪能ください」

 淑女然としたカーテシーでもってショーの開催を宣言したブリギッテ。

 まず手始めとばかりに被告人の一人を……

「な、なにをするダー!?」

 商会の息子とかいう平民の首を……

「や、やめろ……やめてやめてやめてやめてやめてやめてぇぇぇぇぇぇえぇぇぇあああががががああがががあががああがががっが!!」

 ゆっくりとひねり上げる。
 長く長く苦しみもがけるように、じわじわとゆっくり時間をかけるので最初こそ平民の悲鳴がよく会場に響くも、途中からは音。少しずつ力を込めていく首から発生する、形容しがたい音が周囲に響き渡り……






 グシャリ!!






 限界突破した首がついにねじ切られた。


「あっ……あっ……」

「な、なんてことを……」

 最早虚勢を張るのが精一杯だった愚者達も、友人が無残に殺された様に戦慄。
 トドメとしてねじ切ったばかりの首。血が滴ってる新鮮な首を投げつければ完全に心が折れたようだ。


「ゆ、許してくれ!!」

「つ、つい出来心だったんだ!!」

「た、ただ命令されただけで本心でなかったんだ!!」

「そ、そうだ!!あんなの冗談だ!!決して本気でなかったんだ!!ここは許すところじゃないか!!!」

 必死になって命乞いしはじめた。だが、すでに処刑の手続きが完了した後では最早手遅れというもの。



「さぁ、次は誰の番かしら?」

 どうせ全員死ぬ運命は変わらないのに、あえて順番を愚者達に選ばせるブリギッテ。
 もちろん愚者達は自分以外を推薦するっという埒の明かない争いをするものだから、結局ブリギッテが決めた順番……


 ブリギッテの独断と偏見によって順位付けさせられた愚者ランキングの下位から順番に処理することとした。
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