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第4章

15.二人とも居たの!?

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「………」

 ローインは惚けていた。
 凄まじいまでの剣幕で怒鳴り散らかされた言葉は、あまりにも早口過ぎて半分以上が頭に入らなかった。理解しきれずについ最後のあかんべーのポーズがちょっと可愛いと思ってしまう程度に錯乱したローインに対して、エクレアはすでに話はおわりっとばかりに立ち上がっていた。
 その際に視線を別の場所へ向けて呼びかける。

「そこの茂みにいるデバガメ二人!!そろそろ出てきてほしいかなーっと思ってるんだけど」

「お、おう……」

「ごめん、つい出るタイミングつかめず」

「へっ!?ランプ君とトンビ君……二人とも居たの!?」

 ガサガサっと茂みが動いたと思ったら、すっと姿を現すランプとトンビ。
 一体いつの間にっと思うも……

「最初から居たみたい。態々お酒で酔って寝たふりして私をやりすごしてからこっそり後追いかけるって、ずいぶんと良い趣味をお持ちなようで……年下の男の子と女の子の二人っきりのお楽しみタイムを覗き見る気分どうだった?にやにや」

 どうやらエクレアは随分早い段階で気付いてたらしい。
 もっとも今までスルーしてたのに、このタイミングで声かけてくる辺り結構嫌らしいというか、エクレアらしいというか……
 そんな空気を察して二人は即座に両手を合わせて首を垂れる。

「すまん。怒ってるなら謝る。一応理由はあって」

「言い訳なんて別に聞く気ないからいいよ~どうせ私酔っぱらってるし明日になったらもう忘れちゃうもん。だから~たまにはこう怒ってる私を表現してもいいでしょ、ぷんぷん」

「………酒ってローイン、酒なんか持ち込んでたの?」

「う、うん。マイさんへの手向けとしてだけど………」

 そう言葉にするローインはどぶろくが入った瓶を指す。

「そうか……だったら断言しておこう。こいつは酒乱の毛があるタイプだ。一口でも飲ませたらもうおしまいというかなり性質の悪いタイプだ。今後一切飲ませないようにするぞ」

「ちょっと~本人の前でそれ言う~~言うなら私が居なくなってから言ってほしいな~」

「本人がいるから言うんだよ!!」

「うわ~~んひどいわ~言いつけてやる~~モモちゃんにあることないこと言いつけてやる~」

「うわ~~やめろ~~それだけはやめろ~~~!!!」

 足取りはふらふらな千鳥足なのに、ランプの追撃をひらりひらりとかわすエクレア。
 その動きからみてエクレアは酒乱に加え天然的な酔拳も発揮できるようだ。
 おまけに彼女はただ避けるだけではない。埒があかないっとばかりに強く踏み込んできたランプの一瞬の隙を見逃さず、後ろに回り込んで抱え込んでからの……





「そぉ~~~い♪」






ドゴォォォォォォォォォォン!!





「ぶげら!?」


 ジャーマンスープレックスでもってランプの脳天を地面に叩きつけた。

 その際立ち位置の関係上、思いっきりエクレアのスカートの中かぼちゃがみえた。とっさに顔を反らしたことで目があった二人は

「……トンビ君」

「ローイン、わかってる。以後絶対酒を飲ませないようにしよう」

 スカートの中かぼちゃに関しては一切触れる事なく、エクレアに酒飲ませてはならないっという事柄のみを心の中に刻み込んだ。

「っと馬鹿なことやったせいでさすがにもう体力の限界きたみたい。さっさと寝る事にするから出来たら後片付けよろしく。二人とも私の話した内容を盗み聞きである程度聞いてるだろうけど、補完が必要ならローイン君から改めて話しといてくれると助かるかな。それに私が居ないからこそできる話もあるだろうし、お墓に供えてるお酒とおつまみを摘まみながら後はお好きにどうぞ~じゃ、おやすみ」

 ランプを投げた後、一方的にまくしたてたエクレアはそのままアトリエへと戻りはじめる。ただその足取りが少々千鳥足なあたり、酒はまだ抜けてないようだ。
 
「あ、えっと……おやすみ」

 ローインの呼びかけに振り返る事なく、手だけを振って応えるエクレア。
 こうしてエクレアを見送った直後……

「いつつつ……本当厄介な酔っ払いだな。それで、エクレアが話してた内容は本当なのか?」

 上手い具合に受け身を取ったのか、ランプは何事もないかのごとくむくりと起き上がって状況把握に努めた。

 ランプとトンビは途中まで遠くからの盗み聞きで全ての内容を掴めてないわけだし、状況の整理は当然だろう。
 ローイン自身もよくわかってない部分はあるも、改めて記憶を整理する意味も含めてエクレアから聞いた内容を語り始めた。


「実は……」
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