義妹を溺愛するクズ王太子達のせいで国が滅びそうなので、ヒロインは義妹と愉快な仲間達と共にクズ達を容赦なく潰す事としました(略称:クズぷちっ)

やみなべ

文字の大きさ
上 下
11 / 229
第一章 逆断罪劇からのクズざまぁ編

10.アーデルの怒りは有頂天(SIDE:アーデル) ※ クズ1度目のざまぁ回

しおりを挟む
 結論からいえば、デルフリは死にかけた。


 もうどこに怒りポイントがあるか判明できない、ありすぎて一つに絞れないほどのふざけた発言にアーデルの怒りは有頂天。

 夢見がちだった乙女心を完全にぶち壊したのだ。
 悲しみよりも怒りが勝ったアーデルは直情のままに……


 大人達がデルフリ……いや、クズを諫めるよりも先に動いた。








竜巻攪拌器ハリ〇ーンミ〇サー!!」



 ドゴン!!!



 怒り狂った猛牛を思わせるような突進を受けたクズはきりもみ回転しながら空高く宙を舞う。
 このままでは満足に受け身も取れず頭から地面に激突するであろうも、そんな結末をアーデルは許さない。



「もういっちょ!!」

 ドゴン!!!


 地面へと激突する前にUターンで舞い戻ってきたアーデルが再度激突して跳ね飛ばす。
 再度きりもみ回転しつつ地面へと落下するも……



「もういっちょ!!」

 ドゴン!!!


 やはり舞い戻ってきたアーデルに跳ね飛ばされ……



「もういっちょ!!」

 ドゴン!!!


「もういっちょ!!」

 ドゴン!!!



 都合5回の跳ね飛ばしを繰り返した後にアーデルはフィニッシュとばかりに飛び上がる。真正面からがしっとクズの両手首を掴んで左右に広げて固定。



「とどめのスーパー超人クロスフォール+字架落とし!!」


 クズを十字架に見立てた形でホールドさせたまま自身諸共ひっくり返る。
 後はこのまま自身の体重を加えてクズの脳天を地面に突き刺す。





 これで全て終わるはずであった。


 少なくとも、この技が決まれば身体を鍛えた事なんてないであろう貧弱なクズ王太子は絶命する。

 自分自身が墓標となり、自身のまき散らした血でもって綺麗な死に花を咲かせるであろう事は誰でも予測できるも……




 先ほど『死にかけた』と称した通り技は不発。





「そこまでだ娘よ!!親父のダイナマイトキーック!!」

「ぐべぇ!?」


 激突前に父が放ったドロップキックでカットされたせいで技は空中分解。
 アーデルがクズのクッションになる形で地面に激突する自爆技に変換されたのだ。

 まぁそれでも竜巻攪拌器ハ〇ケーンミキ〇ーグォレンダァ!でクズの意識は完全に飛んでいた。息も絶え絶えだったわけだし、お仕置きであればもう十分。


 アーデルの溜飲は下がるも……



 事態はそれで終わらない。


 いくらクズ側に責はあっても即座に半殺しを通り越した⑨割殺しはやりすぎだった。
 制裁にしても最低限の礼儀……

 せめて一声ぐらいは忠告を与えてからやるべきだっと王妃はもとより父からも怒られた。


 当初は「なぜ!?」という想いはあっても、アーデルは後に知った。


 辺境では見ることのなかったキラキラとした世界を……

 裏ではともかく表向きは華やかな社交界を……

 自分と同年代の女の子達が綺麗に着飾った、洗練された姿を……


 アーデルは思い知らされた。
 目から鱗が落ちるかのごとき勢いでわからさられた。

 自分が如何に狭い世界を生きてきたかを……





 辺境という井の中から王都という大海に飛び出したアーデルは変わった。
 即座に鉄拳制裁するような、まさに田舎者な乱暴者と言わんばかりの流儀を封印して王宮の洗練された流儀を習った。

 当初は慣れない淑女の振る舞いに戸惑い、何度もやらかしを行った。そのたびに周囲から笑われ、時には馬鹿にされつつも未来の王妃として王国を支える覚悟を決めていたアーデルは腐る事なく努力を続けた。


 15の頃には側近候補達とともに帝国の学園へと留学。真の実力主義を掲げる校風の元に出身地も身分も全く関係ない学友達と様々な友情を織りなす青春ドラマを繰り広げた。

 そんな3年の学園生活のラストを飾る卒業式を迎える頃には……

 婚約してから約8年の歳月が過ぎた頃に爆誕したのは、おつむや立ち振る舞いは学年300人中50位内と優秀だけど国の代表としては少々物足りないながらも戦闘力に関しては学年トップ。近衛騎士どころかチート勇者すらも倒した、姫騎士ともいうべき王太子妃であった。

 幼少期からよく動きよく食べるを実践してきたせいで身長も高く、モリモリではなくとも華奢な貴族子女と比べればあからさまに筋肉のついたその肢体は淑女と呼ぶには無理ありすぎ。

 だが、この世界には魔物の脅威が存在する。
 平穏と暮らしてる間にも世界のどこかでは魔物のせいで壊滅する村がある程に物騒なので、戦闘力は誇れるステータスの一つなのだ。
 多少頭脳面や立ち振る舞いに難があっても、高い戦闘力の保持。さらに弱きを助け強きを挫く精神性は欠点を補って有り余る長所っと周囲からは好意的に捉えられて高い評価を受けていた。


 暴力とは無縁な淑女を目指してた当人からしてみれば『どうしてこうなった……』と少々不満ありなのだが……
 皆から頼りにされて親しまれるのは為政者として立派な素質だと帝国の皇帝直々に論された事あって、今の自分を素直に受け入れる事とした。



 対してクズ王太子だったデルフリはというと……

 まるで成長していなかった。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

【完結】捨てられた双子のセカンドライフ

mazecco
ファンタジー
【第14回ファンタジー小説大賞 奨励賞受賞作】 王家の血を引きながらも、不吉の象徴とされる双子に生まれてしまったアーサーとモニカ。 父王から疎まれ、幼くして森に捨てられた二人だったが、身体能力が高いアーサーと魔法に適性のあるモニカは、力を合わせて厳しい環境を生き延びる。 やがて成長した二人は森を出て街で生活することを決意。 これはしあわせな第二の人生を送りたいと夢見た双子の物語。 冒険あり商売あり。 さまざまなことに挑戦しながら双子が日常生活?を楽しみます。 (話の流れは基本まったりしてますが、内容がハードな時もあります)

【一話完結】断罪が予定されている卒業パーティーに欠席したら、みんな死んでしまいました

ツカノ
ファンタジー
とある国の王太子が、卒業パーティーの日に最愛のスワロー・アーチェリー男爵令嬢を虐げた婚約者のロビン・クック公爵令嬢を断罪し婚約破棄をしようとしたが、何故か公爵令嬢は現れない。これでは断罪どころか婚約破棄ができないと王太子が焦り始めた時、招かれざる客が現れる。そして、招かれざる客の登場により、彼らの運命は転がる石のように急転直下し、恐怖が始まったのだった。さて彼らの運命は、如何。

(完結)醜くなった花嫁の末路「どうぞ、お笑いください。元旦那様」

音爽(ネソウ)
ファンタジー
容姿が気に入らないと白い結婚を強いられた妻。 本邸から追い出されはしなかったが、夫は離れに愛人を囲い顔さえ見せない。 しかし、3年と待たず離縁が決定する事態に。そして元夫の家は……。 *6月18日HOTランキング入りしました、ありがとうございます。

婚約破棄……そちらの方が新しい聖女……ですか。ところで殿下、その方は聖女検定をお持ちで?

Ryo-k
ファンタジー
「アイリス・フローリア! 貴様との婚約を破棄する!」 私の婚約者のレオナルド・シュワルツ王太子殿下から、突然婚約破棄されてしまいました。 さらには隣の男爵令嬢が新しい聖女……ですか。 ところでその男爵令嬢……聖女検定はお持ちで?

「宮廷魔術師の娘の癖に無能すぎる」と婚約破棄され親には出来損ないと言われたが、厄介払いと嫁に出された家はいいところだった

今川幸乃
ファンタジー
魔術の名門オールストン公爵家に生まれたレイラは、武門の名門と呼ばれたオーガスト公爵家の跡取りブランドと婚約させられた。 しかしレイラは魔法をうまく使うことも出来ず、ブランドに一方的に婚約破棄されてしまう。 それを聞いた宮廷魔術師の父はブランドではなくレイラに「出来損ないめ」と激怒し、まるで厄介払いのようにレイノルズ侯爵家という微妙な家に嫁に出されてしまう。夫のロルスは魔術には何の興味もなく、最初は仲も微妙だった。 一方ブランドはベラという魔法がうまい令嬢と婚約し、やはり婚約破棄して良かったと思うのだった。 しかしレイラが魔法を全然使えないのはオールストン家で毎日飲まされていた魔力増加薬が体質に合わず、魔力が暴走してしまうせいだった。 加えて毎日毎晩ずっと勉強や訓練をさせられて常に体調が悪かったことも原因だった。 レイノルズ家でのんびり過ごしていたレイラはやがて自分の真の力に気づいていく。

婚約破棄からの断罪カウンター

F.conoe
ファンタジー
冤罪押しつけられたから、それなら、と実現してあげた悪役令嬢。 理論ではなく力押しのカウンター攻撃 効果は抜群か…? (すでに違う婚約破棄ものも投稿していますが、はじめてなんとか書き上げた婚約破棄ものです)

勇者パーティを追放された聖女ですが、やっと解放されてむしろ感謝します。なのにパーティの人たちが続々と私に助けを求めてくる件。

八木愛里
ファンタジー
聖女のロザリーは戦闘中でも回復魔法が使用できるが、勇者が見目麗しいソニアを新しい聖女として迎え入れた。ソニアからの入れ知恵で、勇者パーティから『役立たず』と侮辱されて、ついに追放されてしまう。 パーティの人間関係に疲れたロザリーは、ソロ冒険者になることを決意。 攻撃魔法の魔道具を求めて魔道具屋に行ったら、店主から才能を認められる。 ロザリーの実力を知らず愚かにも追放した勇者一行は、これまで攻略できたはずの中級のダンジョンでさえ失敗を繰り返し、仲間割れし破滅へ向かっていく。 一方ロザリーは上級の魔物討伐に成功したり、大魔法使いさまと協力して王女を襲ってきた魔獣を倒したり、国の英雄と呼ばれる存在になっていく。 これは真の実力者であるロザリーが、ソロ冒険者としての地位を確立していきながら、残念ながら追いかけてきた魔法使いや女剣士を「虫が良すぎるわ!」と追っ払い、入り浸っている魔道具屋の店主が実は憧れの大魔法使いさまだが、どうしても本人が気づかない話。 ※11話以降から勇者パーティの没落シーンがあります。 ※40話に鬱展開あり。苦手な方は読み飛ばし推奨します。 ※表紙はAIイラストを使用。

義母に毒を盛られて前世の記憶を取り戻し覚醒しました、貴男は義妹と仲良くすればいいわ。

克全
ファンタジー
「カクヨム」と「小説家になろう」にも投稿しています。 11月9日「カクヨム」恋愛日間ランキング15位 11月11日「カクヨム」恋愛週間ランキング22位 11月11日「カクヨム」恋愛月間ランキング71位 11月4日「小説家になろう」恋愛異世界転生/転移恋愛日間78位

処理中です...