15 / 229
第一章 逆断罪劇からのクズざまぁ編
14.我々はアーデル女王陛下様の忠実なしもべとして働かせてもらいます!!
しおりを挟む
「とにかくクラーラにはすでに婚約者が居るの!!私が認めた、私との決闘に一応勝利した事で認めざるを得ないほどの、私の可愛いクラーラを娶るにふさわしい男が居るのよ!!異論あるならまず私に話を通せ!!!一発ぶん殴ってから話を聞くし、娶りたいならまず私に勝ってからにしろ!!!
……ってことで、改めてあのクズの置き土産に関してどう対処するか話し合いましょうか。ロッテン、詳しい事を教えて頂戴」
コブラツイストから解放されたアーデルは周囲に軽く脅しを入れたところでお遊びは終わりっとばかりに意識を切り替える。
その姿、特に後半はシスコンが入った義姉馬鹿ではなく次期王妃にふさわしい佇まいであろう。
もっとも、王太子をクズ呼ばわりしてるところはアレでもそれは皆共通の想いだ。
皆も公の場……特に本人の前では口にしない信用ある者な事もあって誰も突っ込みを入れることなく受け流した。
「まず、あのクズが提案した懇親会の表の目的は『王国の未来を担う若者達と交流を深める』なわけだけど……今ここに居るのがまさにその『王国の未来を担う若者達』ってのが笑えるわ」
「「「「「「「全くだ!!」」」」」」」
ロッテンの言葉通りっとばかりに頷く面々。彼等は18歳であるアーデルとロッテンの同世代であり、半数は帝国の学園で共に教育を受けてきた学友達だ。
生まれの爵位は低くとも、皆脱落する事なく卒業までこぎつけただけあって優秀な者ばかり。
逆にクズとその取り巻きと化した貴族の子息達は爵位こそ高くても無能な馬鹿ばかり。
本人達は国内の王立学園でみっちり教育を受けてきた天才と思ってるも、学園での授業内容はアーデル達にとってみれば12歳の頃に受けたものといっても過言でなかった。
それでも真面目に授業を受けてればまだよかったものの、クズ達はほとんどの授業をサボってきた挙句に賄賂やら権力やらで成績を改ざんだ。
クズ達世代は書類上だと学園始まって以来の神童達とされ、逆に学園に通わなかったアーデル達は劣等扱いとまで言われている。
ただし、それを信じてるのはクズと癒着してる連中のみ。
まともな神経の持ち主は早々に学園を見限って退学している。
そんな学園とクズ達から距離を置いた子息達に知識を授けてくれたのは、同じように学園を見限った教員達だった。彼等は学園の有様に絶望し、辞表を叩きつけてやめた後は貴族の家庭教師として雇われる他、教会やら冒険者や商業といった各ギルドを訪れて身分問わず見込みのある者に教鞭を振るった。
そうした結果、多くの平民の子どもに質の高い教育が受けられる機会が出来たと同時に、学園の腐敗とそれを助長させているクズと取り巻き貴族の実態が広く知れ渡った。
「はぁ……王立学園も昔は由緒正しい学び場だったようだけど、ここまで腐敗してると笑えるわ」
「そうね。私たちが留学してて不在だった事もあってクズ達の言い分を直接否定できなかったから、クズ達の戯言を信じてた者もそれなりにいたようだけど……」
ロッテンの言葉にこれまた思い当たる節あるのか、帰国後に各ギルドからの推薦を受けて採用された人材の何人かがばつ悪そうな顔をするも、アーデルは気にするなと笑う。
「いいのいいの。悪いと思ってるならその分、身体で払ってもらえばいいのだから」
身体で払う……それは労働で払えということで深い意味はない。
だが、クラーラの件もあって彼等に向ける目は決して穏やかではない気がする。
下手に口答えしようものなら鉄拳制裁……はなくとも、ブラックな環境下でボロぞーきんになるまでこき使われるっと判断した者達は即座に姿勢を正す。
「「「イエスマム!!我々はアーデル女王陛下様の忠実なしもべとして働かせてもらいます!!」」」
「認めましょう。私たちはアーデルお嬢様改めアーデル女王陛下の犬として今後の働きに」
「こらこら、私は別に犬なんて求めてないからメイも勝手に話を進めない。それに私はまだ王太子妃。女王陛下なんて呼ばせたら王位簒奪疑われるからやめなさい」
「別に奪っちゃっていいんじゃないの?将来の国王は知っての通り人の話全く聴かないような愚物でお飾りにすらならないし、クズを要する王家とそれに加担してる貴族達を取り潰した後にアーデルの家、アルム家を新たな王家として宣言するのも手よ。少なくとも私やお父様はアーデルこそ女王に相応しいと思ってるし、他も内心では賛同してる貴族多いから問題なくできるはずよ」
「ロッテン。それは……いろいろなところから提案されてるけど、いざ実行すると躊躇われるのよ」
国のためを思えばクズを排除しての王国簒奪は正しいだろう。
王立学園の有様からわかる通り、今は王家も貴族も腐っている。
腐りきっている。
もはや手の施しようがない程であっても、クズは表向き王家最後の直系なのだ。
王国も無駄に1000年以上の歴史があるため、王家の血筋はそれだけで価値がある。
そう……どれだけ腐っていようとも価値はあるのだ。
現在の情勢、帝国と合衆国という歴史は浅くても国力だけは凄まじく強大な2国から干渉を受けてる王国にとって王家の血筋は重要な外交カードの一つ。
例え中身がどれだけ腐ってようとも鯛は鯛。
使い道がある以上、利用せざるを得ないのが現状である。
それに加え……
「クズを排除したらもう一人の直系が担ぎあげられる可能性を考えると……ねぇ」
アーデルはクラーラを自由に、王家とは無縁のまま世界を自由に走り回ってほしいからこそ、クズとの婚約を受け入れたのだ。
クラーラが自由を得るためには、クズが国王になってもらわないといけないのだ。
例えそれが文字通りの意味でのお飾りであろうとも……
「まっ、簒奪云々は今すぐ実行に移せるような話でもないから一度棚上げにしておくとして、話を元に戻そうかしらね」
ロッテンもアーデルの心情を理解してる事もあって無理強いはしない。が、全面的な肯定もせず、とりあえず保留っとばかりに話を終わらせた。
……ってことで、改めてあのクズの置き土産に関してどう対処するか話し合いましょうか。ロッテン、詳しい事を教えて頂戴」
コブラツイストから解放されたアーデルは周囲に軽く脅しを入れたところでお遊びは終わりっとばかりに意識を切り替える。
その姿、特に後半はシスコンが入った義姉馬鹿ではなく次期王妃にふさわしい佇まいであろう。
もっとも、王太子をクズ呼ばわりしてるところはアレでもそれは皆共通の想いだ。
皆も公の場……特に本人の前では口にしない信用ある者な事もあって誰も突っ込みを入れることなく受け流した。
「まず、あのクズが提案した懇親会の表の目的は『王国の未来を担う若者達と交流を深める』なわけだけど……今ここに居るのがまさにその『王国の未来を担う若者達』ってのが笑えるわ」
「「「「「「「全くだ!!」」」」」」」
ロッテンの言葉通りっとばかりに頷く面々。彼等は18歳であるアーデルとロッテンの同世代であり、半数は帝国の学園で共に教育を受けてきた学友達だ。
生まれの爵位は低くとも、皆脱落する事なく卒業までこぎつけただけあって優秀な者ばかり。
逆にクズとその取り巻きと化した貴族の子息達は爵位こそ高くても無能な馬鹿ばかり。
本人達は国内の王立学園でみっちり教育を受けてきた天才と思ってるも、学園での授業内容はアーデル達にとってみれば12歳の頃に受けたものといっても過言でなかった。
それでも真面目に授業を受けてればまだよかったものの、クズ達はほとんどの授業をサボってきた挙句に賄賂やら権力やらで成績を改ざんだ。
クズ達世代は書類上だと学園始まって以来の神童達とされ、逆に学園に通わなかったアーデル達は劣等扱いとまで言われている。
ただし、それを信じてるのはクズと癒着してる連中のみ。
まともな神経の持ち主は早々に学園を見限って退学している。
そんな学園とクズ達から距離を置いた子息達に知識を授けてくれたのは、同じように学園を見限った教員達だった。彼等は学園の有様に絶望し、辞表を叩きつけてやめた後は貴族の家庭教師として雇われる他、教会やら冒険者や商業といった各ギルドを訪れて身分問わず見込みのある者に教鞭を振るった。
そうした結果、多くの平民の子どもに質の高い教育が受けられる機会が出来たと同時に、学園の腐敗とそれを助長させているクズと取り巻き貴族の実態が広く知れ渡った。
「はぁ……王立学園も昔は由緒正しい学び場だったようだけど、ここまで腐敗してると笑えるわ」
「そうね。私たちが留学してて不在だった事もあってクズ達の言い分を直接否定できなかったから、クズ達の戯言を信じてた者もそれなりにいたようだけど……」
ロッテンの言葉にこれまた思い当たる節あるのか、帰国後に各ギルドからの推薦を受けて採用された人材の何人かがばつ悪そうな顔をするも、アーデルは気にするなと笑う。
「いいのいいの。悪いと思ってるならその分、身体で払ってもらえばいいのだから」
身体で払う……それは労働で払えということで深い意味はない。
だが、クラーラの件もあって彼等に向ける目は決して穏やかではない気がする。
下手に口答えしようものなら鉄拳制裁……はなくとも、ブラックな環境下でボロぞーきんになるまでこき使われるっと判断した者達は即座に姿勢を正す。
「「「イエスマム!!我々はアーデル女王陛下様の忠実なしもべとして働かせてもらいます!!」」」
「認めましょう。私たちはアーデルお嬢様改めアーデル女王陛下の犬として今後の働きに」
「こらこら、私は別に犬なんて求めてないからメイも勝手に話を進めない。それに私はまだ王太子妃。女王陛下なんて呼ばせたら王位簒奪疑われるからやめなさい」
「別に奪っちゃっていいんじゃないの?将来の国王は知っての通り人の話全く聴かないような愚物でお飾りにすらならないし、クズを要する王家とそれに加担してる貴族達を取り潰した後にアーデルの家、アルム家を新たな王家として宣言するのも手よ。少なくとも私やお父様はアーデルこそ女王に相応しいと思ってるし、他も内心では賛同してる貴族多いから問題なくできるはずよ」
「ロッテン。それは……いろいろなところから提案されてるけど、いざ実行すると躊躇われるのよ」
国のためを思えばクズを排除しての王国簒奪は正しいだろう。
王立学園の有様からわかる通り、今は王家も貴族も腐っている。
腐りきっている。
もはや手の施しようがない程であっても、クズは表向き王家最後の直系なのだ。
王国も無駄に1000年以上の歴史があるため、王家の血筋はそれだけで価値がある。
そう……どれだけ腐っていようとも価値はあるのだ。
現在の情勢、帝国と合衆国という歴史は浅くても国力だけは凄まじく強大な2国から干渉を受けてる王国にとって王家の血筋は重要な外交カードの一つ。
例え中身がどれだけ腐ってようとも鯛は鯛。
使い道がある以上、利用せざるを得ないのが現状である。
それに加え……
「クズを排除したらもう一人の直系が担ぎあげられる可能性を考えると……ねぇ」
アーデルはクラーラを自由に、王家とは無縁のまま世界を自由に走り回ってほしいからこそ、クズとの婚約を受け入れたのだ。
クラーラが自由を得るためには、クズが国王になってもらわないといけないのだ。
例えそれが文字通りの意味でのお飾りであろうとも……
「まっ、簒奪云々は今すぐ実行に移せるような話でもないから一度棚上げにしておくとして、話を元に戻そうかしらね」
ロッテンもアーデルの心情を理解してる事もあって無理強いはしない。が、全面的な肯定もせず、とりあえず保留っとばかりに話を終わらせた。
4
お気に入りに追加
96
あなたにおすすめの小説
【完結】捨てられた双子のセカンドライフ
mazecco
ファンタジー
【第14回ファンタジー小説大賞 奨励賞受賞作】
王家の血を引きながらも、不吉の象徴とされる双子に生まれてしまったアーサーとモニカ。
父王から疎まれ、幼くして森に捨てられた二人だったが、身体能力が高いアーサーと魔法に適性のあるモニカは、力を合わせて厳しい環境を生き延びる。
やがて成長した二人は森を出て街で生活することを決意。
これはしあわせな第二の人生を送りたいと夢見た双子の物語。
冒険あり商売あり。
さまざまなことに挑戦しながら双子が日常生活?を楽しみます。
(話の流れは基本まったりしてますが、内容がハードな時もあります)

(完結)醜くなった花嫁の末路「どうぞ、お笑いください。元旦那様」
音爽(ネソウ)
ファンタジー
容姿が気に入らないと白い結婚を強いられた妻。
本邸から追い出されはしなかったが、夫は離れに愛人を囲い顔さえ見せない。
しかし、3年と待たず離縁が決定する事態に。そして元夫の家は……。
*6月18日HOTランキング入りしました、ありがとうございます。

【一話完結】断罪が予定されている卒業パーティーに欠席したら、みんな死んでしまいました
ツカノ
ファンタジー
とある国の王太子が、卒業パーティーの日に最愛のスワロー・アーチェリー男爵令嬢を虐げた婚約者のロビン・クック公爵令嬢を断罪し婚約破棄をしようとしたが、何故か公爵令嬢は現れない。これでは断罪どころか婚約破棄ができないと王太子が焦り始めた時、招かれざる客が現れる。そして、招かれざる客の登場により、彼らの運命は転がる石のように急転直下し、恐怖が始まったのだった。さて彼らの運命は、如何。

婚約破棄……そちらの方が新しい聖女……ですか。ところで殿下、その方は聖女検定をお持ちで?
Ryo-k
ファンタジー
「アイリス・フローリア! 貴様との婚約を破棄する!」
私の婚約者のレオナルド・シュワルツ王太子殿下から、突然婚約破棄されてしまいました。
さらには隣の男爵令嬢が新しい聖女……ですか。
ところでその男爵令嬢……聖女検定はお持ちで?

「宮廷魔術師の娘の癖に無能すぎる」と婚約破棄され親には出来損ないと言われたが、厄介払いと嫁に出された家はいいところだった
今川幸乃
ファンタジー
魔術の名門オールストン公爵家に生まれたレイラは、武門の名門と呼ばれたオーガスト公爵家の跡取りブランドと婚約させられた。
しかしレイラは魔法をうまく使うことも出来ず、ブランドに一方的に婚約破棄されてしまう。
それを聞いた宮廷魔術師の父はブランドではなくレイラに「出来損ないめ」と激怒し、まるで厄介払いのようにレイノルズ侯爵家という微妙な家に嫁に出されてしまう。夫のロルスは魔術には何の興味もなく、最初は仲も微妙だった。
一方ブランドはベラという魔法がうまい令嬢と婚約し、やはり婚約破棄して良かったと思うのだった。
しかしレイラが魔法を全然使えないのはオールストン家で毎日飲まされていた魔力増加薬が体質に合わず、魔力が暴走してしまうせいだった。
加えて毎日毎晩ずっと勉強や訓練をさせられて常に体調が悪かったことも原因だった。
レイノルズ家でのんびり過ごしていたレイラはやがて自分の真の力に気づいていく。
婚約破棄からの断罪カウンター
F.conoe
ファンタジー
冤罪押しつけられたから、それなら、と実現してあげた悪役令嬢。
理論ではなく力押しのカウンター攻撃
効果は抜群か…?
(すでに違う婚約破棄ものも投稿していますが、はじめてなんとか書き上げた婚約破棄ものです)
勇者パーティを追放された聖女ですが、やっと解放されてむしろ感謝します。なのにパーティの人たちが続々と私に助けを求めてくる件。
八木愛里
ファンタジー
聖女のロザリーは戦闘中でも回復魔法が使用できるが、勇者が見目麗しいソニアを新しい聖女として迎え入れた。ソニアからの入れ知恵で、勇者パーティから『役立たず』と侮辱されて、ついに追放されてしまう。
パーティの人間関係に疲れたロザリーは、ソロ冒険者になることを決意。
攻撃魔法の魔道具を求めて魔道具屋に行ったら、店主から才能を認められる。
ロザリーの実力を知らず愚かにも追放した勇者一行は、これまで攻略できたはずの中級のダンジョンでさえ失敗を繰り返し、仲間割れし破滅へ向かっていく。
一方ロザリーは上級の魔物討伐に成功したり、大魔法使いさまと協力して王女を襲ってきた魔獣を倒したり、国の英雄と呼ばれる存在になっていく。
これは真の実力者であるロザリーが、ソロ冒険者としての地位を確立していきながら、残念ながら追いかけてきた魔法使いや女剣士を「虫が良すぎるわ!」と追っ払い、入り浸っている魔道具屋の店主が実は憧れの大魔法使いさまだが、どうしても本人が気づかない話。
※11話以降から勇者パーティの没落シーンがあります。
※40話に鬱展開あり。苦手な方は読み飛ばし推奨します。
※表紙はAIイラストを使用。

義母に毒を盛られて前世の記憶を取り戻し覚醒しました、貴男は義妹と仲良くすればいいわ。
克全
ファンタジー
「カクヨム」と「小説家になろう」にも投稿しています。
11月9日「カクヨム」恋愛日間ランキング15位
11月11日「カクヨム」恋愛週間ランキング22位
11月11日「カクヨム」恋愛月間ランキング71位
11月4日「小説家になろう」恋愛異世界転生/転移恋愛日間78位
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる