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第3章

22.実にいいお友達を持ったものだ(side:俯瞰)

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「ゴブリン……あんまりいないな」

 エクレアが簀巻きで抗議してる最中、ランプ達は順調に遺跡改めダンジョンを攻略していた。
 なにせダンジョンと言っても、まだ稼働前。魔物や罠は全く配置されてない。
 居たのは勝手に住み着いたゴブリン50匹前後。大半はエクレアがお花畑で肥料に変えた。

 ダンジョンに帰還できたのは10匹にも満たない数であって、それも先ほどで仕留めた。
 ロクに動けない怪我人だろうと容赦なく仕留めた。
 ゴブリンは皆殺し。彼等は村の掟……見敵必殺サーチアンドデストロイの掟に従って、出会い頭に抹殺したのだ。

 そうして彼等は進む。
 ここがダンジョンだということを知らず……
 例えダンジョンと判明しても、稼働前故に罠や魔物の類は一切配置されていない。配置されてても稼働してないという、オープン前のアトラクションみたく進む。

 ゴブリン以外なんの障害もなく順調すぎる道のりの末、最奥で待ち受けていたは一つの仰々しい扉。
 そして、扉前に転がっているエクレアの靴である。


「……これ、どうみる?ちなみに俺は特に意味なしと思ってる」

「盛大に何もないと思う」

「同じく。僕にはもうこれエクレアちゃんの茶目っ気で置いたとしか思えない」

 罠があったらあったで困るが、逆に順調すぎる道のりっというのも困るらしい。
 特にこういった遺跡は安全の保障ができるまで常に警戒しろっと教わってきたのに、いざ入ったら罠も障害も全くない。
 魔物も10匹程度のゴブリンのみ。半数は怪我をして半死半生で残りも半狂乱だ。敵の侵入を全く想定してなかったのか、遭遇しても慌てるだけでロクに反撃してこない。

 追跡でも痕跡全く隠さなかったことといい、エクレアはゴブリンにさらわれたのではなく、下僕にして住処まで案内させただけじゃないのかっと勘ぐってきたところでこれだ。


「「「………」」」

 3人の脳裏にはこの扉の先でエクレアが王座っぽい何かにふんぞり返ってるイメージさえ思い浮かぶ。従えたゴブリンを素足でげしげし踏みつけながら……

「いくか。この先にエクレアは居るだろうし、何があっても驚かないっと決めよう。あいつは想像の斜め上を行くからその気構えを忘れるなよ………はぁ」

 ぞんざいもぞんざい。本当にお騒がせな奴だっとランプはため息を付きながら扉を蹴り破った。
 本来なら先に罠を調べたりするものだが、どうせ罠があっても大したものでない。
 あったらあったで踏みつぶす。まともに付き合う義理なんてないっと言わんばかりに蹴り破った。

 どごんっ!!という衝撃と共に勢いよく開け放たれた扉の先は……




「よく此処までたどり着いた。侵入者よ、歓迎しよう」



 玄室のような広場の中央奥に安地された棺に座り込んでいる男と

「むー!!」

 その男の隣でシーツのような布でぐるぐる巻きの簀巻きでぷらぷらと吊るされているエクレアがいた。




 目的であったエクレアを発見したランプたち。
 だが予想とは違う展開に少々困惑し、彼らは状況を確認するかのよう互いに顔を向ける。

「さっきも同じ事聞いたが再度聞くぞ。これ、どうみる?ちなみに俺は遊んでるだけだと思う」

「遊び……でしょ」

「だよね。エクレアちゃんを拘束したいんだったら鎖でがんじがらめにしないといけないんだし、大人しくしてるなら囚われのお姫様感覚で遊んでるんでしょ」

 普段の振る舞いが振る舞いなせいで全く本気にされてなかった。
 ちなみに3人とも小声で話さず割と堂々なので声は奥の二人にもしっかり届いている。

「嬢ちゃん……実にいいお友達を持ったものだ。少しは同情してやってもいいぞ」

「むー(同情するなら布切れで簀巻きの上からじゃなく縄だけで縛って吊るすとか鎖で両手を上にして吊るすとかもうちょっと囚われのお姫様感だしてよー)」

 こっちもこっちで緊迫感がまるでなしっと空気がいろいろ台無しであった。


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