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第4章

16.そりゃぁ怒るよね

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 かくかくしかじかっとエクレアから聞き出した様々な事を二人に聞かせるローイン。
 それらを聞き終えたランプは……


「まるまるうまうま。よくわかった」

 意外にも理解していた。

「ランプ君こんな説明でわかったの!?自分で言うのもあれなんだけど、ものすごい荒唐無稽こうとうむけいな話だよこれ」

「なるほど、わからんってことがわかった」

 瞬間がくりと崩れるローイン。
 オチがついた事はさておき、ランプは改めて自身の私見を述べ始める。

「こういう小難しいのは馬鹿な俺達よりローインに任せるが一番だ。俺たちは考えるのを放棄する……つもりだが、一応馬鹿なりに思った事は言っておこう。エクレアはその悪魔の『力』でもって何をしたいんだ?」

「あっ……そういえば何をしたいかまでは話してなかったような気がする。教会から睨まれかねない世界を滅ぼす力を手放そうとはしなかったから、何らかの目的があるとは思うけど……」

「そこだ。あいつはなんのために『力』を得たのか。それでどうしたいか……を聞くべきだ。俺たちがあれこれ悩むのはそれを聞いてからの方がいいと思うぞ」

「うわ~ランプ君すごい……僕が気づかなかった本質をついてる」

 言われた通りであった。ローインはエクレアの言葉を表面だけしか拾ってなかったのだ。
 あまりにも情報の規模が多すぎてパンクしてたこともあるが、エクレアはまだ全てを話してなかった。
 まぁローインの質問に答える形にしてたのだし、ローインから聞かれなかったからっといえばそれまでの話。この辺りはローインのミスだろう。
 ローインはそれに気付いて改めて情報を整理し始める……がランプの話にはまだ続きがあったようだ。


「俺はエクレアの事を妹と思ってるし、妹の事ぐらいわかってやらないと兄の面目が立たないだろ。そういうことだ」

「妹……ランプ君はエクレアちゃんの事妹のようにみてるの?昔は好きだって言ってたのに」

「昔はそうだったかもしれないが、あいつは俺を兄のようにみてる気配がある。それに合わせてか、俺もいつのまにか妹のようにみえてきたんだ。しっかり者で兄を兄と思ってないような可愛げない妹だが、人一倍寂しがりで孤独を嫌う妹。そして……こうと決めたら何を犠牲にしてでも突っ走ろうとする。誰かが見守ってやらないと、二度と戻れない所まで行ってしまいそうなもう一人の妹。それが俺からみたエクレアだな」

 そんな風にみてたなんてっとローインは思うも、今までの行動を振り返ってみたら割と納得できた。
 エクレアはモモちゃんと仲の良い姉妹のような関係を作ってる事もあって、ランプに絡む姿はまさしく慕う兄への悪戯だ。
 もちろん悪戯だけでなく気遣ったり頼ったりもしてるし、その態度は恋仲よりも兄妹仲といった方がしっくりくるだろう。

「だから兄として頼もう。ローイン、俺のもう一人の妹を身近で支えてくれっとな」

「僕からもお願いする。僕はエクレアを妹ではなく従妹としてみるつもり。もしローインがエクレアを伴侶にしたいなら応援する」

伴侶……と聞いてローインは


「あっーー!!!そうだった……」


と頭をかかえ始めた。

「どうしたローイン?何かあった……というかあったんだな」

「さっきのエクレアの剣幕からみてあったとしか思えないけど」

「実は……」


 ローインは話した。よく覚えてないが勢い任せに結婚を迫っていたことを。
 その時もらしていた本心への反応からエクレアにはその気がない。迷惑だっと感じたと思ってつい隠した事を話したら……



「はぁ………ローイン、お前馬鹿だな」

「うん、馬鹿」


二人同時に頭抱え、ため息つきながら馬鹿呼ばわりである。


「なにその反応酷すぎない?」

 つい反論するローインにランプはやれやれっと、頭はいいが察しの悪い弟に言い聞かせるような口調で話し始める。

「本当に馬鹿なんだよ。エクレアはああみえて割とロマンチックだ。とにかく雰囲気とかシチュエーションといった浪漫を大事にする奴だ。まぁ恋愛には積極的に絡まない奴だからそっち方面に興味ないっと思われてそうだが………あいつが今まで散々避けてきた二人っきりのシチュエーションで察してやれよ」

「うん、ちょっと頭でっかちというか考えすぎ。深読みし過ぎたせいで大失敗したパターン」

「うっ……」


 深読みし過ぎ……

 その通りであった。

 酒の席だからこそ本音を言うべきだったんだ……

 隠してた本音を言うべきだったんだ……

 だというのに………





「あぁぁ……そりゃぁ怒るよね。エクレアちゃんがあれだけ怒るのも納得だよ」


 今更ながらに、自分がどれだけ馬鹿だったのか気付くローインであった。
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