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⑨.クラーラがくだらない王家の争いに巻き込まれないように!!(SIDE:アーデル)
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アムル家は当初、反旗を翻してでも勅命を突っぱねる気満々であった。
いくら勅命に従うのが貴族の義務であっても、やる事は王家の尻ぬぐい。
すでにアムル家はクラーラという王家の隠し子を預かってるのだ。外で公表すれば大騒ぎ必須な爆弾を抱え込んでいるのに、王家はさらに負担を……
不甲斐ない王家の尻ぬぐいを家族総出で溺愛するアーデルにやらせろと命令したのだ。
これには家族どころか領民も激怒。
アムル家が抱える私兵や雇われ冒険者はやる気満々であり、下手すればそのまま王都に攻め入って滅ぼすほどの気運が高まっていた。
ちなみに彼等の強さだが……
端的に言えば王国どころか帝国含む世界全てと比較してもトップに位置する最強クラス。
それもそのはずだろう。なにせアムル辺境領の西側には魔王城なんて物騒なものがある事から予想される通り、周辺に出没する魔物や魔獣の強さも世界最強クラス……RPG風に言ってしまえばラストダンジョンとその近辺に生息してるようなやばい化け物だ。
それらがスタンピードとして襲い掛かってくる事があるというのだから、辺境を守る兵や近辺を散策する冒険者は自然と世界最強クラス……それこそ魔王を倒せる伝説の勇者のお供ができるほどの強さが得られてしまう。
そんな連中が王都に攻め入れば、一日も経たずに堕ちるだろう。
つまり、王家は決して怒らせてはならない連中を怒らせてしまったわけだが……政治的判断力の高い王妃はそれを見越した上でのある提案。
アムル家とゴッドライフ領国の外交を担当する人材、多数の実績があってなおかつ信用も出来る一級の人材をアムル家に派遣するという提案も行った。
アムル家は内政と戦闘に特化させた運営を行ってきたので外交のノウハウがない。そんな中で外交経験も豊富であろう国と外交しなければならないのだ。
アーデルの父である辺境伯ロンケンは社交に全くでない親バカな戦闘狂、スタンピード時には世界屈指の戦闘狂を率いて魔物の群れに突撃かますような脳筋であっても貴族は貴族。王宮の内情……王の実子を秘密裏に受け取れる事すら可能なコネもあれば、大局を見誤らない程度の政治判断は出来る。
隣国と交易路が出来た以上、今までのように王家とは表向き関わらず中立でいる事は最早不可能。時勢が日和を許さないっという政治的判断でもって王妃の思惑通りアーデルとデルフリの婚約は成立した。
「アーデル……済まない。このふがいない父を許してくれ!!」
父は無念とばかりに……それこそ腹掻っ捌いて詫びようとしたので家族総出で止めにかかるも、それほどの無念さを抱える父の姿はアーデルの決心を固めるに十分であった。
「いいよ。私は嫁ぐ事にする。貴族の義務として、アムル家を……しいてはフランクフルト王国を守るため……
激動の時代を迎えようとする王国を少しでもよい未来へと導けるよう……そして何よりも……」
“クラーラがくだらない王家の争いに巻き込まれないように!!”
今のクラーラは生まれながらに患っていた不治の病が完治して健康体を取り戻していた。
母ユリアを初めとするアムル家お抱えの医者や薬師がどれだけ手を施しても延命が精一杯だった病が一晩……そう、一晩で完治という奇跡で生き永らえたのだ。
皆はそれを神のおかげと感謝し、特にクラーラは生き延びる事が出来た幸運を他者に分け与えられるよう医者になろうと目指すも……
あいにく、クラーラにそちらの才覚はなかったようだ。
だが、クラーラはくじけずに別の道を……
アーデル程ではなくとも、いろいろと常識外れなアムル家の孤児たちと並走して走れるようにまでに鍛えた足を活用する道……
自らが患者の病を治すのではなく、患者の元へ病を治す薬を届けるという、商人を目指す道を見つけた。
そんなクラーラを……
歩くことすらできない死という絶望しかなかった道から、自分の足でどこにでも駆け抜けていける程の自由と未来へと続く道を見出したクラーラを王家のいざこざから解放し、真の意味で自由になれるように……
アーデルは王国と何よりも可愛がっていた義妹の未来のため、自身の自由と引き換えに政略結婚を受け入れる覚悟を決めたのだ。
「とはいっても、王子様に憧れないわけじゃないし~」
俺様王子という貴族令嬢から嫌われそうなキーワードもお転婆なガキ大将と化したアーデルからみれば、ワイルドで野性的な王子と好意的な解釈に捉えていた。
そんなわけでワクテカしながら待ち望んだ王太子デルフリとの初対面は……
「いずれ王となる俺がお前みたいなド田舎ながさつで冴えない不気味な女と結婚などできるか!!わかったならさっさと帰れ!!!」
・・・
・・・・・・
・・・・・・・・・
最悪であった。
その際、同席していた者はどんな表情してたかは……
この婚約の大切さを知る者のはどんな想いを抱いたか……
確かな事は言えずとも、同席者は確実に理解できた事実がある。
それは、アムル家を……
王国は元より帝国内でも類を見ないほどの強さを持つ最強クラスの私兵を率いるアムル家の直系を怒らせる事が何を意味するのかを……
デルフリが身体を張って周囲に知らしめたのである。
いくら勅命に従うのが貴族の義務であっても、やる事は王家の尻ぬぐい。
すでにアムル家はクラーラという王家の隠し子を預かってるのだ。外で公表すれば大騒ぎ必須な爆弾を抱え込んでいるのに、王家はさらに負担を……
不甲斐ない王家の尻ぬぐいを家族総出で溺愛するアーデルにやらせろと命令したのだ。
これには家族どころか領民も激怒。
アムル家が抱える私兵や雇われ冒険者はやる気満々であり、下手すればそのまま王都に攻め入って滅ぼすほどの気運が高まっていた。
ちなみに彼等の強さだが……
端的に言えば王国どころか帝国含む世界全てと比較してもトップに位置する最強クラス。
それもそのはずだろう。なにせアムル辺境領の西側には魔王城なんて物騒なものがある事から予想される通り、周辺に出没する魔物や魔獣の強さも世界最強クラス……RPG風に言ってしまえばラストダンジョンとその近辺に生息してるようなやばい化け物だ。
それらがスタンピードとして襲い掛かってくる事があるというのだから、辺境を守る兵や近辺を散策する冒険者は自然と世界最強クラス……それこそ魔王を倒せる伝説の勇者のお供ができるほどの強さが得られてしまう。
そんな連中が王都に攻め入れば、一日も経たずに堕ちるだろう。
つまり、王家は決して怒らせてはならない連中を怒らせてしまったわけだが……政治的判断力の高い王妃はそれを見越した上でのある提案。
アムル家とゴッドライフ領国の外交を担当する人材、多数の実績があってなおかつ信用も出来る一級の人材をアムル家に派遣するという提案も行った。
アムル家は内政と戦闘に特化させた運営を行ってきたので外交のノウハウがない。そんな中で外交経験も豊富であろう国と外交しなければならないのだ。
アーデルの父である辺境伯ロンケンは社交に全くでない親バカな戦闘狂、スタンピード時には世界屈指の戦闘狂を率いて魔物の群れに突撃かますような脳筋であっても貴族は貴族。王宮の内情……王の実子を秘密裏に受け取れる事すら可能なコネもあれば、大局を見誤らない程度の政治判断は出来る。
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「アーデル……済まない。このふがいない父を許してくれ!!」
父は無念とばかりに……それこそ腹掻っ捌いて詫びようとしたので家族総出で止めにかかるも、それほどの無念さを抱える父の姿はアーデルの決心を固めるに十分であった。
「いいよ。私は嫁ぐ事にする。貴族の義務として、アムル家を……しいてはフランクフルト王国を守るため……
激動の時代を迎えようとする王国を少しでもよい未来へと導けるよう……そして何よりも……」
“クラーラがくだらない王家の争いに巻き込まれないように!!”
今のクラーラは生まれながらに患っていた不治の病が完治して健康体を取り戻していた。
母ユリアを初めとするアムル家お抱えの医者や薬師がどれだけ手を施しても延命が精一杯だった病が一晩……そう、一晩で完治という奇跡で生き永らえたのだ。
皆はそれを神のおかげと感謝し、特にクラーラは生き延びる事が出来た幸運を他者に分け与えられるよう医者になろうと目指すも……
あいにく、クラーラにそちらの才覚はなかったようだ。
だが、クラーラはくじけずに別の道を……
アーデル程ではなくとも、いろいろと常識外れなアムル家の孤児たちと並走して走れるようにまでに鍛えた足を活用する道……
自らが患者の病を治すのではなく、患者の元へ病を治す薬を届けるという、商人を目指す道を見つけた。
そんなクラーラを……
歩くことすらできない死という絶望しかなかった道から、自分の足でどこにでも駆け抜けていける程の自由と未来へと続く道を見出したクラーラを王家のいざこざから解放し、真の意味で自由になれるように……
アーデルは王国と何よりも可愛がっていた義妹の未来のため、自身の自由と引き換えに政略結婚を受け入れる覚悟を決めたのだ。
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・・・
・・・・・・
・・・・・・・・・
最悪であった。
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それは、アムル家を……
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