義妹を溺愛するクズ王太子達のせいで国が滅びそうなので、ヒロインは義妹と愉快な仲間達と共にクズ達を容赦なく潰す事としました(略称:クズぷちっ)

やみなべ

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第一章 逆断罪劇からのクズざまぁ編

14.我々はアーデル女王陛下様の忠実なしもべとして働かせてもらいます!!

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「とにかくクラーラにはすでに婚約者が居るの!!私が認めた、私との決闘に一応勝利した事で認めざるを得ないほどの、私の可愛いクラーラを娶るにふさわしい男が居るのよ!!異論あるならまず私に話を通せ!!!一発ぶん殴ってから話を聞くし、娶りたいならまず私に勝ってからにしろ!!!
 ……ってことで、改めてあのクズの置き土産に関してどう対処するか話し合いましょうか。ロッテン、詳しい事を教えて頂戴」

 コブラツイストから解放されたアーデルは周囲に軽く脅しを入れたところでお遊びは終わりっとばかりに意識を切り替える。
 その姿、特に後半はシスコンが入った義姉馬鹿ではなく次期王妃にふさわしい佇まいであろう。

 もっとも、王太子をクズ呼ばわりしてるところはアレでもそれは皆共通の想いだ。
 皆も公の場……特に本人の前では口にしない信用ある者な事もあって誰も突っ込みを入れることなく受け流した。

「まず、あのクズが提案した懇親会の表の目的は『王国の未来を担う若者達と交流を深める』なわけだけど……今ここに居るのがまさにその『王国の未来を担う若者達』ってのが笑えるわ」

「「「「「「「全くだ!!」」」」」」」


 ロッテンの言葉通りっとばかりに頷く面々。彼等は18歳であるアーデルとロッテンの同世代であり、半数は帝国の学園で共に教育を受けてきた学友達だ。
 生まれの爵位は低くとも、皆脱落する事なく卒業までこぎつけただけあって優秀な者ばかり。

 逆にクズとその取り巻きと化した貴族の子息達は爵位こそ高くても無能な馬鹿ばかり。
 本人達は国内の王立学園でみっちり教育を受けてきた天才と思ってるも、学園での授業内容はアーデル達にとってみれば12歳の頃に受けたものといっても過言でなかった。

 それでも真面目に授業を受けてればまだよかったものの、クズ達はほとんどの授業をサボってきた挙句に賄賂やら権力やらで成績を改ざんだ。
 クズ達世代は書類上だと学園始まって以来の神童達とされ、逆に学園に通わなかったアーデル達は劣等扱いとまで言われている。

 ただし、それを信じてるのはクズと癒着してる連中のみ。
 まともな神経の持ち主は早々に学園を見限って退学している。

 そんな学園とクズ達から距離を置いた子息達に知識を授けてくれたのは、同じように学園を見限った教員達だった。彼等は学園の有様に絶望し、辞表を叩きつけてやめた後は貴族の家庭教師として雇われる他、教会やら冒険者や商業といった各ギルドを訪れて身分問わず見込みのある者に教鞭を振るった。

 そうした結果、多くの平民の子どもに質の高い教育が受けられる機会が出来たと同時に、学園の腐敗とそれを助長させているクズと取り巻き貴族の実態が広く知れ渡った。



「はぁ……王立学園も昔は由緒正しい学び場だったようだけど、ここまで腐敗してると笑えるわ」

「そうね。私たちが留学してて不在だった事もあってクズ達の言い分を直接否定できなかったから、クズ達の戯言を信じてた者もそれなりにいたようだけど……」

 ロッテンの言葉にこれまた思い当たる節あるのか、帰国後に各ギルドからの推薦を受けて採用された人材の何人かがばつ悪そうな顔をするも、アーデルは気にするなと笑う。

「いいのいいの。悪いと思ってるならその分、身体で払ってもらえばいいのだから」

 身体で払う……それは労働で払えということで深い意味はない。
 だが、クラーラの件もあって彼等に向ける目は決して穏やかではない気がする。

 下手に口答えしようものなら鉄拳制裁……はなくとも、ブラックな環境下でボロぞーきんになるまでこき使われるっと判断した者達は即座に姿勢を正す。

「「「イエスマム!!我々はアーデル女王陛下様の忠実なしもべとして働かせてもらいます!!」」」

「認めましょう。私たちはアーデルお嬢様改めアーデル女王陛下の犬として今後の働きに」

「こらこら、私は別に犬なんて求めてないからメイも勝手に話を進めない。それに私はまだ王太子妃。女王陛下なんて呼ばせたら王位簒奪疑われるからやめなさい」

「別に奪っちゃっていいんじゃないの?将来の国王は知っての通り人の話全く聴かないような愚物でお飾りにすらならないし、クズを要する王家とそれに加担してる貴族達を取り潰した後にアーデルの家、アルム家を新たな王家として宣言するのも手よ。少なくとも私やお父様はアーデルこそ女王に相応しいと思ってるし、他も内心では賛同してる貴族多いから問題なくできるはずよ」

「ロッテン。それは……いろいろなところから提案されてるけど、いざ実行すると躊躇われるのよ」





 国のためを思えばクズを排除しての王国簒奪は正しいだろう。
 王立学園の有様からわかる通り、今は王家も貴族も腐っている。
 腐りきっている。


 もはや手の施しようがない程であっても、クズは表向き王家最後の直系なのだ。
 王国も無駄に1000年以上の歴史があるため、王家の血筋はそれだけで価値がある。

 そう……どれだけ腐っていようとも価値はあるのだ。

 現在の情勢、帝国と合衆国という歴史は浅くても国力だけは凄まじく強大な2国から干渉を受けてる王国にとって王家の血筋は重要な外交カードの一つ。

 例え中身がどれだけ腐ってようとも鯛は鯛。
 使い道がある以上、利用せざるを得ないのが現状である。

 それに加え……


「クズを排除したらもう一人の直系が担ぎあげられる可能性を考えると……ねぇ」

 アーデルはクラーラを自由に、王家とは無縁のまま世界を自由に走り回ってほしいからこそ、クズとの婚約を受け入れたのだ。

 クラーラが自由を得るためには、クズが国王になってもらわないといけないのだ。

 例えそれが文字通りの意味でのお飾りであろうとも……




「まっ、簒奪云々は今すぐ実行に移せるような話でもないから一度棚上げにしておくとして、話を元に戻そうかしらね」

 ロッテンもアーデルの心情を理解してる事もあって無理強いはしない。が、全面的な肯定もせず、とりあえず保留っとばかりに話を終わらせた。
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