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第3章
36.……… ※エクレアの希望によりモザイク処理されてます
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「はぁ……はぁ……もう……無理」
気力の限界が来た。
『悪魔化』を維持することもできず、素の状態に戻ったエクレアはローインの隣でばったりとあおむけになって転がる。
生命力の譲歩は技術的な意味でも不可能となるも……
その必要性はもうなくなっていたようだ。
倒れたまま顔だけをローインに向けると、彼は動いていた。呼吸のため胸を上下に動かしていた。
右手首を掴めば脈打っているので心臓の鼓動も再開されている。
冷たくなっていた肌も温かみを取り戻して張りがでている。
怪我こそ癒しきれてないが、命を脅かす要素はほぼ全て排除できた。
死の運命から逃れる事ができたのだ。
それをみてほっとする。
「ありがとう……本当にありがとう。これも“キャロット”のおか……げ……?」
エクレアは“キャロットに”……“深淵”の中からサポートしてもらっていた“キャロット”にお礼を言おうとしたところで、あるものに気付く。
「……ねぇ。なんか“深淵”にゴブリンとはまた別の乾燥ワカメが転がってるけどそれ誰なの?」
少なくとも先ほど訪れた時にはいなかった。
全く覚えはなかったが、“キャロット”曰くこれはエクレアのやらかしの一つらしい。
詳しく聞けば……
「………治療中に虚空から真っ黒なローブと大鎌携えたいかにもな死神がお迎えに来て、それを私が『邪魔するな』っと八つ当たり気味に有無言わさずカウンターで殴り飛ばして“深淵”に飲み込んだ???」
一部始終を聞いてサーっと青ざめるエクレア。
さらに聞けばほかにも治療中に無意識レベルでいろいろやらかしてたようだ。
「もしかして私、とんでもない事やらかした?」
そのいろいろも問題あるが、一番の問題は死神捕獲から搾り取り案件だろう。
少なくともお迎え……おそらくローインを迎えに来た死神をぶっ飛ばしただけならまだしも、捕獲してゴブリンと同様に生命力を搾り取ったのだ。
エクレア本人やダンジョンからぶんどった分では到底賄えなかった生命力を死神から徴収してローインに分け与えたのだ。
考えるまでもなく、とんでもないやらかしだ。
男の時同様に、これは死神達に喧嘩……いや、公務執行を妨害したに等しい行為だ。
“奴”より先に死神から命を狙われる羽目になる。
最早、絶望な未来待ったなしっと思いきや……
……
…………
………………
「あーそう……その死神、アンコさんは3年前の師匠のお迎えの際に顔見知りとなった仲で、今回の件はすでに話ついてるんだ。生命力も自ら進んで提供してもらったから心配するな……っと」
闇の玉なので表情諸々は見えないながらも、口調からしてとんでもなく良い笑顔でサムズアップしてるであろう“キャロット”
本当に話がついてるのか不明であるが、エクレアのようなただの人間?では死神と交渉なんてまず不可能。
“キャロット”みたく人外な存在でなければ相手にできない事なのは確定的に明らか。
よって精神衛生上、死神側から何か言われたら定番のアレ。
『悪魔がやれって言ったんです』
上記台詞でもって全責任を正真正銘の悪魔に押し付ける算段にした。
「とにかく、最後の仕上げをしないと」
エクレアはゆっくりと身を起こす。
ローインは息こそ吹き返すもまだ目覚めてない。
身体だけが生きている、いわば植物人間状態だ。
ここから先はもうローインの意思次第。生きる意志さえ取り戻してくれれば蘇生が完了となるわけだが……
「さて、どうしようか」
エクレアは考える。ギリギリの生命力しか残してない事もあって、意識を保つのも難しい頭で考える。
後はほんの一押し、その一押しがあれば助けられるのだ。
その一押しをどうするかを考え……
「やっぱりあれしかないかな」
くすりと笑う。
それこそ小悪魔のように、とってもいい悪戯を思いついた子供のような無邪気な笑みを浮かべながらそっとローインの耳に口をもっていき……
「………」
ぼそりと何かつぶやいた。
なお、この時何をつぶやいたかは……
「うふふ………な・い・しょ」
っとまぁ、エクレア自身が隠したかった事もあってか、読者の耳というか目には入らないようモザイクがかかったのである。
でもって肝心の効果といえば……
「な、なんだってー!」
ばつぐんだった。
がばりと起き上がった。
ローインは目覚めた。
エクレアの言葉は三途の川の畔に居たローインを現世にまで引き戻す事に成功した。
「あれ、ここは……?」
混乱中で自分の今の現状がわからずキョロキョロしはじめるローイン……
エクレアはその姿をみて、つい泣き出しそうになる。
泣き出しそうになりながらも、第一声を何にするか考え始める。
言いたい事ややりたい事はいろいろとあった。
“私を残して勝手に死ぬなんて許さない!!”
開口一番で顔面をぐーぱんでぶん殴ったりとか……
“よかった……生きててくれて本当によかった……”
胸に飛び込んで泣きじゃくるとか……
本当にやりたい事がいろいろ思い浮かぶも……
ぐらり……
(あっ、だめ……ほっとしたとたん意識が……)
すでに限界だったエクレアは企みを実行に移すどころか言葉を発する力も残ってなかったようだ。
だが、このまま何もせず気絶はプライドが許さない。
せっかくのシチュエーションを台無しにするような気絶なんて、許されざる行為だ。
なのでエクレアは最後の力を振り絞るように……
ローインに抱き着き、寄りかかるようにして……
その意識を消失させた。
気力の限界が来た。
『悪魔化』を維持することもできず、素の状態に戻ったエクレアはローインの隣でばったりとあおむけになって転がる。
生命力の譲歩は技術的な意味でも不可能となるも……
その必要性はもうなくなっていたようだ。
倒れたまま顔だけをローインに向けると、彼は動いていた。呼吸のため胸を上下に動かしていた。
右手首を掴めば脈打っているので心臓の鼓動も再開されている。
冷たくなっていた肌も温かみを取り戻して張りがでている。
怪我こそ癒しきれてないが、命を脅かす要素はほぼ全て排除できた。
死の運命から逃れる事ができたのだ。
それをみてほっとする。
「ありがとう……本当にありがとう。これも“キャロット”のおか……げ……?」
エクレアは“キャロットに”……“深淵”の中からサポートしてもらっていた“キャロット”にお礼を言おうとしたところで、あるものに気付く。
「……ねぇ。なんか“深淵”にゴブリンとはまた別の乾燥ワカメが転がってるけどそれ誰なの?」
少なくとも先ほど訪れた時にはいなかった。
全く覚えはなかったが、“キャロット”曰くこれはエクレアのやらかしの一つらしい。
詳しく聞けば……
「………治療中に虚空から真っ黒なローブと大鎌携えたいかにもな死神がお迎えに来て、それを私が『邪魔するな』っと八つ当たり気味に有無言わさずカウンターで殴り飛ばして“深淵”に飲み込んだ???」
一部始終を聞いてサーっと青ざめるエクレア。
さらに聞けばほかにも治療中に無意識レベルでいろいろやらかしてたようだ。
「もしかして私、とんでもない事やらかした?」
そのいろいろも問題あるが、一番の問題は死神捕獲から搾り取り案件だろう。
少なくともお迎え……おそらくローインを迎えに来た死神をぶっ飛ばしただけならまだしも、捕獲してゴブリンと同様に生命力を搾り取ったのだ。
エクレア本人やダンジョンからぶんどった分では到底賄えなかった生命力を死神から徴収してローインに分け与えたのだ。
考えるまでもなく、とんでもないやらかしだ。
男の時同様に、これは死神達に喧嘩……いや、公務執行を妨害したに等しい行為だ。
“奴”より先に死神から命を狙われる羽目になる。
最早、絶望な未来待ったなしっと思いきや……
……
…………
………………
「あーそう……その死神、アンコさんは3年前の師匠のお迎えの際に顔見知りとなった仲で、今回の件はすでに話ついてるんだ。生命力も自ら進んで提供してもらったから心配するな……っと」
闇の玉なので表情諸々は見えないながらも、口調からしてとんでもなく良い笑顔でサムズアップしてるであろう“キャロット”
本当に話がついてるのか不明であるが、エクレアのようなただの人間?では死神と交渉なんてまず不可能。
“キャロット”みたく人外な存在でなければ相手にできない事なのは確定的に明らか。
よって精神衛生上、死神側から何か言われたら定番のアレ。
『悪魔がやれって言ったんです』
上記台詞でもって全責任を正真正銘の悪魔に押し付ける算段にした。
「とにかく、最後の仕上げをしないと」
エクレアはゆっくりと身を起こす。
ローインは息こそ吹き返すもまだ目覚めてない。
身体だけが生きている、いわば植物人間状態だ。
ここから先はもうローインの意思次第。生きる意志さえ取り戻してくれれば蘇生が完了となるわけだが……
「さて、どうしようか」
エクレアは考える。ギリギリの生命力しか残してない事もあって、意識を保つのも難しい頭で考える。
後はほんの一押し、その一押しがあれば助けられるのだ。
その一押しをどうするかを考え……
「やっぱりあれしかないかな」
くすりと笑う。
それこそ小悪魔のように、とってもいい悪戯を思いついた子供のような無邪気な笑みを浮かべながらそっとローインの耳に口をもっていき……
「………」
ぼそりと何かつぶやいた。
なお、この時何をつぶやいたかは……
「うふふ………な・い・しょ」
っとまぁ、エクレア自身が隠したかった事もあってか、読者の耳というか目には入らないようモザイクがかかったのである。
でもって肝心の効果といえば……
「な、なんだってー!」
ばつぐんだった。
がばりと起き上がった。
ローインは目覚めた。
エクレアの言葉は三途の川の畔に居たローインを現世にまで引き戻す事に成功した。
「あれ、ここは……?」
混乱中で自分の今の現状がわからずキョロキョロしはじめるローイン……
エクレアはその姿をみて、つい泣き出しそうになる。
泣き出しそうになりながらも、第一声を何にするか考え始める。
言いたい事ややりたい事はいろいろとあった。
“私を残して勝手に死ぬなんて許さない!!”
開口一番で顔面をぐーぱんでぶん殴ったりとか……
“よかった……生きててくれて本当によかった……”
胸に飛び込んで泣きじゃくるとか……
本当にやりたい事がいろいろ思い浮かぶも……
ぐらり……
(あっ、だめ……ほっとしたとたん意識が……)
すでに限界だったエクレアは企みを実行に移すどころか言葉を発する力も残ってなかったようだ。
だが、このまま何もせず気絶はプライドが許さない。
せっかくのシチュエーションを台無しにするような気絶なんて、許されざる行為だ。
なのでエクレアは最後の力を振り絞るように……
ローインに抱き着き、寄りかかるようにして……
その意識を消失させた。
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