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第4章
最終話その1.いつかサクラの木の下で……
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エクレアが前世の記憶を思い出し、師匠であるサトーマイが没したあの日から丁度10年。
エクレアの戦いは終わりを告げた。
エクレアは『神』をぶん殴った。
天界に君臨していた『神』を椅子から蹴落とした。地獄へと叩き落とした。二度と目覚めない悪夢の中へ放り込んだ。
世界を覆いつくしていた『神』のシナリオから解放させた。
多くの人々はその事実に気付かなかったが、エクレアに近しい者は気付いていた。
エクレアが目的を達したのだと……
……………………
ストロガノフ王国は滅びを迎えた。
神から強要されたという『お花畑ヒロイン』の役目を背負ったエクレアは母ルリージュの死後に実父であるカカロット家を訪れて養子となり、翌年に入学した王都の学園で王太子を誑し込み……そのまま王国に滅びの道を歩ませた。
王国を蝕んでいた膿を多数取り込みながら、『お花畑ヒロイン』が滅びの原因となるような形に誘導させて滅ぼさせた。
元ストロガノフ王国王太子の元婚約者で次期王妃とされていたスイーツ侯爵家のマドレーヌ侯爵令嬢が率いる革命軍によって、自身諸共王国を滅ぼさせたのである。
教会も滅んだ。
表向きでは『神』をあがめつつも裏では『魔王』を崇めていたという捏造された罪を聖女に暴露される流れでもって、世論を誘導させた。
教会を全ての元凶と誤認させる事で滅ぼさせた。
それもエクレアの仕業であった。
エクレアは7年前にダンジョンマスターとして派遣された男……本来なら『魔王』として降臨する予定だったブラッドから『魔王』の肩書を譲り受け、『お花畑ヒロイン』から『魔王』へと成ったエクレアが教会を滅ぼすシナリオを築き上げたわけだ。
エクレアは『神』のシナリオを巧妙に操った。
『悪魔』は人の心の中に入り込み、囁く事で操るのを得意とする種族。エクレア自身もお花畑ヒロイン補正が男を誑し込む事に最適だった事もあり、エクレアはそれら力を総動員させてシナリオを都合よく操った。
自身は表向き王国の平和を乱した『お花畑ヒロイン』や世界の破滅をたくらむ残虐非道な『魔王』を演じつつも、裏では『お花畑ヒロイン』に断罪される役目を背負った『悪役令嬢』であるマドレーヌ侯爵令嬢、打倒魔王の役目を背負った『勇者』や『聖女』と結託。他にもローインをはじめ多くの協力者と共に暗躍して世間とその裏に居るであろう『神』と神の腰ぎんちゃくとなり下がっていた教皇とその一派を欺き続けた。
多少の(不可抗力で起きる)トラブルを(結果的な)隠れ蓑にし、修正が聞く範囲で『神』のシナリオが進んでいると誤認させつつ、裏でシナリオを潰して『神』をぶん殴る道筋を作り上げた。
その暗躍はついに実らせた。エクレアの拳は見事『神』に届かせた。
本来なら不可能ともされていた『神』をぶん殴った。神の座から引きずり落とした。『神』すらも絶望にするしかない地獄の底の底へと叩き落したわけだ。
ついでに教会も潰した。
教皇を始めとする一部の上層部が立てた計画……『神』の名の元に、国民含む世界そのものを生贄として自らが新たな『神』となる計画を『神』のついでに叩き潰した。
真相をが知れ渡らないよう、計画を魔王復活の儀式として偽らせた上で聖女の掲げた正義の元で叩き潰した。『神』と同じ地獄の底の底へと叩き落とした。
まさに神をも恐れぬ所業は当初大混乱を招いた。
今まで国を支えてきた政治と宗教の中核がきれいさっぱりなくなったのだ。
下手すれば秩序も何もない純粋な暴力が支配する弱肉強食の時代になりかねない事態であっても……
そこは抜かりなかった。
革命軍を指揮していたマドレーヌは前々から王国崩壊後の統治の準備を進めていた。
王国崩壊後の国は中央と四方の辺境領土を分割させた5つの自治区の集まり……
『ストロガノフ王国』改め『ストロガノフ共和国』として運営していく計画を予め立てていたのだ。
教会も潰したのは中央のみ。
全国民を生贄だなんて企んでたのは中央の一握りのみであり、各辺境の教会は中央の思惑は全く知らされてなかったのだ。聖女と裏で結託していたエクレアは世論を調整して辺境の教会には鉄槌を下すことなく残存させるよう仕向けた。
滅びを免れた各教会は中央が信じる神だけでなく、土着神とも呼ばれる地方独自の宗教と共存する道を選んだ。
それによって国内にいきなり4人の神が出現した事になるが、そこは新たな神の座についたブラッドが4人の神を東西南北を司る従属神として取りまとめる信託を告げた事で落ち着く事になった。
こうして、新たな国の体制は小さなトラブルこそ起きても大きな混乱は起きる事なく順調に進められ……
丁度エクレアとローインが交わした約束の日……
『7年後のサクラの木の下で待っている』という約束の日に新たな国の成立が宣言された。
エクレアの戦いは終わりを告げた。
エクレアは『神』をぶん殴った。
天界に君臨していた『神』を椅子から蹴落とした。地獄へと叩き落とした。二度と目覚めない悪夢の中へ放り込んだ。
世界を覆いつくしていた『神』のシナリオから解放させた。
多くの人々はその事実に気付かなかったが、エクレアに近しい者は気付いていた。
エクレアが目的を達したのだと……
……………………
ストロガノフ王国は滅びを迎えた。
神から強要されたという『お花畑ヒロイン』の役目を背負ったエクレアは母ルリージュの死後に実父であるカカロット家を訪れて養子となり、翌年に入学した王都の学園で王太子を誑し込み……そのまま王国に滅びの道を歩ませた。
王国を蝕んでいた膿を多数取り込みながら、『お花畑ヒロイン』が滅びの原因となるような形に誘導させて滅ぼさせた。
元ストロガノフ王国王太子の元婚約者で次期王妃とされていたスイーツ侯爵家のマドレーヌ侯爵令嬢が率いる革命軍によって、自身諸共王国を滅ぼさせたのである。
教会も滅んだ。
表向きでは『神』をあがめつつも裏では『魔王』を崇めていたという捏造された罪を聖女に暴露される流れでもって、世論を誘導させた。
教会を全ての元凶と誤認させる事で滅ぼさせた。
それもエクレアの仕業であった。
エクレアは7年前にダンジョンマスターとして派遣された男……本来なら『魔王』として降臨する予定だったブラッドから『魔王』の肩書を譲り受け、『お花畑ヒロイン』から『魔王』へと成ったエクレアが教会を滅ぼすシナリオを築き上げたわけだ。
エクレアは『神』のシナリオを巧妙に操った。
『悪魔』は人の心の中に入り込み、囁く事で操るのを得意とする種族。エクレア自身もお花畑ヒロイン補正が男を誑し込む事に最適だった事もあり、エクレアはそれら力を総動員させてシナリオを都合よく操った。
自身は表向き王国の平和を乱した『お花畑ヒロイン』や世界の破滅をたくらむ残虐非道な『魔王』を演じつつも、裏では『お花畑ヒロイン』に断罪される役目を背負った『悪役令嬢』であるマドレーヌ侯爵令嬢、打倒魔王の役目を背負った『勇者』や『聖女』と結託。他にもローインをはじめ多くの協力者と共に暗躍して世間とその裏に居るであろう『神』と神の腰ぎんちゃくとなり下がっていた教皇とその一派を欺き続けた。
多少の(不可抗力で起きる)トラブルを(結果的な)隠れ蓑にし、修正が聞く範囲で『神』のシナリオが進んでいると誤認させつつ、裏でシナリオを潰して『神』をぶん殴る道筋を作り上げた。
その暗躍はついに実らせた。エクレアの拳は見事『神』に届かせた。
本来なら不可能ともされていた『神』をぶん殴った。神の座から引きずり落とした。『神』すらも絶望にするしかない地獄の底の底へと叩き落したわけだ。
ついでに教会も潰した。
教皇を始めとする一部の上層部が立てた計画……『神』の名の元に、国民含む世界そのものを生贄として自らが新たな『神』となる計画を『神』のついでに叩き潰した。
真相をが知れ渡らないよう、計画を魔王復活の儀式として偽らせた上で聖女の掲げた正義の元で叩き潰した。『神』と同じ地獄の底の底へと叩き落とした。
まさに神をも恐れぬ所業は当初大混乱を招いた。
今まで国を支えてきた政治と宗教の中核がきれいさっぱりなくなったのだ。
下手すれば秩序も何もない純粋な暴力が支配する弱肉強食の時代になりかねない事態であっても……
そこは抜かりなかった。
革命軍を指揮していたマドレーヌは前々から王国崩壊後の統治の準備を進めていた。
王国崩壊後の国は中央と四方の辺境領土を分割させた5つの自治区の集まり……
『ストロガノフ王国』改め『ストロガノフ共和国』として運営していく計画を予め立てていたのだ。
教会も潰したのは中央のみ。
全国民を生贄だなんて企んでたのは中央の一握りのみであり、各辺境の教会は中央の思惑は全く知らされてなかったのだ。聖女と裏で結託していたエクレアは世論を調整して辺境の教会には鉄槌を下すことなく残存させるよう仕向けた。
滅びを免れた各教会は中央が信じる神だけでなく、土着神とも呼ばれる地方独自の宗教と共存する道を選んだ。
それによって国内にいきなり4人の神が出現した事になるが、そこは新たな神の座についたブラッドが4人の神を東西南北を司る従属神として取りまとめる信託を告げた事で落ち着く事になった。
こうして、新たな国の体制は小さなトラブルこそ起きても大きな混乱は起きる事なく順調に進められ……
丁度エクレアとローインが交わした約束の日……
『7年後のサクラの木の下で待っている』という約束の日に新たな国の成立が宣言された。
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