78 / 98
第4章
15.二人とも居たの!?
しおりを挟む
「………」
ローインは惚けていた。
凄まじいまでの剣幕で怒鳴り散らかされた言葉は、あまりにも早口過ぎて半分以上が頭に入らなかった。理解しきれずについ最後のあかんべーのポーズがちょっと可愛いと思ってしまう程度に錯乱したローインに対して、エクレアはすでに話はおわりっとばかりに立ち上がっていた。
その際に視線を別の場所へ向けて呼びかける。
「そこの茂みにいるデバガメ二人!!そろそろ出てきてほしいかなーっと思ってるんだけど」
「お、おう……」
「ごめん、つい出るタイミングつかめず」
「へっ!?ランプ君とトンビ君……二人とも居たの!?」
ガサガサっと茂みが動いたと思ったら、すっと姿を現すランプとトンビ。
一体いつの間にっと思うも……
「最初から居たみたい。態々お酒で酔って寝たふりして私をやりすごしてからこっそり後追いかけるって、ずいぶんと良い趣味をお持ちなようで……年下の男の子と女の子の二人っきりのお楽しみタイムを覗き見る気分どうだった?にやにや」
どうやらエクレアは随分早い段階で気付いてたらしい。
もっとも今までスルーしてたのに、このタイミングで声かけてくる辺り結構嫌らしいというか、エクレアらしいというか……
そんな空気を察して二人は即座に両手を合わせて首を垂れる。
「すまん。怒ってるなら謝る。一応理由はあって」
「言い訳なんて別に聞く気ないからいいよ~どうせ私酔っぱらってるし明日になったらもう忘れちゃうもん。だから~たまにはこう怒ってる私を表現してもいいでしょ、ぷんぷん」
「………酒ってローイン、酒なんか持ち込んでたの?」
「う、うん。マイさんへの手向けとしてだけど………」
そう言葉にするローインはどぶろくが入った瓶を指す。
「そうか……だったら断言しておこう。こいつは酒乱の毛があるタイプだ。一口でも飲ませたらもうおしまいというかなり性質の悪いタイプだ。今後一切飲ませないようにするぞ」
「ちょっと~本人の前でそれ言う~~言うなら私が居なくなってから言ってほしいな~」
「本人がいるから言うんだよ!!」
「うわ~~んひどいわ~言いつけてやる~~モモちゃんにあることないこと言いつけてやる~」
「うわ~~やめろ~~それだけはやめろ~~~!!!」
足取りはふらふらな千鳥足なのに、ランプの追撃をひらりひらりとかわすエクレア。
その動きからみてエクレアは酒乱に加え天然的な酔拳も発揮できるようだ。
おまけに彼女はただ避けるだけではない。埒があかないっとばかりに強く踏み込んできたランプの一瞬の隙を見逃さず、後ろに回り込んで抱え込んでからの……
「そぉ~~~い♪」
ドゴォォォォォォォォォォン!!
「ぶげら!?」
ジャーマンスープレックスでもってランプの脳天を地面に叩きつけた。
その際立ち位置の関係上、思いっきりエクレアのスカートの中がみえた。とっさに顔を反らしたことで目があった二人は
「……トンビ君」
「ローイン、わかってる。以後絶対酒を飲ませないようにしよう」
スカートの中に関しては一切触れる事なく、エクレアに酒飲ませてはならないっという事柄のみを心の中に刻み込んだ。
「っと馬鹿なことやったせいでさすがにもう体力の限界きたみたい。さっさと寝る事にするから出来たら後片付けよろしく。二人とも私の話した内容を盗み聞きである程度聞いてるだろうけど、補完が必要ならローイン君から改めて話しといてくれると助かるかな。それに私が居ないからこそできる話もあるだろうし、お墓に供えてるお酒とおつまみを摘まみながら後はお好きにどうぞ~じゃ、おやすみ」
ランプを投げた後、一方的にまくしたてたエクレアはそのままアトリエへと戻りはじめる。ただその足取りが少々千鳥足なあたり、酒はまだ抜けてないようだ。
「あ、えっと……おやすみ」
ローインの呼びかけに振り返る事なく、手だけを振って応えるエクレア。
こうしてエクレアを見送った直後……
「いつつつ……本当厄介な酔っ払いだな。それで、エクレアが話してた内容は本当なのか?」
上手い具合に受け身を取ったのか、ランプは何事もないかのごとくむくりと起き上がって状況把握に努めた。
ランプとトンビは途中まで遠くからの盗み聞きで全ての内容を掴めてないわけだし、状況の整理は当然だろう。
ローイン自身もよくわかってない部分はあるも、改めて記憶を整理する意味も含めてエクレアから聞いた内容を語り始めた。
「実は……」
ローインは惚けていた。
凄まじいまでの剣幕で怒鳴り散らかされた言葉は、あまりにも早口過ぎて半分以上が頭に入らなかった。理解しきれずについ最後のあかんべーのポーズがちょっと可愛いと思ってしまう程度に錯乱したローインに対して、エクレアはすでに話はおわりっとばかりに立ち上がっていた。
その際に視線を別の場所へ向けて呼びかける。
「そこの茂みにいるデバガメ二人!!そろそろ出てきてほしいかなーっと思ってるんだけど」
「お、おう……」
「ごめん、つい出るタイミングつかめず」
「へっ!?ランプ君とトンビ君……二人とも居たの!?」
ガサガサっと茂みが動いたと思ったら、すっと姿を現すランプとトンビ。
一体いつの間にっと思うも……
「最初から居たみたい。態々お酒で酔って寝たふりして私をやりすごしてからこっそり後追いかけるって、ずいぶんと良い趣味をお持ちなようで……年下の男の子と女の子の二人っきりのお楽しみタイムを覗き見る気分どうだった?にやにや」
どうやらエクレアは随分早い段階で気付いてたらしい。
もっとも今までスルーしてたのに、このタイミングで声かけてくる辺り結構嫌らしいというか、エクレアらしいというか……
そんな空気を察して二人は即座に両手を合わせて首を垂れる。
「すまん。怒ってるなら謝る。一応理由はあって」
「言い訳なんて別に聞く気ないからいいよ~どうせ私酔っぱらってるし明日になったらもう忘れちゃうもん。だから~たまにはこう怒ってる私を表現してもいいでしょ、ぷんぷん」
「………酒ってローイン、酒なんか持ち込んでたの?」
「う、うん。マイさんへの手向けとしてだけど………」
そう言葉にするローインはどぶろくが入った瓶を指す。
「そうか……だったら断言しておこう。こいつは酒乱の毛があるタイプだ。一口でも飲ませたらもうおしまいというかなり性質の悪いタイプだ。今後一切飲ませないようにするぞ」
「ちょっと~本人の前でそれ言う~~言うなら私が居なくなってから言ってほしいな~」
「本人がいるから言うんだよ!!」
「うわ~~んひどいわ~言いつけてやる~~モモちゃんにあることないこと言いつけてやる~」
「うわ~~やめろ~~それだけはやめろ~~~!!!」
足取りはふらふらな千鳥足なのに、ランプの追撃をひらりひらりとかわすエクレア。
その動きからみてエクレアは酒乱に加え天然的な酔拳も発揮できるようだ。
おまけに彼女はただ避けるだけではない。埒があかないっとばかりに強く踏み込んできたランプの一瞬の隙を見逃さず、後ろに回り込んで抱え込んでからの……
「そぉ~~~い♪」
ドゴォォォォォォォォォォン!!
「ぶげら!?」
ジャーマンスープレックスでもってランプの脳天を地面に叩きつけた。
その際立ち位置の関係上、思いっきりエクレアのスカートの中がみえた。とっさに顔を反らしたことで目があった二人は
「……トンビ君」
「ローイン、わかってる。以後絶対酒を飲ませないようにしよう」
スカートの中に関しては一切触れる事なく、エクレアに酒飲ませてはならないっという事柄のみを心の中に刻み込んだ。
「っと馬鹿なことやったせいでさすがにもう体力の限界きたみたい。さっさと寝る事にするから出来たら後片付けよろしく。二人とも私の話した内容を盗み聞きである程度聞いてるだろうけど、補完が必要ならローイン君から改めて話しといてくれると助かるかな。それに私が居ないからこそできる話もあるだろうし、お墓に供えてるお酒とおつまみを摘まみながら後はお好きにどうぞ~じゃ、おやすみ」
ランプを投げた後、一方的にまくしたてたエクレアはそのままアトリエへと戻りはじめる。ただその足取りが少々千鳥足なあたり、酒はまだ抜けてないようだ。
「あ、えっと……おやすみ」
ローインの呼びかけに振り返る事なく、手だけを振って応えるエクレア。
こうしてエクレアを見送った直後……
「いつつつ……本当厄介な酔っ払いだな。それで、エクレアが話してた内容は本当なのか?」
上手い具合に受け身を取ったのか、ランプは何事もないかのごとくむくりと起き上がって状況把握に努めた。
ランプとトンビは途中まで遠くからの盗み聞きで全ての内容を掴めてないわけだし、状況の整理は当然だろう。
ローイン自身もよくわかってない部分はあるも、改めて記憶を整理する意味も含めてエクレアから聞いた内容を語り始めた。
「実は……」
0
お気に入りに追加
38
あなたにおすすめの小説
悪役令嬢カテリーナでございます。
くみたろう
恋愛
………………まあ、私、悪役令嬢だわ……
気付いたのはワインを頭からかけられた時だった。
どうやら私、ゲームの中の悪役令嬢に生まれ変わったらしい。
40歳未婚の喪女だった私は今や立派な公爵令嬢。ただ、痩せすぎて骨ばっている体がチャームポイントなだけ。
ぶつかるだけでアタックをかます強靭な骨の持ち主、それが私。
40歳喪女を舐めてくれては困りますよ? 私は没落などしませんからね。
お飾り公爵夫人の憂鬱
初瀬 叶
恋愛
空は澄み渡った雲1つない快晴。まるで今の私の心のようだわ。空を見上げた私はそう思った。
私の名前はステラ。ステラ・オーネット。夫の名前はディーン・オーネット……いえ、夫だった?と言った方が良いのかしら?だって、その夫だった人はたった今、私の足元に埋葬されようとしているのだから。
やっと!やっと私は自由よ!叫び出したい気分をグッと堪え、私は沈痛な面持ちで、黒い棺を見つめた。
そう自由……自由になるはずだったのに……
※ 中世ヨーロッパ風ですが、私の頭の中の架空の異世界のお話です
※相変わらずのゆるふわ設定です。細かい事は気にしないよ!という読者の方向けかもしれません
※直接的な描写はありませんが、性的な表現が出てくる可能性があります
年下男子に追いかけられて極甘求婚されています
あさの紅茶
恋愛
◆結婚破棄され憂さ晴らしのために京都一人旅へ出かけた大野なぎさ(25)
「どいつもこいつもイチャイチャしやがって!ムカつくわー!お前ら全員幸せになりやがれ!」
◆年下幼なじみで今は京都の大学にいる富田潤(20)
「京都案内しようか?今どこ?」
再会した幼なじみである潤は実は子どもの頃からなぎさのことが好きで、このチャンスを逃すまいと猛アプローチをかける。
「俺はもう子供じゃない。俺についてきて、なぎ」
「そんなこと言って、後悔しても知らないよ?」
「この結婚はなかったことにしてほしい、お互いのためだ」と言われましたが……ごめんなさい!私は代役です
m
恋愛
男爵家の双子の姉妹のフィオーリとクリスティナは、髪色以外はよく似ている。
姉のフィオーリ宛にとある伯爵家から結婚の申し込みが。
結婚式の1ヶ月前に伯爵家へと住まいを移すように提案されると、フィオーリはクリスティナへ式までの代役を依頼する。
「クリスティナ、大丈夫。絶対にバレないから!
結婚式に入れ替われば問題ないから。お願い」
いえいえいえ、問題しかないと思いますよ。
ゆるい設定世界観です
【完結】私ですか?ただの令嬢です。
凛 伊緒
恋愛
死んで転生したら、大好きな乙女ゲーの世界の悪役令嬢だった!?
バッドエンドだらけの悪役令嬢。
しかし、
「悪さをしなければ、最悪な結末は回避出来るのでは!?」
そう考え、ただの令嬢として生きていくことを決意する。
運命を変えたい主人公の、バッドエンド回避の物語!
※完結済です。
※作者がシステムに不慣れかつ創作初心者な時に書いたものなので、温かく見守っていだければ幸いです……(。_。///)
※ご感想・ご指摘につきましては、近況ボードをお読みくださいませ。
《皆様のご愛読に、心からの感謝を申し上げますm(*_ _)m》
悪意には悪意で
12時のトキノカネ
恋愛
私の不幸はあの女の所為?今まで穏やかだった日常。それを壊す自称ヒロイン女。そしてそのいかれた女に悪役令嬢に指定されたミリ。ありがちな悪役令嬢ものです。
私を悪意を持って貶めようとするならば、私もあなたに同じ悪意を向けましょう。
ぶち切れ気味の公爵令嬢の一幕です。
王女の中身は元自衛官だったので、継母に追放されたけど思い通りになりません
きぬがやあきら
恋愛
「妻はお妃様一人とお約束されたそうですが、今でもまだ同じことが言えますか?」
「正直なところ、不安を感じている」
久方ぶりに招かれた故郷、セレンティア城の月光満ちる庭園で、アシュレイは信じ難い光景を目撃するーー
激闘の末、王座に就いたアルダシールと結ばれた、元セレンティア王国の王女アシュレイ。
アラウァリア国では、新政権を勝ち取ったアシュレイを国母と崇めてくれる国民も多い。だが、結婚から2年、未だ後継ぎに恵まれないアルダシールに側室を推す声も上がり始める。そんな頃、弟シュナイゼルから結婚式の招待が舞い込んだ。
第2幕、連載開始しました!
お気に入り登録してくださった皆様、ありがとうございます! 心より御礼申し上げます。
以下、1章のあらすじです。
アシュレイは前世の記憶を持つ、セレンティア王国の皇女だった。後ろ盾もなく、継母である王妃に体よく追い出されてしまう。
表向きは外交の駒として、アラウァリア王国へ嫁ぐ形だが、国王は御年50歳で既に18人もの妃を持っている。
常に不遇の扱いを受けて、我慢の限界だったアシュレイは、大胆な計画を企てた。
それは輿入れの道中を、自ら雇った盗賊に襲撃させるもの。
サバイバルの知識もあるし、宝飾品を処分して生き抜けば、残りの人生を自由に謳歌できると踏んでいた。
しかし、輿入れ当日アシュレイを攫い出したのは、アラウァリアの第一王子・アルダシール。
盗賊団と共謀し、晴れて自由の身を望んでいたのに、アルダシールはアシュレイを手放してはくれず……。
アシュレイは自由と幸福を手に入れられるのか?
元婚約者が「俺の子を育てろ」と言って来たのでボコろうと思います。
音爽(ネソウ)
恋愛
結婚間近だった彼が使用人の娘と駆け落ちをしてしまった、私は傷心の日々を過ごしたがなんとか前を向くことに。しかし、裏切り行為から3年が経ったある日……
*体調を崩し絶不調につきリハビリ作品です。長い目でお読みいただければ幸いです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる