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第一章 逆断罪劇からのクズざまぁ編

18.歴代屈指のクズ野郎として後世まで語り継がせられるよう仕向けてやろうじゃぁないか!!!

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「それで……ロッテン。なにがどうなったわけ?」

「かくかくしかじかっと、今丁度クラーラについて話してたわけだけど」

「まるまるうまうま。なるほどね、理解したわ。ここまで来たら話すべきよ。以下にあの愚王が愚かなのかをたっぷり念入りに……クククククククク………」

「今は念入りに話すような時間ないからざっくり話すだけにしなさい。詳細なんて三日後のクズのやらかしから連動して知れ渡るだろうし」

「ちっ、残念。でも多くの人に知れ渡ってもらうなら長文より短文の方がいいから……まぁざっくり話せば、クラーラは危うく殺されるとこだったのよ」

「殺……される……?」

「そう、公式だとクラーラは死産扱いされてるけど生まれた時はまだ生きてたの。ただ、出産の際に側妃のハイジ様はクラーラを出産と同時に力尽きてしまい、命と引き換えで生み落とされたクラーラは一目見て奇病持ちだとわかるほどの醜い姿。正妃ではなく側妃を愛していたあの愚王はクラーラを側妃の忘れ形見ではなく、死神として殺すよう命じたわけで…………」

「………アノグオウ、ヤッパリイマスグシンデモラワナケレバナラナイナ」

「お嬢様!愚王討伐には僭越ながら私もお供しm」





 ガシッ!!!×2





「「そぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉい!!」」






 ごっちん!!!×2







 ぷしゅぅぅぅ……×2







「要するに、王は赤子を殺すように命じられたけど出産に立ち会った産婆達はいくら病気持ちでも生まれたばかりで、しかも生きようと足掻く赤子を殺す事が出来なかった。だから王には処分したと偽の報告を行い、裏でこっそり逃がしたのよ。その際の托す先がアムル辺境領。なぜアムル辺境領かは……わかるかしら?」

 今まさに王の元へ殴りこみに出向きかねない……クズ以外には鉄拳を振るうハードルが低いアーデルと暴走する主を諫めるどころか共感したメイをカナリアとの協力技。ジャーマンスープレックスで互いの脳天をぶつけ合わせて血の海へ沈めたというのに、全く意に介さず話を進めるロッテン。対して平民モブ侍女の方も……

「もちろんですロッテン様。アルム領は120年ほど前に東の隣国ストノガロフ合衆国へと攻め入った魔王の本拠地にもっとも近しい場であるため悪しき瘴気が流れこんでおり、その影響で厄介な魔物の出没や奇病に罹る者が多く……奇病が多いからこそ奇病の研究も盛んとなってます。そこでならクラーラ様の奇病を治せる可能性が高いと判断したからでしょう」

 頭から絶え間なく血を流しながらピクリとも動かず地面寝転がってようとも、全く気にも止めず自身の優秀さを示すアピールするかのごとくすらすらと淀みなく答えた。


「……惨劇の元凶でもある私が言うのもあれだけど、こんな血なまぐさい現場でも平然と受け答えするなんてずいぶんいい度胸してるわよね」

「最初の頃は驚きましたが、何度も見てきた光景なのでもう慣れました」

 慣れた……と言いつつも、その視線はどこか遠くへと向けてる辺りただ思考停止させてるだけなのかもしれない。

「それで、この件に関しては誰にも明かさないでいいでしょうか?」

「そうね、この一件は緘口令こそ敷いてないけどデリケートな問題だから黙っててもらえると助かるわ。でも逆にいえば……」

「わかってます。時期が来た瞬間明かしましょう……それこそ魔王の首を取ってきたかの如く」

 惨劇をスルーするだけでなくにやりと笑いながらサムズアップする辺り、この平民モブ侍女は随分といい性格をしてるようだ。
 とはいえ、いい性格してるのは何も彼女だけではない。

 この場にいたほぼ全員が彼女に追従するかのごとく、にやりと笑いながらサムズアップしていた。

 その様にはロッテンも思わず笑いながらサムズアップで応えるだけでなく……宣言した。



「ふふふ……サイコーだわこのクソったれども!!来るべき時が来たらあのクズどもにはサイコーのざまぁ劇の主役として、歴代屈指のクズ野郎として後世まで語り継がせられるよう仕向けてやろうじゃぁないか!!!」


「「「「「「「イエス、マム!!!」」」」」」」




 こうして心を一つにしたロッテン達はその日に備えて計画を……

 以下にしてクズ共を追いつめる舞台を整えるかの計画を練り始める……






 前に一つの問題へと直面するのであった。
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