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第4章
11.だからサクラなんだ……丁度君の髪みたいにね
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「えっと……ドウイウコト?」
死んだ?えぇ、死んだって……エクレアに蹴られたら死んだ???
一体どういうこと????
ローインは必死に頭を巡らせる。脳を総動員して状況を把握しようとするも、わかるはずがない。
たとえクリティカルを出そうとも、自動失敗だ。
「やっぱり混乱するよね。でも死んだのは本当。蹴りで思いっきり打ち上げた後にきりもみ回転しながら頭から地面に激突。その拍子で首が『グキッ☆』と本来曲がってはいけない方向に曲がっちゃってて……大体なんで大真面目に物理法則を発揮しちゃってるのよ!!ここはギャグ補正で助かるとこでしょ!!!って、いやもしかしたらサクラの生者を死に誘う能力が発揮してギャグ補正を打ち消したと考えれば……ブツブツ」
「いやいや、一人ぶつくさと検証してるとこ悪いけどどうやって助けたの?もしかして死者蘇生の」
「あっ、それ違う。私は元より私と契約した悪魔の“キャロット”でも無理。だからお迎えにきた死神をとっ捕まえて封じてる内に私の生命力を送り込んで無理やり生き返らせたの」
「生命力を送り込む?どうやって」
「どうって?こうやってだけど」
そういうな否やエクレアは躊躇なくローインに口づけをかます。
「!!!?」
いきなりの事で驚く。なにせエクレアの顔がものすっごい目の前にあるわけだ。しかも口と口が合わさってて彼女の吐息が口に流れ込んでくる。
その様はなんていうか………
気持ちよかった。
力が漲ってくるかのように……
「っとまぁこんな感じかな。今は悪魔化を解除してるから大した量送れないけど」
口から離してふぅっと一息つくエクレア。
その顔は若干疲れてるようにみえるがローインは逆。
ものすっごいツヤツヤであった。
「あっ、うん………なんかすっごい気持ちよかった。いろいろとすごかった」
それはもう言葉にできないぐらい。
どう表現していいのかわからない体験だ。
だからもう『気持ちよかった』としか言いようがない。
「あーよかった。それで……改めて聞くけど、私のことどう思う?」
エクレアは馬乗りから立ち上がる。後ろに数歩下がると同時に再び闇の翼を展開させた。
辺り一面のあらゆるものを飲み込むような深い深い闇の翼を広げる。
「今回は生命力を送り込んだけど、逆に吸い取る事もできるの。もっと言えばそこらから生命力を吸い上げて草木一本生えない死の大地に変えることだって出来る私の『力』を……どう思う?」
「どうって……綺麗だとしか表現できないけど」
「綺麗ねぇ。これどうみても『魔王』とか『悪魔』の象徴とかそういった類にしかみえないんだけど。少なくとも教会の教えにある通りに、私がその気になると伝承通り世界滅ぼせる悪魔にもなれそうなんだけど……」
そう、エクレアの言う通りだ。教会の伝承通りであるならに今のエクレアは決して存在してはいけない『悪魔』。今も翼を形成する闇の奥底から響き渡る怨嗟の声からして、人に害をもたらす存在なのだろうが……
「僕にはそうみえないな。例え伝承にある世界を滅ぼす悪魔であっても、しいていうなら……サクラのようにもみえる。サクラのように畏怖を感じながらもどこか惹かれる、とてもとても神秘的な姿だと思う」
「サクラ………」
「そう、サクラは人によっては死へと誘う魔性を秘めた呪いの木なんだよね。それは言い方を変えると人ごときでは決して汚していけない神秘性を秘めた神の木とも言える。だからサクラなんだ……丁度君の髪みたいにね」
君の髪みたいに……
自分で言っといてあれだが、少々くさい台詞だったかなっと思いつつも当の本人。
エクレアの反応は……
「………ぷっ!!あはははははなにそれ、そんな評価初めて聞いたし!!少なくとも“キャロット”は初めてだって言ってるし!!!」
ツボにはまったようで、腹を抱えて笑い出した。心なしか闇の翼からも怨嗟の声に紛れてエクレアとよく似た声色をした笑い声が響いているようにもみえる。
「気に入ってもらえてうれしいよ。それにエクレアちゃん、君はその『力』で世界滅ぼそうだなんて思ってないよね」
「そんな気全くない。大体世界を破壊して私に何の得があるんだか……だし。ただ、教会が黙ってなさそうだから教会相手に関しては派手にドンパチやらかすんじゃないのかな?」
「ある意味エクレアちゃんらしい考えだけど、それが全てじゃないんだよね」
「もちろん。そう簡単に割り切れたら苦労しないって。今も厄介ごとが絶賛増えてる最中だし、もう怒っちゃっていいかなと思ってる。ぷんぷんっとね」
笑ってたと思えばにやりと悪い顔したり、ぷ~っとふくれたり怒ったりと顔をコロコロ変えるエクレア。お酒のせいか、なんだかいつも以上に喜怒哀楽が激しい気がする。
「ま、まぁ……困ったら相談になるよ。僕も分相応な魔力を生まれながらに持ってたせいで振り回されてきたわけだし、先輩としてアドバイスぐらいは送ったげる」
「じゃぁまた悩んだ時は遠慮なく相談させてね……ただちょっと悩みの規模が果てしなく凄い事になっちゃうそうだけど。例えばうっかり村一つを腐海に沈めてどうしようとか、死の伝染病をばら撒いてしまってどう処理しようとか、いっそ先手必勝っとばかりに教会本部にカチコミ仕掛けてお偉いさんを潰してしまおうとかいう考えも……」
そして、最後は笑顔で恐ろしいことをさらりと言ってのけるエクレア……
(うん、やっぱり今のエクレアちゃんは酒に酔ってるんだな)
ローインはそう判断し、全ては酒の席での戯言なのだと思い込んでおくことにした。
そうでないと頭の処理が追いつかない。
追いつかなさすぎるので現実逃避をかねてどぶろくをあおる。
相変わらず甘いが、酒は酒。少し酔いが進行したようで気持ち的に少し楽になる。
もっとも……
「さてっと、これでどうやって助かったかはわかっただろうからこの話はおしまい。次の質問は?まだまだ知りたいことあるんでしょう。例えば……ダンジョン奥にいた男の正体とか」
男の正体……
その言葉を聞いた瞬間、楽になった気持ちが吹っ飛んだ。
死んだ?えぇ、死んだって……エクレアに蹴られたら死んだ???
一体どういうこと????
ローインは必死に頭を巡らせる。脳を総動員して状況を把握しようとするも、わかるはずがない。
たとえクリティカルを出そうとも、自動失敗だ。
「やっぱり混乱するよね。でも死んだのは本当。蹴りで思いっきり打ち上げた後にきりもみ回転しながら頭から地面に激突。その拍子で首が『グキッ☆』と本来曲がってはいけない方向に曲がっちゃってて……大体なんで大真面目に物理法則を発揮しちゃってるのよ!!ここはギャグ補正で助かるとこでしょ!!!って、いやもしかしたらサクラの生者を死に誘う能力が発揮してギャグ補正を打ち消したと考えれば……ブツブツ」
「いやいや、一人ぶつくさと検証してるとこ悪いけどどうやって助けたの?もしかして死者蘇生の」
「あっ、それ違う。私は元より私と契約した悪魔の“キャロット”でも無理。だからお迎えにきた死神をとっ捕まえて封じてる内に私の生命力を送り込んで無理やり生き返らせたの」
「生命力を送り込む?どうやって」
「どうって?こうやってだけど」
そういうな否やエクレアは躊躇なくローインに口づけをかます。
「!!!?」
いきなりの事で驚く。なにせエクレアの顔がものすっごい目の前にあるわけだ。しかも口と口が合わさってて彼女の吐息が口に流れ込んでくる。
その様はなんていうか………
気持ちよかった。
力が漲ってくるかのように……
「っとまぁこんな感じかな。今は悪魔化を解除してるから大した量送れないけど」
口から離してふぅっと一息つくエクレア。
その顔は若干疲れてるようにみえるがローインは逆。
ものすっごいツヤツヤであった。
「あっ、うん………なんかすっごい気持ちよかった。いろいろとすごかった」
それはもう言葉にできないぐらい。
どう表現していいのかわからない体験だ。
だからもう『気持ちよかった』としか言いようがない。
「あーよかった。それで……改めて聞くけど、私のことどう思う?」
エクレアは馬乗りから立ち上がる。後ろに数歩下がると同時に再び闇の翼を展開させた。
辺り一面のあらゆるものを飲み込むような深い深い闇の翼を広げる。
「今回は生命力を送り込んだけど、逆に吸い取る事もできるの。もっと言えばそこらから生命力を吸い上げて草木一本生えない死の大地に変えることだって出来る私の『力』を……どう思う?」
「どうって……綺麗だとしか表現できないけど」
「綺麗ねぇ。これどうみても『魔王』とか『悪魔』の象徴とかそういった類にしかみえないんだけど。少なくとも教会の教えにある通りに、私がその気になると伝承通り世界滅ぼせる悪魔にもなれそうなんだけど……」
そう、エクレアの言う通りだ。教会の伝承通りであるならに今のエクレアは決して存在してはいけない『悪魔』。今も翼を形成する闇の奥底から響き渡る怨嗟の声からして、人に害をもたらす存在なのだろうが……
「僕にはそうみえないな。例え伝承にある世界を滅ぼす悪魔であっても、しいていうなら……サクラのようにもみえる。サクラのように畏怖を感じながらもどこか惹かれる、とてもとても神秘的な姿だと思う」
「サクラ………」
「そう、サクラは人によっては死へと誘う魔性を秘めた呪いの木なんだよね。それは言い方を変えると人ごときでは決して汚していけない神秘性を秘めた神の木とも言える。だからサクラなんだ……丁度君の髪みたいにね」
君の髪みたいに……
自分で言っといてあれだが、少々くさい台詞だったかなっと思いつつも当の本人。
エクレアの反応は……
「………ぷっ!!あはははははなにそれ、そんな評価初めて聞いたし!!少なくとも“キャロット”は初めてだって言ってるし!!!」
ツボにはまったようで、腹を抱えて笑い出した。心なしか闇の翼からも怨嗟の声に紛れてエクレアとよく似た声色をした笑い声が響いているようにもみえる。
「気に入ってもらえてうれしいよ。それにエクレアちゃん、君はその『力』で世界滅ぼそうだなんて思ってないよね」
「そんな気全くない。大体世界を破壊して私に何の得があるんだか……だし。ただ、教会が黙ってなさそうだから教会相手に関しては派手にドンパチやらかすんじゃないのかな?」
「ある意味エクレアちゃんらしい考えだけど、それが全てじゃないんだよね」
「もちろん。そう簡単に割り切れたら苦労しないって。今も厄介ごとが絶賛増えてる最中だし、もう怒っちゃっていいかなと思ってる。ぷんぷんっとね」
笑ってたと思えばにやりと悪い顔したり、ぷ~っとふくれたり怒ったりと顔をコロコロ変えるエクレア。お酒のせいか、なんだかいつも以上に喜怒哀楽が激しい気がする。
「ま、まぁ……困ったら相談になるよ。僕も分相応な魔力を生まれながらに持ってたせいで振り回されてきたわけだし、先輩としてアドバイスぐらいは送ったげる」
「じゃぁまた悩んだ時は遠慮なく相談させてね……ただちょっと悩みの規模が果てしなく凄い事になっちゃうそうだけど。例えばうっかり村一つを腐海に沈めてどうしようとか、死の伝染病をばら撒いてしまってどう処理しようとか、いっそ先手必勝っとばかりに教会本部にカチコミ仕掛けてお偉いさんを潰してしまおうとかいう考えも……」
そして、最後は笑顔で恐ろしいことをさらりと言ってのけるエクレア……
(うん、やっぱり今のエクレアちゃんは酒に酔ってるんだな)
ローインはそう判断し、全ては酒の席での戯言なのだと思い込んでおくことにした。
そうでないと頭の処理が追いつかない。
追いつかなさすぎるので現実逃避をかねてどぶろくをあおる。
相変わらず甘いが、酒は酒。少し酔いが進行したようで気持ち的に少し楽になる。
もっとも……
「さてっと、これでどうやって助かったかはわかっただろうからこの話はおしまい。次の質問は?まだまだ知りたいことあるんでしょう。例えば……ダンジョン奥にいた男の正体とか」
男の正体……
その言葉を聞いた瞬間、楽になった気持ちが吹っ飛んだ。
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