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第一章 逆断罪劇からのクズざまぁ編
8.もう王家の血はどうしようもないほど腐り果てているのだろう(SIDE:アーデル)
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こうして王国どころか世界史からみて他に類をみないほどやらかしをおこなった王家と、そんな王家を糾弾するどころか支持していた貴族一派のせいで内部がガタガタに陥ったフランクフルト王国。
いくら元凶を一家郎党皆殺しにして落とし前をつかせても、失った信用はそう簡単には取り戻せない。
それでも残された者は奮闘した。
王太子妃ながらも王の代理となった第四皇女ブリギッテと先んじて動いた事で皇帝から気に入られ、伯爵から筆頭公爵へ昇爵……公爵家を全て取り潰したせいで唯一の公爵家となったゼーゼマン公爵家の当主が新たな宰相となり、その二人を支える忠臣達の奮闘の甲斐あってなんとか持ち直した。
逆に王家はというと……
粛清から逃れて王家唯一の血筋となった王太子トビアスは兄達の二の舞にはならぬよう英才教育を受けさせた結果……
10以上離れた婚約者だから仕方ないとはいえ、王妃との夜伽を拒否。代わりに平民を『真実の愛』と称して娶ろうとした兄と同じ……
いや、兄の時と違って強引に事を進めるのではなく、王妃に土下座して娶る事を懇願する辺りはまだ兄よりマシであろうとも、帝国が欲しているモノを全く理解してないお飾りな愚王へと成長した。
そんな彼の血を継いで生まれたデルフリが傍若無人な俺様王子になった辺り、もう王家の血はどうしようもないほど腐り果てているのだろう。
そういう意味では帝国も愚物の血を一族に組み込まなくてよかったのかもしれない。
っとまぁ、度重なるやらかしのせいで唯一帝国に勝る外交カードであった歴史ある王家の血の価値は暴落。
王家の求心力なぞ見る影もないのに、当の本人達……表向き王唯一の子なせいで自動的に王太子となったデルフリは気づいてない。
王も王子もやらかした兄の時みたく、甘い言葉ですり寄る貴族一派。王と同じく当時は幼かったからと粛清を逃れた子ども達が当主として継いだ貴族ばかりを重宝するので王国内では国王派と王妃派の二つに別れてギスギスしていた。
このままいけば大規模な内乱が起きてしまい、その隙に他国が介入してくる可能性がある。
帝国は王妃の顔を立てて大きな干渉こそして来ないだろうが、それはあくまで希望観測。
情勢はめまぐるしく変わるのだ。
昨日まで友好国であろうとも、翌日に敵対国となる話は歴史上腐るほどある。
加えて帝国以外にも王国を脅かすに足る国が多数存在している。それらが帝国のように穏便な対応するとは限らない。
つまり、内乱が起きれば今度こそ本当に王国が終わってしまう可能性があるのだ。
そうした事情をよく知る王妃は最悪の未来を避けるため、帝国出身とはいえ人生の半分を王国のために尽力した事で誰よりも強い王国への愛国心を持つまでに至った彼女が頼ったのがアムル辺境伯家だった。
アムル家は当時の騒ぎに(表向き)全く関わってない完全な中立。規模も昔であれば取り立ててみるようなものはなくとも今は違う。
アーデルが10歳となった頃にアムル領は激変した。
アムル領の東の先。国境となる山々の先。かつての勇者に倒された魔王が本拠地としていた魔王城を要する魔境ともいうべき世界有数の超危険地帯を超えた先に広がる隣国。王政ではなく民主制でもって多数の領土を自治させつつも、それら全てを一つの国として成り立たせる世界でも類をみない多国籍民主国家のストロガノフ合衆国。その中での最西端の辺境地を治めるゴッドライフ領国とアムル辺境領を一直線に結ぶ交易路……
帝国が開発した高性能の爆薬でもって両国を安全に往来させる地下トンネルを開通させたのだ。
ゴッドライフ領国の前身は歴代魔王との争いでの最前線を担っていた村。100年以上前に降臨した魔王との争いで一度灰燼に帰るも、戦後に復興を遂げた国だ。
復興の際には前身の村が長年受け継いでいた技術や知識。魔王へと対抗するために生みだされた数々の技術や知識の大半が失われたそうだが、それでも失う事なく残された物はある。
その一つが薬学知識。
それは聖女が繰り出す神の奇跡ともいうべき魔法の力には劣っていても、あくまで知識である以上才覚に頼る必要性がない……
つまり、生まれながらの力ではなく努力次第で得る事の出来る力であり、その知識が……
魔王との激戦での最前線を支え続けていた勇者や戦士達を癒してきた薬のレシピの数々が……
歴代の薬師達が積み重ねてきたであろう知識と経験が奇跡的にも次代へと継承されたわけだ。
よってゴッドライフ領国は医学を志す者にとっての聖地とされ、薬師や医者だけでなく教会所属の聖女すらも多く在籍している。
彼等の作り出す薬のおかげで、多くの命が救われてきたのだ。
事実、母ユリアの母……アーデルからみての祖母はゴッドライフ領国で薬学を嗜んでた者であり、母ユリアはその技術と知識を伝授されていたそうだ。
魔力を持たない者であっても知識と技術を総動員させることで難病を患ったクラーラを救う事ができた一例からみて、ゴッドライフ領国の方針は正しかったといえよう。
だが、それでも救いの手が届かない地もある。
立地のせいで限られた交易路しかなく、遠方へ薬を届けるには時間もかかりすぎる。
一刻を争うような伝染病相手ではその遅れは致命的過ぎた。
そんな国と新たな交易路が開かれたなら……
今まで間に合わなかった地へ素早く薬を届ける事ができるようになれば……
王妃は即座に動いた。
他が交易路を……ゴッドライフ領国との交易を行うアムル家の価値に気付く前に勅命を出した。
都合よく同年齢であり、帝国から価値なしとされた王太子デルフリとアムル家長女アーデルとの婚約を……
いくら元凶を一家郎党皆殺しにして落とし前をつかせても、失った信用はそう簡単には取り戻せない。
それでも残された者は奮闘した。
王太子妃ながらも王の代理となった第四皇女ブリギッテと先んじて動いた事で皇帝から気に入られ、伯爵から筆頭公爵へ昇爵……公爵家を全て取り潰したせいで唯一の公爵家となったゼーゼマン公爵家の当主が新たな宰相となり、その二人を支える忠臣達の奮闘の甲斐あってなんとか持ち直した。
逆に王家はというと……
粛清から逃れて王家唯一の血筋となった王太子トビアスは兄達の二の舞にはならぬよう英才教育を受けさせた結果……
10以上離れた婚約者だから仕方ないとはいえ、王妃との夜伽を拒否。代わりに平民を『真実の愛』と称して娶ろうとした兄と同じ……
いや、兄の時と違って強引に事を進めるのではなく、王妃に土下座して娶る事を懇願する辺りはまだ兄よりマシであろうとも、帝国が欲しているモノを全く理解してないお飾りな愚王へと成長した。
そんな彼の血を継いで生まれたデルフリが傍若無人な俺様王子になった辺り、もう王家の血はどうしようもないほど腐り果てているのだろう。
そういう意味では帝国も愚物の血を一族に組み込まなくてよかったのかもしれない。
っとまぁ、度重なるやらかしのせいで唯一帝国に勝る外交カードであった歴史ある王家の血の価値は暴落。
王家の求心力なぞ見る影もないのに、当の本人達……表向き王唯一の子なせいで自動的に王太子となったデルフリは気づいてない。
王も王子もやらかした兄の時みたく、甘い言葉ですり寄る貴族一派。王と同じく当時は幼かったからと粛清を逃れた子ども達が当主として継いだ貴族ばかりを重宝するので王国内では国王派と王妃派の二つに別れてギスギスしていた。
このままいけば大規模な内乱が起きてしまい、その隙に他国が介入してくる可能性がある。
帝国は王妃の顔を立てて大きな干渉こそして来ないだろうが、それはあくまで希望観測。
情勢はめまぐるしく変わるのだ。
昨日まで友好国であろうとも、翌日に敵対国となる話は歴史上腐るほどある。
加えて帝国以外にも王国を脅かすに足る国が多数存在している。それらが帝国のように穏便な対応するとは限らない。
つまり、内乱が起きれば今度こそ本当に王国が終わってしまう可能性があるのだ。
そうした事情をよく知る王妃は最悪の未来を避けるため、帝国出身とはいえ人生の半分を王国のために尽力した事で誰よりも強い王国への愛国心を持つまでに至った彼女が頼ったのがアムル辺境伯家だった。
アムル家は当時の騒ぎに(表向き)全く関わってない完全な中立。規模も昔であれば取り立ててみるようなものはなくとも今は違う。
アーデルが10歳となった頃にアムル領は激変した。
アムル領の東の先。国境となる山々の先。かつての勇者に倒された魔王が本拠地としていた魔王城を要する魔境ともいうべき世界有数の超危険地帯を超えた先に広がる隣国。王政ではなく民主制でもって多数の領土を自治させつつも、それら全てを一つの国として成り立たせる世界でも類をみない多国籍民主国家のストロガノフ合衆国。その中での最西端の辺境地を治めるゴッドライフ領国とアムル辺境領を一直線に結ぶ交易路……
帝国が開発した高性能の爆薬でもって両国を安全に往来させる地下トンネルを開通させたのだ。
ゴッドライフ領国の前身は歴代魔王との争いでの最前線を担っていた村。100年以上前に降臨した魔王との争いで一度灰燼に帰るも、戦後に復興を遂げた国だ。
復興の際には前身の村が長年受け継いでいた技術や知識。魔王へと対抗するために生みだされた数々の技術や知識の大半が失われたそうだが、それでも失う事なく残された物はある。
その一つが薬学知識。
それは聖女が繰り出す神の奇跡ともいうべき魔法の力には劣っていても、あくまで知識である以上才覚に頼る必要性がない……
つまり、生まれながらの力ではなく努力次第で得る事の出来る力であり、その知識が……
魔王との激戦での最前線を支え続けていた勇者や戦士達を癒してきた薬のレシピの数々が……
歴代の薬師達が積み重ねてきたであろう知識と経験が奇跡的にも次代へと継承されたわけだ。
よってゴッドライフ領国は医学を志す者にとっての聖地とされ、薬師や医者だけでなく教会所属の聖女すらも多く在籍している。
彼等の作り出す薬のおかげで、多くの命が救われてきたのだ。
事実、母ユリアの母……アーデルからみての祖母はゴッドライフ領国で薬学を嗜んでた者であり、母ユリアはその技術と知識を伝授されていたそうだ。
魔力を持たない者であっても知識と技術を総動員させることで難病を患ったクラーラを救う事ができた一例からみて、ゴッドライフ領国の方針は正しかったといえよう。
だが、それでも救いの手が届かない地もある。
立地のせいで限られた交易路しかなく、遠方へ薬を届けるには時間もかかりすぎる。
一刻を争うような伝染病相手ではその遅れは致命的過ぎた。
そんな国と新たな交易路が開かれたなら……
今まで間に合わなかった地へ素早く薬を届ける事ができるようになれば……
王妃は即座に動いた。
他が交易路を……ゴッドライフ領国との交易を行うアムル家の価値に気付く前に勅命を出した。
都合よく同年齢であり、帝国から価値なしとされた王太子デルフリとアムル家長女アーデルとの婚約を……
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