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第4章
21.……問い詰めたところで屑の証明になるだけなんだろうがな(side:魔王?)
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「……ルリージュ。貴女は娘にそういった男連中を手玉に取ったり、時には脅しも平然と行うような苛烈で残虐な面を決してみせないと誓ってたじゃない。今までは誓い通り、常に穏やかで優しいお母さんを演じていたのに、今の段階で本性表しはじめるなんてどういう心境なのよ?」
「わかってるでしょ。私にはもう残された時間がないの。だったら私が居なくなっても大丈夫なように強くたくましくなってもらわないとね」
「それはわかるけど、初対面に等しい男といきなり恋仲になる素振りをみせるのはどうかと思うわよ。二人がいちゃつく姿をみたエクレアちゃんすっごい青ざめてたじゃない。必死に正気に戻ってと叫んでたじゃない。下手したら『魔人化』して大暴れしてたわよ……慌てて止めさせたけど」
「別にあのまま暴れさせてもよかったのに。今まで雷落とすのはスージー任せで私自身で雷落とす事なかったし、その分を一気に清算させると思えばね。それに……あの子は肉体面でも経済面でも急激に強くなってちょっと調子乗ってるようなところでてきたし、それを諫めるために真正面から叩き伏せてあげるのも親の役目でしょう」
「私と私の部屋を巻き込むなって言ってるのよ!!」
「それこそ問題ないじゃない。だってあなたの部屋は普段から散らかし放題なのだし、さらに散らかっても対した問題ないでしょう。巻き込まれるのが嫌なら巻き込むのを躊躇するよう、綺麗に片づけなさいな」
「ぐぅぅ……そ、その内にやるわ」
スージーからの糾弾を逆に正論もどきで説き伏せたルリージュ。その様はほほえましいモノはあるも、台詞の端々に狂気がにじみ出てるあたり……男は察した。
ルリージュは間違いなくエクレアの母親。
そして……彼女は強い。
一見すれば荒事とは無縁にみえるも……それはみせかけだ。
その証拠に何度か戯れ的に殺気を出せば、彼女は全てに反応を示してる。
紳士の皮を脱ぎ去って欲望そのままに襲い掛かろうとすれば、即座に地面へ叩き伏せるっと存外に伝えている。
今もこっそり殺気を出すと、彼女はにこりと笑いながら視線だけで牽制をいれてくるほどに隙がない。
(だからこそ、私のような素性の知れない男を平然と部屋に招き入れているのだろうな……)
何かあればルリージュが対処する。
それほどまでな強さへの信頼があるからこそ、スージーの夫であるダンやおやっさんといった男でも油断できない強者が同席しなかったのだろう。
それらの要素からみて、男はルリージュは“英雄”だと判断した。
歴史の節目に現れては数々の偉業を残すとされる“英雄”とも呼ばれる資質を持つ者だと……
(それだけに残念すぎる……不治の病に侵されてなければ、エクレアの嬢ちゃんの良き理解者であり、道を誤った時には立ちふさがって正す事もできるストッパーとして寄り添い続けていけたというのに……)
そう……ルリージュは不治の病に侵されているせいで余命が少ない。
後1年……もって2年だろう。
その理由は……
(恐らくエクレアの嬢ちゃんを情緒不安定にさせたい『神』の指金だろうな。本来ならこういった干渉は禁止されてるというのに、全く奴は管轄内の世界に住む人々の人生をなんだと思ってるのか問い詰めてやりたい気分だ。……問い詰めたところで屑の証明になるだけなんだろうがな)
「まぁ私と娘のことはおいといて……魔王さん。あなたは何企んでるのかしら?」
「そうね。魔王として世界を混乱に貶める立場の貴方が私に接触してこうやって情報を提供するのはどんな腹積もりかしら?エクレアちゃんの行く末に興味がでただけなら私と交流を持とうとする意味ないのだし」
「戯れもありますが、しいていうなら……マダムスージー。貴女が私と同類であるからからです」
「同類ってどう意味で?」
すっと目が細くなり、内から魔力がほとばしはじめる。
どうやら『魔王』として恐れられているような存在と同類と思われたようだが、それは全くの誤解である。
「失礼。説明が足りませんでした。私はこの一週間でエクレアお嬢様とその周囲の方々を調べさせてもらいました。もちろんこれは興味本位であって、知った情報は『神』や『教会』どころか誰にも明かすつもりは全くございません。それに私だけが全てを知るのも不公平でしょうから、私の身の内も明かしましょう」
こうして、男は紳士の態度を維持したまま身の内を語り始めた。
「わかってるでしょ。私にはもう残された時間がないの。だったら私が居なくなっても大丈夫なように強くたくましくなってもらわないとね」
「それはわかるけど、初対面に等しい男といきなり恋仲になる素振りをみせるのはどうかと思うわよ。二人がいちゃつく姿をみたエクレアちゃんすっごい青ざめてたじゃない。必死に正気に戻ってと叫んでたじゃない。下手したら『魔人化』して大暴れしてたわよ……慌てて止めさせたけど」
「別にあのまま暴れさせてもよかったのに。今まで雷落とすのはスージー任せで私自身で雷落とす事なかったし、その分を一気に清算させると思えばね。それに……あの子は肉体面でも経済面でも急激に強くなってちょっと調子乗ってるようなところでてきたし、それを諫めるために真正面から叩き伏せてあげるのも親の役目でしょう」
「私と私の部屋を巻き込むなって言ってるのよ!!」
「それこそ問題ないじゃない。だってあなたの部屋は普段から散らかし放題なのだし、さらに散らかっても対した問題ないでしょう。巻き込まれるのが嫌なら巻き込むのを躊躇するよう、綺麗に片づけなさいな」
「ぐぅぅ……そ、その内にやるわ」
スージーからの糾弾を逆に正論もどきで説き伏せたルリージュ。その様はほほえましいモノはあるも、台詞の端々に狂気がにじみ出てるあたり……男は察した。
ルリージュは間違いなくエクレアの母親。
そして……彼女は強い。
一見すれば荒事とは無縁にみえるも……それはみせかけだ。
その証拠に何度か戯れ的に殺気を出せば、彼女は全てに反応を示してる。
紳士の皮を脱ぎ去って欲望そのままに襲い掛かろうとすれば、即座に地面へ叩き伏せるっと存外に伝えている。
今もこっそり殺気を出すと、彼女はにこりと笑いながら視線だけで牽制をいれてくるほどに隙がない。
(だからこそ、私のような素性の知れない男を平然と部屋に招き入れているのだろうな……)
何かあればルリージュが対処する。
それほどまでな強さへの信頼があるからこそ、スージーの夫であるダンやおやっさんといった男でも油断できない強者が同席しなかったのだろう。
それらの要素からみて、男はルリージュは“英雄”だと判断した。
歴史の節目に現れては数々の偉業を残すとされる“英雄”とも呼ばれる資質を持つ者だと……
(それだけに残念すぎる……不治の病に侵されてなければ、エクレアの嬢ちゃんの良き理解者であり、道を誤った時には立ちふさがって正す事もできるストッパーとして寄り添い続けていけたというのに……)
そう……ルリージュは不治の病に侵されているせいで余命が少ない。
後1年……もって2年だろう。
その理由は……
(恐らくエクレアの嬢ちゃんを情緒不安定にさせたい『神』の指金だろうな。本来ならこういった干渉は禁止されてるというのに、全く奴は管轄内の世界に住む人々の人生をなんだと思ってるのか問い詰めてやりたい気分だ。……問い詰めたところで屑の証明になるだけなんだろうがな)
「まぁ私と娘のことはおいといて……魔王さん。あなたは何企んでるのかしら?」
「そうね。魔王として世界を混乱に貶める立場の貴方が私に接触してこうやって情報を提供するのはどんな腹積もりかしら?エクレアちゃんの行く末に興味がでただけなら私と交流を持とうとする意味ないのだし」
「戯れもありますが、しいていうなら……マダムスージー。貴女が私と同類であるからからです」
「同類ってどう意味で?」
すっと目が細くなり、内から魔力がほとばしはじめる。
どうやら『魔王』として恐れられているような存在と同類と思われたようだが、それは全くの誤解である。
「失礼。説明が足りませんでした。私はこの一週間でエクレアお嬢様とその周囲の方々を調べさせてもらいました。もちろんこれは興味本位であって、知った情報は『神』や『教会』どころか誰にも明かすつもりは全くございません。それに私だけが全てを知るのも不公平でしょうから、私の身の内も明かしましょう」
こうして、男は紳士の態度を維持したまま身の内を語り始めた。
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