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 聖女を探すべく旅へと出たオスカー。

 その道すがら魔物を鉄拳でワンパンするのは5年前と同じだが、5年前と違い……
 グルメ志向に目覚めた彼女は倒した魔物を調理した。

 骨だらけのスケルトンだろうが、腐った肉の塊であるゾンビだろうが、岩石で出来たゴーレムだろうが、なんであろうと『お残しは許しません!!』精神で調理して食した。

 例え人間相手であろうとも、彼女が敵と判断すれば……鉄拳を浴びせた相手は食した。
 お残しは厳禁だからっと、思い出したかのようにわざわざ祖国に戻って元婚約者と侍女を食すぐらいの徹底ぶりで食しまくった。

 さすがに危機を感じた国は軍隊を差し向けるも、彼女は音速を超える鉄拳でもって全て沈めて食した。

 世界の危機だからと魔王と勇者が一次協定を結び、2人協力して決戦を挑むもオスカーの前にはそこらの雑魚と変わりなく……














「ふふふ……聖女さん、どこにいるの~~隠れてないででてきなさ~い」

 魔王と勇者がオスカーに美味しく食べられて1年。
 世界はオスカーの前に屈した。

 オスカーは世界を手にした。

 だが、オスカーは世界なんてどうでもよかった。

 オスカーの目的はただ一つ……




 “聖女を美味しく食す”


 いつにまにか手段と目的が入れ替わった事に気付かないまま……

 本来の目的である勇者と合流(というか血肉と化)し、打倒魔王を果たした事に気付かないまま……




 彼女は探す。

 勇者は存在しても聖女は存在しない世界を隅々まで……


 道行くものを拳で沈めて調理して食しながら……


 今日もオスカーは放浪するのであった。












終わり?
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